太田述正コラム#13950(2024.1.4)
<映画評論112:シルバー 夢の扉>(2024.3.31公開)
1 始めに
今度のは、’Silver and the Book of Dreams is a 2023 German drama film directed by Helena Hufnagel and starring Jana McKinnon, Riva Krymalowski, Rhys Mannion and Chaneil Kular. The screenplay is based on the novel series of Silver – The Trilogy of Dreams by Kerstin Gier.・・・
Original language German, English’
https://de.wikipedia.org/wiki/Silber_und_das_Buch_der_Tr%C3%A4ume ←をGoogle英訳
で、ストーリーは下掲に載っています。↓
https://ameblo.jp/asukagirara/entry-12832654418.html
2 本題
ドイツ人が主役で、さすがにドイツ語だけではなく英語も用いられるのだけれど、舞台はロンドンで、ストーリーがややこしいファンタジーだったので既視感があったところ、原作者が、『タイムトラベラーの系譜』シリーズと同じ、ケルスティン・ギアであることを後で知って、やっぱりな、と思いました。
『『タイムトラベラーの系譜』シリーズは、タイトル通りのタイムトラベルものであるのに対し、今度の映画は夢ものであり、『The Story of my Wife』もそうでしたが、タイムトラベルものは親殺しのパラドックス
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A6%AA%E6%AE%BA%E3%81%97%E3%81%AE%E3%83%91%E3%83%A9%E3%83%89%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9
といったパラドックスを回避しなければならないという制約があるのに対し、夢には何の制約もない、という違いがあるところ、ストーリーに制約がなければないほど、映画のような時間的に限られた媒体に適合的なストーリーをでっち上げることが容易ではない、という印象を受けます。
例えば、成功したタイムトラベルものは、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%90%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%83%88%E3%82%A5%E3%83%BB%E3%82%B6%E3%83%BB%E3%83%95%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%BC
と、『ターミネーター』シリーズ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%9F%E3%83%8D%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%BA
、の2つくらいはすぐ出てくるけれど、夢ものは、鑑賞したばかりの『The Story of my Wife』くらいしか思い浮かびません。
それにしても、現代ドイツ映画の英語オブセッション、や、イギリス(就中ロンドン)への執着ぶり、は常軌を逸しています。
こんな、自信のなさ、コンプレックス、丸出しぶりでは、イギリス発の『ハリー・ポッター』シリーズ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%9D%E3%83%83%E3%82%BF%E3%83%BC_(%E6%98%A0%E7%94%BB%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%BA)
や、『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%BB%E3%82%AA%E3%83%96%E3%83%BB%E3%82%B6%E3%83%BB%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%B0_(%E6%98%A0%E7%94%BB%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%BA)
といった名作ファンタジー映画群の足元にも及ばないまま推移すること、必定です。