太田述正コラム#14642(2024.12.15)
<2024.12.14東京オフ会次第(続)>(2025.3.12公開)
O:「ゆとりある筆致で読み易い」話についてだが、もう一つ、私が、どんどん慣れてきて、「ディスカッション」を書くスピードが上がっていることがある。
最近、映画を毎日1本のペースで鑑賞することができているのもそのおかげだ。
E:議会主権(議院内閣制)の方が大統領制より優れているとのことだが、昔太田さんは、自立した有権者が多いほど民主主義は機能すると言っていた。
この二つのことはどう関係しているのか?
O:その二つは次元が全く異なる。
議院内閣制は国のリーダーを間接民主主義で選ぶわけであり、議員達の多くが、実際にその人格、識見等を良く知っていることが多い候補者達の中からリーダーが決まるのに対し、大統領制ではそうではないということだ。
(仮に議員達の平均的自立性が一般有権者達の平均的自立性と同じ程度であったとしても、議院内閣制の方が、人格、識見等がマシなリーダーが選ばれる可能性が高いと言えよう。)
E:でも、日本の議院内閣制は、(戦前において脛に傷がある)岸信介や(旧統一教会ズブズブを含め岸カルトを相続しただけの)安倍晋三を首相に選んだではないか。
O:「可能性が高い」だけでハズレ籤のケースもあるというだけのことだ。
B:NATOは形骸化してしまっているのではないか?
O:スウエーデンとフィンランドが、前者の場合、長年維持してきた永世中立を放擲してまでして、NATOに加盟したことだけとっても、全く形骸化などしてはいない。
なお、そうはしないだろうが、トランプの米国がNATOから万一脱退したとしても、残りの加盟諸国だけでNATOは機能し続けるだろうし、対ウクライナ軍事援助だって、米国が完全停止したとしても、残りの加盟諸国が、NATOの音頭下、その分を増やすことだろう。
いずれにせよ、日本は集団的自衛権行使ができない以上はNATOに入りたくても入れないわけだ。
A:モンゴルの軛症候群のロシアは大統領制だが、民主主義が十分に機能していないから、プーチン程度のワルが大統領に選出されている、と、思う。
O:確かに、ライバルになりそうな人間は消されるかぶち込まれるか、という点では十分に機能していないように見えるが、そんなことをしなくてもプーチンは当選を重ねることができたのではないか。
ところで、かなり前からつい最近まで、この12月の東京オフ会は、(島津斉彬コンセンサスに基づくところの、)日本の対露百年戦争勝利慶祝会を兼ねたものであったことを思い出して欲しい。
(ところが、ロシアの息の根が止められていなかったものだから、ウクライナ戦争をおっぱじめやがったので、この戦争でロシアが敗北するまで、この慶祝会をお休みしている次第だ。)
O:例によって、ディスカッション配布直前まで「講演」原稿・・今回は「講演」メモ・・に気が付いた点を踏まえて手を入れ続けるのだが、今回、最後の瞬間に気が付きながら手を入れることができなかったことが一つある。
それは、「メモ」中で、欧亜語族と印欧語族とを厳密に書き分けていないという点だ。
欧亜語族(ユーラシア大語族)とは、「典型的にはアルタイ諸語(モンゴル諸語、ツングース諸語、テュルク諸語)、チュクチ・カムチャツカ語族、エスキモー・アレウト語族、インド・ヨーロッパ語族<(印欧語族)>、ウラル語族・・・が含まれる。 またカルトヴェリ語族、ドラヴィダ語族、ニブフ語、エトルリア語、日本語、朝鮮語、アイヌ語を含む案もある。」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A6%E3%83%BC%E3%83%A9%E3%82%B7%E3%82%A2%E5%A4%A7%E8%AA%9E%E6%97%8F
であって、印欧語族は、欧亜語族の部分集合なのだ。
例えば、バスク語は、印欧語族でないどころか、欧亜語族ですらなさそうなのだ。↓
「デネ・コーカサス大語族が古くに拡散し、<欧亜>語族はより最近拡散した・・・。<欧亜>大語族の拡大により、デネ・コーカサス語族はほとんど駆逐され、結果、その話者は<欧亜>語族の話者に囲まれた孤立した集団(ピレネー山脈のバスク人、コーカサス山脈のコーカサス人、ヒンドゥークシュ山脈のブルショー人)に限定された」(上掲)