太田述正コラム#2742(2008.8.21)
<皆さんとディスカッション(続x228)>
<MARON>
アメリカ在住の映画評論家の町山智浩さんがすごくわかりやすく解説しています。
とても面白いです。
博士も知らないニッポンのウラ #33-1
https://miranca.com/entry/article6#032059
ブッシュ後のアメリカ
アメリカ人の8割は政治に関心がない
キリスト教原理主義が科学教育に与える影響
徴兵制復活を主張
共和党マケインの素顔
民主党オバマの素顔
経済政策に潜むキリスト教の思想
<海驢>
バグってハニーさん、これは失礼しました(コラム#2740参照)。
「もともと戦略核である」B53を地下施設破壊目的に転用していた、という文脈をキチンと読んでいませんでした。
てっきり、「地下施設破壊目的の核爆弾が小型化した」ということかと思っていたため、話がかみ合わないはずですね・・・。
太田様、投稿へのコメント(コラム#2738)ありがとうございました。
若干気になった点がありましたので、再投稿いたします。
≫米国<がその>傀儡たるサーカシビリ氏を焚きつけたという「ロシア政治経済ジャーナル」なるメルマガの主張は・・・≪(コラム#2738。太田)
この「米国が・・・」はメルマガの主張ではなく、開戦責任や善悪判断抜きの大ざっぱなフレームについての、あくまで当方の感想です。お間違えなきよう。
それにしても、英米メディアが言うようにロシアが仕掛けたとするなら、「大統領が休暇中」・「首相が外国訪問中」の「五輪開幕」の日に自軍が侵攻しなければならないようなスケジュールにするでしょうか?まあ、現ロシア首脳陣は欧米の非難など意に介さないこと確実かもしれませんが。
→ロシアが攻撃を仕掛けたのではなく、ロシアがグルジア側に攻撃させるための罠を仕掛けた、と私は申し上げてきています(コラム#2730)。(太田)
<海驢>
≫サカシヴィリのティンバリ攻撃を誘ったロシア/南オセチア側の挑発行動を捨象しての主張であり、ナンセンスです。≪(同上)
太田さんはお忙しいので読み飛ばされたかもしれませんが、当該メルマガには、直接的に「挑発行動」とは書かないまでも、ロシア側の行動について以下のような示唆がなされています。
<以下、引用:【RPE】米・グルジアVSロシア・南オセチア戦争>
一方ロシアは、NATO入りを目指すグルジアを憎んでいますから、南オセチアに対する支援を強めていきました。これに危機感を感じたグルジアが、独立を阻止するために今回南オセチアの首都ツヒンバリに進攻した。
<引用終わり>
件のメルマガは、「ロシア寄りである(英米寄りでない)」ことが明白(それが売りでもある)ですから、それを認識して受け取るならば情報源の一つとして有用だと思っております。
→グルジア軍が南オセチアの「首都」に大攻勢をかけたとたん、ロシア軍が南オセチアに雪崩れ込んだ、というのが事実関係です(コラム#2719、2729(以上未公開)、2730)。(太田)
<海驢>
「アングロサクソン大好き」の太田さんには申し訳ないですが、ボスニアやイラクを例に引くまでもなく、英米といえばメディア操作による自己正当化・御為ごかしが世界で最も得意ですので(笑)、その報道も額面通りに受け取るべきではないと当方は思います。
(同様のことを、<太田述正掲示板No.1293>にてPixyさんがご指摘されておりました。)
もちろん、英米メディアの取材力は秀でていますし、見識も高く情報量は圧倒的で、誤った情報を後でキチンと訂正する姿勢を持っている点も承知していますが、例えば後日の誤報道訂正等は、見方を変えれば結局のところ自己正当化のためとも受け取れます。
※参考:検証:ユ-ゴ「民族浄化」の定義と真相(1)・・・Web記事
http://www.jca.apc.org/~altmedka/ron-22-ken.html
※参考:『ドキュメント 戦争広告代理店』(講談社文庫): 高木徹著・・・書籍
http://www.amazon.co.jp/%E3%83%89%E3%82%AD%E3%83%A5%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%88-%E6%88%A6%E4%BA%89%E5%BA%83%E5%91%8A%E4%BB%A3%E7%90%86%E5%BA%97-%E8%AC%9B%E8%AB%87%E7%A4%BE%E6%96%87%E5%BA%AB-%E9%AB%98%E6%9C%A8-%E5%BE%B9/dp/4062750961
※参考:東長崎機関(イラク)-大手英米メディアの自衛隊報道9-1・・・Web記事
http://www.higashi-nagasaki.com/g_a/G53-102_10.html
≫事実はそのような見立てとは逆で、米国はサアカシビリ・グルジア大統領に対して軍事行動をとらないように釘を刺しています。≪(コラム#2730。バグってハニー)
そういうわけで、バグってハニーさんの(突然、飛び火して申し訳ないですが)投稿による上記のご意見にも疑問符がついてしまうという次第です。果たして、英ガーディアンが言ってることが『事実』かなぁ?と。
≫なお、このメルマガも典拠を付けてませんね。田中宇氏のメルマガよりひどいね。≪(コラム#2738。太田)
当該メルマガは電子版のURLこそないものの、『03年11月29日付朝日新聞「混乱の背景に外国情報機関 シェワルナゼ前大統領と会見」』などのように、一般的な新聞や通信社の名前と日付、見出しを記述していますが、これは典拠として不十分ということでしょうか? まあ、確かに自分で検索する手間はかかりますけども・・・
<バグってハニー>
いやいや海驢さん、私が(とおそらく太田さんも)問題にしているのはその箇所ではないです。北野幸伯氏のメルマガの問題部分を全文引用しましょう。
▼サアカシビリは、アメリカの許可なしで動かない
つまりこういうことです。
グルジアの現大統領サアカシビリは、アメリカの傀儡である。
よってアメリカ政府の命令・あるいは許可なしで、軍事行動を起こすことはありえない。
つまり、グルジアと南オセチアの戦争は、アメリカの命令か許可のもとに行われている。
グルジアの動機は、南オセチアの独立を阻止すること。
これはわかります。
では、アメリカの動機はなんなのでしょうか?
RPE読者の皆さまならおわかりでしょう。
ロシアは、現在アメリカで起こっている危機の原因を作り出している。
具体的にいうと、ロシアは意図的にドル体制を崩壊させている。
(この後だらだらとロシアの経済政策に関する記事の引用が続く)
―――
海驢さんはこの部分を受けて
>たぶん、イラン攻撃に備えて米国(&英国)が露西亜を牽制し、国内(国際?)世論の地均しをするため、米国の傀儡たるサーカシビリ氏を焚きつけたのでしょうね・・・
と書いたのと違いますか?
北野氏の主張は見事なまでに陰謀論のパターンを踏んでいます。
まず、「サアカシビリは米国の傀儡」→「傀儡政権では宗主国の命令・許可なく軍事行動しない」→「だからグルジア紛争は米国の命令・許可のもと行われている」という、大前提と小前提の位置が入れ替わった三段論法から始まっています。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%89%E6%AE%B5%E8%AB%96%E6%B3%95
三段論法は一見論理的なので人を騙くらかすには便利なのですが、騙されてはいけません。というのは、三段論法は慎重に使わないといくらでも論理的誤謬が生じます。この北野氏の論法は、英語版WikipediaでIllicit treatment of the major term(大前提の不正使用)に分類される誤謬ですね(例:全ての犬は哺乳類である→猫は犬ではない→ゆえに猫は哺乳類ではない)。「傀儡政権の軍事行動」を大前提としてはじめた場合、その後は傀儡政権の「全ての」軍事行動に当てはまることについて論理展開する必要があります。しかしながら、傀儡政権の軍事行動が必ずしも宗主国の命令・許可を得ずに行われることはいくらでもあるでしょう。サアカシビリ氏はエキセントリックな人物だという報道がありますから、たとえ彼が米国の傀儡であったとしても勝手な行動をとった可能性は十分にあると思います。三段論法が排他的な印象を与えることを北野氏はうまく利用してますね。
さらに、「サアカシビリは米国の傀儡である」という小前提にも問題があります。その根拠は前項の「バラ革命はアメリカの革命」に書かれていますが、これは北野氏の自説、つまり「ソースは俺!」状態ですね。それで、北野氏は、海驢さんが仰るとおり、新聞報道を引用して自説を裏付けようとしてますが、ここにも問題があります。というのは、引用記事はシュワルナゼ氏の証言だけから成り立っています。そしてシュワルナゼ氏はバラ革命で権力から引き摺り下ろされた張本人です。シュワルナゼ氏に非難されているジョージ・ソロス氏や「外国の情報機関」の言い分を聞かない限り、当事者の一方の証言内容を鵜呑みにするわけにはいきません。北野氏は自説に都合のよい新聞報道を取捨して自説を権威付けようとしているだけです。
次に来るグルジアの動機は飛ばしましょう。そして…
「では、アメリカの動機はなんなのでしょうか?」
出ました、疑問型!陰謀論では必ず読者に疑問を投げかけます。「いったい裏にはどんな腹黒い思惑が潜んでいるのか?」と。それで、
「RPE読者の皆さまならおわかりでしょう。」
出ました、答えは読者に丸投げ!「これは私の意見の押し付けではないですよ」「あなたがたが自由に考えても同じ結論にたどり着きますよ」と念押しすることを忘れないところがさすがです。「サアカシビリは米国の傀儡」から始めてそれがそれとはまるっきり関係のない「ロシアは意図的にドル体制を崩壊させている」までつなげる。しかも、その間たったの6行!まあ、まともな論考のはずがないですよね。
陰謀論はいつも同じパターンを繰り返します。ガーディアンに載った、ブレア政権前閣僚(当時)による911陰謀論と
http://www.guardian.co.uk/comment/story/0,3604,1036571,00.html
その検証・解説記事
http://politics.guardian.co.uk/comment/story/0,9115,1038478,00.html
本投稿は後者を意識して書きました。抱腹絶倒の記事です。
私も太田さんも一貫して異を唱えているのは海驢さんが書いた(そしてそれは北野氏や田中氏のメルマガにも認められる)
>米国<がその>傀儡たるサーカシビリ氏を焚きつけた・・・
という主張ですよ。正邪はさておくとしても、これは今次のグルジアによるツヒンバリ攻撃は米国による陰謀だ、という陰謀論でしょう?太田さんはグルジア― 南オセチア間はすでに戦闘状態にあり、米国の意向などなくともサアカシビリにはツヒンバリに攻勢をかけるには十分な動機があったと反論しているのであり、私は米国はサアカシビリに攻撃を指図したどころか、むしろ諌めようとした、と反論しているのですが。我々が主張しているのは北野氏の主張でもあるこの陰謀論にはまともな根拠がないということです。当たり前ですけど、北野氏のそれ以外の主張は細かく検討もせずに全否定することなんてできないですよ。あと、根拠のない主張がナンセンスであるためには、誰がどこで主張したかというのは関係ないです。誰がどこで主張しようがナンセンスなものはナンセンスです。
>ちなみに、たった一つの情報を根拠にするほどウブな時期は、四半世紀前に過ぎ去りました(笑)。
でも、この陰謀論を支持する情報が北野・田中両氏のメルマガ以外にあるわけでもないんでしょ。
<海驢>
>いやいや海驢さん、私が(とおそらく太田さんも)問題にしているのはその箇所ではないです。
はて?太田さんが問題にされたのは、「・・・サカシヴィリのティンバリ攻撃を誘ったロシア/南オセチア側の挑発行動を捨象しての主張・・・」(コラム#2738 太田)だと思いますが(典拠問題は別として)。
また、バグってハニーさんの投稿は、「事実はそのような見立てとは逆で、米国はサアカシビリ・グルジア大統領に対して軍事行動をとらないように釘を刺しています。」というのが主旨だったと思いますが、問題を拡大してません?
>海驢さんはこの部分を受けて
>
>たぶん、イラン攻撃に備えて米国(&英国)が露西亜を牽制し、国内(国際?)世論の地均しをするため、米国の傀儡たるサーカシビリ氏を焚きつけたのでしょうね・・・
>
>と書いたのと違いますか?
残念ながら、違います。
そのような感想を持った直接のきっかけは、「イランがグルジア情勢に並々ならぬ関心を抱いている」という記事でした。
※出典:「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」通巻第2294号「グルジア vs ロシア軍事衝突の余波を警戒するイラン」
http://www.melma.com/backnumber_45206_4196864/
ちなみに、たった一つの情報を根拠にするほどウブな時期は、四半世紀前に過ぎ去りました(笑)。
先の投稿<掲示板No.1312>では、「開戦責任や善悪判断抜きの大ざっぱなフレームについての」感想である旨を書きました。また、「件のメルマガは、「ロシア寄りである(英米寄りでない)」ことが明白(それが売りでもある)ですから、それを認識して受け取るならば情報源の一つとして有用だと思っております。」とも書きました。
バグってハニーさんもご指摘のとおり、北野氏のメルマガに「陰謀論」的問題があることは否定しませんが、英米メディアの情報に大きく影響されがちなアタマを活性化するには、それこそ「有用」だと思っています。
<バグってハニー>
米英の報道が優れている理由ですが、それは簡単なことであって、米英や日本のような成熟した自由民主主義国家には報道の自由があるから。海驢さんが仰るように米英のメディアに問題があるのは確かですが、報道の自由のないロシア(例:アンナ・ポリトコフスカヤ暗殺事件など、太田コラムで何度も取り上げられている)の報道に比べればはるかにましなのは自明なことです。それでも、ロシア側の言い分を知るには有用だとは思いますけどね。
「サアカシビリは米国に指図されている」という北野氏や田中宇氏の説の最大の問題は、誰が、いつ、どこで、どのような指示を出したのか、という具体的根拠を伴ってない点にあります。
一方で、「米国はサアカシビリの軍事行動を止めさせようとした」というガーディアンの記事には
http://www.guardian.co.uk/world/2008/aug/11/georgia.russia10
いつ?「先月」、どこで?(太田さんは省略しましたが)「ドゥブロヴニク(クロアチアの都市)で」、誰が?「米国務省幹部達が」という具体的情報があります。また、太田さんはおさおさ努力を怠らない方で別のソース(朝日新聞の記事)でサアカシビリ・グルジア大統領と米国務省との間のやり取りの具体的な内容も指摘しています。具体的根拠のない「米国指示説」と具体的根拠のある「米国止めさせようとした説」のどちらにより説得力があるのかは言うまでもないことでしょう。
もちろん、ガーディアンの記者、朝日の記者、米国務省幹部のいずれかが嘘をついている、ということは可能性としては残ります。ガーディアンと朝日の報道は内容が似通っている点から言ってどちらかが嘘をついていたとは考えにくいでしょう。残るのは米国務省による情報リーク、会見内容が虚偽であるという可能性ですね。このような発表をする米国務省にはグルジア・ロシアの開戦の責任をグルジアに押し付け、自らの責任を希釈しようという意図があると思われます。サアカシビリ大統領は今すでに窮地に立たされているわけで、その上米国務省からも嘘で見捨てられ全責任をかぶせらるというのであれば、当然、国務省の言い分に反論し、それがメディアで報道されることが予測されます。というように、報道の自由があると、嘘をついてもそのうちばれるので嘘をつかれにくいという利点があるわけです。
<ライサ>
8月19日の、BBCのハードトークで Geert Wilders(オランダの議員・Party for Freedom 1963年生まれ)とStephen Sackur(BBC・presenter of HARDtalk 1964年生まれ)がオランダのイスラームについて議論?しています。Stephen Sackurが突込みで、人種差別主義だとか、年中ボディーガードに囲まれて生活していることやオランダの民衆の支持率が低い等を、まくし立て、彼を興奮させようとしていましたが、Geert Wildersの根本にある、思想は揺るぎそうも無く、あまり効果は無いように見えました。
彼の主張は、イスラーム圏の人を差別する、いわゆる人種差別ではなく?、イスラームのイデオロギーを受け入れることはできないからだと言ってました。そして、イスラームに対する逆ジハード?なのだそうです。宗教ってイデオロギーなのかな、といささか疑問を持ちましたが、まー、イスラーム圏の人々にとっては生活すべてが、イスラームの実践だから、哲学的根拠でもあるし、同じようなものかなと納得しました。
日本人は、宗教そのものの中で生活していない、つまり、自分という個と宗教とは同一ではないと、自然に思っている人が大部分だと思えますが、、、だから宗教的なことで、なんであんなに対立するのか、理解することは難しいのかなと思いました。今まで、あまり気がつきませんでしたが、トークの中でユダヤとイスラームと大きな意味でのキリスト教が出てきましたが、ヨーロッパ文明はこれら(元をたどれば一緒なのに)が複雑に絡み合って成り立ってきたのかと、あらためてて認識しました。
Referring to the increased population of Muslims in the Netherlands, Wilders has said:”Take a walk down the street and see where this is going. You no longer feel like you are living in your own country. There is a battle going on and we have to defend ourselves. Before you know it there will be more mosques than churches!”
この文に、彼の思いが凝縮されていると思いました。
太田さんも、西南アジア/北アフリカのイスラム教徒の移民はあまり歓迎したくないように言及していますが、ただ単に、イスラーム圏の人というより、人間の生き方として、イスラームが人格の一部になってしまっている人々との交流は、難しい、というより不可能に近いからなのでしょうか。なぜ、その地域の人は願い下げなのでしょうか。(もしすでに言及していたらごめんなさい)
まだ、日本ではそこまで外国人に満ち溢れている地域は少ないから、摩擦はまだ容認できる程度だから、それで移民容認派の人々は外国人に対して寛容なのかなと思いますがいかがでしょうか。なぜオランダでは、堂々と反移民?を掲げた議員が少ないとは言え(6パーセント?)政治活動をできるほど支持を受けるのか、ヨーロッパの民衆の心の奥底にひそかに隠れている感情や、世情の実態の一端が見えるような気がするのですが。
貴方のエジプトや防衛庁関係者としてのイスラーム系の人々との出会いという体験も 「西南アジア/北アフリカのイスラム教徒の移民は願い下げ」 と言う、貴方の意識に影響しているのでしょうか。それと、もうひとつ、東南アジアのイスラーム、具体的にはインドネシアなどからの移民に対してはどう思われているのでしょうか。
「特定の国を名指しの質問には、僕は危なくて答えらません。僕は一般論を言っただけです!」って逃げるかな?。(笑)
<太田>
インド亜大陸以東のイスラム教は、ヒンズー教等の土着宗教と混淆しており、趣を異にします。これは、私がイスラム教徒たる友人、知人達とのこれまでの交流を通じ、肌で感じたことです。
この非原理主義的イスラム教と原理主義的イスラム教がせめぎあいを続けている舞台がパキスタンです。これは、私がパキスタンの研修旅行の際等に実感したことです。
<ライサ>
–ロシア対アメリカ–
Herald Tribune opinion
RUSSIA AND GEORGIA
Washington’s hypocrisy
By Dmitry Rogozin( Russia’s ambassador to NATO・ He was a leader of the Russian Rodina (Motherland) party in the State Duma and is is reputed as one of major Russian nationalists.)
だそうです、の記事が面白いです。
『グルジアでの平和維持活動において、平和維持の任務をやり過ぎて、「不釣合いな武力」を行使したとして、アメリカ政府はロシアに「悪者」のレッテルを貼り付けようとしている。
サーカシビリは民族主義者である。彼は、深夜、グルジア空軍と砲兵とで眠る町を襲い最初の一時間で、1,500人以上の市民が命を失った。それに加えて、同僚と思っていたグルジア兵はロシアの平和維持部隊隊員10人を撃ち殺した。
ロシア政府は隠れているサーカシビリに電話連絡を試みたし、生き残った平和維持部隊に発砲を禁じていた。しかし我慢の限度を超えた、ロシア軍はツヒンバリとその市民を助ける為に行動を起こした。』
そして、アメリカのロシアに対する、「・・・ロシアは「不釣合いな武力」を行使した・・」、とのブッシュ大統領の侮辱的批判に応じて様々な反論をしています。
長くなるので、掻い摘んで言うと、
『サーカシビリは南オセチアでの人道的大惨事の規模を隠蔽した。
彼が常に言い続けている嘘は、他人に非を擦り付けようとしてのことである。
ロシアの平和維持活動は人道的目標のためである。
ロシア平和維持部隊(グルジア領土に合法的に駐留している。
自国の市民の防衛については、同胞を護るための武力の行使は、伝統的に自衛の一種であると見なされている。
アメリカ合衆国、イギリス、フランス、そしてイスラエルといった国々は、それぞれの国の市民を国境外で護る為に、何度も軍事力を行使してきたではないか。
ザイールで行われた、ベルギー軍空挺部隊員による外国人2,000人の保護、数千人のアメリカ国民を保護するとの名目上行われた、1983年のアメリカ軍によるグレナダ侵攻、1989年のアメリカ軍によるパナマ侵攻、アメリカとその同盟国による、自国の市民が直接的に保護を必要としていない場合に、アメリカが強硬介入した例としてユーゴスラビア、イラク、そしてアフガニスタンへの軍事侵攻もある。
それにも拘らず、誰もアメリカ政府が「不釣合いな軍事力を行使した」ことを非難しなかった。
国際関係の歴史は、市民を保護するという口実乱用で溢れている。
しかし、合法および非合法な武力の行使の客観的基準は
第一、生命への本当の脅威の存在と組織的人権侵害の存在。
第二、その紛争に他の平和的な紛争解決方法の無い場合。
第三、人道的目的のための軍事行動。
第四、事態に比例した行動か、つまり、救済の時期と手段の限定。
等である。
ロシアの行動は、以上の基準に完全に合致しているし、軍事行動において、ロシアの兵士は国際的人道法の条件を厳密に遵守した。
ロシア軍は攻撃に当たって、グルジア領土内の民間の建物や民間人を服従を目的とはしなかった。 』
そして二つの例を挙げています。
『1.
「我らは、残虐行為に反対する。我らは、民族浄化に反対する。避難民の故国への帰郷の権利は保障されるべきである。我らは、殺害、財産の破壊、文化と信仰の殲滅.は許容できないことを確認する。それらのために我らは戦っているのだ。侵略者の爆撃は容赦なく激化するでであろう。」
2.「我らは、全自由主義陣営の国家に我らに加わり、我らの行動が他から制限されないことをアピールします。私は、そのために、どんな行動が必要になろうとも、私の市民の自由と安全を守る決意です。我らの特別部隊は空港や橋・・・空軍とミサイルは基幹的目標を攻撃・・。」
いったい誰がこの言葉を吐いたのか知っていますか。メドベージェフですか。プーチンですか。
いいえ、はじめのは、アメリカ合衆国大統領ビル・クリントンがユーゴスラビアに対するNATOの作戦についてお吐になった事です。
二番目のは、現在ホワイトハウスにお住みにナル方!がイラク進行の際に、お吐になった事です。
これらは、アメリカや、NATO は。蛮行を彼らの望むときに、望む場所でしても良いということで、一方ロシアは、たとえ何千という自国民が射殺されても行使してはいけないと言うことですか。
もしこれが、偽善といわないのなら、偽善とは一体なんなんでしょうか。』
一体全体どうとるべきでしょうね。理屈は分かりますが、なんだか訳しているうちに自分がいつも主張している一方的?理論構成のような気がしてきて、なんだか疲れてしまいます。
結構、翻訳、意訳、「誤訳」って疲れますね。太田さんが原文のままで、投稿するのも分かります。(笑)
<太田>
ご苦労様です。
ライサさん、大学時代に英語をご専攻になったのですか。
なお、私が原文のまま載っけるのは「ディスカッション」シリーズの場合だけですよ。
それはともかく、
>グルジア空軍と砲兵とで眠る町を襲い最初の一時間で、1,500人以上の市民が命を失った。それに加えて、同僚と思っていたグルジア兵はロシアの平和維持部隊隊員10人を撃ち殺した。
の後段は正しいけれど、前段は(グルジア軍がcolateral damage を伴うが故に都市に対しては行うべきでなかった地域制圧用のロケット弾攻撃を行ったことは事実(典拠省略)であるものの、)市民の死者数について著しい誇張があり、デマゴギーに近いことにほぼ間違いないことを私はかねてより指摘しているところです(コラム#2730等)。
他方、ロシア・南オセチア側は、グルジア人住民の居住地域の焼き討ちとこれら住民の追い出しを行うとともに、南オセチア隣接のグルジア本体内で、焼き討ち、強姦、虐殺を行いました(コラム#2725、2727、2729、2730)。
また、ロシアは南オセチアとアブハジアの非グルジア人住民に国籍を付与し、ロシア人を「創り出してきた」こと(コラム#2727、2736)も忘れてはなりません。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
太田述正コラム#2743(2008.8.21)
<グルジア「戦争」の歴史的背景(その1)>
→非公開
皆さんとディスカッション(続x228)
- 公開日: