太田述正コラム#2740(2008.8.20)
<皆さんとディスカッション(続x227)>
<R>
コラム#2641「中共体制崩壊の始まり?(続x4)」を読みました。
流石です!
東京新聞、読売新聞とも記事を削除してますね、日本のマスゴミの記事は魚拓とってないと、消されます。
BBCとワシントンポストの記事は、しっかり残ってます。
いかに、日本のマスゴミが中共に支配されてるか、判りますね!
<衆愚>
フィクションのくだり(コラム#2736)で、太田先生がHearts of Iron(PCのシミュレーションゲームです)をやったらどうなるのかと想像しました。
僕はヘミングウェイが好きですね。蝶々と戦車はいいですよ
それと遅くなりましたが、以前質問した際、丁寧なレスして頂きありがとうございました。
南洋諸島≠東南アジア(コラム#2682)は僕の不勉強でした。どうやら南方=東南アジアや南洋諸島。
このあたりから自分の誤解があったようです。
<太田>
ガーディアンに、男女の深淵(battle of the sexes)を描いた10大現代英語小説が紹介されています(
http://www.guardian.co.uk/books/2008/aug/19/top10.battle.sexes。
8月20日)。
ご参考まで。
このヘミングウェイも登場するリストの中で、私が聞いたことがある(読んだことがあるではない!)のは、Edward Albeeの『バージニアウルフなんて怖くない(Who’s Afraid of Virginia Woolf?)』くらいですが・・。
<ライサ>
今日も雨で暇です。
私は、他人を軽蔑したり意見を払いのけようとは思いませんが、「どうもどうも。」(コラム#2738末尾。太田)は、何を意味しているのか考えてしまいます。
まさか、この、いわゆる米軍報道を信じきっているのではないでしょうね。もしかしたら本当かもしれない。しかし、一連のアメリカの動向から推察すれば、知っていても、「知っていた」と発表するわけが無いというのが妥当だと思います。
先に、先制的に動きを発表し、短絡的に対応したら、今の現状、つまり「ロシアは悪い奴で、グルジアは被害者的立場である」と言う、いわゆる西欧の一般的な動向、そして、NATOは足並みは乱れても、ある程度方向的に同じ方向に向くだろうなどの動きは、最初から計画として立てられないでしょう。
虚虚実実の駆け引きがあるのではないでしょうか。時には、まったく誤算として人間の心理を読み間違う過ちを犯しますが、個々の個別的対応で無く、もっと大きな世界的戦略があって米国、米軍は動いているのではないでしょうか。
国防の中心にいた太田さんは、情報の操作・リーク・駆け引きについてどう思っているか知りたいです。
<太田>
私自身役所時代に、「駆け引き」的観点から真実の情報の「リーク」を行ったことは何度もありますが、これをも「情報の操作」と言われるのなら、「情報の操作」も行ったことになります。
ただし、リークするのは真実の情報でなければ、メディア(記者)との信頼関係が崩れ、リークしても2度と取り上げてもらえなくなりますよ。
なお、米国や(この場合は含めてもいいと思いますが)日本のような、報道の自由が確立している自由民主主義国家においては、政府首脳レベルが、(ローズベルトが日本軍による真珠湾攻撃情報を握りつぶした可能性が取り沙汰されているように)真実の情報の隠匿によるところの消極的陰謀を行うことは可能であっても、(英仏イスラエル政府の共謀による1956年のスエズ戦争のような)積極的陰謀を行うことは、それが早期に露見した場合のダメージを考えると不可能に近いことを、私はかねてより指摘してきたところです。
この後の議論も参照して下さい。
<バグってハニー>
海驢さんへのお返事です。
≫たぶん、イラン攻撃に備えて米国(&英国)が露西亜を牽制し、国内(国際?)世論の地均しをするため、米国の傀儡たるサーカシビリ氏を焚きつけたのでしょうね・・・≪(コラム#2738。海驢)
もうすでに太田さんが突っ込んではいますが…。
事実はそのような見立てとは逆で、米国はサアカシビリ・グルジア大統領に対して軍事行動をとらないように釘を刺しています。太田コラム#2730から
「先月、・・・グルジアの指導者は米国務省幹部達に<南オセチアでの>戦争
計画について話したのに対し、米国務省幹部達は、コーカサスにおける複雑な民
族紛争に軍事的解決はありえないと警告した」(
http://www.guardian.co.uk/commentisfree/2008/aug/12/georgia.russia
。8月13日アクセス)
ちゃんとした報道・典拠に基づかないとトンデモなことになっちゃうという一例ですね。ここいらあたりが太田コラムが他の政治関係メルマガよりも優れている理由の一つだと思います。
<太田>
「開戦」直前の米国とグルジア間の生々しいやりとりが、朝日に出ていました。
「・・・グルジアの南オセチア自治州では8月に入り、グルジア部隊とグルジアからの独立を求める南オセチア部隊の砲撃戦が続いていたが、米政府は独立を後押しするロシアの介入を懸念。「ロシア軍はグルジア軍の何倍も強大。グルジアは持ちこたえることができない」とグルジアに攻撃の自制を求めたという。 米政府は「戦車などの陸上部隊は食い止められても空爆でやられる」などとも訴えたが、グルジア政府は「村や国民を防衛せざるを得ない」として8日に南オセチアへの大規模攻撃に踏み切り、ロシアの軍事介入を招いた。ブライザ氏は会見で、南オセチア自治州政府ではロシア当局から派遣された人物が幹部を務めていると指摘。部隊指揮権もこうしたロシア当局者が握っていたとして、ロシアが衝突に当初から関与していたと批判した。」(
http://www.asahi.com/international/update/0820/TKY200808200050.html?ref=goo
。8月20日アクセス)
なお、米国政府がグルジア政府を「開戦」に追い込んだという積極的陰謀論が田中宇氏によっても展開されていました(
http://blog.goo.ne.jp/harumi-s_2005/e/4cae82d67e3964061a7dfc0eacf492ff)。
本当に困ったものですね。
<バグってハニー>
<B61-11についての議論は>なんか話がかみ合ってないですね。
B61-11のレゾン・デートルは冷戦という時代背景を考えないと理解できないと思いますが。大きい核(戦略核)と小さい核(戦術核)は軍事的には明確に区別されますよ。B61-11は戦術的な使用も視野に入れた戦略核なのでは。
≫ついでに言うと、私の真意は、核の使用の可否を基準を持ってくると、小さくても大きくても核爆弾を使用するのは同じことだと言う所、つまり、よく皆さんがおっしゃる、いわゆる「ルビコンを渡る」か否かの問題に行き着くので、小さくすることも大国にとっては、あまり意味のあることとは思えません。≪(コラム#2738。ライサ)
ふつう、こういう言い回しからは、たとえ限定的ではあっても核兵器の使用はいずれ戦略核による報復、破滅をもたらす、というような批判、冷戦時代のロジックを想像するのですが。Wikipediaの戦術核の項にもそういった批判が書かれています。海驢さんもそういう読解のもと、グルジアは核を持ってないのでロシアは核による報復を恐れずに核を使用できるはずだ(必要があれば)、というレス付けてますけど、ライサさんは違うことを考えているみたいですね。
未だに核の小型化に執心しているのは米国くらいだと思いますが、テロリストに盗まれるといった危険はもちろんあるとは思いますが、米国の核が拡散することを心配するよりも、テロリストやならず者国家に他のならず者国家の核が拡散することのほうがもっと差し迫った脅威だと思うのですが。そういう脅威に対処する一つの手段が核の小型化なのですが。
前にも書きましたが、米軍が北朝鮮の地下核施設を破壊するために核弾頭バンカー・バスターを開発していて、それが実際に使用され放射能が撒き散らかされたら日本にとっては非常に迷惑な話ですが、それでも、北朝鮮の核弾道弾で日本に直接放射能を撒き散らかされるよりははるかにましだと思うのですが。
もちろん、そのような目的に用いる手段が過剰であってもいけないのであって、だからこそWikipediaの『No first use』の項にあるように、核保有各国では核の先制使用に関してポリシーが定められています。米軍が核兵器を使うのは相当切羽詰った状況だけですよ。一方で、核を手にしたテロリストやならず者国家はどう出るのかいまいち予測がつきかねますよね。小型核を使用しなきゃならないような事態を作り出さないことが 一番大事ではありますが、テロリストやならず者国家に対する予防的措置として戦略核よりも使い勝手のよい小型核があっても損はないと思いますが。
<太田>
われわれの間でこういった議論をすることもさることながら、日本政府に米国政府と(これまで全く行っていない)核協議を行うように促しましょう!
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太田述正コラム#2741(2008.8.20)
<グルジアで戦争勃発(その7)>
→非公開
皆さんとディスカッション(続x227)
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