太田述正コラム#14589(2024.11.18)
<皆さんとディスカッション(続x6081)/映画評論188:母の聖戦>

<uTyeLV2Y>(「たった一人の反乱(避難所)」より)

 「旧紀年体から新紀年体へ・・・」
https://youtube.com/watch?v=nAWnupNqAe0&si=GulWIduvAhm2AY_k
 これは、自分のような門外漢にも分かり易いね。
 日本の歴史家達は、編年体で書かれた「春秋」を参考にして仮の史書を作り、その後に約900年を付け足したのですね。
 そこから考えると神武天皇の即位はAD301年となる。この301年は、近年、出版された<高木從人氏の>「新日本書紀」でも同じですね。<高木氏の方は、>どうやら太田さんの母校の後輩らしいです。
https://www.amazon.co.jp/%E6%96%B0%E6%97%A5%E6%9C%AC%E6%9B%B8%E7%B4%80-%E4%B8%80-%E9%AB%98%E6%9C%A8%E5%BE%9E%E4%BA%BA-ebook/dp/B00Y4XRN6S

⇒Youtubeの主は高木氏じゃなく伊藤って人なんですね。
 で、お示しの伊藤氏のYoutube動画、と、同じく伊藤氏による下掲の動画、を、視聴しました。↓
 「卑弥呼が『日本書紀』に登場しない本当の理由!【日本書紀の界隈031】・・・」
https://www.youtube.com/watch?v=1bx61VW7VeI ※
 でも、同書における歴代天皇の無事績年は、単に史料や伝承がなかっただけが理由かもしれませんよ。
 それに、「通説」の神武即位BC180年説だって、呉と越の滅亡(それぞれ、BC306、BC266)を受けて呉や越の君民が朝鮮半島南部を経て日本列島にやってきて、更に日本を統一したと考えれば、もっともらしい年号である以上バカにはできますまい。
 また、「日本に暦が伝わったのは古墳時代から飛鳥時代にかけてで」あるとされているところ、
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B9%B2%E6%94%AF
伊藤氏は、干支による暦が日本で用いられるようになったのはそれからだ、としているけれど、日本が自分で暦を作れるようになったのはそれからだと解するべきであって、支那の、干支による暦、自身は、例えば、呉/越の君民が携えて、(かつ爾後の最新版を朝鮮半島経由で輸入できるようにした上で、)日本列島にまで来ていた可能性があり、そういった時から干支による暦が日本の少なくとも支配層の間では使われていた、と見る方が自然でしょう。
 また、伊藤氏は、上出の※で、実在する卑弥呼をもとに日本書紀編纂者によってでっち上げられたのが神功皇后であるところ、編纂者はホンネでは卑弥呼を天照大神になぞらえた、としているところ、以上申し上げたことを踏まえれば、これもやはり、「有力説」の卑弥呼=神功皇后、説、でよろしいってことになりそうです。
 なお、伊藤氏は、邪馬台国は(現在の)熊本県にあったという説のようですが、同地から弥生時代の鉄器が最も出土している
https://www.mapple.net/articles/bk/21173/
ことからすると、シリーズ(未公開)で取り上げたばかりの中田力氏の(現在の)宮崎県説よりは、よっぽどスジはいいですね。(太田)

<pQCEMxPA>(同上)

 「兵庫県知事選、斎藤氏が再選確実 出直し選で返り咲き SNS活用し稲村氏に競り勝つ・・・」
https://news.yahoo.co.jp/articles/d864543219e86892209c4337bd11056b8090aa6d
 おめでとさん斉藤さん。奇異な県民には奇異な知事。

⇒「兵庫県知事選挙 斎藤元彦前知事が110万票超を獲得して2度目の当選 稲村氏は97万票・・・」
https://news.yahoo.co.jp/articles/0bac09d2422184393e9c61cd25a349dab9d8e176
 「宮根誠司 斎藤元彦前知事〝旋風〟に顔こわばる「大手メディアのある意味、敗北ですよ」・・・」
https://news.yahoo.co.jp/articles/b993b788e715e4e970b869e5aff6a4ef02a5d8f1
 「橋下徹氏 斎藤元彦氏再選も「権力者として不適格と主張し続ける」・・・」
https://news.yahoo.co.jp/articles/c0ab380d58dba3f9b199b6052347f1c740cad84d
と並べると既視感を覚えないか?
 そう、兵庫県知事選で起こったことは、米国の大統領選で起こったことと同じだってこと。
 (日米の大手メディアの質の圧倒的な差には本件に関しては目を瞑ることにしてもよかろう。)
 民主主義が機能したんだよ。
 機能すると何が起こるか。
 あえてストレートに言うが、非選良たる大衆の思い込みが政治を規定するんだよね。
 そんなの絶対嫌だからこそ、プラトンやアリストテレスはもちろん、アングロサクソンだって、反民主主義だったんだよな。(太田)

<太田>

 安倍問題/防衛費増。↓

 <安保・外交の基本、要は主権、を放擲しちまってんで、論議に決着をつける規準が戦後日本にはないのよね。↓>
 「・・・リベラル、保守問わず党派性の違いによる亀裂はもはや修復不能としか言いようがない状況になっている。 党派性が程度の低い”論破”を呼び寄せる。政治的な立場を問わず論客たちがインターネットを主戦場にして、いかに相手の主張がおかしく、”私たち”が正しいか、”私たち”の正論を主張する場面をたびたび目にするようになった。そこに多くの人々が吸い寄せられるようにして、何かを叩き続ける。今の極北は信念もなくただその場で勝てばいいという態度の横行だ。・・・」
https://news.yahoo.co.jp/articles/5b759f726659b77fd3275f8be6c1ea8c187117bb
https://gendai.media/articles/-/141632?utm_source=yahoonews&utm_medium=related&utm_campaign=link&utm_content=related

 ウクライナ問題。↓

 <遅いぞ!↓>
 「ウクライナのロシア領攻撃、米国が長距離兵器の使用容認・・・」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN1800K0Y4A111C2000000/
 <よろしい。↓>
 「戦況はロシア軍優勢に見えるも、ロシア経済はすでに破綻寸前・・・」
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/84437?utm_source=editor&utm_medium=mail&utm_campaign=link&utm_content=list

 ガザ戦争。↓

 <着々。↓>
 Top Hezbollah spokesman killed; Israeli attack kills 70 in north Gaza・・・
https://www.washingtonpost.com/world/2024/11/17/israel-war-news-hamas-gaza-palestine/

 それでは、その他の国内記事の紹介です。↓

 なし。

 日・文カルト問題。↓

 <はいはい、よかったね。↓>
 「日帝が壊した門、われわれがよみがえらせた門–過去2年間閉ざされていた北神門、ついに市民に開放される–小さな門に過ぎないが、韓国現代史の奇跡が詰まっている・・・」
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2024/11/11/2024111180008.html
 <韓国側に参入障壁があるってんだが・・。↓>
 「韓日青年、労働市場の相互進入簡単にしよう・・・」
https://japanese.joins.com/JArticle/326317

 ちゃう。
 日本文明の下で人間の本来の姿を取り戻せば「戦争の終焉へ向けて歩み出すことができる!」だよ。↓

 「・・・アインシュタインは「人間を戦争というくびきから解き放つことはできるのか?」というテーマを選び、フロイトに問いかけた。この問いに対して、エロス的欲動と破壊欲動に関する議論を展開した後、フロイトが導き出したのは次のような結論である。 「人間から攻撃的な性質を取り除くなど、できそうにもない!」 身も蓋もない結論で、暗澹たる気持ちになる。これでは答えにならないと思ったのか、フロイトは次のような言葉で結んでいる。 「文化の発展を促せば、戦争の終焉ヘ向けて歩み出すことができる!」 ・・・」
https://news.yahoo.co.jp/articles/6effec56adb71b2be9b3d8a9f1b6f7112ead2d8b
 <これはもっともらしいな。↓>
 「・・・精神分析で「攻撃者との同一視」と呼ばれるメカニズムが働く・・・。これは、自分の胸中に不安や恐怖、怒りや無力感などをかき立てた人物の攻撃を模倣して、屈辱的な体験を乗り越えようとする防衛メカニズムである。・・・」
https://gendai.media/articles/-/124988?utm_source=yahoonews&utm_medium=related&utm_campaign=link&utm_content=related

 中共官民の日本礼賛(日本文明総体継受)記事群だ。↓

 <健闘を祈る。↓>
 「<サッカー>中国代表FW「日本に再び0-7で敗れることはない」・・・中国国営中央テレビ(CCTV)のサッカー番組のインタビュー・・・」

https://www.recordchina.co.jp/b944037-s25-c50-d0192.html

<太田>

一 上腕式血圧計

 本日10:30頃にようやく到着。
 簡単に設定できすぐ使った。

二 全自動洗濯機

 だんだん乾かない度合いが深刻に・・。

              --映画評論188:母の聖戦--

 「母の聖戦<(La Civil)は、>誘拐ビジネスが横行するメキシコを舞台に、我が子を取り戻すべく奔走する母親の姿を、実話をもとに描いた社会派ドラマ。」
https://eiga.com/movie/95802/
 「『母の聖戦』たった1人でカルテルに挑んだ母にはモデルがいた!・・・」
https://www.cinemacafe.net/article/2023/01/10/82861.html ◎
 ↑で紹介されているモデルの実話を読んで欲しいが、いかにメキシコが犯罪の巣窟か、警察が軍隊もどきの、しかも犯罪組織的な言動を行う存在になってしまっている、というか、ならざるをえない、危険に満ちた社会であるか、に改めて戦慄を覚えさせられた。
 この映画を見てからだけでも、下掲のように、メキシコの惨状を紹介する2つの記事に接した。↓

 After a Mayor’s Beheading, Mexican Authorities Arrest His Top Security Official–Mayor Alejandro Arcos Catalán was killed less than a week after taking office in Chilpancingo. On Tuesday, the authorities arrested the city’s public security minister in connection with his death.・・・
https://www.nytimes.com/2024/11/13/world/americas/chilpancingo-mayor-beheaded-mexico-arrest.html
 How a U.S. drug arrest made Mexico more violent–The capture of Ismael “El Mayo” Zambada has ignited an all-out battle for control of the Sinaloa cartel, one of the world’s most famous drug gangs.・・・
https://www.washingtonpost.com/world/2024/11/16/mexico-sinaloa-cartel-power-struggle/

 モデルになった女性のミリアムもまた、(映画では描かれないが、)「面目をつぶされた組織により、最後の犯人を捕まえた数週間後の2017年の母の日に、・・・自宅前で十数発もの銃撃を受け殺された。<彼女>が立ち上げた行方不明者の家族を支援する団体は彼女の息子が引き継ぎ、現在も活動が続けられている。」(◎)
 ご冥福をお祈りすると共に、女性で初めてメキシコ大統領となったクラウディア・シェインバウム女史
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%82%AD%E3%82%B7%E3%82%B3%E3%81%AE%E5%A4%A7%E7%B5%B1%E9%A0%98
の奮闘に期待しエールを送りたい。