太田述正コラム#3023(2009.1.9)
<皆さんとディスカッション(続x362)>
<マソン>
≫自分達に「悲惨な状態」をもたらしたのはイスラエルではなく過激派である、という認識に、ガザ、ひいては(イスラエル居住者を含めた)大方のパレスティナ人が到達する時期は目前だと私自身は思っています。≪(コラム#3017。太田)
パレスチナ人が、紛争による解決以外の道を、考え始めてくれるようになるのを、期待するしかないのでしょうね。
紛争による以外の解決のために、まず第一に過激派を一掃とまではいかないまでも、極少数派にしなければいけないのでしょうね。
≫何年もの間、イスラエル人達とパレスティナ人達は土地をやりとりすることで平和を確保するゲームを行ってきた。・・・しかし、ハマス、ヒズボラ、そしてイランが中東における闘争の主役になった時点で、このゲームは中止された。・・・≪(コラム#3020(未公開)より)
この過激派が誕生したときに何が起こったのでしょうか。
20年ほど前に読んだ本に、パレスチナを追われた第一世代は抵抗らしい抵抗はできなかったが、パレスチナ生まれではない第二世代、第三世代が立ち上がったと書かれていました。(昔過ぎて本のタイトルを忘れました…ジャーナリストの書いたものだったと思いますが・・・)
いずれにせよ、絶望と貧困は過激派の糧ですよね。
「アメと鞭」といいますけれど、過激派をたたくためにイスラエルの使う「鞭」の方しか報道されていないような気がします。「アメ」の方もなにかしているのでしょうか。
<太田>
ガザに関して言えば、2005年にイスラエルが、ユダヤ人入植者ともどもガザから撤退したこと
http://en.wikipedia.org/wiki/Gaza
がイスラエルの使った最大の「アメ」でしょうね。
遺憾ながら、この「アメ」は何らプラスの効果をもたらさなかったわけです。
なお、20年も前からパレスティナ問題に関心を持たれていたことには敬意を表しますが、
>絶望と貧困は過激派の糧・・・
については、単純にそのとおりとは言い難いのではないでしょうか。
<michisuzu>
≫12 この人こそ新の保守だと思います。 太田ブログを読んで目から鱗が落ちました。 太田さんが語るアングロサクソン論は面白い!≪(コラム#3021より)
これ私も以前書いたのと同じ感想ですね。
でも、凄い細かいところまで観察しておられて関心しました。
ブログランキングには上がらなくても読者の質は既にベスト10入りしてますね!私を含めて(冗談です^^)
<太田>
・・・
<宙水>
バカな議論ばかりするね<(コラム#3021参照)>。
→匿名で議論をふっかける臆病者ちゃん、せめて丁寧な言葉を使おうね。(太田)
1 イギリスはインドの権益を失ったのは、事実だが、個人資産まで全部取られたわけではないし、本土は灰になっていない。
→カネやモノよりも大事なものがあるんだけどね。やっぱあなたも吉田ドクトリンに毒されてるな。
(なお、外地における日本人の個人資産の没収は国際法違反だったけど、都市に対する焼夷弾攻撃や原爆投下が国際法違反だったのと同じ次元の話だよね。)(太田)
2 戦前が民主主義であったなんて、こじつけるのもいいが、程度問題だ。要人がテロで殺されて、言論の自由が封殺されて、有事だったと片付けるのは、バカとしか言いようがない。
→絵に描いたような民主主義などいつの時代のいかなる国にも存在しません。戦前の日本が大正デモクラシー以降、民主主義的であるというのは、私の民主主義の定義(コラム#3009)に照らしての話です。これを批判しようと思ったら、私の定義自体を否定するか、その定義に照らして戦時中は民主主義的でなかったと指摘するかのどちらかしかありません。ぜひやってご覧なさい。
なお、クーデターなんてのは未熟な民主主義の副産物であり、テロはいかなる時代、いかなる国でもあります。また、有事には人権規定が一部または全部停止されるのは、アングロサクソン世界でも常識です。もっと勉強しようね。(太田)
3 侵略国家ではないとは言ってません?日本は悪くなかったと言いたいんでしょう? 小生も悪いか良いか、民主主義だったかどうだったかなんて、主観的な評価は興味ありません。膨大な財産と人命を失うような、しかも戦後も当時の日本としては莫大な戦時賠償を支払わされている。その国家戦略の過誤について、反省すべきではないのですか?よかったと言えるのですか?しょうがなかったと言いたいのですかね?
→だから、私の過去の関連コラムを読んでね。「反省」も十分してるよ。
いずれにせよ、戦時「賠償」を払ってもおつりがくるくらいの高度経済成長を可能にした経済体制・・総動員体制・・を構築できた戦前の国家戦略の功績にこそ目を向けるべきでしょう。(太田)
4 ロシアや中国やアメリカは戦後、国際連盟の常任理事国として、世界の兄弟国として君臨した。何が過誤か?共産党の思想が破綻したことは、内政問題だ。
→共産党の思想及びその破綻は、20世紀最大の国際問題です。
なお、国連事大主義も戦後日本人の病弊です。ホント典型的戦後日本人だね、キミ。(太田)
5 「責任は軍人はもとより国家・国民が等しく負うべきである」とは、戦後の生き残った人間が、民主主義国として生きていくうえで反省しなくてはならないのであって、当時の軍部独裁国家の首謀者で生きているものも反省しなければならないのは当然であるが、お前よく考えてみろよ、226事件の黒幕や青年将校に反省しろと誰が言うの?霊魂不滅を信じているわけか?キチガイだね。
→何が言いたいのか分からないよ。落ち着いて落ち着いて。繰り返すけど、匿名の臆病者ちゃん、汚い言葉遣いは止めようね。(太田)
自ら軍閥が勝手に戦争をおっぱじめておいて、戦時体制だからテロもいいんだとはよく言うもんだね!
→テロもいいなんて一言も言ってないぜ。(太田)
陸軍の派閥と言うと、皇道派統制派の対立が有名だけどね、それとは別に、満州屋と支那屋ソ聯屋という一種の閥があったんだよ。満州事変の論功行賞では、信賞必罰とおよそ逆のことが行われて、三者のうち満州屋が独りいい目を見るんです。現地の最高責任者本庄司令官は、事変の後、侍従武官長、大将と栄進して、功一級の金鵄勲章を貰った上、男爵を授けられる。部下の参謀たちも当然これに準じた処遇を受ける。それを横目で眺めていて、支那屋とソ聯屋が心穏やかでなくなる。あの連中があれで男爵金鵄勲章なら、我々も支那の本土で、或いはソ聯との国境地帯で一と騒動起こしてみようじゃないかという気運が醸成されてくる。昭和12年の盧溝橋事件、翌年の張鼓峰事件、翌々年のノモンハン事件が起こる。謀略で始まったいくさの後始末が不適切で、罰すべき人物をきちんと処罰しなかった結果は、国家のことなど二の次、各派の功名争いと責任回避とが主になって、支那事変の泥沼化から対米開戦、ミッドウエー以降の敗北に次ぐ敗北、都市の壊滅、ソ聯の裏切りによる満州の惨状に至るまで、十三、四年間、国民に災厄を与え続ける。海軍も例外ではありません。昭和初期の海軍大臣がすでに悪例を残している。
→パチパチ。
軍部の下克上の横行、無統制ぶりについては、私自身随分批判してきてるんだけどね。
なお、こういう議論をする時は、典拠をつけよう!(太田)
昔から数千万人単位で餓死者を出している支那やロシアと比べてどうするの?
→典拠典拠!
支那の場合、王朝衰亡期にはおおむね毎回悲惨な状況になったわけだけど、中共の場合、「王朝」勃興期に悲惨な状況になり、にもかかわらず、(秦や隋の場合と違って)「王朝」が崩壊しなかった、というのは支那史上空前の異常事態だったと思わないか。
それにしても、キミの論理では、そんなの内政問題だったはずでは?(太田)
イギリスがアメリカを独立させてしまったのがそもそもの過誤とでも言いたいの?
→ここも意味不明。投稿する前に全体を読み返すよう心がけよう!(太田)
日本軍閥の無責任によって,敗戦国の汚名を着せられた上
1945年8月15日時点において
朝鮮 702億5600万円
台湾 425億4200万円
中国 東北 1465億3200万円
華北 554億3700万円
華中・華南 367億1800万円
その他の地域(樺太、南洋、その他南方地域、欧米諸国等) 280億1400万円
合計 3794億9900万円(当時の円換算)
の対外資産を賠償として差し出している。
これに加えてサンフランシスコ条約1955年に基づき、東南アジアに対して、合計で3643億4880万円(賠償協定締結時の円換算)を支払った。中華民国(現台湾)は、別途で日華平和条約(1952年)を日本と結び、その議定書において賠償請求権を放棄している。韓国に対しては敵国でなかったので1965年に1080億円の経済援助を行っている。
いずれも、当時の日本の国民総生産額と比較したら莫大な賠償額である。
日本が悪くなかった民主主義国だった,非は相手にあるというなら,これらの賠償の返還請求の運動でもされたらどうか?
→敗戦国の汚名も何も、敗戦は事実だし、敗戦国が平和条約に拘束されるのもやむをえないでしょう。
「賠償」については、既に議論したよね。なお、戦後「賠償」については、日本企業の海外再進出のテコになったという面もあるよ(典拠省略)。(太田)
<宙水>
タモガミ論文の何処に玉があるのか?<(コラム#2941、2949参照)>
→「玉」って何?(太田)
日本の戦前の軍部と同様,防衛省,自衛官は馬鹿の集まりだ。採用のペーパーテストかなんかが間違っているのだろう。
→違う。防衛省の内外環境が「間違っている」からだ。
少しは、私の本や関連過去コラムを読んでから投稿しなさい。
繰り返すが、言葉遣いがひどすぎる。
直らなきゃ、今後キミの投稿自体を削除するよ。(太田)
戦前は,大局を誤って世界を敵に回し,元亀天正の頃と変わらぬ明治38年式歩兵銃を主力武器として,アメリカ製やチェコ製自動小銃その他の武器をもつ敵と兵隊を戦わせたことについて,猛省しなければならない。
→確かにそうだが、海軍にとられたせいもあって、陸軍にはカネが十分回らなかったってこともある。(太田)
現在は,幕僚長たるものが,旧日本軍の兵坦補給を無視した作戦が,常に,兵隊の規律を乱し,現地調達だといって組織的に略奪暴行を行わざるを得ないような状況を作り出したことに全く反省せず,論文の中で、現在の先進国でも殺人などの犯罪が起こるのと同様の「個別的事象」と片付けているのは,軍人のしかも幕僚として全く最低で失格である。
→まあここは、当たらずといえども遠からずだね。(太田)
<Εεε>(http://society6.2ch.net/test/read.cgi/mass/1196337365/l50x)
2008/03/20<に以下のような書き込みがあったけど・・・同意・・・。>
>どうでもいいけど、ブログのSEXカテゴリの項目は直したほうがいいと思うな。杉山文野氏が性同一性障害だから話を聞いて信じちゃったんだろうが性同一性障害を第3の性ととらえるのは医学的に明らかな間違い。
聡明な太田氏も性の問題については頭が固いんだよなあ。
俺10代だから世代のギャップもあるだろうけど。志村貴子の『放浪息子』でも読んでほしいわ。
<εΕε>(同上)
さすがに10代と還暦間近で性に関する感覚が似てたら異常だろ。
<εεΕ>(同上)
おいおい還暦間近の人がフリーセックスを推奨してたぞ、柔軟すぎるぐらい柔軟じゃね(コラム#2781「不貞について」)。
若くても俺にはフリーセックスだけは拒否感がある。
性的排他性が強いと言われてもその通りとしか言えない。
世界の主流がフリーセックスになったとしても、日本人はセクサロイドを作って愛でてそうな気がする(半分冗談)。
益々少子化になりそうだが、夢の人工子宮登場まで待っててね!
ところで少子化について経済産業省の言うところによれば、2025年までに人口減少で失われる労働力の八割は産業用ロボットで補えるとある。
ロボットの性能が向上すればするほど必要な労働者の数は減ると仮定すれば、(性能向上=産業用ロボットの生産性向上や使用できる領域の拡大)十年、二十年は産業用ロボットの性能不足で苦しむかもしれないが、将来的には労働力不足だけはなんとかなる可能性がありそうだな。
某ラノベの“仕事をしなくていい国”を思い出した。
機械が発達しすぎて人間のする仕事がなくなってしまい経済を回すための仕事をしていたな。
機械の発達が資本主義に終焉をもたらしたっていうのはなかなかユニークで面白かった。
<ΕΕε>(同上)
モノが先で言葉(分類)は後だと。
人をジェンダーとセクで分類する時も、その意識があるかないかじゃないかなあ。
性は揺れるもので第1も第3も無いかと。
wikiに「動物の同性愛」という記事があったので貼っておく
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8B%95%E7%89%A9%E3%81%AE%E5%90%8C%E6%80%A7%E6%84%9B
>フリーセックスは世界の主流になるのかな・・
恋愛はステキって考え方はここ何百年間のものだろうしセックスそのものに嫌悪感を抱く未来が来るかも。
<ΕεΕ>(同上)
男は戦争したがり、女は安定を求める。そして女の最大の武器はセックス。
2400年もの昔から男女の役割は変わってない。
<「女の平和」>
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A5%B3%E3%81%AE%E5%B9%B3%E5%92%8C
<太田>
後の方の点だけど、(タキトゥス著『ゲルマニア』に出てくる)ゲルマン人の女性も(かつてのサッチャー首相を持ち出すまでもなく、ゲルマン精神を受け継ぐ)アングロサクソンの女性も(かつてのゴルダ・メイヤ首相やリヴニ現外相の例からも分かるように)イスラエルの女性も、ちょっと違うんだなあ。
<εΕΕ>(同上)
自分がフリーセックスするのはかまわないんだけど、好きな人が他の男とセックスするのはかなしくなるなぁ。
どうやってもここだけは譲れないよw。
<ΕΕΕ>(同上)
同感。
前に動物番組見てたら、イヌが目の前で飼い主に無視されて他のイヌを愛撫するシーンを見せられて、ガクガクブルブル+脱糞となっているのをやってた。
イヌの段階で嫉妬があるということだから、これを文化・制度的レベルに合わせて克服するのには相当の努力が必要。それだけの価値があるのかねーとは思う。
<太田>
大いに議論をしてください。
ちょっと次元は違う話だけど、男女間の永遠の愛って本当に存在することが検証されました。近々、有料コラムに書くよ。
そのうち、男女問題でも私が専門家としてTV番組に招かれるようになるかも・・。
さて、記事です。
ダティ仏法相、すごいねえ!
・・・not only ・・・the French justice minister Rachida Dati <(43)arrived> for work five days – five days – after giving birth by caesarean section ・・・but she has magically regained her figure and managed her usual immaculate coiffeured elegance. She has even, damn it, managed to find matching earrings at a time when most mothers are blearily staggering around their bedroom in a daze of exhilaration, exhaustion and pain.・・・
http://www.guardian.co.uk/commentisfree/2009/jan/09/rachida-dati-france
コラム#3022(未公開)で「ハマスが実質的に参画する形での停戦交渉がエジプト等の仲介の下で行われている限り、ということは絶対にヒズボラが対イスラエル攻撃に乗り出すことはありえないでしょう」と記したところですが、これを裏付ける記事がNYタイムスに出ていました。
・・・A salvo of rockets launched into northern Israel on Thursday morning raised fears of a renewed war between Israel and the militant Shiite group Hezbollah in Lebanon, but those worries quickly subsided when it appeared that the attack came from one of several small Palestinian militant groups in the area.
Hezbollah quickly sought to assure the Lebanese government that it was not responsible for the two Katyusha rockets that wounded two people in the Israeli town of Nahariya, despite its leader’s harsh words for Israel in recent days.・・・
On Thursday morning, Israel said it fired five shells in a measured response to the rocket attack,・・・
The Lebanese prime minister and several cabinet members condemned the attack, and the lone Hezbollah cabinet minister, Mohammed Fneish, distanced his party from the action. ・・・
Several small Palestinian factions operate in southern Lebanon and have the capacity to fire rockets into Israel. The leaders of Hamas and Fatah in Lebanon both quickly condemned Thursday’s rocket attack, saying they did not want to implicate the Lebanese state in a Palestinian conflict with Israel.
But an official from one of the more prominent and militant factions, the Popular Front for the Liberation of Palestine-General Command, did not deny responsibility for the attack.・・・
http://www.nytimes.com/2009/01/09/world/middleeast/09lebanon.html?ref=world&pagewanted=print
2002年11月に「三つの代表」という考え方を党の規約に盛り込ませた江沢民のねらいを描いた
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20090107/182068/
は面白い。
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太田述正コラム#3024(2009.1.9)
<日進月歩の人間科学(続々)>
→非公開
皆さんとディスカッション(続x362)
- 公開日:
<マソン>
≫自分達に「悲惨な状態」をもたらしたのはイスラエルではなく過激派である、という認識に、ガザ、ひいては(イスラエル居住者を含めた)大方のパレスティナ人が到達する時期は目前だと私自身は思っています。≪(コラム#3017。太田)
パレスチナ人が、紛争による解決以外の道を、考え始めてくれるようになるのを、期待するしかないのでしょうね。
↑
人類は争いの為に宗教を道具にしてしまいましたね。
宗教が有史以来救った人と殺した人を比べたら(比べることは不可能なのを承知で敢えて)私の直感による独断と偏見では多分殺されたり自殺したりした人の数が多い気がしますね。
特に教義や戒律の厳しい宗教ほど比例しているように思いますが?
私の直感が間違っていることを期待しながら人類が滅ぶ日は確実に近づいているように思います。
博識強記の太田さまに一度その辺りの認識をお聞かせ頂きたいものですね。