太田述正コラム#3310(2009.6.2)
<皆さんとディスカッション(続x504)>
<isc>
<コラム#3228>「友人の効用」<を読み>ました。
「男女間の友情」は日本人の幻想だと思います。日本の男が女性的、または中性的だからかもしれません。中性的である事、男性的でないことを良いとされる圧力もあるのではないでしょうか。
強者は群れないというので、男同士の友情は「強さ」に付随した、基本的に与えるものであるのだと思います。
受けることを期待した男の友情とか、男が男友達との友情に心理的に依存しているというのは、気持ちの悪い様子だと思いますが。
男同士の友達でも健康に良いというデータは「宗教がらみの友達」がかなり入っているのではないかと思います。(信仰はどんないかがわしいものでも健康には良いそうです)。
<太田>
典拠なしの投稿じゃ困るのですが、最初のパラグラフ、私の考えに近いので(?!?!)採用させていただきました。
男女間の親しい関係は、本来、愛人か家族か(いずれも擬似的なものを含む)、はたまたその両方か、しかありえないというのが私の考えです。
<Chase>(http://blogari.zaq.ne.jp/fifa/)
コラム#3306で、太田述正氏に、氏の仮説である縄文/弥生モード論の極意を解説していただいた。どうもありがとうございました。
以前より、理解が深まり、今後の太田歴史学探訪の端緒を与えていただいたことに感謝します。
、「日本型経済体制」論 ――「政府介入」と「自由競争」の新しいバランス」(『日本の産業5 産業社会と日本人』(筑摩書房1980年6月)は、市内の大きな図書館になく、やはり田舎はだめだわとショックを受けたが、何と私のすぐ近くの大学の図書館にあることが判りびっくりした。
何とか平日、時間をとって内容を確認したい。
しかしネットのお陰で、本当の意味での学問の一端に触れ得ることがありがたい。IT revolutionは、この一点だけでも偽りではない。若い頃、学力が低く、留学など夢のまた夢だった私にとり、ありがたい時代になった(今から頑張ってもどうなるものでもないが)。
<太田>
ご指摘の小論をお読みになって怪訝に思われる前に一言。
この小論は、中川八洋
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E5%B7%9D%E5%85%AB%E6%B4%8B
との共同執筆ということになっていますが、中川は、この小論について、彼の業績として(あるいは彼が私と共同執筆したものとして)一切、言及、引用しないことを、20数年前に私に約束しています。
この小論の副題と結論は、中川の「創作」に係るものであり、私の好み、見解ではないことにご注意ください。
また、以前示唆したことがありますが、小論のキーワードである「多傘分散メカニズム」は、中川が私の「エージェンシー関係の重層構造」を言い換えたものであり、この言い換え方にも私は当時、違和感を覚えたことを申し添えます。
<Chase>(同上)
・・・この頃、太田述正氏のブログと、植田信氏のホームページを交互に訪問する毎日になってきた。
お気に入りに、沢山の政治経済・思想関係のサイトをいろいろ保存しているが、両氏のブログの水準に及ぶものがない(典拠は私の独断)。
内容もさることながら、やはり、典拠を丁寧におさえる文章の書き方に接していくと、典拠のない得体のしれない記述を真剣に読む気が失せてきた。
Plasiarismは恥ずかしいことだと知識としては知っていたが、最近、体で感じるようになってきた(気がする)。
それと文章は重厚さが大事だ。元気な若手ブロガーのサイトもたまに覗くが、パースペクティブを幅広く幅広くしようとする仕草に、若さが持つ底の浅さを感じてやはり心に食い込んでこない。
日本人は、やはり欧米人と同じエトスでは大成しない気がする。健気さと謙虚さでオリジナルな論の構築を真面目にこつこつとやっていってもらいたいものだ(なんて老婆心まるだし)。
ということで?太田氏の『防衛庁再生宣言』<(日本評論社。2001年)>をこのごろ再読してみた。古今東西の文献に裏打ちされた丁寧な書きっぷりについつい幻惑されるが、それよりも何よりもその内容の破壊性に心底驚かされる。ある部分が特にというより、本全体の内容がゼロベースの根幹からの問題提起に満ち溢れている。
それから、タブーに対し筆力が弱まらないことは驚嘆に値する。中学生から政治経済の本を腐るほど読み散らかしたが、小室直樹以外、まるで意味がなかったことを教えられる本だ。日本人が独りよがりで書いたものをいくら読んでもどうしようもない。あーあ、せめて20年くらい前に気づいたらどんなによかったか・・・。
しかしこのような本がベストセラーにならなくて、こけおどしのセンセーショナルな内容がもてはやされる現代は、弛緩の極みの時代であることの反映なのであろう。
元凶が吉田ドクトリンという太田テーゼについつい援用したくなる出版業界のご時勢だ。
PS.
北朝鮮危機で、物知り顔のブロガーがまたぞろ喚き散らかしている(典拠は怒られるので省略)。そんな際物には引っかからず、太田氏のブログを丹念に読んだ方が何倍もためになるぞ!
<太田>
毎度、拙著や私の考え方についてご紹介いただき、感謝に耐えません。
<KT>
二階経済産業相の政治団体会計責任者も告発されました
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20090304-527751/news/20090501-OYT1T00893.htm
http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200905020028.html
<が、結局>不起訴になりました。
小沢の時と何が違って不起訴なのでしょうか。
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20090602k0000m040067000c.html
<太田>
「西松建設のダミーとされる政治団体が二階俊博経済産業相の派閥の政治団体からパーティー券を購入していた問題で、東京地検特捜部は1日、政治資金規正法違反容疑で刑事告発されていた当時の会計責任者、泉信也参院議員らを嫌疑不十分で不起訴処分とした。特捜部は、実際に購入したのは西松建設だったとの認識があったとは認められないと判断した。・・・
一方、二階氏が代表を務める自民党支部に対する個人献金を装い、二階氏側団体の事務所費を補てんしていたとされる問題について、特捜部は捜査を継続している。」
http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20090602AT1G0101L01062009.html
ということのようですよ。
小沢/二階問題で、私は検察に問題があるとは考えていませんが、この問題にからめて、ニューヨークタイムスが展開している日本の新聞批判↓には同感です。
・・・Last month, the Tokyo Shimbun, a smaller daily known for coverage that is often feistier than that in Japan’s large national newspapers, was barred from talking with Tokyo prosecutors for three weeks after printing an investigative story about a governing-party lawmaker who had received donations from the same company linked to Ozawa.
The newspaper said it was punished simply for reporting something the prosecutors did not want made public.
“Crossing the prosecutors is one of the last media taboos,” said Haruyoshi Seguchi, the paper’s chief reporter in the Tokyo prosecutors’ press club.・・・
The Tokyo prosecutors office turned down an interview request for this story because the Times is not in its press club.・・・
http://www.taipeitimes.com/News/editorials/archives/2009/06/02/2003445108
記者クラブ制度の下で官製談合的報道ばかりを行ってきた日本の新聞は、ITのもたらした新聞の危機に真剣に対応しつつある米国の新聞↓
http://news.livedoor.com/article/detail/4180316/
より、二回り以上遅れて走っていると言うべきでしょう。
<遠江人>
コラム#3308での投稿、正しくは、
木内実→城内実
片山五月→片山さつき
でした。
<太田>
私も訂正を。
昨夜配信した、コラム#3309(未公開)中、
生存(生き残り)淘汰→自然(生存=生き残り)淘汰
性淘汰→性的淘汰
に、それぞれ改めてください。
では、記事の紹介です。
「・・・小泉元首相の靖国参拝を擁護したのを除けば、岡本<行夫>さんの話は基本的に率直で誠意があった。大多数の日本人が持つ戦争に関する誤った記憶は日本の教育が作り上げたもので、日本の歴史教育が問題を生み出してきたため、改めることは難しいと、岡本さんは<中国の作家に>語った。・・・」
http://j.peopledaily.com.cn/94473/6668852.html
この記事↑の前段を読んだ限りでは、岡本が語ったこととはややニュアンスが違うと思うが、こんな総括を中国側にさせるような話し方を彼がしたことは遺憾しごくだと言わざるをえません。
ご存じの通り、私は、明治維新後、東アジアにおいて、日本は一貫して欧州文明圏、ないしその外延としてのロシア/ソ連の勢力拡大への防波堤の役割を果たしてきたのであって、1931年から1945年にかけての日本の東アジア政策について言えば、それは、世界大不況の下、ガバナンスが完全に欠如していた支那において、ファシスト勢力(中国国民党)と共産主義勢力(中国共産党=ソ連共産党)の抗争に、第三の自由民主主義勢力として(満州国や汪兆銘政権等をエージェントとして)割って入ったものであり、このことについて支那の人々に我々が謝罪する必要は全くないと考えているところです。
その一方で私は、当時の日本軍の規律の弛緩により、虐殺・強姦・略奪等、支那の人々に不必要かつ多大なる苦しみを与えたことで、我々は彼らに道義的な謝罪を行い続ける必要があるとも考えているわけです。
民主党を中心とする政権ができた時点で、こういった類のこと↓が、公式に情報開示され、非核三原則が事実上修正されることを期待したいと思います。
「1960年の日米安全保障条約改定に際し、核兵器を積んだ米軍の艦船や航空機の日本立ち寄りを黙認することで合意した「核持ち込み」に関する密約があったことを、日本の元外務事務次官4人が31日に明らかにした。この密約は官僚側の判断により、橋本龍太郎氏、小渕恵三氏ら一部の首相、外相だけに伝えていた。・・・」
http://j.peopledaily.com.cn/home.html
こんな、対北朝鮮・対中共向けブラフまで、米国のスーパー有識者や韓国の有力紙にだけやらせて↓、自らはカネ勘定だけに依然あけくれている日本!
「キッシンジャー元米国務長官は31日に放映されたCNNの番組で、北朝鮮が核実験を行った現在、「もし中国が何もしなければ、中国は、韓国と日本が核兵器を持ち、さらに核武装した狂気の支配体制と国境を接するアジアでやっていくことになろう」と述べ<た。>・・・」
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20090601-OYT1T00496.htm
朝鮮半島の西海岸情勢は、一層緊迫の度を増してきました↓。
・・・North Korea has apparently instructed naval troops in the West Sea to stockpile more than twice the normal amount of ammunition and artillery shells and staged an unprecedented surprise landing exercise.・・・
http://english.chosun.com/site/data/html_dir/2009/06/02/2009060200300.html
私は、北朝鮮が中共の傀儡国家だとは思いませんが、北朝鮮核問題でのアップルバウム(Anne Applebaum)の激しい中共告発↓は、迫力があります。
・・・China could topple the North Korean regime tomorrow if it wanted to. China could cut off North Korea’s oil. China could shut the border to trade. Or China could take the opposite tactic and open the border: Refugees would flee, and the regime would crumble, much as East Germany did 20 years ago this summer・・・
By permitting North Korea to rattle its sabers, the Chinese can monitor Obama’s reaction to a military threat without having to deploy a threat themselves. They can see how serious the new American administration is about controlling the spread of nuclear weapons without having to risk sanctions or international condemnation of their own nuclear industry. They can distract and disturb the new administration without harming Chinese-American economic relations, which are crucial to their own regime’s stability.
And if the game goes badly, they can call it off. North Korea is a puppet state, and the Chinese are the puppeteers. They could end this farce tomorrow. If they haven’t done so yet, there must be a reason.
http://www.slate.com/id/2219517/
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太田述正コラム#3311(2009.6.2)
<芸術論(続)(その1)>
→非公開
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