太田述正コラム#13948(2024.1.3)
<映画評論111:猫侍 南の島へ行く>(2024.3.30公開)

1 始めに

 今度は、「映画『猫侍 南の島へ行く』(ねこざむらい みなみのしまへいく)は、2015年9月5日公開。台湾では7月31日に「猫侍2 南島大冒険」のタイトルで先行公開された。・・・
 監督 渡辺武 脚本 北村一輝、永森裕二、黒木久勝、池谷雅夫 原案 北村一輝 製作総指揮 吉田尚剛 出演者 北村一輝 LiLiCo」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%8C%AB%E4%BE%8D
という映画です。

2 本題

 北村一輝(1969年~)のワンマンショーのような映画であるわけですが、彼が、「母方の祖父母は沖縄出身。幼少期より映画好きで、中でも深作欣二監督の『蒲田行進曲』に衝撃を受ける。タイロン・パワー主演の『海の征服者』を観て海賊に憧れを抱き、「海賊になるため」に商船高専(当時は、航海学科、機関学科の2学科、修業年限は5年6か月〈練習船実習1年含む〉)に進学。しかし、「海賊になれない」ことに気がついたため3年で中退し、「役の上ならどのような人間にもなれる。海賊にもなれる」から役者を志す。商船高専に通っていたため一級小型船舶操縦士免許を所持している。19歳の時に上京。事務所やオーデションを片っ端から受けるもエキストラばかりであった。自らを売り込むために本人とマネージャーの一人二役をこなしていた時期もあったが知名度は上がらず、失意のうちに一度廃業する。オーストラリア、南アメリカ、東南アジアなど、およそ4年間海外で放浪生活をしたが、「これでは逃げ出したままで終わってしまう」と思い直し帰国。俳優活動を再開し<た>」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8C%97%E6%9D%91%E4%B8%80%E8%BC%9D
という、痛快な経歴の持ち主であることを始めて知りました。
 しかし、残念ながら、これは、古臭い言葉ですが、国辱もののナンセンス度が過ぎる愚映画です。
 (台湾での「反響」が分かりませんでしたが、)両極端に分かれつつも、この映画に星5つをつける人もいる
https://eiga.com/movie/81788/
ことに絶句しました。
 脳死日本を象徴するような迷画、で決まりでしょう。
 なお、監督の渡辺武氏が、この映画を手掛けてからそれほど時間が経っていない2019年に53歳で亡くなっていた
https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2019/05/18/kiji/20190518s00041000301000c.html
ことを知りました。
 袖すり合うご縁に過ぎないけれど、ご冥福を祈ります。
 下掲で彼の全30作品が紹介されており、最高評価の映画でC評価で、この映画は2つ星チョイで16位のE評価となっていて、この監督としては中くらいの評価の作品
https://cinema-rank.net/list/53426
ということになります。
 ところが、Amazon Primeでは、星4つの評価だったのですから、これにも呆れ返りました。