太田述正コラム#2893(2008.11.5)
<皆さんとディスカッション(続x297)>
<michisuzu>
「そりゃ、日本の民主党の代表が小沢一郎なんですから。
太田氏:「米国があんた(小沢一郎)の数々の超弩級醜聞を独自に調べ上げ、あんたを脅迫した可能性が大だと思っている。これに加えて山田洋行の話もあったということだろう。これはたまらんと恐惶を来したあんたは自民党に泣きついて大連立話を持ちかけ、給油反対を取り下げる名分を得た上で、民主党代表の地位にとどまる、という一縷の可能性にかけた、と私はふんでいるんだ。どこまで行っても、小汚い野郎だ。」(小沢辞任:コラム#2159(2007.11.4) )」(コラム#2891)
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これって私が頭の中で一人で妄想していた筋書きとあまりに同じなのでびっくりしました。
私はアメリカが田中角栄のロッキードとほぼ同じ構図の小沢山田洋行ラインを綿密に調べ上げてあまり米国に逆らうと《田中角栄と同じように逮捕されるぜって!》脅したのだ思っています。
そうでもないと、あの時期に福田さんに小沢さんが擦り寄る意味が見えません。
私は基本的に民主党を支持したアンチ自民ですが、最近思うことは、なんだか政策がむちゃくちゃ似てきて実質的にはもう自民と民主は合併しているように思えるのです。
私は民主党には消費税を今後も絶対上げずに徹底的に行財政改革、天下り廃止、随意契約の撤廃などをを断行してほしいと思うのですが。
なんだか民主党になってもほとんど自民党と変わりない政策を打ちそうで多少がっかりしています。
消費税を上げないという選択肢は本当に不可能なのでしょうか?
<太田>
不可能です。
いつ上げるか、というタイミングの問題だけです。
法人税にしても所得税にしても、グローバル化した時代に、日本だけ他の先進諸国とかけ離れた税率や累進度にするわけにはいきませんし、そもそも、日本の国債残高の対GDP比は先進諸国随一の高さであり、老齢化し人口が減少した日本の将来世代に、硬直化した財政と莫大な借金というツケを残すわけには行かないからです。
こういう話、ご自分でネットで調べてごらんなさい。
あなたは大変いい感覚をお持ちなのだから、もう少し、ネットで念入りに調べた上で、典拠付きで投稿するように心がけられたら良いのですがね・・。
<amida>
職を賭してやったものではなく、単なる懸賞論文に投稿し、最優秀賞に選ばれただけではないですか。
皆さん、もっと冷静に議論をする必要があります。具体的に田母神論文のどこがおかしいのか私にはわからない。学術論文を書いたわけでもなく、巷間に流通しているひどく歪曲された「歴史認識」に対して、一矢報いようと投稿しただけなのではないか。本人も確信犯ではなかったと言っておられると聞きます。
懸賞論文を募集した会社の社長さんの経歴思想的な傾向から見ると、この業界では普通の論旨であったと思います。 自衛隊のトップはどんなに日本や軍人を無責任に貶める誤った妄想幻想が国中に普及し害毒を流し続けていても、それに対して事実はこうだよ、と発言することさえできないこんな国はおかしいと思います。憲法擁護義務を主張するなら、言論の自由もまた憲法の最高の権利として規定されていることを主張し擁護するべきではないでしょうか。
大体この国際法違反の「日本国憲法」がいまだに存在していること自体が詐欺師に騙され続けている日本人の哀れな姿を彷彿させる恥ずべき現実ではないでしょうか。
太田先生の意見も、日ごろの冷静さを欠く、極めて感情的なのは、やはり選挙目当てなのではないか、と邪推してしまいます。政権交代する気があるなら、中山大臣の日教組批判のどこがおかしい議論なのか、田母神論文のどこがどう間違っているのか、具体的な議論を展開され、加えて日教組や自治労に牛耳られている民主党の革命的な現状をただす必要があるのではないでしょうか。
政官業の癒着も、こんな無責任で感情的な人民裁判にしかつながらない革命運動のしっぽを引きずっている野党から我が国を守るのためには、やはり大目に見るべき必要悪なのだな、とかえって納得できました。ご意見をお聞きしたいものです。
<太田>
小沢批判も執拗に続けている私のどこが、(盲目的な民主党乗りの(?))選挙目当てなのか、こちらからお尋ねしたいところですね。
私の2度にわたる田母神氏批判でまだ、ご納得いただけないとは残念ですが、もう一度簡単に整理しましょう。
まず第一に、田母神氏がKYであるという点です。
(私は政府が歴史について公定解釈を打ち出すこと自体に反対ですが、その点はさておき、)政府見解に反する歴史解釈を、行政官で言えば本省局長クラスの政府高官である航空幕僚長が公に(、しかもディスクレーマーさえつけずに)述べることは、職を賭することになる、というのは・・これまた好ましくないことですが・・常識です。実際、彼は幕僚長の職を即座に解かれてしまいました。
自分の歴史解釈を述べるために意識的に職を賭したとしても、職を賭す自覚がなかったとしても、どちらにせよ、田母神氏はひどいKYです。
こういうKY高級幹部自衛官出現の芽をあらかじめ摘むためにも、自衛官幹部を内局で課長や局長として勤務させて政策決定に関与させ、国会答弁の場にも立たせることで、彼らに political correctness 感覚を身につけてもらう必要があるのです。
ところが、田母神氏は、呆れるほどのKYぶりを世間に晒してしまい、ために、自衛官幹部の内局での上述のような形の勤務の実現を阻害する虞れが出てきました。
その責任は重大です。
(自分の歴史解釈を述べるために意識的に職を賭したとしても、やはり田母神氏はKYであると言うのは、「自衛隊は領域の警備も出来ない、集団的自衛権も行使出来ない、武器の使用も極めて制約が多い、また攻撃的兵器の保有も禁止されている。」(
http://www.apa.co.jp/book_report/images/2008jyusyou_saiyuusyu.pdf
)ことと、日本人の歴史認識とは直接何の関係もないのであって、彼は、単に自分の趣味としての歴史解釈を公にするために職を賭したことになるからだ。
というのは、領域警備任務を自衛隊に付与するための法律改正だって、(領域警備には前向きの)公明党さえ丸め込めば衆議院で3分の2の多数で再可決して通せたはずだし、その上で、集団的自衛権の政府解釈を、公明党を切り捨ててでも閣議で変更することだって不可能ではなかったはずだが、自民党は結局何もやらなかった。なお、攻撃的兵器の保有の禁止なんて、戦略核と本格空母保有の禁止だけの話だから、当分の間、考える必要のないことだ。要するに、吉田ドクトリンに毒された自民党が、結党以来、一貫してやる気がないだけのことなのだ。)
第二に、田母神氏が与えられた権限に伴う責任を果たすことを怠ってきたという点です。
私がこれまで、防衛省批判をする際、旧防衛施設庁についてもそうでしたが、陸海空自衛隊をほとんど批判してこなかったのは、内局、具体的には内局キャリア官僚により大きな権限と責任があるからです。
しかし、その上層部を内局キャリアが占めていたところの旧防衛施設庁以上に、陸海空自衛隊、具体的にはその上級幹部にだってかなりの権限が与えられているのであって、その権限には当然ながら責任が伴います。
私は、かねてから、陸海空自衛隊の腐敗・堕落も内局に優るとも劣らないものがあると認識しており、とりわけ航空自衛隊については、パワハラの横行と業者との癒着が甚だしいと指摘しているところ、田母神氏が、かつての航空幕僚監部装備部長時代や、最近の航空総隊司令官や航空幕僚長時代に、これらの問題に真剣に取り組み、必要に応じて内局や自民党に働きかけた、といった話は全く聞こえてきません。
つまり、これまで彼は自分の権限に伴う責任を十分果たしてきていないにもかかわらず、極東裁判史観で「マインドコントロール」され、「誤った」歴史認識を植え付けられているとして、一般の日本国民にその覚醒を呼びかけたわけであり、全くお呼びじゃないよ、一体何を考えているのか、自らを省みて物を言え、ということです。
これでもまだ、ご納得いただけませんか?
反論がおありなら承りましょう。
最後に、面白かった記事の紹介です。
米ネバダ州の公認売春宿も、米国の不況のあおりを食って、軒並み稼ぎが大幅にダウンしているそうです。
関係ないけど、記事に登場する売春婦がいずれも年をくっているのにびっくりしました。
http://www.latimes.com/news/nationworld/nation/la-na-brothel4-2008nov04,0,5110978,print.story
(11月4日アクセス)
オバマのおばあさん(白人)が亡くなりました。
昔の二人のツーショットのとても良い写真が↓に載っていますよ。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/americas/7707497.stm
(同上)
皆さんとディスカッション(続x297)
- 公開日:
>田母神氏の戦前についての歴史認識は、9割方、私の認識と一致している。
とのことですが、論文の核心部分である「侵略国家であったか」という点に関しても、一致しているのでしょうか?
「侵略国家」の定義は分かりませんが、仮に、「日本が侵略を行ったか」と言い換えれば、先の大戦は侵略だったのではないでしょうか。
戦後にできたものではありますが、「侵略の定義に関する決議」に照らしても、武力行使に対する反撃(=自衛戦争)でない以上は、侵略戦争だといえます。
辞書的な意味であっても、他国に侵入してその領土を奪い取っている以上、侵略だといえます。
たとえ追い込められて、自存自衛のために開戦したのであっても、アジア諸国を解放するためであっても、当時は一般的な行動だったとしても、侵略は侵略に変わりはないと思います。
田母神論文では、
もし日本が侵略国家であったというのならば、当時の列強といわれる国で侵略国家でなかった国はどこかと問いたい。・・・・・・日本だけが侵略国家だといわれる筋合いもない。
とありますが、
「当時の列強といわれる国で侵略国家でなかった国は無い」
「列強と同じく、日本“も”侵略国家だ」
ということではないでしょうか。
田母神氏のいうように「条約があったから侵略ではない」という理屈が通るなら、チベットへの人民解放軍の侵略も「条約があるから」という理由で正当化されそうですし、「追い込まれて開戦したから侵略ではない」のであれば、今経済制裁で圧力をかけられている北朝鮮が、ついに軍隊を日本に派遣してきても「追い込まれたから」という理由で正当化されそうです。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20081104/176177/
KY空幕長の国益空爆
不用意な情報発信は危機管理意識の死角から
* 2008年11月5日 水曜日
* 伊東 乾
どうぞご一読ください。
消費税を上げるのが当たり前という太田先生のお言葉に若干の失望を禁じえません。
現在の法制度を根本的に再構築すれば可能だと私は思っています。
個人資産の相続税を99パーセントにしても無理ですか?
たとえばそのくらいの思い切った政策をも含めて議論してはと思っています。
格差社会といいつつ相続税にはアンタッチャブルでは掛け声倒れとしか私には映りません。
結局ほとんどの人が消費税ありきの発想しかしていないのではないでしょうか?
ここまで格差が広がって所得格差が教育格差に繋がり、親からの相続にプラス職業の選択権まで格差があればもう日本は永遠に格差はなくならないのではないでしょうか?
戦後の日本の復興の重要な部分に財閥の解体が大きかったと私は見ています。
もう少し大きなチェンジを日本に起こして欲しいと思います。
太田先生でも無理かなあ?