太田述正コラム#3344(2009.6.19)
<皆さんとディスカッション(続x520)>
<コバ>
–イランの体制変革なるか?–
イランでの改革派の抗議活動でtwitterが大活躍してるみたいです。自分はITと英語音痴なので何が何だかようけわかりませんが、
http://www.atimes.com/atimes/Middle_East/KF19Ak01.htmlより、
A seven-point list of demands has been Twittered and passed hand-to-hand (here in its original Twitter English version) since Tuesday afternoon.
1. Remove Khamenei from supreme leader because he doesn’t qualify as a fair supreme leader.
2. Remove [President Mahmud] Ahmadinejad from president because he took it forcefully and unlawfully.
3. Put [Grand Ayatollah Hossein Ali] Montazeri as supreme leader until a review group for the ghanooneh asasi [constitution] is set up.
4. Recognize [losing presidential candidate Mir Hossein] Mousavi as the official president.
5. A government by Mousavi and start a reform of the constitution. 6. Free all political prisoners without any ifs and buts, right away.
7. Call off any secret organization such as gasht ershad [morality police].
なんて要求がどんどんtwitterで人伝いに広まっているということでしょうか。
しかしアフマディネジャドが上海協力機構の会合でthe international capitalist orderの後退と帝国の時代の終焉を宣言したのに、but maybe there are some other old orders ending as well.なのは皮肉なものです。
President Barack Obama, wisely, has said, “something has happened in Iran” – whether it’s Tiananmen in Beijing, a new Wenceslas Square in Prague, or a new Selma, Alabama. In fact, something’s happening here but you don’t know what it is, do you, Mr Mahmud?
こんな記事を書ける記者さんはすごい。
<太田>
英語が不得意とは思えない勉強ぶりには頭が下がりますが、昨日から、未公開シリーズ「イラン燃ゆ」を始めたばかりで、出だしはツイッターの話なのに、その話題を振ってくるとは殺生な。
一つだけ申し上げておくと、ツイッター等インターネットという、完全に遮断することが困難な分散型の通信手段の発達が、部分的に自由な社会であるイランや中共・・イランの方がはるかに自由だが・・においてどれくらい体制を脅かすことができるのか、というテストケースとして、現在のイランの騒擾は注目されるべきだと考えています。
なお、この記者の力量については、あなたとは見解を異にしており、かなり以前に彼の書く記事は読まないことにしています。
最後の引用も、オバマが実際にそう言ったとすれば、むしろ、オバマの記憶力とセンスを褒めるべきでしょうね。
話は変わりますが、まぐまぐが「システムリニューアルのため、7月1日0時より7月3日24時の間、機能を停止させていただきます。この間は、メールマガジンの配信・配信予約、および、登録・解除ができなくなります。」と言っています。
無料読者の皆さん、この3日間は、太田述正ブログにアクセスしてコラムをお読み下さい。
<おーつか>
石井一の甥っ子で、今は養子になった石井としろうという「世襲」代議士候補とは、中学高校で一緒でした。
当時、彼が生徒会長になるのを阻止したというのは、わたしのちょっとした自慢です。
ちなみに、わたしの裏選挙参謀は山花貞夫の息子(元代議士の二男ではない)でした。
<太田>
おーつかさんが生徒会長になったわけではないのですね?
それにしても、元自民党で、ずっと小沢一郎と行動を共にしてきた議員は、たたけばホコリが出る輩が多いですね(コラム#3342)。
そういった連中の秘書(や秘書あがりの議員)の多くも右へ倣えだからいやになります。
こいつら、政権とったら、鳩山由紀夫「首相」に、法相に指揮権発動して自分達の捜査をやらせないよう強要しそうだな。
何とか、早期に小沢一派を駆除する算段がないものか。
ところで、
「・・・ 西松建設の違法献金事件を受けて民主党が設置した「政治資金問題を巡る政治・検察・報道のあり方に関する第三者委員会」が、今月10日にまとめた報告書の中で「法相の指揮権」に言及したことを巡り、与野党から疑問の声が上がっている。
その後の記者会見で、森法相は「看過できない」と不快感を示し、民主党の岡田幹事長も「我々の考え方と全く違う」と述べた。・・・
「指揮権発動はしない」。民主党「次の内閣」で法相を務める細川律夫衆院議員は、同党が政権を担った場合の自身のスタンスをそう語った。
弁護士でもある細川議員は「時の政府による恣意(しい)的な介入は避けなければならず、報告書はおかしい」とも話した。
細川議員を含む「次の内閣」の歴代法相7人のうち、読売新聞の取材に応じた4人は指揮権の発動に慎重な姿勢を示している。・・・」
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20090619-OYT1T00072.htm?from=main4
ということのようですが、ばかばかしい内容の報告書をとりまとめた民主党の第三者委員会、どうせばかばかしい内容なら、民主党の選挙対策に有利な内容にすべきなのに、そういう内容にもなってないとは、一体どうなってんの?
<amida>
–皇軍の暴虐について–
太田先生の御尊父様や、私の愚父の言うことを額面どうりに受け取るのは間違いのもとではないかと、小泉信三先生の下記の文章を拝読して、痛感しましたのでご紹介まで。
国民自重の心
日本国民の自重の精神は敗戦によって崩れました。他国の武力に屈するのやむなきに至りました日本人は、その国民としての誇りを失い、心の友を失って退廃に陥ったことは、ごらんのとおりであります。
すべての道徳的の努力は無意味なものとしてあざけるという思想、ひたすらに官能の満足を追い求めるという傾向、また更に、何者かにこびるような気持ちから、しきりに日本及び日本人を侮りあざける風潮が起ってきたことは、ご承知のとおりであります。
ことに多少知識があって、時世の動きに対して神経が鋭敏であるものの間に、この傾向が顕著であって、その一派の人々の書いた歴史などを見れば、いかに日本人はつまらない国民であるかということを説くのに努力しているかのごとくに見えるのであります。
そもそも、自尊自重の精神のない国民が、他国人の侮りを受けますのは、これは当然でありますが、また、みずから重んずる精神のないものは、他国民のみずから重んずる精神をも理解することができないので、かかる国民は、他国民に対しまするときに、弱少のものに対しては不遜となり、強大なものに対しては卑屈となることは、いずれも、避けがたいことであります。
従って、一国民が正しい自重の精神を堅持することは、ひとり自国のために他国の侮りを防ぐのみでなく、世界の国民と国民、国と国との関係を正常で健全なものにするうえにおいて、欠くべからざる要件であると思います。自尊自重の精神なき国民は、すべての高い精神活動の落伍者たらざるを得ないのであります。
皆さんは、五月二十七、二十八日という日を覚えておられますか。この日は、今からおよそ六十年前、すなわち明治三十八年に、日本の連合艦隊が日本海海戦で敵のロシア艦隊撃滅という、絶対的の大勝利を得たその日であります。
この日は、別に日本の公の記念日とは定められておりませんが、日本国民みずから、いい伝え語り伝えて、この日の意味を年ごとに考えたいと思います。それは、日本の運命を定め、アジアの歴史、あるいは更に、世界史の水路を動かしたといえる日なのであります。(以下略)
「正論」平成18年12月臨時増刊「日本海海戦と明治人の気概」より
小泉信三氏 明治21年(1888年)、東京都生まれ。慶応義塾大学政治学部で経済学を専攻する。卒業と同時に教員に採用される。大正元年、イギリス、ドイツ、フランスに留学。同5年に帰国後、教授に就任。昭和8年から22年まで慶応義塾長をつとめる。同24年、東宮教育常時参与。同34年、文化勲章受章。同41年5月、78歳で死去。著幸に『小泉信三全集』28巻(文豪春秋)などがある。
<太田>
私の親父自身、小泉信三
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%8F%E6%B3%89%E4%BF%A1%E4%B8%89
の大ファンであり、親父の読んだ『共産主義批判の常識』や『海軍主計大尉小泉信吉』を斜め読みしたことがある私としては、複雑な気持ちですねえ。
1888年生まれの小泉は、先の大戦の頃は既に年配であり、当時の日本軍の実態をご存じなかったのではないでしょうか。
亡くなった息子さんは、陸軍に比べれば相対的に国際法順法精神があり、規律も厳正であった海軍でしたしね。
また話は飛びますが、ウィキペディアの田母神俊雄の項
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%B0%E6%AF%8D%E7%A5%9E%E4%BF%8A%E9%9B%84
に、
「・・・防衛庁出身の評論家である太田述正は、「田母神氏の論文は、典拠の付け方や、典拠の選び方一つとってもシロウトの域を出ていません。しかも、内容的にも論理が首尾一貫していない箇所が散見されます。遺憾ながら、彼は、大将クラスの軍人のグローバルスタンダードに達していない無能な人物である、と申し上げざるをえないのです。」と批判している。」
とありました。
まことに光栄なことです。
では、記事の紹介です。
こりゃ↓明快ですね。
「・・・中国、韓国ぐらいの経済規模の国でも、輸出のGDP比は40%近くあります。タイやベトナムだと70%ぐらいです。・・・
マレーシアは100%に達しています。シンガポールや香港はおそらく200%に近い水準です。・・・日本のGDPに対する輸出の比率は15%ぐらいでしょう。・・・
それなのに日本が何でこんなに・・・日本経済が急激に・・・落ちたのか・・・
日本の輸出の4分の3ほどは、自動車・自動車部品、電子機器、資本財の3つの品目に偏っていることです。これらが全世界的に落ち込んだ。要するに耐久消費財、資本財の落ち込みが今回の不況では非常に大きいということです。・・・
鉱工業生産が1年で4割ぐらい落ちています。純粋に国内向けの生産というのももちろんあるわけですから、輸出の約5割の落ち込みが、なぜ鉱工業生産の4割の落ち込みにつながるのか、・・・それは在庫調整だと思います。・・・
中国は消費を増やし、住宅投資を増やす。アメリカは消費を減らし、住宅投資を減らして設備投資を増やし、ネットエクスポートをプラスにしていかなくてはならない。アメリカの調整と中国の調整は非常に必要性が高いし、その余地もあります。ところが日本の場合は、その調整の必要性もないし、余地もあまりないということです。・・・
http://business.nikkeibp.co.jp/article/money/20090611/197327/?top
(6月17日アクセス)
英BBCは、売春合法化だけでなく、麻薬合法化も「推進」しています↓。
・・・Portugal・・・decriminalised every drug – cocaine, ecstasy, even heroin – all decriminalised.
They are still illegal, but a person caught with less then 10 days’ supply is not considered a criminal, but a patient. Instead they appear before a Dissuasion Commission. ・・・
Fears that Portugal would become a haven for drug tourists have not come true and the number of deaths from drugs has decreased. ・・・
・・・the use of every drug has either gone down or remained stable, apart from cocaine which has recently become fashionable. ・・・
http://news.bbc.co.uk/2/hi/programmes/from_our_own_correspondent/8106689.stm
ルターが宗教改革を始めたヴュルテンブルグの現況を通じて、いかにドイツが脱宗教国家になったかを描く記事↓は面白い。
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2009/06/17/AR2009061703792_pf.html
皆さんとディスカッション(続x520)
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