太田述正コラム#14588(2024.11.17)
<G・クラーク『ユニークな日本人』を読む(その37)>(2025.2.12公開)
⇒引用は省きますが、141~144のクラークの北方領土論は、私が『世界週報』に2005年に載せた、「2島返還で、北方領土問題解決を」、とほぼ完全に同じであり、私がクラークのこの1979年に上梓された本を読んでおれば、書かなかったことでしょう。(太田)
「・・・コモン・センス(common sense)<(注39)>・・・は、必要があれば本能的・人間的なものを使い、必要があれば科学的にもなる。
(注39)「コモン・センスとは、社会的に共有される基本的な理解や判断の基準を指します。
これは、文化や社会によって異なることがあり<ますし、>・・・時とともに変化するもので、社会の進化に伴ってその内容も変わっていきます。・・・
コモン・センスが常に正しいとは限らないという点が挙げられます。
歴史を振り返ると、かつてのコモン・センスが現代の視点から見ると誤りであったという事例は数多く存在します。
また、コモン・センスが固定観念や偏見を強化することもあり、社会的な進歩や多様性の受容を妨げる要因となることもあります。
コモン・センスは、常に批判的な視点で見直される必要があります。」
https://worldglobalist.com/common-sense
まったく自由<であり>バイアス(かたまり)がありません。
<他方、>日本人は人間的なほうにちょっとかたよりがある。
これに対し欧米人は科学的のほうにかたよりがある。
コモン・センスは、そういう偏見がなく自由に選べることを意味する領域です。
⇒「注39」を踏まえれば、クラークは、コモン・センスという言葉を正しく用いていない、と、言わざるをえません。(太田)
日本の経済運営・管理はこれに近づいており、われわれの社会科学も同様にこれに近づいています。
しかしまだ充分ではない。
イギリス人は経済学をつくりましたが、現実的な経済というものをつくることはできなかった。
日本人は経済学はつくらなかったけれど、すぐれた経済をつくりました。
そういう違いがあります。・・・」
⇒現時点で見れば、クラークの主張は、イギリスについてはともかくとして、日本については間違っていることが分かります。(太田)
⇒なお、163、168、171、で、クラークが自分の日本文化論を詳しく図示していますが、それらをテキストファイルでは表示できないこと、と、(私見では)内容が間違っている代物を図示しても何の意味もないこと、から紹介しません。(太田)
(続く)