太田述正コラム#2837(2008.10.8)
<皆さんとディスカッション(続x269)>
<amida>
人権擁護法案について、太田先生はどのような御認識でおられますか。民主党も同じような法案を検討しているようですが、危険視する保守派に対してどのように見ていらっしゃるか、お聞かせ願えれば。
 ついでに、中山成彬元大臣の日教組、自治労批判についても、ご意見お聞かせください。
<太田>
 人権擁護法案については、コラム#2316、2409で、ノーコメントという「お答え」をしています。
 中山氏の日教組、自治労批判については、既にさんざん私見を(コラム#2815、2817、2819、2821、2823で)述べてきたところですが、無理矢理つけ加えれば、「・・・「ねじれ国会に悩まされている自民党にとって、ライバルの民主党が多数を占める参議院は、目の敵。なかでも、民主参院会長の輿石東こそ、ぶっ潰したいターゲットなんです。なぜって? かれこそは日教組出身のまさに日教組族ですから」(自民党文教族)・・・」(
http://news.livedoor.com/article/detail/3849411/
。10月7日アクセス)という「分析」は面白いですね。
 話変わるけど、そんな自民党の最後の切り札、麻生首相が秘書官を5人から6人に増やし、初めて総務省からも秘書官を起用した(
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20081006-OYT1T00583.htm
。10月7日アクセス)というのですが、政府のトップの所に防衛省(国防省)からの秘書官ないし副官がいないという日本の異常さ・・属国としては当たり前だが・・が一層際だちましたね。
<コバ>
英国政府は、テロや犯罪対策のために国民の全ての通信をライブで監視するプロジェクト(Interception Modernisation Programme)を実施するようです(
http://www.web-tab.jp/article/4552
)。
 記事に信憑性がどれだけあるかわかりませんが、テレビで見るかぎり、英国では街中に数え切れないほど監視カメラがあったり、金属探知機を街中に設置してナイフ所持者を減らそうなんて案があるというニュースも見た覚えがあります。
 エシュロンとか金盾とか、あまりよくわかりませんが、やはり未来の世界は何もかも監視される社会の到来なのでしょうか?
 日本もうすでに監視社会になってるのかもしれませんが…。
<太田>
 「英国民すべてのインターネット閲覧、電子メール送受信、通話の記録を保存・監視するためのデータベースが構築される?―英政府はプロジェクト実施のため、最高で120億ポンド(約2兆2000億円)の予算をつぎ込む予定だという。英紙サンデー・タイムズが伝えた。「Interception Modernisation Programme(通信傍受を“現代化”するプログラムの意)」と名付けられたプロジェクトは、テロ行為や増加傾向にある犯罪を防ぐのが目的とされる。英政府はプロジェクトを担当する政府通信本部(GCHQ)に対し、「第1段階」用の予算として、すでに10億ポンド(約1800億円)を割り当てているという。・・・」(
http://www.web-tab.jp/article/4552
。10月8日アクセス)というわけですか。
 こいつは面白い。
 情報提供ありがとうございました。
 海外における(海外との)通信を監視するエシュロンが、内からのテロリストの脅威や通信幹線、とりわけインターネット幹線で米国を経由しないものが増えてきたこと(典拠省略)が、各国内における通信監視システムの構築を必要とした、ということなのかもしれません。
 このあたり、どなたかもっと調べてくれないかなあ。
 いいか悪いかは別として、日本には全くご縁のない世界ですね。
 コバさん、ご懸念には及びませんよ。
 なお、どうでもいいけど、1988年に英国の国防大学(Royal College of Defence Studies)に「留学」した時、GCHQからもスタッフが一名「学生」で来てました。
<読者UI>
 殆ど投稿しない読者ですが、読者意見の取り扱いについて書かせてもらいます。
 匿名の意見を受け入れていれば、何時は収拾のつかない情況となるでしょう。
 本メルマの影響力が大きくなるにつれ、怪しい輩がプロパガンダとして利用することは、他のブログでも多く見られます。本メルマガも、現在そうなりつつあるのかもしれませんが。
 KS(有料会員)氏の、「質問・意見する人はアイデンティティーを明かすこと」と言う意見は至極まっとうな事だと思います。
 「ハンドルネームは認める」ものとしても、主宰者に対してはアイデンティティーを明かした上で、投稿してもらうことが良いと思います。
<太田>
 たとえ「ハンドルネームを一切認めない」ことにしたとしても、なお問題は解消しないくらいインターネットの闇は深い、と前回申し上げたところです。
 (これに関連し、既にインターネット上で発表したコラムがベースになっているとしても、共著と単独著の形で私の主張が活字になって出版される意義は大きい、と改めて思います。)
<読者UI>
 ご注意したいのは、書かれているアイデンティティーが正しいのかどうかです。簡単に嘘のアイデンティティーがまかり通るようでは意味が有りません。
 ネットオークションを多数経験してきた私のノウハウは、その本人が存在するのかどうかの確認方法は、名前と住所と連絡先となります。重要なのは、この連絡先電話番号が携帯電話番号では本人の存在の認証は出ません。
 必ず固定電話番号を提示してもらうことです。携帯も併記も必要。
 このことからは、KS(有料会員)氏の書かれた、アイデンティティーの連絡先電話番号の記載例が090-となっていたのは適格とは言えませんね。有料会員との事なので悪意は無いと思いますが、うがった見方をすれば、先手の「抜け道」作りと思われかねません。
 防衛畑出身なので抜かりは無いとは思いますが、敢えて書かせてもらいました。
<太田>
 以上については、一般論として大変参考になりました。
 ところで、今年の「ノーベル物理学賞、素粒子研究の日本人3氏に」というのが朝日の見出しです(
http://www.asahi.com/science/update/1007/TKY200810070297.html
。10月8日アクセス)ですが、南部陽一郎氏は、1956年に渡米し、1960年、シカゴ大学教授の時に、今回の受賞の対象となった「自発的対称性の破れ」理論を提唱し、しかも1970年には米国籍を取得している(
http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20081007-OHT1T00233.htm
。10月8日アクセス)ので、米国人と言うべきでしょう。
 もっとも、「日本人2氏」(いずれも名古屋大学卒で同大学で博士号を取得(読売上掲))だとしても、おめでたいことです。
 ノーベル文学賞の発表も待たれますね。
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太田述正コラム#2838(2008.10.8)
<ロアルド・ダールの半生(その1)>
→非公開