太田述正コラム#2714(2008.8.7)
<皆さんとディスカッション(続x214)>
<コバ>
 熊本は九州の州都に?
 週刊朝日に蒲島熊本県知事の対談記事があり、その中で蒲島氏は、「私の中に二つの存在があって、アクター(役者)としての知事を、批評家としての政治学者が見ている。」と語り、自分を実験台として、将来、蒲島県政を検証したいと思っているらしいです。州都誘致もしたいのだとか。月給100万円カットなど、こうした自分の研究(道楽?)のためのもので、確実に当選できる自民党公明党に乗っかって好奇心で知事になったのかなあと思いました。
 最近の朝日新聞に、知事会は国から権力や財源を奪う気概を持て、といった社説があった気がしますが、知事が自民党公明党系ばっかりの現状では、やはり民主党による政権奪取が起こらないと、地方が国から独立するのは難しそうです。
<淡水>
 コラム#2605「ネオ儒教論の展開(その1) 」を読みました。
 大陸漢人に儒教の信者などはいません。日本人と朝鮮人が勝手に思い込んでいるだけ。♪♪孔子の言ったことは権力者にとって重宝そのものだったから「舌代」として使われて来ただけのこと。いまここで「ネオ儒教」なる概念を作るよりも道教から切り口を開くべきだと考えています。そうでないと中南海漢人の思う壺にはまる。
→私は「中南海漢人」の考えている新しいイデオロギーが何であるかを読み取ろうとしているだけです。(太田)
 中共は蒋介石の国民党と一卵性双生児なのです。どちらも「王朝」の継続なのです。我々の「常識」は通用しません。
→血統原理に立脚していない以上は、どちらも「王朝」の継続とは言えないでしょう。
 だからこそ、どちらも正統性を担保するための新たなイデオロギーが必要になるのです。
 かつては中国国民党はファシズム、中国共産党はマルクスレーニン主義をイデオロギーとしたしたわけですが、そのどちらのイデオロギーも欧州が生み出したという意味では国民党と共産党は一卵性双生児であると言えると思います。(太田)
 ♪♪貴方のブログで若い人たちを育ててください。そして意図的に「留学」させ、将来の頭脳集団を形成できないでしょうか。いま思えば敗戦のとき多くの在大陸日本人が強制送還(引き揚げ)された。このときの「帰国子女」を育成すべきだった。こういうことが必要なのです。コキントウやらの立場で思考できる日本人がいなければならない。そうでないと勝てません。
→ここは、おっしゃるとおりです。(太田)
<ライサ>
 <日本の若者の>学力の低下(コラム#2313)は本当に私も感じます。一例を挙げさせていただければ、先日、近所の短大の園芸科学生(学生と言うより生徒と言った方が良いかもしれません)が、親御さんと私の所に来ました。別に私は、家庭教師をしているわけでもなく、そんな能力があるとも思っていませんが、私のことを、「頭が良いから」と言って来たのです。(頭が良いわけ有りません。この一連の投稿を見れば誰でも分かるでしょう)その問題が、なんと以下のようでした。
 「ここに1アールの畑が有り、そこに高さ30センチの覆土をしたい、ダンプカーの荷台は横1.8メートル、縦2.5メートル、高さ30センチです。何台のダンプカーが必要ですか」
 こんな問題でした。私はひょっとすると、こんなの小学校の高学年でも出来るんじゃないかと思いました。他にも平均の問題とか、単位の問題とかありました。
 ㎡・㎜・・・が読めないなんて、私の常識では理解できませんでした。一体、日本の教育はどーなっているんだと、それこそ仰天の感でした。短大の「園芸科」と言うより「演芸科の」間違えではとさえ思いました。大学の多くが定員割れだと言うことですが、これは、もはや国家的犯罪もしくは国際的陰謀かも知れないとさえ思いました。
<太田>
 個人の問題なのか、短大制度の問題なのか、それとも日本の若者の学力低下問題そのものなのか、ちょっと判然としないケースですが、学力低下問題は、もっと国民的議論が起こってしかるべきです。
 私のコラムの読者に文科省の人がいなさそうなのが残念ですね。
<スワン>
 サルコジ大統領がダライラマと会わないことになったのは残念です。夫人のカーラが会うようですが・・。
http://www.lefigaro.fr/international/2008/08/06/01003-20080806ARTFIG00395-sarkozy-ne-devrait-pas-rencontrer-le-dalai-lama-.php
<太田>
 日本でも報じられています(
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20080807-OYT1T00308.htm?from=main1
。8月7日アクセス)が、「大統領との面会に代え、南仏エロー県に新しく建てられた仏教寺院をダライ・ラマが訪れる際、カーラ大統領夫人が同席する形でダライ・ラマと面会する」ようですね。
 話のついでにですが、フランスではチベット仏教ならぬ日本系の禅も根を下ろしていることが、
http://www.guardian.co.uk/lifeandstyle/2008/aug/04/healthandwellbeing.familyandrelationships
(8月4日アクセス)から分かります。
 更にもう一つ。
 竹島問題にからんで「月のオーダーの一時帰国の後、日本に戻る、という感じではないでしょうか」とスワンさんのご質問に答えて以前(コラム#2674)で申し上げていた、韓国の権駐日大使は、7月15日から韓国に一時帰国していたところ、8月5日に日本に帰任したので、3週間での帰任ということになりました。
 私の予想よりちょっと早かったですね。
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太田述正コラム#2715(2008.8.7)
<ヒットラーの二つの謎(その1)>
→非公開