太田述正コラム#2985(2008.12.20)
<イタリアの第一次世界大戦(その3)/「桜」出演準備(続々)>(2009.6.26公開)
・・・<検閲が徹底的に行われた。>このため、当局が、航空戦力の予言者ドゥーエ(Douhet)(コラム#520~523、526)を、最高司令官が軍事的に未熟である(primitive)ことを漏らしたとして投獄したり、イタリア軍の損害について大声で呼ばわったとしてナポリの新聞少年達を逮捕したりといったことが起こった。
新聞は自主検閲を行った。<有名紙の>コリエレ・デラ・セラ(Corriere della Sera)は、記者達がカドルナの掲示板上の文言を起案することで、事実上、情報省として行動した。・・・
イタリア国民は、反動的な首相のアントニオ・サランドラ(Antonio Salandra)<及び外相のシドネイ・ソンニーノ(Sidney Sonnino)>と侮蔑すべき小柄な国王のヴィットリオ・エマヌエル(Vittorio Emanuele=Victor Emmanuel。1869~1947年)3世との共謀の下、<大勢が参戦反対であった議会は迂回された形で、>たぶらかされてこの紛争に引きずり込まれたのだ。
イタリアの徴兵軍は、主として制服を着た農民からなり、最初は革製の長靴も鉄製のヘルメットも暖かい外套もも防水マントも与えられなかった。
同軍は、オーストリア軍が恐るべく巧みに使用したところの、火炎放射器(flame-thrower)や毒ガスはもとより、重砲も高性能火薬も機関銃も航空機も持っていなかった。また、イタリアの鉄条網切断機は、剪定はさみに毛が生えた程度の代物だった。更に、削岩機を持っていなかったが、これは、イソンゾ(Isonzo)川を見下ろす荒れた石灰岩の高原であるカルソ(Carso)・・ここに砲弾がまるで火山の結おうに炸裂した・・に塹壕を掘ることができないことを意味した。
食糧も十分に供給されなかったため、イタリアの部隊は、次第に衰弱した案山子のようになっていった。」
http://www.guardian.co.uk/culture/2008/aug/30/history.italy(前掲)
「・・・イタリア軍の指導部は、第一次世界大戦に参戦したすべての軍の中で、兵士達について、彼らは最高司令官のための鉄砲玉(canon fodder)に過ぎないという、最も極端な見解を抱いていた・・・。・・・」
http://blueidol-notesofabookdreamer.blogspot.com/2008/09/white-war-life-and-death-on-italian.html
(12月18日アクセス)
オーストリアが1917年にカポレット(Caporetto)で反転攻勢に出た時、<ドイツ軍の>エルヴィン・ロンメル(Erwin Rommel)のような将校達は、<ナチスの>電撃戦(blitzkrieg)を先取りしたところの、相手の強い所を迂回し取り残して相手陣に浸透するという新しい手法を用い、イタリア軍は壊滅的な敗北を喫した。
イタリアの70万人近い兵士が殺され、傷つき、捕らわれ、逃散した。
http://www.guardian.co.uk/culture/2008/aug/30/history.italy(上掲)
オーストリア・ハンガリー軍は、ドイツの直接的支援を受けつつ、・・・それまでの3年間にイタリア軍が奪取した領域をすべて回復し、1866年時点の国境線まで下降したのだ。・・・
http://blueidol-notesofabookdreamer.blogspot.com/2008/09/white-war-life-and-death-on-italian.html(上掲)
<それにしても、カドルナの戦争指導は無茶苦茶過ぎた。>
(続く)
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–「桜」出演準備(続々)–
<太田>
自衛隊が軍隊でない、ということについて、この際、改めて説明しておきましょう。
一番大きいのは、自衛隊が国内法上は、単なる一行政機関に過ぎず、具体的には、呼称こそ違え、もう一つの警察に外ならない点です。
ご指摘の、自衛隊がポジリストで規制されている=法律に明記されていない活動を行うことはできない=権限の行使は(人権保障がそのねらいであるところの)法治主義の原則による、という事実、がそのあらわれです。
ついでに申し上げると、憲法第9条で交戦権が否認されていることから、政府見解で、占領、占領行政、中立船舶の臨検、敵性船舶の臨検、敵性船舶の拿捕等を行うことはできない、とされています。
また、憲法で特別裁判所の設置と行政機関の終審としての裁判を禁じていることから、軍法会議(や軍律法廷?・・これから確認したいと思います)を設置できません。
(以上、奥平穣治「軍の行動に関する法規の規定のあり方」(防衛研究所紀要第10巻第2号2007年12月)に拠った。)
<MS>
フリップですが、太田さんの考えをダイジェストにまとめたものを作成しておき簡単なおさらいがてら冒頭に説明する、というのはいかがでしょうか。
<US>
昨日、今日、過去のブログを読み返したり、3月のときのチャンネル桜を見たりしてみました。
前回<(田母神問題)>の続きだとすれば、MSさんの提案・・太田さんの考えをダイジェストにまとめたものを作成しておき簡単なおさらいがてら冒頭に説明する・・はとてもよいと思います。
現状認識→原因→目指す方向→アプローチの順にストーリーをまとめるならば、下記のような構成がよいような気がします。
<ダイジェスト版>
1枚目 日本は属国である(外交、軍事を他国にゆだねている)
2枚目 元凶は吉田ドクトリン(でもそれをこれまで支持しつづけてきたのも日本国民)
3枚目 真の独立国家を目指す必要がある。独立後、米国とは双務的同盟関係を築く
4枚目 最初の一歩は政権交代を行い、癒着構造打破。
<その他>
議論が始まる際、利用するものとして、まず、『本当に日本に守れるのか?』 の議論をはじめるにあたり、日本の何を守るのか、誰から(何から)守るのかを明確にしたものが必要と思います。
5枚目 守るべきものは、自由民主主義・日本文化
6枚目 誰から守るのか → 実は核を除き脅威はない
さらにその上で、自衛隊の今の問題点、将来のありようを説明するものがあればよいと思います。
7枚目 自衛隊(属国があるがゆえの問題点: 存在意義なし→モラル低下、腐敗するしかない。自衛隊は軍隊ではない。警察力の単なる補完)
8枚目 世界平和を守るための組織(日本の繁栄(=経済発展)は、世界の平和に依存するのだから、世界の平和に協力することが日本の国益に適う
こうしてみると枚数が多く、収集がつかなくなるかもしれません。(8枚も手元にもって、話題の都度それを探すのは大変です。)
重点ポイントに絞って、枚数を減らした方がよいかもしれません。
今回の番組内容を考えると、ダイジェスト版4枚をさらに2枚に集約、5枚目、6枚目を合体、7枚目、8枚目を合体した計4枚でもよいと思っています。
ただ、このようなやり方をすると、聖徳太子の17条憲法の話題などは、削除またはかなり圧縮となります。もっとも私自身、17条憲法の話題は、パネリストの皆さんの琴線にふれるかもしれないと思っており、太田さんがお好みならば、ここは、盛り込まれてもよいのではと、思っています。
ところで、『本当に日本を守れるのか?』 と題し、番組側が話題としたいのは、小さい(これが適当な表現か否かは自信がありませんが)ところでは、北朝鮮工作船や尖閣諸島付近等に現れる不審船を脅威と称してそれに対する準備は十分かという話や、大きいところでは、中国軍事大国化に対する備えは十分かという話ではないでしょうか?
前者は警察力強化の話なので、今回の主題にするような内容ではないと思いますが、後者はいかがでしょうか?
パネリストの皆さんや水島氏は、とかく中国脅威を口にするのでこの話題に相当長い時間が割かれると思いますが、何か用意しておく必要はありますか?
<太田>
そうですね、あった方がよさそうですね。(更に枚数が増える!)
コラム#1301、2421、2423を参照していただけますか。
<SM>
フリップの枚数に関してですが、話の論理構成上無駄なものは省いたら良いと思いますが、不便だという理由で枚数を削減するのは反対です。
多少不便であっても、視聴者、他の出演者へのわかりやすさ、を優先した方がよいと思います。
特に他の出演者(これまでお馴染みの人が多い)は、太田さんの話を聞かない傾向があるので、逐一視覚的に情報で補いながら話すべきだと感じています。
(それでも10分の1も伝わらないかもしれませんが。)
不便さに関しては、少なくとも開始時にはダイジェスト版を使えば、あたふたすることはないでしょう。
そのあとは、何らかの工夫が必要だと思います。
例えば、10枚でも、20枚でも、必要なだけ作成して、収録の間に何度かはさまれる休憩の時に、次の枠で使うフリップを机の上においたら、どうでしょうか?
<US>
私も、冒頭でのダイジェスト版利用までは心配ないと思いますが、その後は、ご指摘の通り工夫が必要です。
こちら側の思惑で話が展開できればよいのですが、議論の流れでどのようになるかわからないのと、ダイジェスト版のそれぞれは議論の途中で参照されると思われるので結局、すべてのフリップを手元におくことになるのでは、と危惧しております。
もちろん、これは出演する太田さん自身がハンドルすることなので、8枚程度なら大丈夫とのことであればそれでよいです。
イタリアの第一次世界大戦(その3)/「桜」出演準備(続々)
- 公開日:
民主党 不祥事 衆院議員リスト ver.1
のリンクが変です。
くりっくしても、該当記事がありません。
至急訂正をおねがいします。