太田述正コラム#3053(2009.1.24)
<皆さんとディスカッション(続x377)>
<michisuzu>
≫あなたは太田コラムの読者になる以前から、日本の政治の現状はひどい、政治家もひどいって思ってたんでしょう。 そのとおり、そしてその原因は吉田ドクトリンにある、と私は主張しているわけです。≪(コラム#3051。太田)
 私の理屈では吉田ドクトリンでなく昭和天皇の戦争責任の取り方の失敗にあると考えています。
 昭和天皇が敗戦の責任を自刃することで取っていたら戦後の日本人の公的な責任の見本になってここまで品格の無い国民性にならなかったと思っています。
 第二次世界大戦までの日本人は責任の取り方を切腹などの潔い取り方をしていたと思います。
 昭和天皇の無様な責任の取り方によって日本人はどんなことがあっても責任の所在をうやむやにしても良いのだと開き直ってしまったように思います。
<ベラドンナ>
 「人間」が一人自殺すれば、よりよい国になれるという、その「情報」はどこから刷り込まれたんでしょうか。
 そもそも「人間」一人へ責任を押し付けているのは、一体どこの誰たちなんでしょうね。
 第二次世界大戦の責任というけど、あの戦争が「悪い」もので、責任は「人間」一人にあるという、いつまで思い込んで、この国を退廃へ進ませるつもりなんだろうか・・。
<太田>
 前にも説明したけど馬耳東風のmichisuzuちゃん。
 michisuzuちゃんは典拠嫌いで典拠を付けてくれないので、そんな考えを「どこから刷り込まれた」のか、見極めようがないのが困っちゃうところだよね。
 彼女を政治家にする後援会をつくる前に、michisuzuちゃんを、少なくとも「対話」に関してだけは、それができる「オトコ」にする会、つくらなきゃ。
<Nelson>
 –KYだけど、一生懸命生きている男性諸君!!–
≫深刻な男女差別の下で、大部分の女性は、低次元の欲求不満が鬱積するばかりで悶々としているということではないだろうか。≪(コラム#3051。太田)
 男と女の関係って難しいですね。
 先日、NHKのスペシャルで、男と女の関係で興味深い話をやっていました。
 男性が太古の昔「狩り」を生業としていたことで、「問題解決能力」を発展させてたため、逆に「会話能力」が退化していった。だから、男性(夫)は何か「問題」でもない限り、進んで女性(妻)と「会話」をしようとなど思わないい。逆に、井戸端会議により「会話能力」を発展させた女性(妻)は、男性(夫)からの会話がないことで、常に孤独感にさいなまれることになる。
 この夫婦(男女)間のすれ違いが、夫婦間のケンカの中でも現れるらしく、原因はほとんど男性である。
ケンカのパターン
一、大抵は男性の無神経な発言から。(攻撃)
          ↓
二、攻撃されたと感じた女性は当然自己弁護にはいり自分の正当性を主張する。(防御)
          ↓
三、防御にはいった女性に対し、男性は第三者や専門家の見解を取り上げ間違いを指摘し、自分の正当性を主張する。(見下し)
          ↓
四、一~三を繰り返し、不毛な平行線の議論を続ける。この間、男性の心拍数増加、女性は変わらず。
          ↓
五、男性の心拍数が100を突破。男性は、このケンカ(問題)が解決できないことを悟るや、危険回避のためケンカを打ち切る。(打ち切り)
 ちなみに、狩り」を生業とする男性は常に緊張状態のため、危機回避能力に優れているため、心拍数が増加しやすい。 
 以上の結果から、ケンカの原因は男性にあり、男性の女性への言い方、聞き方が悪いということになる・・・・・そうです。
 
 男には納得できない結果ですよね。これは・・・
 しかし、もしかしたら、男女差別は、女性に対する配慮が足りない男性が多いことや、配慮しているつもりで実はお門違いの男性がほとんだということが、根本にあるのかもしれませんね。
 世の男性諸君、気をつけましょう。
<太田>
 この前、NHKのこの番組の別の回をちらっと見た限りでも、NHKは一般論を面白おかしく紹介しつつも、日本の具体的事情についての論議は避けています。まことに「国営放送」らしい人畜無害の番組ですよね。
 いずれにせよ、男性と女性の言語能力や「対話」観念に平均的違いがあるからといって、そんなことは女性差別を正当化はしません。
 一般論を聞いて、それを自分の異性との接し方の参考にすることも結構ですが、女性差別というマクロの社会問題から目をそらさないようにしましょう。
<おーつか>
 日本の女性政治家の質が男性政治家に比べ低いのは、経験的に事実だと思います。
(短期間ですが政党勤務経験があります)。
 その理由は明らかです。
 現在、代議士定数480名中、女性はわずか45名です。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%8F%BE%E8%81%B7%E5%A5%B3%E6%80%A7%E6%94%BF%E6%
B2%BB%E5%AE%B6%E3%81%AE%E4%B8%80%E8%A6%A7
 民間企業でも管理職の女性は少数であり、重役クラスとなると、創業一家や、三洋電機の野中ともよ前会長のような特異な例を除くとほぼ皆無(典拠省略)。
 労働組合の幹部は自治労や地域ユニオンなどを除きほぼ男性が独占(典拠省略)。
 高級官僚予備軍の東京大学法学部ですら、いまだに22.2%。
http://kyodo-sankaku.u-tokyo.ac.jp/ut/data/documents/Student_000.pdf
 こんな状況下では、女性が政治的な実力を磨いて身につけるチャンスはほとんどありません。
 わたしも日本での女性を対象としたアファーマティブアクションはぜひ必要だと考えます。
 あ、ちなみに深澤真紀さんはバリバリのフェミニストですよ。
<michisuzu>
≫政治家のまとも率、男性議員の方が高いと思ってるわけね。 本当にそうかな。≪(コラム#3051。太田)
 政治家でまとも率は政治家の経歴と反比例する傾向がありますよね。
 基本的に与党よりも野党の方が利権が少ない分まとも率は高いでしょう。
 それに特に民主党の50歳以下の若手政治家はまとも率が相当高く専門性もそれなりに確かですね。
≫しかし、あなたが示唆しているように、男性より女性の政治家の方が更にひどいのだとすれば、その原因は他に求めなければならない。私は、日本の男女差別の深刻さがその背景にあると思っているのです。≪(同上)
 量は質を生むというのであれば<アファーマティブアクションをやれば>将来的には希望も持てますが。現時点では相当厳しいと思っています。
 社会福祉の充実している北欧と結婚したら家庭に身をささげる時間の多い日本と同じに論じるわけにはいきません。
 数十年の歳月を要するでしょう。
 出来の悪い女性議員は結局ずるがしこい男性議員の奴隷と化すだけで、今よりもっと質が低下するでしょう。
<太田>
 女性差別がひどいとか、(子育てを支援する)社会福祉が遅れているとかあなたが本当にそう思っているのなら、(消費税アップ等で財源を確保して)社会福祉の充実を図ればいいし、アファーマティブアクションもやってみればいい、とどうして思わないの?
 michisuzuちゃんこそ、もう既に「ずるがしこい男性<達>」の「奴隷」になっちゃってるんじゃないの。
 若いのに可愛そうだねえ。
 michisuzuちゃんの議論を聞いていると、自民党や経済界のオジさん達の移民受け入れ慎重論を思い出すな。
 それでもこのところ、経済界がまず方針転換を行い、次いで自民党の一部からも方針転換の声が挙がっていることは知っているよね。
 そこへこの不況で、ブラジル系移民がブラジルに逃げ帰る動きが出てきて、政府も、移民定着化政策に急遽乗り出したらしいじゃないの。
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2009/01/22/AR2009012204150_pf.html
 女性差別問題だって、早晩同じような経過をたどることでしょう。
<大>
 僕もその二つの記事<(「それでもアメリカは世界の中心だ」と「オバマ大統領は何をどう“change”するのか」(コラム#3051))>読みました。
 特に「属国」って言葉がでてくると反応してしまいますよね。
 ザカリアのほうの記事ですが、太田さんは
≫ザカリア自身が日本あるいは日米関係についてあまり詳しくなさそう≪(コラム#3051。太田)
と、おっしゃっていますが、どうしてそう思われるのですか?
 記事を読んで思われたのですか?
 僕はけっこう普通に(ありがたがって??)読んでいましたが、そういう読み方もできるようになりたいので教えてください。
<太田>
 「・・・例えばアフガニスタンについての国際協力について、米国の立場は、同盟国は積極的に協力すべきであるという考え方であるが、欧州は派兵してもすぐに撤退するなど非協力的である。日本は歴史的に見ても驚くほど協力している」
→日本の自衛艦インド洋派遣は到底「驚くほど協力」の範疇には入らない。
 「・・・フランスではシラク大統領が<親米の>サルコジ大統領に、ドイツではシュレーダー首相から<親米の>メルケル首相になった。「ブラウン英首相はブレア前首相と変わらず親米であり、日本は首相が誰になろうと、常に親米であることに変わりはない」
→「独立国」である仏独英と米国の属国である日本を同列視している。
 「「ブッシュ政権は、日本モデルを誤解して戦争をすれば体制が簡単に変わると錯覚した。日本の近代化は1870年代から始まっており、1930年代には西洋に追いつくほど進歩していた。イラクにはそういう地盤は皆無だった・・・」
→この箇所は、SFさんがコラム#3051で指摘したように、ザカリアの日本の民主主義の歴史についての無知をさらけ出している。
 「「中国の台頭は、日米間の共通の利益が増えるはずだから、日米間はより親密になるはずだ。こうした動きもあって『日本はもっと米国から独立すべきだ』という意見が日本の中で出ているが、お互いに共通の利益があり、戦略的な問題で日米の考え方が齟齬しないかぎり、日本が米国から独立しようとする考えはバカげている」 」
→「中国の台頭は、経済面での日中間の共通の利益が増えるはずだから、『日本はもっと米国から独立すべきだ』という意見が日本の中で出ている」が正しい。また、「戦略的」と言っても、日本は米国よりも経済的要素をはるかに重視しているので、米国から見て日米間で戦略的に齟齬がないはずでも、日本から見えると齟齬があることがありうる。ザカリアは全く日本のことが分かっていない。
<かっきい>
 いつも楽しく拝見させて頂いております。かっきいです。太田先生のブログを見始めて4年経ちますが初めてメールします。太田先生も大分有名になったところで質問なんですが、今、江田氏や高橋洋一氏が国民運動と称して「脱官僚」「脱藩官僚」の政党?を組織しておりますが、太田先生はこの運動にどう考えますかね?
 もう政官業癒着体制もウンザリです…、太田先生の「実名告発防衛省」では渡辺喜美元自民党議員の国家公務員法改正には辛らつでしたが、太田センセが加わると安全保障を意識した国民運動になるんでは…と思います。
 どんどんメディアに出て発言するためにも太田センセが加わると面白いなぁと思うんですがいかがでしょうか?
<太田>
 このお三方は、それぞれ何らかの形で、死に体となった後の自民党の延命に力を貸した人々であり、このような人々が反自民的活動をされるに至ったということは、断末魔の自民党から嗅覚の鋭いネズミが逃げ出し始めた、というだけのことだと思っています。
 従って、私は彼らの活動に何の意義もシンパシーも感じません。
 いまだに自民党の広告塔の役割にしがみついている舛添君なんぞよりマシなのかマシじゃないのか、むつかしいところです。
 なお、高橋氏については、政治家ではありませんし、せめて彼の本を一冊くらいは読んでから別途コメントすべきかもしれませんが、お許しを。
<うえやま>
≫私の価値観は、専制は悪で自由は善、しかしアナーキーは悪、機会の平等が追求されるべきで、無抵抗の人間を殺すことは極力避けなければならない、というシンプルなものだ。≪(#コラム3015(等)。太田)
 少し時間ができたため、何か書いて存在証明をしたいなぁといろいろ考えていたんですが、やはりこの点しかありませんでした。太田さんとのコミュニケーションの初めに戻るようですけど、少なくとも私のような立場をとっている人間からすれば、意味のあることのように思うので、少しの間お付き合いいただければと思います。
 この点とは、アナーキー/アナーキズムについてです。太田さんはご存じでしょうが、私の価値観は、とにかく自由は絶対善だ、でしょう。太田さんの言に対比させて言うなら「専制は悪で自由は善、それゆえアナーキーに優る善はない、社会的な倫理を規定するのは市場を含む社会全体であり(個人的には機会の平等が追求されるべきだとは思うが)倫理を押しつける行為には徹底的に抵抗しなければならない、あるいはそれを拒否する権利を与えられなければならない、自衛のため(相手も自分の自由を侵害している/しようとしている)でない限り他人の自由を侵害することは許されない、というシンプルなもの」です。
 自由が善だといっているにも関わらずアナーキーが悪であるというからには、説明が必要ではないでしょうか。アナーキーは自由にはならない、というのであれば、その説明をお願いします。この文脈(田母神問題・歴史認識)でおっしゃったということは、例えば戦争におけるアナーキーな行動であるゲリラあたりを念頭に置いておられたのでしょうか? 私はゲリラは完全に肯定しています。もちろん、ゲリラ戦の舞台にゲリラ部隊とは関係のない住人がいる場合には、その住人たちの自由を侵害するわけですから、了解が必要でしょうけど(そんなこといってられない場合だって、少なくともそれが自衛のためである限り、ちょっとの留保付きで支持するでしょう)。
 最近、戦争やテロの話題がコラムに多くて、正直「国民国家と原理主義宗教のせいで起きてることなんだよなぁ」という感想しかもてないため(私にとっては、国民国家も原理主義宗教も同じような形をした唾棄すべきものに見えます)、こんな話題になりました。ややオフトピなので、暇なときにお付き合いください。私もあんまり急いで返せないかもしれません。
<太田>
 「アナーキーは悪」と申し上げたのは、司法機関(裁判所・検察・警察)や軍隊は必要であるという意味以上でも以下でもありません。考えすぎですよ。
 それとも、司法機関も軍隊もいらないっとおっしゃっているのですか?
 さて、記事の紹介です。
 「・・・オキシトシンは、哺乳類の母子関係や夫婦のきずな形成に関係しているとされるが、・・・愛犬に見つめられると、相手への信頼感やきずなを強める働きのある<この>ホルモン「オキシトシン」が飼い主の体内で増加すること<が>・・・確認<され>た。」
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2009012401000015.html
(1月24日アクセス。以下同じ。)
 「・・・ The ancestors of today’s Polynesians originated in Taiwan around 5,200 years ago, spreading into the Philippines and eastward into the Pacific, according to a study <by> scientists at Auckland University・・・」
http://www.taipeitimes.com/News/taiwan/archives/2009/01/24/2003434546
 フランスのダティ法相が、欧州議会議員選挙に立候補すべく、法相を辞任することになったそうです。残念。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/europe/7847997.stm
 不況に寒さが加わり、米国の異性紹介サイトは空前の大繁盛だそうです。
 不況だと破綻するカップルが増える一方で、安定を求める人も増えることが原因だと考えられているようです。
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2009/01/22/AR2009012201045_pf.html
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太田述正コラム#3054(2009.1.24)
<南北戦争と兵士の仲間意識>
→非公開