太田述正コラム#2960(2008.12.8)
<皆さんとディスカッション(続x329)>
<コバ>
インドのシン首相が、先週訪印したマケイン上院議員に、同時テロをめぐってパキスタンが容疑者引き渡しなどインド政府の要求を受け入れない場合、パキスタンを空爆する可能性もあると伝えたそうです(
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081207-00000065-jij-int
)。
世界情勢音痴で、鈍感な身としては、狂信的なイスラム原理主義によるテロが国家同士をこれほど対立させるのかと空恐ろしくなりました。
オウム事件以来、日本の危機管理体制がこういったテロを察知出来るようになっているのかどうか、やはりまずは米国から独立しないとどうしようもないのでしょうが…。
<太田>
今度のムンバイのテロを計画し、実行させたイスラム過激派組織も、インドも米国も、そしてパキスタンも、熾烈な心理戦争をそれぞれ戦っていると見るべきです。
いくら蚊帳の外だと言っても、日本人の我々は、彼らの言っていることをいちいち額面通り受け取らないくらいの用心深さを忘れてはなりますまい。
<moshika>
「国民の多数は美智子様と比較してしまうのでしょうね。私が関心があるのは、どうして雅子様がこうなっちゃったかです。」(コラム#2946)
「朝生」に出演されていた精神科医の香山リカ氏も「ディスチミアの根本的な原因<は>「幼少時から親に過保護に育てられ、自分らしさを抑圧されてきた『いい子』の自己コミュニケーション障害」
http://sankei.jp.msn.com/life/body/081129/bdy0811290748000-n1.htm
に沿ったような意見で、
「これはね、雅子さまだから病気になったと私は思わないんですよね。雅子さまは戦後の民主主義教育をうけ、男女平対等という考えを叩き込まれて、完璧主義で努力家で、それがいけなかった・・・」
というと、西尾幹二氏は紀子様に失礼と呼応されたようです。
http://blog.livedoor.jp/fanny_valentine/archives/51121346.html (中段あたり)
紀子様が上手くいっている(?)ことを踏まえると、雅子様については小和田家の養育の問題でしょうか?ネット上では小和田家は評判が悪いですね。陰謀論のようなものも散見されますが・・
ただ、美智子様も相当なご苦労されたことを考えれば、大なり小なり日本の伝統的な皇室は「普通でいられる人のほうが珍しい」環境であると言えそうです。そうした環境が継続するためには天皇陛下や皇后の「個人」の努力に依っているところが大きいのでしょうね。(コラム#1668)
「個人」の努力を緩和させるように日本の政治も英国のように行動して欲しいものです。(太田コラム2812)継承問題も一段落つき、皇室については議論すらされてないのでは?
<太田>
紀子様の場合は、ほぼ純粋な相思相愛の恋愛結婚ですし、相手は次男坊であるという気楽さもあったでしょうから、もともとプレッシャーは小さかったのでは。
<moshika>
オバマ大統領が日系人のシンセキ氏を史上2人目の閣僚(退役軍人長官)に指名したようです。個人的にはシンセキ氏の御祖父の代の出身地に親近感がわきます。
http://sankei.jp.msn.com/world/america/081207/amr0812071819003-n1.htm
オバマ氏の真珠湾攻撃67周年記念日の会見(テーマ「国家に奉仕した人たちの貢献」)には注目したいと思います。
http://sankei.jp.msn.com/world/america/081206/amr0812061228014-n1.htm
それにしても、アメリカが羨ましいと思う今日この頃です。オバマが将来どのように評価されるかは分かりませんが、少なくともアメリカ人自身で選択しているからです。
世論調査からすると日本人も選択を求めているはずなのですが。
http://mainichi.jp/select/today/news/20081208k0000m010073000c.html
http://www.asahi.com/politics/update/1207/TKY200812070149.html
<太田>
シンセキ氏の登用は、英米でも大きく報じられています。
ガーディアンは、シンセキ氏が、日系米国人、いやアジア系米国人として、米国で大将になった初めての人物であるとした上で、オバマ次期大統領は、あえて真珠湾記念日にシンセキ氏の登用を発表したのだろうと記しています。
http://www.guardian.co.uk/world/2008/dec/08/barack-obama-george-bush-iraq-war
(12月8日アクセス。以下同じ)
ワシントンポストは、トクダネ的に、
In a 12-page private letter he wrote to Rumsfeld in June 2003 just before stepping down as chief of staff, Shinseki said: “People are central to everything we do in the Army. Institutions don’t transform, people do. Platforms and organizations don’t defend the nation, people do. . . . Without people in the equation, readiness and transformation are little more than academic exercises.” The letter was never publicly released; The Washington Post obtained a copy this August.
と記しています。
ちなみに、退役軍人省(Department of Veterans Affairs)は、職員が24万人もおり、国防省に次ぐ、人員数の大きな省です。
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2008/12/07/AR2008120701487_pf.html
ロサンゼルスタイムスの記事も、上記2紙と大同小異であり、シンセキ氏が、ラムズフェルト国防長官やウォルフォヴィッツ副長官の方針に反する議会証言を行ったために解職されたと指摘した上で、今回の登用が各方面から絶賛されている、と記しています。
http://www.latimes.com/news/nationworld/washingtondc/la-na-va-shinseki8-2008dec08,0,6338737,print.story
考えてみると、シンセキ氏と田母神氏の解職は、前者はシビリアンの上司がアホ、後者はご本人がアホ、という違いがあって好対照ですね。
<michisuzu>
突然ですが、以前からの疑問です。
太田様の話を読ませて頂いているとひとつ疑問がふつふつと彷彿します。
太田様は実は自民党支持者ではないのでしょうか?
ほとんどの貴殿の説は民主党のそれとはかなり大きく違っていると思えるのですが?
正直政策的には自民党で選挙に出られたほうがベターではないでしょうか?
<太田>
これは異なことをうけたまわる。
私のいかなる説が自民党の説(政策)と一致し、民主党の説とは大きく違うのでしょうか。
具体例を挙げてみてください。
<遠江人>
–『武士道サンキュー』 旧海軍艦長が救助の英国人–
「武士道の精神を示してくれてありがとう」。第二次世界大戦で乗艦が撃沈され、一日漂流した後、旧日本海軍の駆逐艦「雷(いかずち)」に救助された元英国海軍中尉のサムエル・フォールさん(89)が七日、救助を指示した当時の雷艦長・故工藤俊作さん(一九七九年没)の墓がある埼玉県川口市の薬林寺を訪れ、墓前に花を供えた。
フォールさんによると、旧日本軍と連合国艦隊は一九四二年、インドネシアのスラバヤ沖で対峙(たいじ)。乗っていた駆逐艦「エンカウンター」は撃沈され、百六十三人が救助された。他の船も合わせると、救助された英国兵は四百二十二人に上るという。
「皆さんは帝国海軍の名誉ある客人です。勇敢に戦った英国海軍に敬意を表します」。艦上で工藤さんは、こう話した。
終戦後、丁重に扱われたことを英国紙に寄稿するなどして、工藤さんの功績をたたえた。一方で工藤さんの消息を求め、二十年ほど前に他界していたと知る。あきらめきれず、五年前に来日して墓所を捜したが、分からないまま帰国。その後、墓所が判明し、再来日した。
墓前に立ち「サンキュー」と心の中で唱えた。六十六年間抱き続けてきた感謝の念がようやく伝えられた。
東京新聞:
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2008120802000086.html
過去のコラムで、太田さんが英国人から直接第二次大戦の恨み節を聞かされた話や捕虜の扱いのこと等があり、当時の英国の元軍人達は日本を恨んでいるという向きが多いと思われる中、こういう方もいるんですね。
<太田>
「太平洋戦争中に日本が占領した南太平洋の環礁ナウル・・・1920年にオーストラリア、ニュージーランド、英国を施政国 とする国際連盟の委任統治領・・・で一九四三年七月、旧日本海軍の警備隊が現地のハンセン病患者三十九人をボートで海上に連れ出し、砲撃や銃撃を加え虐殺していた・・・」
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2008120702000075.html
(12月7日アクセス)
といったことも日本海軍はやらかしてますからねえ。
<D.D.>(http://210.165.9.64/d_d-/e/9f0fe96461db80059da888fbe4ae9930)
「関東大震災が起きればチャンス」発言で,温厚な日本でまさかの県庁前デモ が起こるほど世間の顰蹙を買った井戸敏三・兵庫県知事。発言早々ネットでマジキチと叩かれまくったみたいですが,その後の知事の対応を見てると,言葉尻と か言葉が一人歩きしてるってより,あれが本人の人間性そのものを示しているようです。
・・・
前は何やってたの?
兵庫県副知事で,その前は自治大臣官房審議官。
「高級官僚はプライドやエリート意識ばかり高くて一般人としての良識がない」というイメージを上書きしてくれる名キャラがまた1人誕生です。
以前,『たかじんのそこまで言って委員会』で防衛省・守屋武昌前次官の収賄問題が取り上げられたときにゲスト出演した,守屋氏と同期の元防衛官僚で民主党から参院選(比例区)出馬もした太田述正氏の態度も衝撃的でしたけどね…。
「他の省庁でも当たり前にあるのになぜ防衛省の この件くらいで騒ぐのか」とヘラヘラ笑いながら人を食った発言に終止,出演者のコメントや質問にフォッフォッと笑い見下すような態度で回答。
原口一博議員や宮崎哲弥さんが「この人頭良すぎる」とフォロー入れてましたけど,その腐った組織にメスを入れるために出馬したんじゃなくて,単に守屋に組織内抗争で負けたからだけじゃないかと心底思いましたもん。
まだ昭和の頃でしたが,アウシュビッツの強制収容所跡の博物館で,日本人は顔をしかめて見学しててもヨーロッパ人に薄笑いしていると誤解されるという話を聞いたことがありますけど,高級官僚の方々は,中央官庁で勤務・出世される間に一般国民とは壁を隔てた感覚や常識のズレが生じてしまうんでしょうかね。
・・・
太田氏の場合は本当に頭がいいみたいで,著書や活字メディアなどでの評論も高く評価する向きが多いようですけど井戸氏も,わざと世間を騒がすような問題発言をして首都機能一極集中に世間の目を向けさせる作戦だったとすればそれこそ下々の計り知れない深謀遠慮と尊敬しますが,だとすれば,中山成彬・前国土交通大臣みたいにご自身の地位・身分は投げ打って臨むお覚悟で。
<太田>
一体私はくさされたのでしょうか、それとも褒められたのでしょうか?
<HM>
正直、日本の官僚(元ですが)でまだ気骨のある人がいる事に感心しました。
今後も、是非ご活躍されなんとか現状を変える力になって頂きたいと思っております。
<太田>
太田コラムの新規ご購読ありがとうございます。
引き続き頑張りますので、どうぞよろしく。
<遠江人>
いかに読者を増やすかは本当に昔からの懸案ですが、1年前の読者倍増からほとんど変化が無い今、原因と対策を根本的に考え直す時期に来ているかもしれませんね。
<太田>
防衛省の不祥事頼みということでは自ずから限界があります。
もとより、今後とも継続的に、いや少なくとも間歇的に不祥事は起きるでしょうがね。
来年は確実に総選挙があり、政治が大変動期を迎えますが、これが私にとって吉と出るかどうか、が焦点でしょうね。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
太田述正コラム#2961(2008.12.8)
<ムンバイでのテロ(続)(その4)>
→非公開
皆さんとディスカッション(続x329)
- 公開日:
これは異なことをうけたまわる。
私のいかなる説が自民党の説(政策)と一致し、民主党の説とは大きく違うのでしょうか。
具体例を挙げてみてください。
↑
一例ですが、全く無駄な防衛費を何兆円も使っていると言われながらその防衛費を削減しようと言われないことが何よりの根拠ではないでしょうか?
少なくとも民主党なら意味の無い費用は例え防衛費でも削減しようとする姿勢を持つのではないでしょうか?
私は民主党支持者ですが必ずしも自民党を全否定しているわけではありませんし、太田様の適性をからして自民党に近いと素直に思ったので失礼かと思いましたが書いたのです。
そりゃ自分のことしか考えれないなら予算を削ったほうがいいと思うでしょうね。すぐ隣りでひもじい思いをしてる人がいるのに、引きこもっておいしくご飯が食えるのがこの属国なんですから。
日本政府が集団的自衛権を認めず、自衛隊に全くミッションを与えないのならば、予算を大削減すべきだと過去のコラムにあったような…。国土防衛隊にしてしまったほうが良いとも。官のあっせんによる天下り癒着を廃してムダを無くし、自衛隊にミッションが与えられるならば、現状の予算に見合うということではないでしょうか?
「国土防衛隊」ではなく「国土守備隊」でした(コラム#0038)。また、海外で自衛隊に軍隊としてのミッションを与えないなら規模を縮小し、防衛費に大なたを振るうべきと、コラム#2356で主張されています。日本の防衛力をめぐったコラム#0058も非常におもしろいです。安全保障の超スペシャリストを冷遇する日本が惨憺たる状況なのは当然の報いですね…orz
太田様
周回遅れで申し訳ありませんが
>南太平洋の環礁ナウル・・・で一九四三年七月、旧日本海軍の警備隊が現地のハンセン病患者三十九人をボートで海上に連れ出し、砲撃や銃撃を加え虐殺していた・・・」
という件、リンク先の東京新聞記事を見ると、「BC級戦犯法廷の裁判記録」が典拠のようです。
軍の命令書や通信傍受記録でもあれば100%確実ですが、「戦勝国の復讐劇場」の「偽証罪に問われない証言」だけではどこまで信用してよいものか疑問を感じます。
また、それを「発掘」した関東学院大・林博史教授は、「9条の会」に所属しておられ、「自分の身が一番大事だからこそ、軍事力はないほうがいいんだということ。<引用:マガジン9条〜この人に聞きたい『林博史さんに聞いた その1』〜 http://www.magazine9.jp/interv/hayashi/hayashi.php>」というご意見の持ち主ですので、牽強付会の説を為すために事実検証は眼中にない可能性もあります・・・