太田述正コラム#3143(2009.3.10)
<皆さんとディスカッション(続x421)>
<コバ>
http://www.guardian.co.uk/business/2008/jun/02/japan.japan
 高齢化や人口縮小が加速している日本が、その痛みを軽減して生活水準を維持、向上させるためには、日本が米国から独立を果たし、移民受け入れを真剣に議論していかなければならないのだと思います。
 昨日<太田さんが引用した記事ですが、>・・・朝日新聞には、中国人生徒たちが国公立大医学部、難関大学への進学実績に貢献している暁星国際高校が1面で記事にされていました。中国人、朝鮮人のお医者さんがどんどん増えるのはもうすぐそこにある未来です。
 自分は非正規労働者なので、移民に単純労働の仕事が奪われる心配があるのですが、きつくて給料が安い仕事であっても労働力が供給されなくなって立ち行かなくなれば、社会に深刻なダメージを与えかねません。
 金太郎飴的社会の日本から出たことがないので、細切れ契約などでない安定した仕事をしたいなと常々考えていますが、アングロサクソン社会で庶民の労働者はどんなワークライフでどんな考えしてるんだろうかと悶々とする毎日です。
 また、不法滞在のフィリピン人一家の問題
http://www.sponichi.co.jp/society/flash/KFullFlash20090309050.html
も、日本が米国から独立しようとせず、ガバナンスが喪失された日本のいびつさが顕在化したものだと思います。
 同情はできるけど、でも不法滞在だし…と法律も全く知らないので愚か者なので貝になってしまいたくなります。
 植民地根性、ダメ縄文人根性が身に染み付いてると、ネガティブなことばかり頭にいっぱいになってしまうようです。
<太田>
 冒頭にお掲げになったガーディアンの日本経済賞賛記事は、あなたの投稿内容に照らすとかなり場違いな感じですが、それはともかく、本日転載できた唯一の投稿をどうもありがとうございました。
 さて、2007年から2008年にかけて、社会民主党の機関紙の社会新報は、何度も私をとりあげてくれたところです。
 この社会新報の記者をやっておられたのが田中稔(田中みのる)氏です。
 このたび、田中氏が、野田峯雄氏と共著で『「憂国」と「腐敗」–日米防衛利権の構造』(第三書館)を上梓され、私にこの本を送ってこられました。
 415頁にもなる大著なので、申し訳ないけれど、斜め読みにもならないくらいのはしょり読みをしました。
 これがどのような本であるかは、そのタイトルの説明になっているところの、「・・・明確に押さえておきたいのは「田母神俊雄の高揚」が「守屋武昌の腐敗」とワンセットの形で発生している点である・・・憂国の高揚に裏打ちされた腐敗・・・」(同書32頁)という箇所から想像がつくことでしょう。
 ただし、ここでは、公明党/創価学会関係者に言及されている箇所と、守屋前防衛事務次官夫妻と宮崎元伸との関係に言及されている箇所だけをご紹介することにしました。
 東祥三については、何度もとりあげた(コラム#2146(注)、2149、2160、2179)のではしょりましたし、それ以外で、コラム#2146とだぶる部分もはしょりました。
 (注)コラム#2146を本日(2009年3月10日)公開したのは、小沢の不祥事が明るみに出たというこのタイミングにおいて、コラム#2146に書いた公明党/創価学会がらみの話がこの本の中にすべて出てくることを確認したからだ。
 「・・・公明党中央幹事の赤松正雄(衆院議員)は、軍備のいっそうの拡張や海外派兵や改憲などを叫ぶ安全保障議員協議会の常任理事(会長=瓦力もと防衛長官、事務局長=秋山直紀)、巨額MDビジネスを中心に据えた日米間の軍需利権の拡大にいそしむ社団法人日米平和・文化交流協会(秋山直紀常勤専務理事)の理事で、西岡喬木三菱重工会長(07年4月から相談役)や宮崎元伸山田洋行専務(06年、山田洋行退職により米津社長と交代)など軍需企業関係者たちと仲良く顔を並べていた。・・・
 創価学会青年部長など学会幹部を歴任し公明党衆議院議員になった佐藤茂樹(公明党政務調査会の外交安全保障調査会事務局長)・・・は<山田洋行=防衛省の>事件発生の少し前(07年初夏)、安全保障議員協議会の事務総長に就任した。・・・このとき、赤松正雄が常任理事を重任、遠藤乙彦(公明党中央幹事)と田端正廣(公明党安全保障部会副部会長)が新しく常任理事に就<い>・・・ている。
 ・・・佐藤茂樹は、・・・事件捜査のさなかの11月初旬、まるで同捜査をあざ笑うかのように開催した第10回日米安全保障戦略会議にも、赤松正雄たちは尻込みしてしまったけれど、平然と出席した。」(128~130頁)
→自民党のご相伴に預かり、(ご相伴にまだ預かっていないはずの民主党の前原同様、)公明党もすっかり汚染されてしまっているって感じですね。(太田)
 「・・・おねだり妻こと守屋夫人の幸子は宮崎にたかってゴルフ接待や飲食接待を受け続け<た。>・・・でもね、と政界関係者が話す。「守屋は車を運転しません。だから女房が運転手をしていた。・・・そういうことも考えてあげなくてはいけない・・・。」・・・そのとき「奥さんもごいっしょにどうですか」という流れになっても不思議ではない。・・・幸子は宮崎を・・・あくまでも夫を介してだろうが、若いころからの友人だと思っている。としたらゴルフ接待やプレゼントを賄賂なんかではなく「親切な友人の心づかい」などと受け止めていたとしてもけっして不思議ではない。ましてや彼女が”接待頻度”とか”金額”をあまりはっきりと意識できない、のほほんとした性格ならなおさらのこと。・・・「・・・私の息子が高校に行かないことやサラ金の問題について宮崎さんに相談に乗ってもらいました。・・・妻が依頼し、夜の10時とか11時に(帰ってきた守屋の)息子をつかまえてさとしたり殴り合いまでしてくれました。・・・」<と守屋は公判で証言した。>」(84、144、147、246頁)
→松本さん(幸子の旧姓)、防衛庁装備局管理課(当時)の局長秘書だった頃のまんまだね。守屋よお、お前は入庁後、初めて配属されたこの管理課員時代に彼女を見初めたわけだけど、夫婦とは何か、人生における幸せとは何か、など、改めて色々考えさせられるねえ。(太田)
 では、小沢秘書逮捕事件がらみの記事の紹介から始めます。
 「・・・西松建設は、ダミーの政治団体「新政治問題研究会」を設立した95年ごろから小沢代表側に献金を開始。元秘書は、献金総額を年2500万円と決めたうえ、陸山会や小沢代表が代表を務める政党支部に割り振っていたという。
 ゼネコン関係者らによると、各ゼネコンの東北支店や支社が東北6県の大型公共工事の入札前に受注調整する中で、その仕切り役の大手ゼネコンの元幹部から「小沢事務所が望んでいる受注業者名」が明かされることがあった。元幹部は、小沢事務所側との交渉を一手に引き受けていたとされ、01年前後までこの元秘書とよく相談していたという。
 大久保秘書が、元秘書の後任含みでゼネコン各社との交渉窓口になったのは00年ごろからとされ、この前後に西松建設との交渉役なども受け継いだとされる。実際、大久保秘書にも、業者から工事の受注希望を伝えられることがあったとされ、元秘書と同じようにゼネコン側の談合組織との調整役も引き継いでいた疑いがあるとみられている。・・・
http://www.asahi.com/national/update/0309/TKY200903090343.html
 「・・・西松建設の違法献金事件をめぐり、約20年にわたって小沢一郎・民主党代表の秘書を務めた元衆院議員の高橋嘉信氏が9日、岩手県奥州市内で演説し、「微動だにすることは何一つない」と事件への関与を全面的に否定した。
 高橋氏は80年から小沢代表の秘書を務め、00年の衆院選で比例区の東北ブロックで当時の自由党から出馬し、初当選。次期衆院選では「小沢先生に挑戦する」とし、岩手4区から自民党公認で立候補予定だ。・・・」
http://www.asahi.com/national/update/0310/TKY200903100003.html
→元秘書の素性が完全に明らかになりましたね。(太田)
 「・・・西松は小沢氏側に、政治団体を通じた献金と、子会社を通じて政党支部への企業献金、下請けを通じて政党支部への献金の3ルートがあることが判明していたが、3ルート目には企業献金のほかに、個人献金を装った手口があったことが新たに判明した。・・・」
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/090310/crm0903100130002-n1.htm
→4つの手口とはね! 振り込み詐欺犯と悪知恵でいい勝負ですね。(太田)
 「・・・準大手ゼネコン「西松建設」(東京都港区)が2006年以降、銀行のATM(現金自動預け払い機)から実在の社員や家族ら計60人の名義で、毎年300万円を二階俊博・経済産業相が代表を務める政党支部の口座に直接振り込んでいたことが、同社関係者の話で分かった。
 一人につき5万円ずつ、すべて現金で振り込まれ、社員らは無断で名前を使われていた。西松建設の名前を隠すため、企業献金を個人献金に偽装したもので、他人名義の献金を禁止した政治資金規正法に違反する疑いが強<い。>・・・」
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090309-OYT1T01191.htm?from=top
 「・・・二階事務所との窓口役<である>・・・前社長、国沢幹雄容疑者(70)<は>・・・「二階氏側に年に1~2回、現金を渡していた」と供述しているとされるが、二階氏は・・・「そういうことの記憶はない」と述べた。」
http://mainichi.jp/select/today/news/20090310k0000m040146000c.html
 「・・・二階事務所との窓口役は国沢容疑者の前任の社長が担当していた。国沢容疑者が二階氏と同じ中央大出身だったこともあり、国沢容疑者に引き継がれた。・・・」
http://mainichi.jp/select/today/news/20090309k0000m040089000c.html
→二階が小沢の手下時代に小沢に西松を紹介し、西松と共同開発した錬金術手法も伝達した可能性があるね。(太田)
 「・・・「強制捜査を受けている政治家では衆院選は戦えない。代表が岡田(克也副代表)になれば民主党は無党派層を取り戻せるのではないか」。調査結果を意識した中堅議員は早くもポスト小沢の具体像を描き始めた。・・・
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/090309/stt0903092047010-n1.htm
→何度でも言うよ。絶対に岡田は止めておけ!(太田)
 「・・・西松建設の巨額献金事件で、民主党の小沢一郎代表の資金管理団体「陸山会」が、同社OBが代表を務めていた政治団体から献金を受ける際、同社に請求書を送っていたことが・・・同社関係者の話で分かった。東京地検特捜部は西松建設の関係先からこの請求書を押収した。・・・」
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20090310AT1G0903P09032009.html
→これで小沢終わってるはずだけど、往生際悪いねえ。(太田)
 では、それ以外の記事です。
 ようやく、北朝鮮によるミサイル発射問題でまともな報道が出ました。
 「・・・自衛隊法はミサイル等が日本の領土・領海に落下する場合は破壊できると定めており、政府は「ミサイル等」にはロケットや人工衛星も含むとしている。迎撃の中心はスタンダード・ミサイル3(SM3)を搭載した海上自衛隊のイージス艦<が>・・撃ち漏らせば、全国6か所に配備された地対空誘導弾パトリオット・ ミサイル3(PAC3)が迎撃する。
 ただ、北朝鮮は今回、日本の領土や領海をはるかに飛び越える長距離弾道ミサイルの発射準備をしているという観測がある。日本に落下する恐れがない場合は迎撃する法的根拠もない。
 技術的にも、日本のMDは射程1000キロ程度の中距離弾道ミサイルが対象で、迎撃可能な最高高度も300キロ程度と見られる。米本土などを狙って1000キロ近い高空を飛ぶ長距離弾道ミサイルの迎撃は困難だ。・・・」
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20090310-OYT1T00130.htm?from=main5
 中共の全人代の呉邦國委員長が、中共は自由民主主義化はしない、と明確に宣言しました。
 ・・・In an address to the annual nine-day meeting of the National People’s Congress (NPC), Wu Bangguo (呉邦國), chairman of the NPC’s Standing Committee・・・said, <China>・・・would never introduce a system of “multiple parties holding office in rotation,” nor would it allow a separation of powers among the legislative, executive and judicial branches of government, or a legislature made up of lower and upper houses.・・・
http://www.taipeitimes.com/News/world/archives/2009/03/10/2003438118
 創立60周年を迎えた英連邦の歴史がコンパクトにまとめられています。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/in_depth/7923961.stm
 高齢の男性がつくる子供の平均的IQは、その男性が高齢であればあるほど、恐らくは生物学的原因により、低くなるのだそうです。女性の場合は、恐らく社会的原因により、その逆なのだそうですよ。
・・・Regardless of their mothers’ ages, children whose fathers were 50 years old had lower scores on all tests, except those assessing physical coordination, than those whose fathers were 20, the researchers found. And the older the fathers, the more likely the children were to have lower scores, they found. ・・・
 The findings fit in a straight line, suggesting there may be some steady beat of mutations happening in the dad’s sperm.・・・
 By contrast, children with older mothers generally performed higher on the cognitive measures, a finding in line with most other studies, suggesting that these children may benefit from the more nurturing home environments associated with the generally higher income and education levels of older mothers, researchers said.・・・
http://www.nytimes.com/2009/03/10/health/10dads.html?pagewanted=print
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太田述正コラム#3144(2009.3.10)
<麻薬問題の危機的現状(その2)>
→非公開