太田述正コラム#13552(2023.6.18)
<2023.6.17東京オフ会次第(続)>(2023.9.13公開)

B:現在の日本に、歴史オタク、歴女はゴマンといても、実は歴史愛好家じゃあなくって、単に、歴史を題材にしたノンフィクション・フィクション・マンガ的なものも他のジャンルの文字通りのマンガと一緒に愛好するだけの人々ばかりなんだと思う。
B:太田さんのような、平安時代文学の見方をするような人が今までいなかったのはどうしてだろうか。
O:歴史学者にとっては文学って、刺し身の褄的な位置づけが一般的だし、一方、文学研究者は、文学の世界だけを見ている人が大部分だからだろう。
 今回、『更級日記』の作者の母親・・ということは、『蜻蛉日記』の作者の、藤原道綱の母、もそうだが・・が、源満仲の従姉妹であることに気付いた時も、(『源氏物語』の名宛人の1人と『源氏物語』フェチの娘の母親、という)『源氏物語』繋がりだー、とちょっと感動したな。
 何度も指摘しているように、従兄弟/従姉妹って濃厚な交流があるし、平均寿命が短い昔ともなれば、(従兄弟/従姉妹の数も多く、そもそも、事実上の一夫多妻制だったけれど、)なおさらだ。
 だから、この2人が『源氏物語』を貸し借りしたり、『源氏物語』話に花を咲かせたり、なーんて光景を想像してしまうのだ。
 (しかも、貴族や武士の場合、大体は、京、後には江戸、に住まうか拠点がある者が多く、現在よりむしろ相互交流が密だったと想像される。)
A:それにしても、近衛文麿本も梅津美治郎本も、最近新しいのまで出ているというのに、杉山元と来たら、まともな本が一冊も出ていないのはひどい話だ。
O:陸相2回、教育総監2回、そして、参謀総長、という経歴なんだから、(私の言う、杉山構想、なんて持ち出さなくたって、)スゴイ人物であることは明らかだというのに・・。
O:Aさんは結婚しないのか。
A:しない。太田さんは、戦後日本は(縄文人=人間主義者、だけからなるところの、プロト日本文明、化したと言うが、日本の女性は、私の生きて来た間にもどんどん人間主義的観点から劣化してきている。
 そんな人、しかも、太田さんいわく、別の生物、と結婚するなんて地獄だ。
B:私は非婚主義者ではないのでその点はともかくとして、同感だ。
O:結婚しないというのも一つの見識だが、子供は育てて、プロト日本文明もどきを残すのに貢献したらいかが。
A:女性がそんな体たらくなんだから、男性も含めて日本社会は非人間主義化していくだろうから、そんな社会に生きることになる子供がかわいそうだ。
B:確かに、子育てにカネも大いにかかるが、日本社会の非人間主義化ったって、少なくとも現状では、インドの人々や中東の人々に比べると、日本人は格段に人間主義的だ。
 なお、親がそういう地域出身の人々だって、日本で育つと日本人並みに人間主義的になる。
 だから、子供が育った頃の日本だって、そう捨てたものじゃないと思う。
O:日本生れの子供じゃなくてもよく、外国から養子をとったっていいので、ぜひご検討を。
C:太田さんは、洋楽とは無縁だったのか。
O:その通り。(イギリスから独立したばかりの)エジプトで小学校時代を送ったので、実質イギリス育ちだもので・・。
C:日本の太田さんやその一世代後の人々は洋楽世代で、米国のビルボード上位の曲を聞くことにしている人が結構大勢いたものだ。
B:それは、戦前の欧州かぶれの教養主義の戦後版だったのだと思う。
O:(実は、スタンフォード留学時代に、留学生仲間の日本人達が、ほぼ全員洋楽愛好家であることにびっくり仰天したものだ。)
 なお、親爺が私にピアノをやらせたのも、親爺が戦前の教養主義にかぶれた人間だったからだろうな。
 前にも言ったように親爺は晩年は教養主義のメッキが剥げて歌謡曲しか聴かないようになってしまったが、幸か不幸か、この親爺のせいで、私は、クラシック好きで生涯を終えることになりそうだ。

注記:私(O)以外は、特定のアルファベットが特定の人を表しているわけではない。
 また、現在進行形のシリーズで取り上げられている本の著者・・もう一人の太田さん・・についても話題が出たが、シリーズの残りの回で取り上げるので省略した。