太田述正コラム#14548(2024.10.28)
<G・クラーク『ユニークな日本人』を読む(その17)>(2025.1.23公開)


[アングロサクソン文明の誕生を巡って(続)]

三 経験主義

 日本神話おいて、世界の始まり(天地開闢)は、以下のように説明されている。↓

 「古事記<には、>・・・天地がいかに創造されたかの記載はない。・・・
 世界の最初に、高天原に相次いで三柱の神(造化の三神)が生まれた。
・天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)
・高御産巣日神(たかみむすひのかみ)
・神産巣日神(かみむすひのかみ)
 続いて、二柱の神が生まれた。
・宇摩志阿斯訶備比古遅神(うましあしかびひこぢのかみ)
・天之常立神(あめのとこたちのかみ)
 この五柱の神は性別はなく、独身のまま子どもを生まず身を隠してしまい、これ以降表だって神話には登場しないが、根元的な影響力を持つ特別な神である。そのため別天津神(ことあまつかみ)と呼ぶ。」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A9%E5%9C%B0%E9%96%8B%E9%97%A2_(%E6%97%A5%E6%9C%AC%E7%A5%9E%E8%A9%B1)

 日本神話の興味深いところは、この↑ように、神が最初から複数(3柱)であること、と、神(神々)が世界を創造したのではなく、神(神々)が発現する前に既に世界があったこと、だ。
 そして、日本神話のユニークさは、日本列島の成立を特別視しているところにある。
 なお、日本列島の成立も複数(男女2柱)の神によるものだ。↓

 「別天津神<の後に>神世七代の神々が誕生。これらの神々の最後に生まれてきたのがイザナギ(表記は伊邪那岐、ほか)・イザナミ(表記は伊邪那美、ほか)の二神である。
 イザナギ・イザナミの二神は自らが造ったオノゴロ島に降り、結婚して最初の子・ヒルコが生まれた。ところが、方法に間違いがあったことから失敗し、不具の子であった。この子を海に流した後、次の子・アワシマが生まれたが、またも正しく生まれてこなかったため、二神は別天津神に教えを乞い、そうして改めて正しく交わり、生み出したのが淡道之穂之狭別島であった。次に淡道を含む「大八島」と呼ばれる島々(日本列島)を次々と生み出していった。これらを「国生み/国産み」という。その後はさまざまな神々を生み出してゆくことになるが、これらを「神生み/神産み」という。しかしイザナミは火神・カグツチを産み出す際に大火傷を負ってしまい、この世を去ってしまう。残されたイザナギは亡きイザナミに会いたい気持ちを募らせて黄泉国へ赴くも、彼女が黄泉の住者になってしまったことを思い知って逃げ帰る羽目になり、永遠に離別することとなった。その後、イザナギは黄泉国で被った穢れを祓うために禊をした。この時にもさまざまな神々が生み出されたが、その最後に「三貴子(みはしらのうずのみこ)」と呼ばれる3柱、すなわち、アマテラス(天照)・ツクヨミ(月読)・スサノオ(須佐之男)を生んだ。」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E7%A5%9E%E8%A9%B1

 一方、ケルト神話においては、日本神話と違って二段階構成にはなっていないが、神が最初から複数(但し、男女2神)であること、かつまた、神(神々)が世界を創造したのかどうか、従って、神(神々)が発現する前に世界があったかどうか、が定かではないこと、において、日本神話と全く同じでこそないけれど、互いに相通じるところがある。↓

 ’The various Celtic peoples seem to have had a father god, who was often a god of the tribe and of the dead (Toutatis probably being one name for him); and a mother goddess who was associated with the land, earth and fertility (Matrona probably being one name for her). The mother goddess could also take the form of a war goddess as protectress of her tribe and its land, for example Andraste.<(注11)>’
https://en.wikipedia.org/wiki/Ancient_Celtic_religion (☆)

 (注11)ケルト中のアイルランドの神話(Irish mythology)も、当然のことながら、ほぼ同じことだ。↓
 ’Prominent members of the Tuath Dé include The Dagda (“the great god”), who seems to have been the chief god; The Morrígan (“the great queen” or “phantom queen”), a triple goddess associated with war, fate and sovereignty’
https://en.wikipedia.org/wiki/Celtic_mythology

 ’Miranda Aldhouse-Green<らは>, believe that the Celts were animists, believing that all aspects of the natural world contained spirits, and that communication was possible with these spirits.
 Places such as rocks, streams, mountains, and trees may all have had shrines or offerings devoted to a deity residing there. These would have been local deities, known and worshiped by inhabitants living near to the shrine itself, and not pan-Celtic like some of the polytheistic gods. The importance of trees in Celtic religion’(☆)

(続く)

(続く)