太田述正コラム#14172(2024.4.24)
<2024.4.20東京オフ会次第(その5)>(2024.7.20公開)

E:太田さんは、歴史に取り組む際、人間(じんかん)主義という仮説を立ててそれを検証しようとしており、科学的だと思う。
O:人間主義は補助線・・但し基本的な補助線・・と形容することもできるが、その後、軍事(軍事重視)というもう一つの基本的な補助線が加わっている。
 (後知恵的に言えば、菊と刀という二本の基本的な補助線、と言ってもよさそうだ。)
 この軍事重視という補助線でもって、現在の日本の全政党を分類することだってできる。
 日本共産党とその他大勢だ。
 どういうことか説明しよう。
 まず、役人だった当時、いや、恐らく現在もそうだろうが、赤旗が、日本の全新聞中最も質の高い軍事関係記事を載せていた。
 ちなみに、それよりも少し質が落ちるのが日経で、後の朝日等は更にダメだった。
 次に、私が選挙で落選した後、当時の民主党に、謝金なんていらないから、議員達のために防衛問題の研修会を何度か開催してその講師をやらして欲しいと申し出たところ、すったもんだした挙句、お断りが来た。
 議員連中の間で防衛問題で議論が起きて党が分裂してしまう恐れがあるというのだ。
 どうやら、民主党だけではなく、一般の野党の議員達は、安保・防衛問題の勉強は得るところが少ないどころかアブナイこと限りないと思っているらしいことが良く分かった。
 (その後、一時民主党が政権をとったものの、3年で瓦解した最大の理由は、このような軍事軽視にあった、と、私は思っている。)
 では、自民党はどうか。
 いるかいないかくらい少数の自衛隊出身議員はさておき、安保・防衛問題を若干勉強している議員もいることはいるけれど、防衛庁/防衛省の長官/大臣等に就く可能性があること、や、米国等の外交関係者等と付き合わなければならない可能性もあってそんな場合余りに自分が無知だと恥をかくということ、から、そうしているだけである者が大部分だ。
 では、一体どうして共産党だけは軍事に本当に関心があるのか?
 軍事に弱い政権政党等の弱点をつくためでもあるが、それよりも大きいのは、日本政府の暴力装置を弱いままにしておいてそれに付け込んで自分達が政権を取ってその後に本格的な再軍備をするためだろう。
 共産党が政権をとるなんてひどい妄想だと笑うかもしれないが、必ずしもそうではない証拠が、(まだ、脳死していない部類の警察官僚達が妄想だとは思っておらず学術会議への隠れ共産党員らの新会員への任命を2020年に拒否した(と私が見ている)こと、だし、)ささやかなことながら、現在なお私に賀状を送ってくる記者は、赤旗・・今はしんぶん赤旗だが・・の記者だけであること、だ。
 つまり、現在の日本は、(岸カルト中枢とその共犯勢力からなる)大政翼賛会的勢力、と、日本共産党、の、不毛の二大政党制だ、というわけだ。
 ところで、英国防大学(RCDS)では最後にペーパーを提出するのだが、それを読んだ副校長(文官)が、日本の非軍事と軍事に関する実質2つのペーパーが互いに関連することなく綴じ合わされている感じだ、と言っていたが、それは1988年であったところ、それから3分の1世紀以上経って、かろうじて両者を関連させる形で綴じ合わせることができた気がしている。

(完)