太田述正コラム#2776(2008.9.7)
<読者によるコラム:正直のご褒美に,「きれいなプーチン」をあげましょう /皆さんとディスカッション(続x240)>
 (これは、読者消印所沢さんによるコラムです。)
http://reishiva.exblog.jp/9259917/
>これまでの経緯や、プーチンの凶暴性から考えて、
>起きるべくして起きたとも言える。
 グルジア・ロシア紛争を扱った記事・ブログの中では,
最低レベルのこれですが,プーチンをして「凶暴」などと
評価しているのは,ここくらいじゃないでしょうか.
 冷静冷酷という評価なら,頻繁に目にしますが.
 もし本当にプーチンが凶暴なら,ベルリンの壁の崩壊
直後,ドレスデンのKGB本部に群衆が殺到した際,
『我々は武装している.不法侵入すれば発砲する』
などと警告せず,有無を言わさず発砲していたでしょう.
 そして高笑いしながらAKを乱射し,
「死んだ暴徒だけが良い暴徒だ」
などと言い放っていたでしょう.
 サンクトペテルブルク市政行政府時代の「バーター・
スキャンダル」では,プーチンを告発したマリーナ・
サリエ食料委員会委員長なんて,その場で射殺ですよ,
もし本当に凶暴ならば.
 当時のプーチンの上司,ソプチャク市長の収賄疑惑を
暴こうとした検事総長ユーリー・スクラートフは,
まどろっこしい,ビデオテープによるスキャンダル
暴露なんてやらずに,柔道技で首の骨をポキリと.
 ソプチャクの対立候補のヤコブレフは,選挙中に大爆発.
 第2次チェチェン紛争なんて起こりようもないですよ.
 ほんとに凶暴なら,モスクワのアパート爆破テロが
起こった時点で即,チェチェンをクラスター爆弾で
じゅうたん爆撃ですよ.
 ロシアがチェチェンを手放さないのは地政学的理由から
であって,住民なんてどうでもいい存在なんですから.
 もしくはサダム・フセインがやったように,化学弾頭の
スカッドをつるべ撃ちですよ.
 グシンスキイも出国すら許されずに,シベリア
行きでしょう.
 ベレゾフスキイなんて,いまだにFSBの拷問部屋で
うめいてるはずですよ.
 ホドルコフスキイもプーチン政権批判を始めた直後に,
精神病院送り.
 森首相(当時)との会談で,森が暑苦しいと思えば,
その場で袈裟固め.
 安倍首相(当時)がいじめられキャラだと思えば,その
場で体落とし.
 ブッシュがアホだと思えば,その場でバナナを口に
突っ込み.
 ……なんだか「凶暴なプーチン」も,それはそれで,
別の意味でファンを集めそうな気がするぞ.
 それどころか,人気が低落するたびに
・太っ腹なプーチン
・キレやすいプーチン
・自信なさげなプーチン
・落ち着きのないプーチン
・松岡修造並みに暑苦しいプーチン
・トラを倒すプーチン
http://jp.reuters.com/article/oddlyEnoughNews/idJPJAPAN-33531420080901
などと次々にキャラ替えをしていけば,千年は人気を
維持できるに違いありません!
 「プーチン千年帝国」にご期待ください!
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<ライサ>
バグってハニー様。
≫・・・結局、移民受け入れによってもたらされる利益がそういうリスクやコストを上回るかどうかを議論しなきゃならんのじゃないですかね。・・・≪(コラム#2774。バグってハニー)
 さすが、と思いますが、別段議論ジャー無いんですね、「・・・抵抗感を覚える・・・」って言っているのです。
 ついでに、一寸気がついたのですが、
≫「・・・日本は世界一治安がいいですから・・・・」≪(同上)
って、本当ですか。
http://ms-t.jp/Statistics/Data/Crimerate2.html
http://ms-t.jp/Statistics/Data/Crimerate.html
http://profiler.hp.infoseek.co.jp/crime_international.htm
殺人
http://en.wikipedia.org/wiki/List_of_countries_by_murder_rate
 統計とは、いずれも各国の警察(司法関係?)の自惚れ的宣伝(俺たちはこんなに貢献してんだぜ!(俺たち自身の予算獲得のために))や国の対外的見栄?方針等(旧共産国陣営?)が入っているのは否めないと思いますし、犯罪の国際統計は、国によって異なる基準を合わせるため、色々基準の違いが生じ、国家間の比較は正確な値ではなく相当誤差が大きいと思います。 一応比較したとして、「治安」とは何か(政治犯・刑法犯・テロ行為・内乱・紛争・戦争・日本で言う、いわゆる軽犯罪的な物や道路交通法違反の悪質な物は含むのか等々)という問題も、また国の大小はどうするか、人口との相対的比較はどうする、とか様々な問題があると思いますよ。
 蛇足ながら、なんで俺を引っ張り出すんだって、怒るかも知れませんが、太田さんは防衛庁時代に予算獲得関係に関わった経験があるような記述をどこかで見たような気がしますが、(記憶違いだったらご免なさい)日本の役所という物は、そこでは、自分達機関の存在価値をアピールするためには、いわゆる手柄を多少大げさに振る舞い、記述し、大蔵(?)官僚はそれを見越して丁々発止の問答を繰り広げ(る・た)のは常識ですよね。
 外国の例は知りませんが、たぶん同じような物だと思います。
http://en.wikipedia.org/wiki/Global_Peace_Index
http://ja.wikipedia.org/wiki/世界平和度指数
 ざっと見ても、貴方の様に「日本は世界一治安がいい」と言い切って良いかどうかは、疑問が残ります。
 日本は世界の国々の中でも、「治安が良い国の中に含まれる」のような言い方を「しなきゃならんのじゃないですかね」。(笑)
<バグってハニー>
「日本は世界一治安がいい」というのは言葉のあやでして。ただ、「治安が良い国の中に含まれる」というのは謙遜しすぎじゃないでしょうか。世界でもトップレベル、最上級と言ってもいいと思いますよ。
 「世界平和度指数」というのは興味深かったです。アイスランドは軍隊もないような小国ですから除外するとして、2008年度で日本より上位なのは北欧二カ国とニュージーランドだけですよね。これは巷間で言われる体感治安とよく合致しているのでは。
 ただ、日本がいったい全体何位なのかというのは私の意見の中では大事ではなくて、私が言いたかったのは、たとえば米国という移民受入国があるのですが、ここはもともと治安が悪いところに欧州や日本など治安のいいところからも移民を受け入れているの対して、日本が移民を受け入れるときには、その移民はほぼ必ず日本よりも治安の悪いところから来ることになります。だから「治安が悪化するような移民受け入れはダメ」というような原則論を振りかざす場合、もはや話し合いの余地などなかろうかと。
 それで、米国では一時期ヒスパニック系が急激に増えまして、私の住んでいる地域でもヒスパニック系住民が10年で4倍に増えたのですが(不法移民は含まず)、ギャングや飲酒運転といった軋轢はあるものの、天地がひっくり返るとか、国が滅ぶとか、そんなことは全くなくて、別になんともなかったです。米国はもともと移民の国なのであまり参考にはならんかもしれないですが。
 太田さんが移民としての受け入れを主張している韓国人、台湾人といった人々は、ヒスパニックと比べて特に柄が悪いということはないので、治安の悪化はそれほど心配しなくてもよいかと。
 次に海驢さん、コラム#2767でのコメントありがとうございます。このピリング記者の意見にはみなさん食いついてますね。
 藤原氏もピリング記者もそして私も角田教授の研究をちゃんと理解できてないと思いますけど、それはあまり重要ではなかろうかと。
 藤原氏が言っているのは、日本人は自然の感受性に優れているから外国人と違って自然を愛でることができる、それどころか、そうすることができるような特別な仕組みが日本人の脳には備わっている、というような自己優越的ないやみ、もっと言えば趣味の悪い選民思想のようなことであって、だからピリング記者はひとことくささずにはいられなかったのではなかろうかと。我々イギリス人の自然に対する感受性だって決して日本人に劣らない、我々イギリス人にだって自然を愛でる習慣などいくらでもある。そんなことが言いたかったのではないでしょうかね。
 ちなみに、今では機能的MRIなど、右脳/左脳よりもっと細かく、何が脳のどこで処理されているか詳しく決めることができるので、やや古くさい手法に頼っている角田教授の発見にはあまりこだわる必要はないと思います。脳の機能イメージングの話は、太田さんに依頼されたSeed誌の記事にも出てきます。神経経済学という比較的新しい学問分野の話で、私は今まで無視してましたけど、太田さん紹介の記事をきっかけにいろいろ読んでみますと非常におもしろそうなことに気づかされました。いつかもっと詳しくお話したいと思っています。
<太田>
 頭の中で私が自分で行った議論を、お二人が外出し・・こんな言葉を使ってしまうのはライサさんの影響か・・で行っていただいたような感じですね。
 お二人に敬意を表します。
<FUKO>
≫慶応大学の欧州経済論の学者のSahoko Kaji(鍛冶か梶か。≪(コラム#2372。太田)
「嘉治 佐保子」です。
http://www.econ.keio.ac.jp/info/staff/kaji/profile/official.htm
 「欧州、とりわけ大陸欧州の経済・社会は、日本のそれと共通する点が多く、むしろ米国に比べると日本に近い面もあります。」と主張しています。
<太田>
 ご教示、ありがとうございました。
 理系が苦手な私には、経済学のPH.Dどころか、MAすらとれないでしょうが、鍛冶教授の、
 「1985年から1988年:アメリカ合衆国 The Johns Hopkins University 経済学部博士課程に留学、1988年から1989年:同国 Yale University 経済学部訪問大学院生、1991年:慶応義塾大学経済学部助教授、1992年:The Johns Hopkins University より Ph.D. in economics 取得」(上記典拠)
というご経歴を拝見すると、Ph.D. 取得に向けて壮絶な努力をされた形跡が見られますね。
 Ph.D論文が、理論的なものではなく、実証的なものだったとすれば、分からないでもありませんが・・。
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太田述正コラム#2777(2008.9.7)
<読者によるコラム:日韓の反目と安全保障(その3)>
→非公開