太田述正コラム#2682(2008.7.22)
<皆さんとディスカッション(続x200)>
<スワン>
チャンネル桜の移民政策討論番組を、動画で観ました。
http://jp.youtube.com/watch?v=bOeri68XyLc
冒頭、自己紹介で「移民政策は安全保障問題だ」「移民は上澄みと下積みの片方だけを受け入れるわけにいかない」という結論を明確に示されていて、おおっと興味を惹かれました。最初のつかみとしてバッチリだったのではないでしょうか?
太田さんと西尾氏との白熱した議論、スリリングで楽しませて頂きました。西尾氏が中韓系移民への恐怖心を煽るような話をするのには驚きましたが・・・。
他の出演者が、移民政策の総論を論じることなく、最初から個々の具体事例に始終するのは少し物足りなく思いましたが、そこは西尾氏と太田さんが上手く議論を深めていたと思います。
フリップ作成や、話の内容など、出演にあたって入念に準備されたことをうかがわせました。次回のTV出演がまたありますよう、期待しています。
<太田>
暖かい激励、ありがとうございます。
さて、移民受入問題をめぐって、掲示板上で安保さんとMSさんの間で議論が続いています。とても全部収録しきれないので、私の見解を代弁していただいている感のあるMSさんの実体験を踏まえた投稿内容だけをまとめて以下に掲げさせていただきます。
<MS>
韓国人の日本人に対する感情に関して。
私は、かれこれ10年前に修学旅行で38度線の北朝鮮が南進のために掘ったトンネルにもぐったことがあります。当時すでに観光地化していましたが、それでも、デリケートな場所でありますので、すれ違う韓国人が日本の平和ボケした高校生をどのように見ているのか、「自分たちだけ平和を満喫しやがって!」などなど思われていないかな?と、後ろめたく感じておりましたが、実際には観光客、兵士も含めて非常に友好的でした。
トンネルの中ごろでは、お年寄りの集団とすれ違いました。
明らかに日本の植民地統治時代を経験したことのある世代に見えましたので特に緊張しました。
すると、
さくら さくら、
野山も、里も、
見わたす かぎり、
かすみか、雲か、
朝日に にほふ。
さくら さくら、
花ざかり。
と日本の古謡を歌ってくれるではありませんか!
驚き、非常に近しい、かつ、さみしい思いがしたことを覚えています。
以上のような私の個人的な体験から帰納的に推測しますと、反日感情があるとしても韓国民に普遍的なものではなく、仮にそうであったとしても、それらは植民地時代ではなく、戦後うまれたものだといえるのではないでしょうか?
であるならば、あなたのおっしゃるように『真の独立国になり、まともな国として世界と対峙』し、太田さんのおっしゃるように韓国、台湾とともにNATO東アジア版の中核をなすことが、彼らの反日感情をなくすことにつながるのではないでしょうか?
それが実現するならば、あなたの忌み嫌う他民族社会になりますが、必然的に。
安保様、ところで、あなたは韓国人と直接話したことがあるのですか?
もしないのであれば、あなたの考えに関してあなたの周りの韓国人とぜひ議論してみてください。
その結果を報告してくださるとうれしいです。
安保様、私にはどうしてあなたが単一民族にこだわるかが、全く分かりません。
一種の宗教的信念のように感じます。理性から導き出されていないものは、全て宗教です。宗教ならしかたないと思いますが。
私は仕事でオランダの研究所にいったことがありますが、所長はレバノン人で、学生はオランダ人、イラン人などなど。
だれも民族の違いなど気にしていませんでしたよ。
世の中には排斥する人ばかりじゃないことをお忘れなく。
<zxcvb>
>反日感情があるとしても韓国民に普遍的なものではなく、
韓国の反日は反日教育による部分が大きい。
実際に日本の朝鮮半島統治を経験した世代の人達は、必ずしも反日では無い。
しかし体験者が表で本音を語る事が出来ない所に、韓国の病理が見て取れるのではないか。
<衆愚>
wikiで調べると、植民地/大日本帝国時代の統治地域>南洋群島(国際連盟規約による委任統治)日本の植民地とする見解が一般的南洋諸島>日本は1922年、ヴェルサイユ条約によって南洋諸島の赤道以北(グアム島を除く)を委任統治することとなった
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A4%8D%E6%B0%91%E5%9C%B0
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%97%E6%B4%8B%E8%AB%B8%E5%B3%B6
とありますよ。
<太田>
私はコラム#2680で南洋諸島の話はしていません。
南洋諸島は東南アジアには含まれませんよ。
<衆愚>
それとこれは純粋な疑問なのですが、
≫そもそも、韓国の人々の対日感情が悪い、というのは思い込みに過ぎません≪(コラム#2680。太田)
のは何故なのでしょうか。軽く調べただけでも韓国の人々の対日感情は最悪なように思えます。
一例として、竹島問題関連のニュースを挙げても、
<軍服姿の抗議した40人あまりは、キジ9羽の首を切り落とすと、その血を福田康夫(Yasuo Fukuda)首相や歴代首相の顔写真や日章旗に塗りたくるなどした。なかには「独島は我らの領土だ」と叫び、殺したキジの内臓を食べるものもいたという。
http://www.afpbb.com/article/politics/2419347/3140551>
<17日昼までに鶏卵200個余りが大使館の建物に投げつけられた
http://mainichi.jp/select/world/news/20080718ddm007030160000c.html>
<韓国警察当局推計で3500人が参加した抗議デモが17日夜もソウルで行われ、日本大使館に向かおうとしたデモ隊と機動隊が衝突した。
http://www.zakzak.co.jp/top/2008_07/t2008071801_all.html>
と冷静とは言いかねるような感情ですよね。
国際法上何ら根拠がないまま行われている不法占拠
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/takeshima/
をされているにも関わらず、これだけ冷静な日本を鑑みれば『韓国の人々の対日感情が悪い』のは明白なように素人目には見えます。
以前太田先生にレス頂いた投稿の典拠とした
http://www.worldpublicopinion.org/pipa/pdf/apr08/BBCEvals_Apr08_rpt.pdf
http://www.worldpublicopinion.org/pipa/articles/home_page/325.php?nid=&id=&pnt=325&lb=hmpg1
をみてもこの主張は間違っていないように思えるのですが、いかがでしょうか
誤解されていないといいのですが、個人的には「思い込み」だったらいいなと思っているのです。
太田先生のレス頂けたら嬉しいです。
<太田>
日本の外務省は学術機関ではありませんが、学術機関だって間違うことが多々あることに鑑みれば、外務省のサイトに載っている見解なんて更に疑ってかかるべきです。
とにかく、竹島問題に限らず、朝鮮日報の日本語電子版を毎日読んでごらんなさい。
<kujo>
遠江人さん、早速のお返事(コラム#2680)、ありがとうございました。
>>軍隊を保持していた戦前、政治や行政はもっとひどかったと思います。
>>ほとんどの国々が軍隊を保持していますが、それらの国々の政治や行政もわが国以上に色々な問題を抱えていると思います。
>>普通の軍隊(欧米のような軍隊)を保持すると、政治や行政が今よりましになるのでしょうか?
>>年金のずさんな管理が無くなったりするのでしょうか?
>>ワーキングプアと呼ばれる悲惨な状態にある人たちが減るのでしょうか?
以上の5点についてはご回答がありませんでしたが、可能ならご回答頂けないでしょうか?
無理言ってすみません。
≫米国は何を好き好んで他国の安全保障など請け負っているのでしょうか? kujoさんはどう思われますか?≪(コラム#2680。遠江人)
ほとんど考えたことがないのでちょっと答えに窮しますが、軍産複合体にとって利益があるからだと思います。
わが国との関係で言えば、地政学的理由により北西太平洋上の前線基地として(浮沈空母として)米国本土防衛上、好都合だったのではないでしょうか。冷戦終結後、防衛上の意義は薄れてきているように思います。
<遠江人>
>以上の5点についてはご回答がありませんでしたが、可能ならご回答頂けないでしょうか?
日本では小泉改革以降、アメリカ流の経済政策がなし崩し的に導入された結果、ワーキングプア問題等、格差問題が顕在化するに至っても、未だに政権交代が実現していませんね。先進国で政権交代がこれだけ長い間行われない国は日本だけでしょう。
最近まで日本にワーキングプアや年金問題などが顕在化してこなかったのは、覇権国であるアメリカの属国であったことと、経済的にも余裕があったからにすぎないのではないでしょうか。
経済成長が続いていて、宗主国にも経済的に余裕がある間はいいですが、その前提が崩れたときには安全保障感覚のない日本という国がどのようなことになるか、想像するだけでも恐ろしくないですか?自前で安全保障を行っている国でさえ、あれだけ苦労しているのですから、「本来安全保障政策の一環である」「社会政策(社会保障政策+労働政策)」(コラム#2680)など、日本がどうやって自前で人並み(他の自立国並み)にやっていけるでしょうか。それとも国民のみなさんは日本が経済的にも社会的にもどれだけひどいことになっても、属国であることをやめたくないとか。まぁ今の日本を見ているとそんな感じですが・・・。
自立した国において自分たちの生活の安全の保障を考えれば、安全保障を国民一人一人が真剣に考えていかなければいけないことはもちろんのこと、安全保障の基本中の基本である防衛問題(=自前の軍事力を持ち自らを守ること)を避けて通ることはできないのは、お分かりいただけますか?
と、これまた私の筆不足で、納得しないぞと言われるのもつらいので簡潔に書いておきます。
1.今まで米国にも日本にも余裕があったから属国でもよかったけれど(本当はよくないけど)、これからはよかった時代はおろか、今現在よりも、もっとひどいことになりますよ。それこそ普通の軍隊を保持している国よりも。
2.だから今後の国の水準としての上限である「普通の軍隊を保持する国並みの水準」でいたいのなら、自立するしかないのでは?自立するということは当然、安全保障政策は全部自分でやらなければいけませんね。
3.残されたオプションとして、これからも米国の属国としてやっていくという選択もありますが、そうしたいという人には、もう何も言うことはありません。
<太田>
遠江人さんが触れておられない一点、
>>軍隊を保持していた戦前、政治や行政はもっとひどかったと思います。
とは私は全く思いませんね。
大正デモクラシーの時代には、資本主義と二大政党による民主主義が機能し(典拠省略)、それ以降は、内外安全保障環境の悪化に伴い、日本型政治経済体制が構築され、戦後につながる安定した政治と高度経済成長が実現しています(拙著『防衛庁再生宣言』232~237頁)。
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太田述正コラム#2683(2008.7.22)
<捕まったカラジッチ>
→非公開
皆さんとディスカッション(続x200)
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