太田述正コラム#2690(2008.7.26)
<皆さんとディスカッション(続x203)>
<ライサ>
質問にはお答えいただけないようですが、それは別として、
≫ショスタコービッチのワルツ(第二ワルツ) オケの小編成で演奏される小曲だが、きちんと全曲をピアノで弾けるようにしようとしている最中≪(コラム#2686。太田)
<第二ワルツとJe te veuxとくると、>なんとなく、太田さんの性格や育ちや考え方、人生観が分かるような曲ですね。
映画 Eyes Wide Shut (1999 Stanley Kubrick) 主演 Tom Cruise, Nicole Kidmanの中でこの曲を使ってますよね。
少し物悲しくて、退廃的な感じがしますが、なかなかいい曲ですよね。あまり有名でないので知らない人もいるかもしれませんが、一度聞いたら多分忘れないメロディーですよね。
私も楽器の練習をしていますが、なかなか難しいです。貴方の腕前ならきっとクリアできるでしょう。ピアノの練習がんばってください。
<太田>
ご質問には、既にコラム#2684で間接的にお答えしたつもりですが、その後の皆さんの議論を興味深く読ませていただいています。
今月からピアノを再開しているのですが、せっかくなので、ホームページの私のピアノ演奏(7年半近く前に、友人に乗せられて録音したできの悪いもの)
http://www.ohtan.net/keireki/piano.html
を録音し直すとともに、曲も増やそうと思っています。
おかげさまで、第二ワルツ、全曲が頭の中に入りました。
9月中に、この曲を含め、何曲かを新規にアップすることになりそうです。
<海驢>
–韓国は反日か?–
ネット言論の世界では既に言い尽くされた話題なので恐縮ですが、基本的な知識がなく、自ら調べる意欲もない人がいるとアレなので・・・敢えて情報リンクを投稿いたします。ご参考まで。
※参考1:「韓国は本当に反日か?」
http://3.csx.jp/peachy/data/korea/korea1.html
※参考2:「日本人なら知っておきたい韓国事情-韓国の新聞記事」
http://www.geocities.jp/savejapan2000/korea/index2.html
※参考3:「大日本史番外編 朝鮮の巻(戦前からの日韓関係史概論)」
http://mirror.jijisama.org/
※参考4:「日韓併合前後 朝鮮半島写真館」
http://photo.jijisama.org/
誤解なきようお断りいたしますが、当方は、太田様の「韓国は親日にベクトルを向けている」という説は概ね正しいと考えています。
※以下、引用(太田述正コラム#2606)
>さて私は、韓国世論が既に現時点で(大半が)親日であると言っているわけではなく、韓国世論のベクトルが親日の方に向かっていると言っているのであり・・・
ただし、太田様も述べられているとおり、現状で親日は少数派だと思います。
大東亜戦争終結後、国家の正統性維持のために反日思想を用い、幼少期から反日教育を施しているので、親日に舵を切るのは時間を要するでしょう。
※参考:「韓国の捏造教科書。そのほんの一例」
http://nandakorea.sakura.ne.jp/html/netsuzo_text.html
また、朝鮮半島の対日感情は、歴史的・地政学的にも複雑に為らざるを得ないと思いますので、反日・親日に一喜一憂せず、距離を置いて付き合うしかないのでしょう。※例えば、以下のような・・・
・古代の半島では倭人と共存していたことに起因する親近感
・李朝以降の小中華思想に基づく侮蔑感情
・19世紀後半からの欧米列強への対応の拙劣に起因する羨望・嫉妬
・同、過剰な内政干渉・占領・保護国化・併合に対する反感
・同、善政に対する好感・感謝
・大東亜戦争の敗戦に対する失望・侮蔑感情 などなど
とはいえ、韓国にとっては、世界で最も古い名家である上、世界第二位の経済大国、中韓に足を引っ張られてもなおかつ世界で最も良い影響を与えていると評価される(3年連続1位ですな)、日本という国を好きになる圧力は強いと思われます。
(そうはいっても、米国の保護国から自立しないと無意味ではありますが)
※参考:BBC「World views US ‘more positively’(2008.4.2)
http://news.bbc.co.uk/2/hi/americas/7324337.stm
<MS>
–植民地時代に関する文献–
私が見つけた本を以下にかがげておきます。
3は序文からしていい感じです。太田さんの主張とそっくりです。
(というよりもそれが世界標準なのでしょうが。)
1. 『Under the Black Umbrella: Voices from Colonial Korea, 19101945』 (Hidi Kang 著, Cornell Univ. Press, 2005)
MS: ゲットしていないですが、アマゾンのレビューによると、植民地時代を経験した何人かの韓国系アメリカ人へのインタビュー集のようです。
ペーパーバックにもなっていますし、日本語訳もあります。
以下にレビューがありますので、興味がある方はどうぞ。
http://koreaweb.ws/ks/ksr/ksr02-02.htm
2. 『植民地朝鮮の開発と民衆 副題: 植民地近代化論、収奪の超克』 (許●烈著、保坂祐二訳、明石書店、●:米ヘンに卒のつくり、2008年)
『本書は、帝国主義的侵略を擁護する人々の掲げる最も代表的な主張の一つである「開発」というものが、どれほど無意味であったのかを明らかにするために書かれた。(序文より)』
MSのコメント: 私の感想としては、
『植民統治化における朝鮮民族は、不平等感を抱いていたことはまちがいない。
また、植民統治化の遺産は大部分が引き継がれなかった。
これらが韓国人の反日感情の原因の一つとして考えられる。』ということです。
以下簡単にまとめた内容:
単純に日本人が朝鮮から収奪をした(収奪論)ということではなく、『日本帝国主義によって朝鮮経済が大きく開発されたということを厳然たる現象として前提』として認めたうえで、(第一章)
(1)『農業と工業部門の生産手段が民族別に極度に不平等に分配されており、
それによって生産額も民族別に非常に不平等に分配されていた』(第二、三章)
(2) 教育において民族間に不平等があった。(第四章)
(著者は大学入学に民族別クォーター制があった、と主張。
一方、『解放前に形成された人的遺産が、解放後の経済で大変重要な役割をし たという点は明白である。』
1970年時点でも、解放前の日本留学経験者が韓国社会で重要な地位をしめてい たことも指摘している。)
(3)労働条件や昇進に関して著しい不平等や差別があった。(第五章)
(4)日本統治化で開発された遺産が受け継がれなかった。(第六章)
原因は、
一 南北分断(工業施設、大企業が北朝鮮の領域に偏っていた)
二 日本の戦争経済の崩壊(軍需部門に偏っていたことによる操業率の極端な低下
)
三 韓国動乱 (半島南部の50.5%が破壊された)
これらのことが重なり、
『日帝時代の物的遺産はアメリカの対韓援助額の約7分の1に過ぎないレベルに落 ちる。要するに物的遺産という側面だけ限定して評価すれば、解放後朝鮮南部地域 に残された日本人工業資産は、1960年代以降本格化される韓国の工業化で、大変限 定的だった』 (終章)
以上のことを指摘することで、
(5)『鉄道が敷かれ、道路が開通し、電話と電気が施設され、多くの工場と貯水池が 造られ、まだ学校が建って都市が発展したことだけを見て、日帝時代を文明化の時 代だと考えてはいけない。朝鮮人の立場から見れば、日帝時代はこの上無い野蛮の 時代だったのである。』
と結論付けている。
(『結論は収奪論と特に異なるところはないと考えている』第一章)
以上『』内は引用。
それ以外はMSによるまとめ。
3. 『韓国をめぐる列強の角遂 副題:19世紀末の国際関係』(崔文衡著、齋藤勇夫訳、彩流社、2008)
『今日、われわれは”世界化”という名のもと、いわゆる”第二の開放”を強要されている。これは100年前に帝国主義列強により強要された”第一の開放”と筋道が同じだ。・・
”第二の開放期”に対する真っ当な歴史認識が切実だという著者の考えの根拠もここにある。・・
われわれ韓国の地に侵入した帝国主義列強の本質とその実態を理解しなければ、開放期の歴史を正しく把握できない。本書は、世界に向けて門戸開放をしたわれわれの先人が帝国主義の本質と国際情勢に暗いために、試行錯誤を繰り返した過去の歴史を直視することにその目的がある。」
なお、先ほど紹介いたしましたレビューのあるページ、
http://koreaweb.ws/ks/ksr/ksrndx.htm
には、まともな韓国研究書籍のレビューがたくさんあります。
今後議論する時や、本を探したいときは役立てください。
<海驢>
よりによって保坂祐二氏訳の資料『植民地朝鮮の開発と民衆』ですか・・・。
彼が関与しているなら、あまり適切な資料とは思えませんね。
その実証的でない歴史認識と、反日姿勢は、例えば以下のとおり。
※参考:韓国に媚びる日本人
http://www.geocities.jp/savejapan2000/korea/k226.html
>(A.D.663年白村江の戦い について)当時百済を助け、新羅と唐の連合軍に対抗した日本は、この戦闘で惨敗してから、臥薪嘗胆し内面の充実化に力を注いだ。それと共に、新羅に敗れた 歴史を隠蔽し、いつかは韓半島を屈服させると誓うかのように、韓半島支配の偽りの神話を作り出したということだ。
白村江の戦いに日本が敗れたことは、一度たりとも隠蔽されたことなどないでしょう。現在でも、日本語版Wikiにすら堂々と載っています(確か、歴史教科書にも載っていたような・・・)。
また、そもそも日本は百済から要請を受けて、その救済のために戦ったのであり、「いつかは韓半島を屈服させると誓う」などとは妄想としか言いようがありません。
※参考:Wiki「白村江の戦い」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%99%BD%E6%9D%91%E6%B1%9F%E3%81%AE%E6%88%A6%E3%81%84
>保坂教授は日本人のこのような根性は『孫子の兵法』に基づいていると説明する。8世紀、中国から伝来した『孫子の兵法』は、武士の時代が700年 も続いた日本で花開いた。「敵を知り己を知れば百戦危うからず」という金言を、日本人たちは永遠の真理と考える。従って、日本人は常に相手を徹底的に研究し、勝てるという計算が出れば、先制攻撃を行う。
兵法孫子の最大の特徴は、非好戦的であること。
「百戦百勝は善の善なるものに非ず。戦わずして人の兵を屈するは善の善なるものなり」(謀攻篇)であり、それが花開いた国で「勝てるという計算が出れば、先制攻撃を行う」というのは不勉強としか思えません。
※参考:Wiki「孫子(書物)」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AD%AB%E5%AD%90_%28%E6%9B%B8%E7%89%A9%29
また、日露戦争も大東亜戦争も、圧倒的に不利な状況下でやむを得ず戦争に突入していったのであって、相手を十分に研究できていなかったし、対米戦など、米国が大正10年から対日作戦を立案し、演習までしていたにも拘わらず、他方、我が国は真珠湾攻撃の半年前から対米戦の作戦立案に取りかかったという泥縄ぶりでした(典拠:「大本営参謀の情報戦記(堀栄三著、文春文庫)」、頁数失念)。
もう少しイデオロギー色の薄い著者の文献をあたるほうがよろしいかと。
<MS>
海驢様、どうもコメントありがとうございます。
イデオロギー的であろうがなかろうが、データやグラフがたくさん載っていて、その出典もちゃんと書かれているので、買ってしまいました。
もしこの分野でイデオロギー的でない書籍をご存知でしたら教えてください。
また、訳者である保坂さんの考えが著者と同じかどうかは自明ではないですよ。
著者自身についての情報がありましたら、教えてください。
推測するに、著者は植民地時代を、日本民族と朝鮮民族の対立の構図で理解しているので、著者もいっているとおり結論としては収奪論と対して変わらない結論になっている印象は持ちました。
当時の状況をどうとらえるかに関しては、
3. 『韓国をめぐる列強の角遂 副題:19世紀末の国際関係』(崔文衡著、齋藤勇夫訳、彩流社、2008)
の方がより世界史的観点から見ているので、こちらをおすすめします。(まだ、読んでないので正確には分かりません。序文をよんで判断しました。)
しかし、データを信じる限り、いろいろな点において、朝鮮民族が日本民族に『不平等感をもっていた』と思われます。
のっているデータ自体は、ちゃんと出典(朝鮮総督府の資料『統計年譜』など)も書かれているので、それなりに信用できると思います。(ただし、一部自分で見積もっているところもあるようです。)
というわけで、私自身がとりあえずこの本に書かれている『数字を見て』思ったことは、
1. 植民統治化における朝鮮民族は、不平等感を抱いていたと思われる。
2. 植民統治化の遺産は大部分が引き継がれなかった。
3. これらが韓国人の反日感情の原因の一つとして考えられる。
ということです。
1.に関しては注意してほしいのですが、私は、『朝鮮民族にとって不平等だったといっているのではなく、彼らが不平等感を抱いていた』と思っているわけです。
また、精読したわけではないので見落としているだけかもしれませんが、日本統治が制度上民族の間で差別をしていたという直接的な証拠としての資料は、私の目には発見できませんでした。したがって、本書は統計データを解釈するところで、著者の主観が入っていることは十分に考えられます。
しかし、そんなことはどうだっていいじゃないですか?
最終的な判断は読み手にゆだねられているわけですから。
要はデータとそれに典拠がついているかどうかです。
データからすると自由競争の結果であれ、差別の結果であれ、資本や所有耕作地面積などが日本民族に統計上偏重している点があります。
したがって、私は、『それを不満に感じる朝鮮民族は不平等感をいだいていた』と思っているわけです。
先の私の文では、間違いないといっていますが、それは言いすぎかもしれませんね。
『不平等感を抱いていたと思われる』に訂正させてください。
(これも私がデータから感じた勝手な推測ですので、当時の人が聞いたら怒るかも。)
この辺は、『Under the Black Umbrella』 を読めば、生の声がわかるかもしれないな、と思っています。こちらの書籍もイデオロギー的かどうか、私には判断がつきません。
いずれにしろ、この分野の土地勘がないので専門家に意見を聞いてみたい気もします。 しかし、専門家なら、『一次資料にあたりなさい』というのでしょうね。
というわけで、私の感想を述べただけになってしまいましたが、著しく認識がおかしいところがあればご指摘ください。
<太田>
海驢さん、MSさん、日韓問題を考えるための様々な資料をご紹介いただき、ありがとうございました。
皆さんもどうか参考にしてください。
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太田述正コラム#2691(2008.7.26)
<FTによる五輪後の中共の展望(その1)>
→非公開
皆さんとディスカッション(続x203)
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アングロサクソンは克って敗戦の味を知らない、スペインの無敵艦隊を
今でもこの投稿をグーグルや米諜報機関が監視していると考えるのは思いすごしだろうか。アングロは克って敗戦の味を知らない、スペインの無敵艦隊艦を破り、ナポレオン戦争、第一次、第二次大戦の勝利、共産独裁政権えの勝利、ことごとく戦いに勝利してきた。その勝利の方程式はことごとく迎え討つ方式だ。先には手を出さない、撃たれてから撃ち返す。しかして国民の意思を統一し盛り上げて勝利する。誠に巧妙である。人類の中で最後に勝利し生き残るのはアングロだろうか。誠に暗い話ではあるが。