太田述正コラム#14429(2024.8.30)
<皆さんとディスカッション(続x6003)>

<太田>

 モンゴルの軛症候群患者たるロシア人達は領土縮小を伴ったところの、日露戦争での敗戦に衝撃を受け、日露戦争後の資本主義化と民主化の進展にもかかわらず、第一次世界大戦でも苦戦が続いたことから、マルクス主義を同症候群的に歪曲したところの、独裁的なマルクスレーニン主義(ML主義≒スターリン主義)を、ロシア正教に代わるイチジクの葉っぱ的理念として掲げ、領土拡張/勢力圏拡大態勢の再構築を図り、戦間期においては成功を収めたように見えた。
 しかし、ロシア正教とは違って、マルクス主義の母斑を残すML主義は、将来のロシア分割をもたらすことになるところの、ロシアの形式的分割、但し、潜在的分割、をもたらした。↓

 「レーニンは<、>・・・ロシア革命で誕生したソビエト連邦は構成国家の平等を謳った連邦国家となった。」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B7%A6%E7%BF%BC%E3%83%8A%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%8A%E3%83%AA%E3%82%BA%E3%83%A0
 「憲法ではソ連は政府連合であり、1924年、1936年、1977年の憲法の条項にしたがってそれぞれの共和国はソ連から脱退する権利を保持したが、冷戦の間はこの権利は無意味なものであるとの見方が支配的だった。しかし、1977年憲法第72条は1991年12月にソ連の事実上の崩壊に利用され、ロシア、ウクライナ、ベラルーシはソ連から脱退した。・・・
 1944年、改正1936年ソビエト憲法によってそれぞれのソビエト共和国のために赤軍を分割して支部が設立された。これらはまた外交と防衛のために国レベルの兵站を構築し、国際法で法的な独立国家と認識されることになった。これによって、ウクライナSSRと白ロシア(ベラルーシ)SSRの2国はソ連としてだけでなく、1945年に国際連合総会の設立メンバーとして加わることを許された。・・・
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BD%E3%83%93%E3%82%A8%E3%83%88%E9%80%A3%E9%82%A6%E6%A7%8B%E6%88%90%E5%85%B1%E5%92%8C%E5%9B%BD

 上掲がいかに形式的なものに過ぎなかったかは、一貫して、ロシア共和国は独自の共産党も国家も持たなかった(上掲)点に端的に表れている。
 ところが、ML主義は、戦後、経済の停滞を招いてしまった。↓

 「1953年の彼の死と、1956年に起きたニキータ・フルシチョフによる彼への公式批判の後も、ソビエト政府はゴスプランが作成する五ヶ年計画を掲げ、軽工業への一定の配慮を示しながら、冷戦に対応するための重工業・軍需産業重視と国家による経済統制を堅持した。これはソビエト経済の発展を妨げ、次第に西側資本主義諸国との経済格差を拡大させることになった。・・・
 1970年代はソ連も軍事的に関与した中東戦争による2度の石油危機で世界最大の産油国として莫大な外貨を獲得できたが、西側諸国からの機械、穀物や奢侈品の輸入に浪費されて新規事業の開拓や技術開発がほとんど進まず、西側と製品の質の点で大きく水をあけられた。また、レオニード・ブレジネフ政権の長期化で共産党内の汚職が進み、国有企業は帳簿上の生産数と実態との乖離が大きくなった。フルシチョフ失脚の直接の原因となった農業問題でも小麦やライ麦、大麦の生産量は世界最高だったものの、70年代からの凶作と旱魃で大量の穀物を北米から緊急輸入する必要が生じ、国際市場で大量の穀物買い付けを行って高騰させたことは大穀物強盗と呼ばれた。これが冷戦における両国の力関係にも影響を与えた。この時期には環境破壊も深刻化していったが、官僚制で硬直化した政府は有効な対策を立てられなかった。
 この時期は、消費財や食料の輸入が膨らみ対外債務が急速に増大する一方、東ヨーロッパ諸国への安価な天然資源供給や発展途上国への経済支援は政治的・外交的理由で続ける必要があり、政府にとっては大きな負担になった。1979年にはアフガニスタン侵攻を開始し、軍事費の膨張と西側諸国との関係悪化はソビエト経済を一層苦しめた。」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BD%E3%83%93%E3%82%A8%E3%83%88%E9%80%A3%E9%82%A6%E3%81%AE%E7%B5%8C%E6%B8%88

 (上掲は、冷戦によるところの、米国等によるソ連(ロシア)の領土拡張/勢力圏拡大阻止、や、過大な軍事費負担、や、先端技術のソ連(ロシア)流入制約、等、に触れていないが、それこそ、杉山構想の概ね完遂がもたらしたものだ。)
 そこで、諦めきれないロシア人達は、今度は、(上述のような内在的制約があったところの)ML主義を弊履のように脱ぎ捨て、欧米の修正資本主義と民主化による領土拡張/勢力圏拡大を図ろうとしたが、出だしにおいて、上掲の潜在的分割が顕在化し、領土が大幅に縮小してしまったので、プーチンが、民主化を取りやめ、独裁化することによって、領土拡張/勢力圏拡大態勢の再々構築を強引に図ることとした結果、ロシアの現在の危機的状況、というか、断末魔、がもたらされてしまった、というわけだ。

<太田>

 安倍問題/防衛費増。↓

 なし。

 ウクライナ問題。↓

 <ダイジョウブ、ダイジョウブ。↓>
 「ウクライナの越境作戦が裏目に 東部でロ軍の攻勢加速、自軍は兵力不足に拍車・・・」
https://www.msn.com/ja-jp/news/world/%E3%82%A6%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%8A%E3%81%AE%E8%B6%8A%E5%A2%83%E4%BD%9C%E6%88%A6%E3%81%8C%E8%A3%8F%E7%9B%AE%E3%81%AB-%E6%9D%B1%E9%83%A8%E3%81%A7%E3%83%AD%E8%BB%8D%E3%81%AE%E6%94%BB%E5%8B%A2%E5%8A%A0%E9%80%9F-%E8%87%AA%E8%BB%8D%E3%81%AF%E5%85%B5%E5%8A%9B%E4%B8%8D%E8%B6%B3%E3%81%AB%E6%8B%8D%E8%BB%8A/ar-AA1pDuHa?ocid=msedgntp&pc=U531&cvid=31a7a17a525f4fe0b331678d04d548ec&ei=23

 ガザ戦争。↓

 なし。

 それでは、その他の国内記事の紹介です。↓

 さあてね。↓

 「・・・二度の自己否定を通じて種から個、さらに類へと向けて展開する・・・田辺元・・・の哲学は、戦後の韓国に大きな影響を与えています。というのも、韓国で朴正煕(パク・チョンヒ)・軍事独裁政権に協力し、教育にも大きな影響を持った哲学者朴鐘鴻が、田辺に触発されたと考えられるからです。・・・
 そして朴は、田辺哲学に取り組みつつ『ウリ(われわれ)の哲学』という独自の構想を展開しました。戦後、ソウル大学の教授だった朴は軍事政権に協力し、民族への忠誠をうたう『国民教育憲章』の起草にも関わりました。そのため民主化以降、朴は一時、田辺以上に『タブー』でした・・・」
https://news.yahoo.co.jp/articles/4bfbc3c4c06359f1848e76a2687c606f32262d75

 日・文カルト問題。↓

 <文カルト健在。うれしー!↓>
 「「反憲法」「反日」公職者任命防止法案、共に民主党が発議・・・」
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2024/08/29/2024082980084.html
 「「日本植民地時代に国を失った?」「先祖の国籍は日本なの?」韓国で大論争に・・・韓国・デイリーアンなど・・・」
https://www.recordchina.co.jp/b939601-s39-c100-d0191.html
 「「君が代」を流した韓国テレビ局が視聴者からの抗議に回答、その内容に不満続出「全く反省していない」・・・韓国・MBC NEWS・・・」
https://www.recordchina.co.jp/b939560-s39-c30-d0191.html
 「・・・釜山市水営区によると、28日午前10時15分ごろ、広安里海水浴場で70代の男性が旭日旗の付いた電動車いすで走行しているとの通報があった。
男性は10年前に受けた検察の捜査に不満を示すため、こうした行動を取ったという。また、今後も旭日旗を付けて海岸を走行するとの考えを示したという。・・・東亜日報など・・・」
https://www.recordchina.co.jp/b939596-s39-c30-d0191.html
 <朴大統領こそ文カルトの祖なのかもね。↓>
 「・・・同胞の法的地位が強化され、制限のない参政権が確保されれば、韓国も日本に植民地を持つのと同じ効果を得ることになる。・・・」
https://japanese.joins.com/JArticle/322964
 <ガンバレ。↓>
 「韓国の新歴史教科書 中高19種が検定合格=「慰安婦」関連記述縮小も・・・」
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20240830000600882?section=society-culture/index
「尹大統領 日米の新政権発足後も「韓米日の協力体制変わらず」・・・」
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20240829001400882?section=politics/index

 生物一般まで話を拡大しなきゃ。↓

 「・・・生まれ育った集団の外に女性を与え、他の集団から女性をもらうという女性の交換によって、どの集団も次世代を生み出す女性の確保を確実なものとし、社会環境を成立させてきたことになるのです。 インセスト・タブーは、社会を閉じて消滅させてしまう不利な行為を禁止し、社会環境を人類社会にまで拡大発展させていくことを可能にする規則だとも言えます。つまり、インセスト・タブーの原理こそが、人類社会を成立させてきたのです。 また、こんなことも言えます。家族は、「交換する主体」として最初から存在するのではありません。集団内で性交渉(結婚)を禁止することによって、「交換する主体」としての家族が生み出されるのです。・・・」
https://news.yahoo.co.jp/articles/88e9a02dd60cc7475648459751b3afefe7768854

 中共官民の日本礼賛(日本文明総体継受)記事群だ。↓

 <いや、補助金だろ。↓>
 「・・・第一財経は、日本で米価格の上昇と品不足が発生している状況について、その根本的な原因が政府による「減反政策」にあるとする記事を掲載した。・・・」

https://www.recordchina.co.jp/b939591-s25-c30-d0193.html

<太田>

 喉/鼻風邪が一週間経ってもよくならないので、自宅で薬を探したらルルがあったけれど、使用期限が2002年と印字されていたので服用を止めた。
 (ということは、恐らく、4分の1世紀の間、私は、まともな風邪に罹らなかった、ということを意味する。)
 起きている時にはそれほど気にならないのと、風邪薬は対症薬に過ぎないので、今更、わざわざ買ってまでして服用する気にはならない。

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太田述正コラム#14430(2024.8.30)
<映画評論117:始皇帝 天下統一(後半)(その4)>

→非公開