太田述正コラム#14566(2024.11.6)
<G・クラーク『ユニークな日本人』を読む(その26)>(2025.2.1公開)
「・・・イギリスのリーズ大学の心理学者が実験をやっています。
日本人のIQ、知能指数はアメリカの白人より5%くらい高い、という結果が出た。
ということは、日本人は、情緒的な人間関係を基盤としながら、客観的に知的な分野が必要なときは、分析し、研究し、適当に原則を選んで自分の社会に導入しているのです。
⇒狩猟採集時代の人間社会は基本的に全て人間主義社会だったと考えられる以上、平均知能がある程度高い社会でないと人間主義的社会は成立しない筈がない一方で、ある程度高い社会であることが日本文明社会が成立するための必要条件である可能性がありますが、後者についての私の考えはまだ定まっていません。(太田)
欧米人は原則のようなものにこだわりすぎて、場合によって応用科学を無視したりすることもある。
応用科学は、純粋科学、あるいは純粋な哲学、複雑な哲学にくらべれば、子どもっぽい科学であると思われています。
純粋科学や哲学をやる人のほうが優秀な人間だとされている。・・・
<だから、>われわれ欧米人<は、>・・・応用科学があまりできない。
そういうわりに簡単な知的なものは・・・。<(注20)>・・・
(注20)ネット上で、典拠めいたものを簡単には見つけられなかったが、「19世紀の技術教育の要請に見られる一つの特徴は,それが原理についてであって実践についてではないことである。…1860−70年代の技術教育は純然たる科学教育を意味していた<。>・・・”technology”の一分野は職業教育等において教えられていた<。>・・・科学と技術が密接な関係があるとしながらも,科学は物質界及び生物界についての確実なる知識の追求に関心があるのに対し,技術は人間の要求を満たしたり,その要求を満たすために横たわる問題を解決したり,といった人間の要求や熱意によって導かれ,楽観主義的関心や問題解決に対するコストと利益のバランスに関心がある,とその違いが明確化されている。」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/sjst/40/2/40_KJ00005017796/_article/-char/ja
という記述を見つけた。
しかし日本人は別にそういうコンプレックスはもっていません。・・・
<他方、>日本人は男女がすぐに親しくなったり話しかけたりしない・・・です。
日本人はそういう人間関係の次元で、場合によってこだわり過ぎている。
いろいろ複雑にしすぎるんです。
人間関係のうえでは、われわれ以上に複雑なのが好きなんですね。
腹芸だとか以心伝心とか、われわれ欧米人にはまったくつかめないものなんですが、日本人はよくやっている。・・・
<逆に、>簡単な人間関係は、日本人より、失礼なんですけど、われわれのほうがうまくやってるんじゃないかと思う。」(58~59)
⇒それ、単に、欧米人は、粗野、粗暴である、ということでしょう。
それが端的に表れているのが、欧米の映画の恋愛/セックスシーンの粗野、粗暴さです。(注21)
(注21)「カップルによって期間に差はあるが、おおむね数カ月の「お試し期間」をへて、恋人になるらしい。デーティング期間中は、複数の人と相性を確かめ合うこともあるらしく二股にはならないという。ちなみに「相性を確かめる」行為にはキス以上も含まれる。日本だと漫画やドラマなどでも「告白」の過程があることが多いが、欧米では一般的ではないようだ。」
https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/2101/22/news107.html
男女間での和歌のやりとりから始まる日本の、世界標準に照らして特異性、は、明らかですね。(太田)
(続く)