太田述正コラム#2655(2008.7.8)
<中共体制崩壊の始まり?(続x6)>(2008.8.24公開)
1 始めに
本コラムは、コラム#2645に関連しています。
2 青天症候群
ワシントンポストのコラムニストのポムフレット(John Pomfret)は、中共の人々は、地方は悪玉だけど中共中央は善玉だと思っているところ、実体は中央も地方も同じ穴の狢であるからして、これは青天症候群(“blue sky” syndrome)としか形容のしようがない、と述べています。
青天症候群とは、北宋の官僚であった包●(ほうじょう。●は、手偏に、つくりは「蒸」の字から草冠と下の点点点点をとったもの)(Bao Zheng=包青天=Bao Qingtian。999~1062年)から来ています。
包●は、親孝行であったこと、身を律することが厳格であったこと、不正と腐敗に対して容赦なかったこと、から理想的な清官(qingguan)であると評されました。
そして死後、元代に書かれた公安劇(裁判劇)の6割が包●の名裁判官ぶりを描いたものとなったことを契機として有名人となり、現代においては、包●が公正無私で情け容赦無く悪人を裁き、民衆を助けるというお約束の展開をもつ、勧善懲悪物のTV時代劇『包青天』シリーズにより、漢人圏で諸葛亮や関羽並の人気を博すに至っている人物です。
(以上、
http://newsweek.washingtonpost.com/postglobal/pomfretschina/2008/07/in_china_all_politics_you_can.html、
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8C%85%E6%8B%AF、
http://en.wikipedia.org/wiki/Bao_Qingtian
(7月6日アクセス)による。)(注)
(注)包●についても、日本語版と英語版のウィキペディアでは、質量とも圧倒的に後者が優る。
3 請願規制の愚かさ
しかし、このせっかくの青天症候群をぶちこわしかねない愚行を中共中央が始めています。
500件に1件も目的を達することはできなくても、北京に請願にやってくる人々は引きも切りません。
地方では、裁判所を含め、あらゆるものが地方党幹部の手に握られているため、ほかに方法がないからです。
ところが2週間前、中共中央は地方に対し、五輪準備期間において中共政府が維持しようとしている調和的雰囲気を妨げないよう、問題は地方レベルで解決し、請願を北京にあげさせるな、と指示しました。
(この指示は、あらゆる紛争の兆候を押しつぶそうという努力の一環であり、反体制分子の監視と拘束の強化、問題を引き起こしそうな数千に及ぶ外国人へのビザ交付拒否も同時に行われています。)
(以上、
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2008/07/07/AR2008070702546_pf.html
(7月8日アクセス)による。)
4 終わりに
ただ単に、エクスキューズのための無内容な会談を繰り返しているとしか見えない、中共・チベット亡命政府間の会談(
http://www.twincities.com/national/ci_9803638?source=rss
。7月8日アクセス)もそうですが、このところ、胡錦涛政権の対内外政策は、どこかたがが外れているという感が否めません。
政権内で何かが起こっているのでしょうか。
中共体制崩壊の始まり?(続x6)
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