太田述正コラム#14626(2024.12.7)
<浜口恵俊『間人主義の社会 日本』を読む(その18)>(2025.3.4公開)
「・・・「個人主義」では社会システムの中で発生するエントロピーを制御することは難しい。
他方「間人主義」によるならば、社会的なシナージー(システムの組織化をはかる集約力)を確保しやすくなる。
このことは自明の理であろう。
けれども、「間人主義」に基盤をもつ集団主義的志向にも、問題がないわけではない。・・・
⇒繰り返しで恐縮ながら、「基盤をもつ集団主義的志向にも」は切り落とさなければなりません。
この後も、浜口は間人主義を「日本的集団主義」と言い換えたりしていますが、きりがないので、いちいちクレームはつけないことにしましょう。(太田)
大きな問題点・・・は、それ<が>・・・今後の国際関係において、どこまで通用するか、という点である。・・・
経営学者の岩田龍子<(注26)>の分類に従えば、日本人の社会関係は、三つのカテゴリーに分かれる。
(注26)りゅうし(1934年~)。東大経済卒、同大学博士課程満期退学、ジョンズ・ホプキンス第修士、東大助手、イリノイ大助手、武蔵台経済学部助教授、教授、国際大教授、九大教授、日本福祉大教授。77年『日本的経営の編成原理』で日経・経済図書文化賞受賞。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B2%A9%E7%94%B0%E9%BE%8D%E5%AD%90
第一は相手への配慮に乏しい”無縁”の関係。・・・
第二は、”なじみ”の関係。
互いに気心が通じており、しかも道義的な責任を感じ合うような間柄。
第三葉、”気のおけない”関係。
相互間で行為をあてにし合い、私生活にも立ち入って無理もいえる親密な紐帯をいう(岩田龍子『現代日本の経営風土<(注27)> その基盤と変化の動態を探る>』)。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B2%A9%E7%94%B0%E9%BE%8D%E5%AD%90
(注27)「経営風土」は、management culture ないし、corporate culture もしくは、company culture ・・個別企業/組織の話っぽい・・の訳語なのか、
https://hbr.org/2024/07/build-a-corporate-culture-that-works
https://www.indeed.com/career-advice/career-development/management-culture
それとも、organizational culture・・やはり個別企業/組織の話っぽい・・ の訳語なのか。
management climate や management culture という英語はなさそうなだけに首を傾げてしまう。
⇒そんなもん、日本人の社会関係に限らないでしょうが・・。
なお、「経営風土」に岩田が与えた定義を知りたいところです。(太田)
日本的集団主義が通用するのは、おそらく第二・第三のカテゴリーであって、国際間の対人関係は、第一カテゴリーの延長上にあるだろう。
「間柄」がすんなりと成り立つことは、”気心もしれない”」外国人に期待するほうが無理というものであろう。・・・(54~55)
(続く)