太田述正コラム#14711(2025.1.19)
<皆さんとディスカッション(続x6141)/映画評論247:スパイ・アゲイン 記憶を失くした元相棒>

<太田>

 安倍問題/防衛費増。↓

 <御用学者がいまだに岸カルト擁護をやっちまってるが、勘弁してよー。↓>
 「・・・安倍元首相は2012年末に組閣し、その1年後に靖国神社に参拝した。相当な反響があり、特にアメリカが「失望した」と言った。同盟国としてはかなり厳しい批判です。私も、ちょっとこれはきついなと思った。世界の、日本の歴史認識についての見方に対し「いやいや、日本はこう思ってるんだ。そんなことは思っていない」とはっきり出すことは大事だと思った。・・・
 安倍元首相は「戦後レジームからの脱却」を唱え、アメリカなどから歴史修正主義者と見られることもあった。
 <安倍>談話で、そうした印象を払拭する動きにつながったのか?
 そうだったと思う。あらすじを私が書いた。
 まず「日本は侵略した」。しかし、「世界の多くの国々も侵略していた」と。第一次大戦後、武力による膨張はやめようということになり、1920年代はそういう歩みがあったが、それを超えて日本は侵略してしまった。 国際協調ラインを壊す最初の引き金を引いた。
 しかし日本は戦後、謝罪も補償もしてきた。いつまでも謝り続ける必要はない。ただ一つ、日本人がやらなければいけない義務は「日本がこういう戦争をした」と理解し覚えておくことだ。・・・」
https://www.msn.com/ja-jp/news/national/%E8%A8%BC%E8%A8%80-%E6%88%A6%E5%BE%8C70%E5%B9%B4-%E5%AE%89%E5%80%8D%E8%AB%87%E8%A9%B1-%E6%88%A6%E4%BA%89%E3%82%92%E6%AD%A3%E5%BD%93%E5%8C%96%E3%81%97%E3%81%AA%E3%81%84-%E6%97%A5%E6%9C%AC%E4%BA%BA%E3%81%AE-%E7%BE%A9%E5%8B%99-%E3%81%A8%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E3%81%AE-%E8%86%A8%E5%BC%B5%E4%B8%BB%E7%BE%A9-%E6%9D%B1%E5%A4%A7-%E5%8C%97%E5%B2%A1%E5%90%8D%E8%AA%89%E6%95%99%E6%8E%88/ar-AA1xrmAi?ocid=msedgntp&pc=U531&cvid=aeee70219c694b18ae269545e0c823fe&ei=49

ウクライナ問題/ガザ戦争。↓

 なし。

 妄想瘋癲老人米国。↓

 <思わせぶりのトランプ。↓>
 Trump says he will ‘most likely’ give TikTok 90-day reprieve from ban・・・
https://www.bbc.com/news/articles/cwypng0rw0lo
 <そのTikTokだけど、何と、中共自身までも含めて、下掲13カ国で既に何らかの規制を受けてるのねえ。↓>
 China India Nepal European Union Canada Britain Australia Taiwan New Zealand Pakistan Afghanistan Indonesia Somalia
https://www.washingtonpost.com/world/2025/01/17/countries-banned-tiktok/
 
 それでは、その他の国内記事の紹介です。↓

 けったいな江戸時代。↓

 「・・・「べらぼう」で小芝風花が演じる花の井も、松葉屋の遊女となり、のちに五代目瀬川の名跡を継ぐが、その前半生についてはわかっていない<が>、五代目瀬川の名跡を名乗ったのは安永4年(1775)<だ。>・・・
 五代目瀬川に戻ろう。安永4年(1775)に名跡を継ぐと、その年の暮れには鳥山検校(けんぎょう)という人物に身請けされ、世間の大きな注目を浴びている。というのも、身請けのために1400両もの金額が投じられたからである。時期にもよるが、1両はおおむね10万円から15万円であったと考えられる。仮に13万円とすると1億8200万円である。
 一人の女性を身請けするために、これほどの金額をポンッと払えた鳥山検校とは、いったい何者なのか。一言でいえば盲目の高利貸しだが、じつは当時、盲目の金持ちが吉原に次々とやってきては高級遊女を買い上げ、世間を騒がせていた。
 このころ幕府が、盲人保護の一環として「座頭」と呼ばれた盲目の人たちに、高利での貸し付け(「座頭金」と呼ばれた)を許したからだった。結果、彼らの多くが盲人の伝統的職業であったあんまや鍼術で得た金を元手に高利貸しをいそしみ、利益を上げては吉原で遊ぶことになったのである。」
https://www.msn.com/ja-jp/news/opinion/nhk%E5%A4%A7%E6%B2%B3%E3%83%89%E3%83%A9%E3%83%9E%E3%81%A7%E3%81%AF%E4%B8%BB%E5%BD%B9%E3%82%92%E3%81%97%E3%81%AE%E3%81%90%E5%AD%98%E5%9C%A8%E6%84%9F-%E5%90%89%E5%8E%9F%E3%81%AE%E4%BC%9D%E8%AA%AC%E3%81%AE%E8%8A%B1%E9%AD%81-%E8%8A%B1%E3%81%AE%E4%BA%95-%E3%81%AE%E5%8F%B2%E5%AE%9F%E3%81%AB%E6%AE%8B%E3%82%8B%E6%B3%A2%E4%B9%B1%E3%81%99%E3%81%8E%E3%82%8B%E7%94%9F%E6%B6%AF/ar-AA1xrE7I?ocid=msedgntp&pc=U531&cvid=aeee70219c694b18ae269545e0c823fe&ei=90

 紀貫之、『土佐日記』すら、天皇の命を受けて執筆したのかも(コラム#省略)ね。↓

 「・・・太安万侶の実験が第一次日本語認知革命だとしたら、<紀貫之がやったの>は第二次日本語認知革命です。 貫之は『古今和歌集』を編纂するのですが、その序文に「真名序」と「仮名序」という漢和両方の序を付けた。 今日の文書のように英文・和文をできるだけ同じ内容になるように併記したのではなく、真名序では中国における漢詩のルールと目的を掲げ、仮名序ではそれを日本に移した場合の和歌独特の変化のスタイルと狙いを書いたのです。・・・
 <そもそも、>『土佐日記』は「和漢の境」と「男女の境」を二重にまたいだ仮想実験だったのです。 この仮想実験はあっというまに多大な影響力をもたらします。女房たちが仮名日記や仮名文章を好きに書くようになりました。『枕草子』も『更級日記』も『源氏物語』も『和泉式部日記』も、こうして生まれます。 たんなる女房文学の誕生などではありません。紀貫之が日本語認知革命をおこし、日本人の思考プロセスに新たな方法による開示が可能なことを教えたのです。・・・」
https://news.yahoo.co.jp/articles/da6c6c77997b8a7bad29a498ca46229b4233507c

 さあて・・。↓

 「・・・漢字をちゃんと書く楷書に対して、漢字をくずす和様の行書が工夫され、さらに草仮名をメインとした草書が書かれるようになったのです。 「真・行・草」の誕生です。これは王朝のカリグラフィックな表現革命でした。 しかしそれだけではなく、その草書を美しい和紙(料紙)にさらさらと「分かち書き」や「散らし書き」にするというデザイン革命も、もたらした。小野道風、藤原佐理、藤原行成らがすばらしい和様書を書いた。これらは中国にも運ばれて展観されたのですが、中国の書人たちはその柔らかさに驚きました。 住居や生活のための素材を木と紙に替え、室内のインテリアに和風のセンスをとりこむということも工夫されます。屏風や壁代や御簾や几帳などが「調度」として登場し、そこに王朝風の「しつらい」(室礼)の文化がつくりだされたのです。そして、この「しつらい」に応じて「もてなし」と「ふるまい」が整えられていきました。 私は日本の生活文化の基本に、この「しつらい」「もてなし」「ふるまい」の三位一体があると確信しています。・・・」
https://news.yahoo.co.jp/articles/c6b01c4c236ae0cab7fe27135aed85f134650ab5

 日・文カルト問題。↓
 <文カルト危うし?→>
 「伊藤博文暗殺を扱った韓国映画「ハルビン」を日本に輸出・・・
 これを受け、誠信女子大学の徐ギョン徳(ソ・ギョンドク)教授は、自身のSNSで「非常に鼓舞的なこと」「世界中の人が韓国の歴史に関心を持つようになったという証拠」「世界でヒットし、韓国と北東アジアの歴史を正しく伝える大きな力となることを心から願う」と投稿した。
 この記事に、韓国のネットユーザーからは「すごく面白かった」「日本でどう評価されるか知りたいね」「K-カルチャーの力」などの称賛のコメントが寄せられている。
 一方で、「日本がこの作品を輸入したのは、正しい歴史を学びたいからではなく、人気俳優主演の最新作だから、というだけ」「内容じゃなくヒョンビンのおかげで輸出できたんだろう」「大事なことは、映画、ドラマ、バラエティー番組で歴史を学ぶのはやめようということだ」「反日教育はもういいかげんにやめてほしい」「過去より今が重要!」といった声も多数見られた。」
https://www.recordchina.co.jp/b947380-s39-c30-d0195.html

 はぁー、そーだったのか。↓

 「・・・脳は、どんな小さなタスクを処理するときもほとんどすべての領域を使っていて、それどころか「ぼけーっとしているとき」も、全領域を使って全力で「ぼけーっとしている」・・・」
https://news.yahoo.co.jp/articles/c08bb23fd216a6e784fdcd20361de5907a58c260

 これも読んだ方がよさそうではあるが、邦訳は5500円と高過ぎる。
 とはいえ、原本のThe Dawn of Everything: A New History of Humanityだって、4,149円はするのねえ。
https://www.amazon.co.jp/s?k=The+Dawn+of+Everything%3A+A+New+History+of+Humanity&__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&crid=1FDZDC2VA23HX&sprefix=the+dawn+of+everything+a+new+history+of+humanity%2Caps%2C201&ref=nb_sb_noss_1 ↓

 「・・・グレーバー氏は、考古学者のデヴィッド・ウェングロウ氏と共著で、遺作となる『万物の黎明 人類史を根本からくつがえす』(翻訳、2023 光文社)を残した。・・・
 トルコの「ギョベクリテペ遺跡」などがそうですが、氷河期にもかかわらず、壮大なモニュメント(巨大建造物)が見つかっています。統制のない平等な世界に、このようなものは必要ありません。また、こうした時代の遺跡から、プリンスのように、着飾って埋葬された遺体が見つかることがある。ところが、そこには大きな国家が存在した形跡は見当たりません。──小さな狩猟採集民の集団でも、ヒエラルキーが存在した可能性があるのですね。・・・そして著者は、狩猟採集民の時代に季節的に社会の組織形態を変える集団がたくさん存在し、むしろ、そのような形が原型だったのではないかと示唆しています。・・・
 季節によって集団の規模や内部の関係性が変化する。こうした社会に対して平等性を問題にしても、あまり意味がない。むしろ、著者2人は「どんな組織の形がいいのか」と、トライアンドエラーで見極めようとしていた可能性を語っています。重要なことは、かつてはさまざまな社会形態を組織する柔軟性があったのに、それを失い、私たちはたった一つの社会のあり方にはまってしまっているということです。この本では、なぜそのように固定された組織形態に私たちがはまっているのか、という問いを立てています。・・・
 この本の重要な主張は「そもそも農業革命など存在しなかった」ということです。   世界各地で農業の始まりの痕跡が見られますが、世界的に農業が定着するまでに3000年ほどかかっています。革命というものが、転換点の一時的な過渡期を示すのだとすれば、3000年も続いたら、それは過渡期や革命ではなく一つの段階です。近現代の西欧を中心とした学問では、農業革命が決定的に重要なポイントとして考えられてきました。また、農業によって土地の私的所有が始まったと考えられてきましたが、そのことも著者2人は否定しています。初期の農業は、川の氾濫を活用していました。氾濫の引いた土地が肥沃になり、そこを使って農業をしました。ただ、氾濫は頻繁に起こるので、その都度土地を切り分けていたとは考えづらい。そのような状況下では、「私的所有」より「集団的な所有」のほうが促進される傾向があるのです。・・・
 <また、>狩猟採集民同士が、驚くほど広い範囲で交流を持っていたことが明らかになっています。・・・
 もう一つこの本が説明している重要なことは、都市のような大きな集団ができたからといって、必ずしもそこにヒエラルキーができるわけではないということです。ウクライナに「メガサイト」と呼ばれる5000年前の巨大建造物があります。どう見ても小さな村落とは思えないサイズで、同心円状に家屋が配置されています。でも、たくさんの人々がそこに共同で暮らしていたのに、権力やヒエラルキーがあった痕跡が見つからないのです。  また、アメリカ大陸のくびれのあたり(メキシコや中央アメリカ北西部あたり)に「テオティワカン」という都市がありました。ちょうど西暦1年あたりに出現して、7世紀くらいまでそこにあったと考えられる都市です。ここがとても興味深い。大きなモニュメントやピラミッド型の建築物など、最初はそこに都市と権力があった痕跡がありますが、その都市ができてから300年くらいたった頃に、突然そういった巨大建造物の建築が止まったのです。そして、代わりに集合住宅が造られた。テオティワカンの集合住宅には優劣がないというか、構造やデザインが均一で平等です。しかも、この集合住宅はかなりクオリティーが高く、最初発見された時に、考古学者たちは新しい宮殿かと思ったほどでした。  ここから想像できることは、最初は権力者がいて権威を発揮していたのだけれど、300年ほど経ったところでそのような状況が止まり、ヒエラルキーがフラット化したということです。・・・」
https://news.yahoo.co.jp/articles/41585826284f31a0e30972de10a94ca67f6b0b15

 アフリカじゃあ、時が止まったまーまだなあ。↓

 Sudan’s military recaptured a city. Bodies soon filled the streets.–Videos verified by The Post show retaliatory killings by Sudan’s military after it recaptured the southern city of Wad Madani from the RSF paramilitary.・・・
https://www.washingtonpost.com/world/2025/01/18/sudan-war-rsf-burhan-wad-madani/

 アングロサクソン本店はひっそり静かに店仕舞い準備中だが、加豪等の支店はまだ商売繁盛、そして、のれん分けした米国はがさつかつ醜悪に閉店に向けてまっしぐらって趣。↓

 「飲酒による死者、英国で「悲惨なほど増加」 宅飲みやストレス原因か・・・」
https://www.msn.com/ja-jp/health/other/%E9%A3%B2%E9%85%92%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E6%AD%BB%E8%80%85-%E8%8B%B1%E5%9B%BD%E3%81%A7-%E6%82%B2%E6%83%A8%E3%81%AA%E3%81%BB%E3%81%A9%E5%A2%97%E5%8A%A0-%E5%AE%85%E9%A3%B2%E3%81%BF%E3%82%84%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%AC%E3%82%B9%E5%8E%9F%E5%9B%A0%E3%81%8B/ar-AA1xqk27?ocid=msedgntp&pc=U531&cvid=aeee70219c694b18ae269545e0c823fe&ei=85

 中共官民の日本礼賛(日本文明総体継受)記事群だ。↓

 <中央日報より。
 もうひとふんばりだよ、習ちゃん。米国の国力を世界一の座からひきずりおろすのは・・。↓>
 「中国「昨年の経済成長率5%目標達成」…人口3年連続減少・・・」
https://japanese.joins.com/JArticle/328785
 <ここからは、レコードチャイナより。
 こんなことで面白がってくれるとはね。とにかく、いらはい。↓>
 「中国のSNS・小紅書(RED)で・・・あるユーザーが投稿した日本で撮影された写真には、「落書き禁止」と書かれた貼り紙の下に「わかりました」と落書きされている様子が写ってい<て、>・・・大ウケ=「シュール」「笑い死ぬ」・・・」
https://www.recordchina.co.jp/b947329-s25-c30-d0052.html
 「・・・日本で留学しているという投稿者の女性は「道を歩いていたらすれ違う日本人がみんな私を見てくる。『別に変な服装をしているわけでもないのにどうして?』と思って、買ったばかりの水を飲もうと視線を落としたら、ドン・キホーテの買い物かごを持ってた。そうだったのか」とつづり、屋外で商品が入った買い物かごを手に持つ自分の動画を投稿した。・・・中国のSNS・小紅書(RED)・・・」

https://www.recordchina.co.jp/b947347-s25-c30-d0052.html

      –映画評論247:スパイ・アゲイン 記憶を失くした元相棒–

 今回の、『スパイ・アゲイン 記憶を失くした元相棒』(Kiss Me Deadly)は、2008年の独米アクション映画
https://filmarks.com/movies/117653
だが、可もなし不可もなし、といったところか。
 主役のロバート・グラントは、ペンシルベニア大卒(英文)、ジョージタウン大ローセンター(ロースクール)卒で弁護士歴あるインテリ・ゲイ、
https://en.wikipedia.org/wiki/Robert_Gant
だ。
 助演女優は余り魅力的ではないシャナン・ドハティ(Shannen Doherty。1971~2024年)
https://en.wikipedia.org/wiki/Shannen_Doherty
だったが、彼女が、3度目の離婚の訴訟中の昨年に病死していることを知り、改めて人生の儚さを痛感させられた。

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太田述正コラム#14712(2025.1.19)
<池上裕子『織豊政権と江戸幕府』を読む(その6)>

→非公開