太田述正コラム#2747(2008.8.23)
<グルジアで戦争勃発(その8)>(2008.10.2公開)
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<最新状況>
1 ロシア軍「撤退」
ロシア政府は、22日までにロシア軍を撤収させると言明していたところ、22日の2030(現地時間)にゴリのロシア軍が撤退を始め、同日中にこの町からの撤退を完了したため、グルジアの東西を結ぶ幹線道路が9日ぶりに開通しました。
しかし、22日の夜、ブッシュ米大統領とサルコジ仏大統領はどちらも、ロシアの副総参謀長が、2,500人以上のロシア軍を戦車やヘリコプターとともに南オセチアとアブハジア「国境」から8kmのグルジア本体内の「緩衝地帯」に残置させると述べたことを受け、ロシアが停戦協定を遵守していないと批判しました。
(以上、
http://www.guardian.co.uk/world/2008/aug/23/georgia.russia
(8月23日アクセス)による。)
2 ロシア軍がグルジア本体にとどまっている理由
ロシア軍がグルジア本体にとどまっているのは、グルジア政府の権威を貶め、サカシヴィリ大統領を失脚させるのがねらいだと考えられています。
しかし、これまでのところ、これはグルジア国民をサカシヴィリ政権の周りに結集させるという逆効果しか生んでいません。
ただし、ロシア軍「占領」下のグルジア人の中には、ロシア軍に媚びへつらう人々も出てきています。
(以上、
http://www.time.com/time/world/article/0,8599,1834951,00.html
(8月23日アクセス)による。)
3 ロシア軍の練度
グルジアに侵攻したロシア軍は、戦車は古く、空爆は不正確、のろまな戦術でしかも上からの指示でしか動かない、と各国のグルジア駐在武官から酷評されており、ゴリ地区の司令官を自称しているロシア軍少将は、太り気味であり、TVインタビューを受ける時でさえ酒の臭いをさせている、という始末です。
しかし、そんなロシア軍でもグルジア軍を潰走させることができたわけであり、ソ連時代と違って志願制となったロシア軍がそれなりに機能していることは間違いありません。
(以上、
http://www.nytimes.com/2008/08/23/world/europe/23georgia.html?ref=world&pagewanted=print
(8月23日アクセス)による。)
4 グルジア及びロシア側による一般住民の殺害
ロシア検察庁は、グルジア軍によって南オセチアの133人の一般住民が殺害されたとして、捜査を始めたと発表しました。
グラッド(Grad)と称される走輪多連装ロケット・ランチャーやクラスター爆弾は無差別殺傷兵器であり、グルジア軍がこれらを利用したのは問題だというのです。
もっとも、ロシアはそれまで1,500人以上の一般住民が殺害されたとしていたので、数を大幅に下方修正したことになります。
(以上、
http://news.bbc.co.uk/2/hi/europe/7572969.stm
(8月22日アクセス)による。)
一方、グルジア政府は、19日の時点で、今次グルジア「戦争」により、215人のグルジア人が死亡(そのうち69人は一般住民)し、70人の兵士が行方不明になっている、と述べています(
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2008/08/19/AR2008081902895_pf.html
。8月22日アクセス)。
5 罠にはまったグルジア
フランス政府高官が、グルジアは用意周到にしかけられたロシアの罠にはまったのであり、サカシヴィリは国家元首として信じられない判断ミスを冒した、と言明しています(
http://www.nytimes.com/2008/08/21/world/europe/21france.html?ref=world&pagewanted=print
。8月22日アクセス)。
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(続く)
グルジアで戦争勃発(その8)
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カフカスでロシアが今やっていることは、17世紀から18世紀にかけてロシアの手先だったウクライナ系コサックがやった居座り屯田作戦の焼き直しですね。w
いったん居座ると始末が悪いロシア熊、満州や朝鮮に居座りかけた露助を大変な思いをしてどかした日本。
いまや露助の介入の口実がロシア系市民の保護だそうで、北海道もロシア系市民の侵入を防がねば乗っ取られるかも。w