太田述正コラム#14545(2024.10.27)
<皆さんとディスカッション(続x6059)/映画評論166:幻滅>

<tikngHmE>(「たった一人の反乱(避難所)」)

 日本の経済成長率はG7トップ、この指標なら
https://mainichi.jp/articles/20240118/org/00m/020/008000d <※>
日本が経済成長出来ないのは、当然と言えば当然なんだよね、労働力が減ってるのだから。日本の生産年齢人口のピークは1995年で、現在、生産年齢人口比率はG20の中で最下位なんだよね。
 日本だけ労働者層が激減して高齢者の割合もトップだから、消費税をゼロにしようが低金利を維持しようが、経済が上昇する見込みなんて本質的にある訳ない。
 中国もあと20年のうちにアメリカを追い抜かないと、もう抜く機会はやって来ない。
 世界の生産年齢人口比率(15歳-64歳) 国別ランキング・推移
https://www.globalnote.jp/post-12027.htm
 韓国・台湾はG20の中でも生産年齢人口割合の高さはトップだから、今が一番いい時期。
 ちなみに韓国の生産年齢人口のピークは2019年。
 この2国が衰退をまぬがれるには、出生率が既に日本より低いので、大量の移民しか道がない。

⇒「・・・1990年から2019年の期間で見ると、・・・生産年齢人口1人当たりGDPでは<日米>両国の差はほとんどなくなり、同じ期間の成長率は日本が1.44%、米国は1.56%だった。それどころか、1998年から2019年までで見ると、日本の成長率のほうがわずかに高かった。世界金融危機の最中だった2008年から新型コロナウイルス禍直前の2019年までの期間では、生産年齢人口1人当たりGDPの成長率は先進7カ国(G7)で日本が最も高かった。・・・」(※)ってところがミソだが、この記事はわざわざ記述を省いてるけど、1990年から現在まで、三分の一世紀もの長期の間の日本の生産年齢人口1人当たりGDPの伸びが米国より低かったんで省いたんだろ。
 誰か検証して欲しいけど、仮にその通りだとすりゃ、それぞ日本の長期停滞と言わずして何なんだってこと。(太田)

<太田>

 安倍問題/防衛費増。↓

 <産経の安倍チャン贔屓は精神障害レベル。↓>
 「・・・韓国経済界の対日接近は、いわゆるビジネスライクではない。・・・
 石破氏<のような>・・・「招待を受けておいて…」の感覚の持ち主はズルズルと相手のペースに引き込まれる。
 韓国の対日すり寄り…日本にとって、良い結果となったことがあるのだろうか。」
https://www.sankei.com/article/20241027-3CDAKYUNRJEJ5I6X4QPXCBYPNU/?outputType=theme_weekly-fuji

 ウクライナ問題。↓

 <初めての団体外国旅行じゃ添乗員が不可欠。だけど、部隊で戦闘に参加するとなりゃ・・。↓>
 「ロシアに投入された北朝鮮“ムキムキ特殊部隊”の致命的すぎる弱点・・・」
https://news.livedoor.com/article/detail/27438506/

 ガザ戦争。↓

 <そうならない方がイランの将来・・体制変革・・のためにはなりそうだが・・。↓>
 Israel says it limited attack on Iran, hoping to ease tensions for now–Tehran was quick to downplay the damage inflicted by the Israeli strikes, although officials said at least four soldiers were killed.・・・
https://www.washingtonpost.com/world/2024/10/26/israel-attacks-iran-retaliation-analysis/
 <だから、ハメネイ師よ、さあ頑張って反撃するのだよ。↓>
 Iran shrugs off Israeli strikes, but says little about attack’s targets–Soon after Israel’s attack, which it said hit 20 military targets and that lasted several hours, life in Iran appeared to return to normal.・・・
https://www.washingtonpost.com/world/2024/10/26/iran-israel-attack-tehran/

 それでは、その他の国内記事の紹介です。↓

 一応、ほんのちょっとだけど、国際ニュースに。↓

 Japan’s new PM in precarious position as country votes in tight election–Shigeru Ishiba may struggle to win majority, undermining his position as Liberal Democratic party leader・・・
https://www.theguardian.com/world/2024/oct/26/japans-new-prime-minister-faces-tight-election
 Japan voting for new leader in shadow of scandals・・・
https://www.bbc.com/news/articles/c8xpev42g78o

 そいつぁ気付かなんだ。↓

 「・・・2月に発表<され>た人口統計で、東京をはじめとする東日本の主要都市における2021年の合計特殊出生率が1.1〜1.2程度だったのに対し、大阪などに代表される西日本の主要都市では1.2〜1.4程度だった・・・。このような「西高東低」の状況は2000年代中期から目立つようになった・・・」
https://www.recordchina.co.jp/b942455-s25-c30-d0193.html

 日・文カルト問題。↓

 なし。

堕落と見るか正常化と見るか?↓

 「ワシントン・ポスト、36年ぶりに大統領選で候補推薦せず…オーナーの「アマゾン」ベゾス氏が判断・・・」
https://www.msn.com/ja-jp/news/world/%E3%83%AF%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B3-%E3%83%9D%E3%82%B9%E3%83%88-%EF%BC%93%EF%BC%96%E5%B9%B4%E3%81%B6%E3%82%8A%E3%81%AB%E5%A4%A7%E7%B5%B1%E9%A0%98%E9%81%B8%E3%81%A7%E5%80%99%E8%A3%9C%E6%8E%A8%E8%96%A6%E3%81%9B%E3%81%9A-%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%8A%E3%83%BC%E3%81%AE-%E3%82%A2%E3%83%9E%E3%82%BE%E3%83%B3-%E3%83%99%E3%82%BE%E3%82%B9%E6%B0%8F%E3%81%8C%E5%88%A4%E6%96%AD/ar-AA1sXJ7d?ocid=msedgntp&pc=U531&cvid=ae1a78d2b6aa43d0b620a3dece24d9d0&ei=11

 ことあらためて言う必要もないが、起業し成功するためには修士号などいらないってこと。
 (不法就労かどうかはさておき・・。)↓

 「マスク氏、過去に不法就労 留学生資格で起業、報道・・・」
https://news.yahoo.co.jp/articles/256289fc3d2e9a394e4c6cce746ff90477a2e747
 「ペンシルベニア大学・・・で経済学と物理学の学士を取得する。・・・
 1995年に高エネルギー物理学を学ぶためスタンフォード大学の大学院へ進学する。電気自動車用のバッテリーを作るためだったが、インターネットの勃興によって方針を転換する。・・・
 1995年、マスクは大学院を休学して弟のキンバルとグレッグ・クーリの3人でZip2を設立した・・・」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%BC%E3%83%AD%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%9E%E3%82%B9%E3%82%AF

 記事は途中までしか読めないが、グラフが興味深い。
 米国で所得が、アジア系>大卒以上の白人女性>黒人>ヒスパニック>(高卒以下の白人、ということが分かる。
 白人全体についても知りたいところだが、アジア系>白人、である可能性が大だ。
 だとすると、まさに平均IQの序列と同じだな。↓
https://www.nytimes.com/interactive/2024/10/26/upshot/census-relative-income.html

 中共官民の日本礼賛(日本文明総体継受)記事群だ。↓

 <邦語媒体より。
 総体継受の成果てきめん。↓>
 「日本に行くと「いい人」になる……中国人男性の感想・・・
 中国のネットユーザーからは「知小礼無大義(小さな礼儀は知っているが大義がない。日本を揶揄する時によく用いられる言葉)」など一部批判的な声はあるものの、「(日本は)アジアの素養のトップ」「(日本は)社会管理コストが低くて済む」「秦の制度(中央集権制)における金持ち(権力者)への寛容と一般人への厳しさは想像を絶する」「実際、わが国の地方政府もそんなに厳しくしなくてもいいと思う」といった声が多く上がった。
 また、「日本は明治からすでに全国民への教育が始まり、われわれが民国の時代には基本的な素養教育が行き渡っていた。これが差というものだ。これからわれわれも良くなるだろうが」とのコメントや、「どこの国の人だろうと、十分な尊重を受けられれば尊厳と自由のある生活ができる。尊厳と自由は、この世界で最も価値があるものではないだろうか」とのコメントも寄せられている。・・・中国のSNS・微博(ウェイボー)・・・」
https://www.msn.com/ja-jp/news/opinion/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AB%E8%A1%8C%E3%81%8F%E3%81%A8-%E3%81%84%E3%81%84%E4%BA%BA-%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%82%8B-%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E4%BA%BA%E7%94%B7%E6%80%A7%E3%81%AE%E6%84%9F%E6%83%B3%E3%81%AB%E5%85%B1%E6%84%9F-%E3%81%93%E3%82%8C%E3%81%8C%E5%B7%AE%E3%81%A8%E3%81%84%E3%81%86%E3%82%82%E3%81%AE/ar-AA1sXOYv?ocid=msedgntp&pc=U531&cvid=6cc8dc55013d449fb1c2ed75aecace37&ei=15
 <ここからは、レコードチャイナより。
 驚いているようじゃ、まだまだ総体継受の継続が必要。↓>
 「・・・台湾メディアのTVBS新聞網・・・記事は、「日本を旅行した多くの人が日本人の秩序や礼儀正しさに驚く」とした上で、中国のSNS・小紅書(RED)に投稿された「日本で衝撃を受けたこと」と題する文章を紹介した。それによると、日本旅行から帰ったばかりだという投稿主の女性は、ホテルの部屋に戻ろうとエレベーターに乗った時、先にエレベーターを降りた人が、降り際に「閉まる」ボタンを押して行ったと報告した。・・・」
https://www.recordchina.co.jp/b942720-s25-c30-d0052.html
 <こんな調子じゃ・・以下同文。↓>
 「・・・日本華僑報網は「穴のある所に必ず中国人?」と題し、中国人観光客が日本で簡単に運転免許証を取れてしまう問題について紹介する文章を掲載した。・・・」

https://www.recordchina.co.jp/b942692-s25-c30-d0193.html

                    --映画評論166:幻滅>--

 今度の幻滅(原題:Illusions perdues、英題:Lost Illusions)は、「19世紀フランスの文豪オノレ・ド・バルザックの小説「幻滅 メディア戦記」<(1843年)>を、「偉大なるマルグリット」のグザビエ・ジャノリ監督が映画化。
 19世紀前半。フランスでは恐怖政治が終焉を迎え、宮廷貴族たちが自由と享楽的な生活を謳歌していた。詩人としての成功を夢見る田舎町の純朴な青年リュシアンは、貴族の人妻ルイーズとパリへ駆け落ちするが、世間知らずで無作法な彼は社交界で笑いものにされてしまう。生活のため新聞記者の仕事に就いた彼は、金のために魂を売る同僚たちに影響され、当初の目的を忘れて虚飾と快楽にまみれた世界へと堕落していく。」
https://eiga.com/movie/95608/
https://en.wikipedia.org/wiki/Lost_Illusions_(2021_film)
 フランス革命を経てナポレオンも去った後のフランスで、なお、貴族がいかにのさばっていたか、いかにみんなが貴族になりたいと思っていたか、が、よーく分かる映画。
 監督に文句を言いたいのは、どちらもリュシアンの恋人であるところの、ルイーズ役を演じた女優も俳優役を演じた女優も、国際女優相場の美人ではないことだ。
 もっとも、「バルザックの小説執筆スタイルは以下のようなものであった。まずコーヒーを牛飲し、主として夜間に長時間にわたって、何回も推敲を繰り返しながら執筆した。執筆が終わると、疲れをおしてすぐに社交界に顔を出した。小説を書いている以外の時間は、社交界でご馳走をたらふく食べるか、知人と楽しく過ごすかのいずれかに費やされた。もはや伝説になっているバルザックの大食いは、(糖尿病が原因と思われる)晩年の失明や、死因となった腹膜炎を引き起こしたと思われる。借金も豪放、食事も豪胆であった。事業の失敗や贅沢な生活のためにバルザックがつくった莫大な借金は、ついに彼自身によって清算されることはなく、晩年に結婚したポーランド貴族の未亡人ハンスカ伯爵夫人の巨額の財産がその損失補填にあてられた。」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%8E%E3%83%AC%E3%83%BB%E3%83%89%E3%83%BB%E3%83%90%E3%83%AB%E3%82%B6%E3%83%83%E3%82%AF ※
という、この映画の原作を書いたオノレ・ド・バルザック(1799~1850年)の生き様は、「ド・バルザックの「ド」<が>貴族を気取った自称である」ことを含め、リュシアンのそれと完全に一致しており、ハンスカ(Ewelina Hańska)が、その肖像画からすると大した美人ではなかった
https://en.wikipedia.org/wiki/Ewelina_Ha%C5%84ska
以上、この小説/映画のルイーズ他1名を飛び切りの美人にするわけにはいかなかったということではなかろうか。
 まことにもって、「写実的小説」(※)/映画、であることよ。
 だから、(バルザック自身のセックスもそんな感じであったに違いないし、)やはり、致し方ないのだろうが、欧米映画のほぼ全てと同様のセックス・シーンの「写実的」粗野さに、我々視聴者、とりわけ我々日本人視聴者は、不快に思いつつひたすら耐えるしかないのだろう。

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太田述正コラム#14546(2024.10.27)
<G・クラーク『ユニークな日本人』を読む(その16)>

→非公開