太田述正コラム#3137(2009.3.7)
<皆さんとディスカッション(続x418)>
<びり江>
≫ジェンダーに関する質問・・・≪(コラム#3135。太田)
 私ごときの性別やHNの由来等お気になさらずとも。
<太田>
 太田コラムの長期にわたる継続的投稿者たる女性の出現を待望しているので、少なくとも最初のうちは、女性なら手加減させていただくことにしているのですが、そういうことなら、今後はあなたは男性だとみなすことにしましょう。
<びり江>
≫じゃどうすりゃよかったんですか。≪(同上)
 髪を乱し服を汚しながらと船員達と一緒になって赤の他人をボートに乗せてやりゃ良かったんじゃないでしょうか。
 それとも紳士的行為の適用範囲は身内だけなのかな?
他人に対する施しは精々通りすがりにコインを投げてやる程度のものなのかも。
<太田>
 私の訳であるところの、「<英国の>女性達がその夫達が彼女達を救命ボートに乗せてくれたと語った記録がたくさんある」でも、その原文であるところの、・・・there were a lot of statements from women saying their husbands put them on lifeboats. ・・・ のどっちでもいいんだけど、この「夫達」が、集合体としての夫たる男性を指すのか、個々の女性の夫の集合体なのか、この文章だけで決することは困難です。
 結局のところ、私がコラム#3135で典拠として用いた記事のテーマは、「英国の文化は紳士的態度をより重視するものだった」であるわけですから、「紳士的態度」とは何か、についてのあなたの認識が後者の解釈をとらしめた、ということになります。
 ところが、「紳士的態度」とは、そもそも、
 ・・・being a gentleman means treating others, especially women, in a respectful manner, and not taking advantage or pushing others into doing things they choose not to do.・・・
http://en.wikipedia.org/wiki/Gentleman
ということであり、ここには、「紳士的態度(being a gentleman)」に自分の妻や家族をとりわけ大切にする、といったケチな含意などないことが分かります。というか、そんなの常識でしょうが。
 よって冒頭の文章については、前者の解釈をとるべきだということになります。
 つまり、男性達は(自分の妻を含む)女性達を救命ボートに乗せ、自分達は従容と死の訪れるのを待った、という趣旨に受け止めるべきだ、ということになるわけです。
 紳士ではないことがバレた男性のびり江君、分かったかい。
<びり江>
 それから志士さんのお話ですが、日本の武士道と英国の騎士道とは結構違うんじゃないかなあ。
 もし日本にランスロットみたいな武士がいたら斬首、晒し首の上お家断絶、親族一同も処罰されてろくに供養も許されないでしょう。
 稀代の悪人として現代に流布しているはずです。
<太田>
 イギリスのことがてんで分かっていなさそうなびり江君が、アーサー王の円卓の騎士の筆頭のランスロット(Lancelot)を持ち出すなんて噴飯ものです。
 第一、こんな時は典拠をつけるのが太田コラムに投稿する際のルールであることぐらいは知ってるでしょうが。ま、紳士じゃない人に何言ってもムダか。
 以下は、一般読者のためのものです。
 アーサー王伝説自身が、(サクソン人の侵攻と戦った)ブリトン人についての伝説であり、「イギリス(アングロサクソン)」の伝説とは言えない(コラム#461、462)
http://en.wikipedia.org/wiki/Arthurian_legend
・・「英国」の伝説であるとは言えるかもしれない・・上に、ランスロットに至っては、フランス人のクレティアン・ドゥ・トロイ(Chretien de Troyes) が12世紀に’ Le Chevalier de la Charette’ を書いてアーサー王伝説に新たに付け加えた物語
http://en.wikipedia.org/wiki/Lancelot
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%83%AD%E3%83%83%E3%83%88
であり、ランスロットは純粋な(、すなわち、イギリスに対置されるところの)「欧州」の騎士像の一つの典型であると考えるべきでしょう。
 私はイギリスに封建時代はなかったとかねてから指摘しています(コラム#省略)。ですから、騎士もまたいなかったのです。じゃなんでKnight爵があるんだって?
 11世紀のノルマン人による征服によって、若干封建制的なものがイギリスに導入された名残ですよ。
 イギリス人の英雄は、アーサー王でも、いわんやランスロットでもなく、ノルマン領主と戦ったロビン・フッド(Robin Hood)
http://en.wikipedia.org/wiki/Robin_Hood
でさあ。
 ロビン・フッド伝説については、いずれとりあげなきゃいけませんね。
<おーつか>
 <志士さんが言及した>C.W.ニコル氏はウェールズ出身で、「本人の言によれば「ケルト系」の日本人」。
 「母親はイングランドに憧れるウェールズ人。母方の祖父である元炭鉱労働者のジョージ・ライスを尊敬している。
 ニコルによると、ライス家はケルト化したノルマン系の家系だという。幼い頃に、やはりノルマン系イングランド人の軍人であった実の父親を亡くし(日本陸軍によってシンガポールで処刑された)、母親とイングランド東南部のイプスウィッチに住んでいた。
 後に母の再婚相手である、スコットランドのスカイ島生まれでユーモアに溢れた素敵な海軍士官ジェームス・ネルソン・ニコルの養子となってニコル姓(ニコル家もやはりケルト化したノルマン系という)となる」
だそうですよ。
http://ja.wikipedia.org/wiki/C・W・ニコル
 ちなみに、空手協会七段の腕前でもあるそうな。
<太田>
 どうも情報提供ありがとうございました。
 ノルマン人は欧州化していましたから、欧州の「騎士道」精神を身につけていました。その子孫だってこの精神の痕跡を残しているってことは大いにありえますね。
 
<αζβ>(http://society6.2ch.net/test/read.cgi/mass/1196337365/l50x
http://72.14.235.132/search?q=cache:fpbQDd6iMwkJ:news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4076545.html+%22%E6%99%AE%E9%80%9A%E7%8C%AE%E9%87%91%E3%81%AE%E5%A0%B4%E5%90%88%E3%81%AF%22&hl=ja&ct=clnk&cd=1
グーグルのキャッシュだが、一応<コラム#3135での私の>のリンク先が見られない人のために。
金曜日の朝のNHKで、見つかった請求書は、民主党支部から西松あてのものだった、とのこと。
物証は消えちゃったのか? 今では読売だけが「請求書」と言っている。
巨額献金の枠組み決定逮捕秘書の前任者か
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2009030602000258.html
「西松建設の巨額献金事件で年間2500万円を寄付する枠組みを西松側と話し合って決めたとされるのは、逮捕された公設第一秘書大久保隆規容疑者の前任秘書だった可能性の高いことが関係者の話で分かった。
関係者によると、西松側は元秘書らと話し合い「新政治問題研究会」(95年設立)などダミーの政治団体を使って献金する枠組みを考案したという。
元秘書は1980年から小沢代表の秘書を務めた。2000年に衆院議員となったものの03年の総選挙には出馬していない。
陸山会の会計責任者を引き継いだのが、大久保容疑者だった。
元秘書は本紙の取材に「小沢や大久保のことで話を聞きたいなら一切お答えするつもりはない」としている。」
↑・・・どう考えても次回総選挙で自民党公認により・・・出馬する○○だな。
<太田>
 漆間官房副長官(事務)
http://www.asahi.com/politics/update/0306/TKY200903060342.html
、請求書があったと言ってるようですね。
 「・・・五日の政府高官発言。高官は「(小沢氏の場合)西松建設への請求書があった」とし、捜査が自民党議員に波及しないとの見通しを語った・・・」
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2009030790070304.html
<moshika>
 コラム#3052「オバマの就任演説(続)」<を読みました。>
 天皇のハワイ訪問、オバマ大統領の広島・長崎訪問?
http://news.livedoor.com/article/detail/4042660/
もオバマ効果ですか?
 核廃絶論者のオバマ(太田コラム#2105)率いる米国の核削減政策は、ロシアの同調を前提としたもののようですが(太田コラム#3109)、先般のヒラリー・ラブロフ会談はその先駆けとなるでしょうか?
http://www.asahi.com/international/update/0307/TKY200903070028.html
<太田>
 前者については、恐らくオバマ新政権側のイニシアティブによる動きでしょう。
 後者については、終着点は気が遠くなるほど遠くではあるものの、その終着点に向けての重要な第一歩・・レーガン米大統領とゴルバチョフの時の米ソ核削減合意が第一歩だったととらえれば、第二歩・・であると言えるでしょう。
 記事の紹介です。
 まずは、小沢秘書逮捕事件について。
 「・・・ 岡田と前原は8~13日まで、党内の喧噪(けんそう)を避けるかのように東南アジア諸国を訪問する。小沢と距離を置く中堅は「動きが出れば岡田、前原に緊急帰国してもらう。当然、彼らもわかっている」と語る。
 「小沢ありき」だった民主党の政権構想は崩れようとしている。」
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/090307/stt0903070104001-n1.htm
→繰り返します。民主党の議員諸君、岡田も前原も、絶対に再び代表にしちゃダメだからね!(太田)
 「・・・政治資金規正法は、企業が1年間に献金できる金額に限度額を定めている。資本金が多いほど限度額も高く、西松建設(資本金約235億円)は4500万円。政治団体にはこうした制限はない。 捜査関係者らによると、西松建設は95年ごろ、大久保容疑者の前任者の元秘書から政治献金の増額を要求された。小沢氏以外にも多くの国会議員や政党に幅広く政治献金を行っており、増額すると限度額を上回るため、前社長、国沢幹雄容疑者(70)の発案で同じ年に新政治問題研究会、98年に未来産業研究会を設立、2団体を介した政治献金を実行した。・・・」
http://mainichi.jp/select/today/news/20090307k0000m040142000c.html
→やっぱ、少なくとも小沢サイドと西松の共同企画だったってことのようですね。(太田)
 「・・・西松建設元役員の一人は、胆沢ダム関連工事について「献金のおかげではなく、業者間の調整で落とした。『金を使ってでも工事を取る』という発想は、(国沢容疑者のような)事務屋のもの。民間同士の協議に政治家への金が絡むとおかしくなる」と献金の効果を否定しており、 国沢容疑者らとの認識のずれも浮かび上がっている。・・・」
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20090307k0000m040143000c.html
→こういう雑音が奏でられるのは常のことですが、いずれにせよ、純粋な民民談合と言えども、官の黙認か、場合によっては、予定価格の漏洩がないと、続けるのは不可能に近い。地方整備局の責任は免れません。(太田)
 日本の現状についてのファイナンシャルタイムスの数日前の記事、本日発見したけれど、なかなか面白い。
http://www.ft.com/cms/s/0/bb19e224-08f0-11de-b8b0-0000779fd2ac.html
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
太田述正コラム#3138(2009.3.7)
<琉球新報記者による取材>
→非公開