太田述正コラム#3343(2009.6.18)
<イラン燃ゆ(その1)>(2009.7.16公開)
1 始めに
 大統領選に不正があったとして、<現職の>アフマディネジャド(Mahmoud Ahmadinejad) <大統領>に敗れたムサヴィ(Mir Hussein Moussavi)元首相の支持者達がイラン各地で大衆抗議行動を行っています。
 北朝鮮とともに、核問題で世界の顰蹙を買っているイランですが、北朝鮮とイランとでは月とすっぽんほどの違いがあります。
 そのあたりを含め、イランが今どうなっているかを探ってみましょう。
2 ツイッターと大衆行動
 「オバマ政権は、イラン<の国内情勢>に口出しはしていないと言い続けているが、16日、反政府の抗議者達を助けるためツイッター(Twitter)(注1)<社>に<システムを>停止しないように要請したことを認めた。
 (注1)http://1p-info.suz45.net/twitter.htm
 同社は、15日の真夜中にそのサービスを全面補修するために一時的に<システムを>停止する>ことになっていたが、米国務省はこれを延期するよう要請したのだ。・・・
 ニューヨークタイムスは、16日、この要請を行ったのはジャレッド・コーエン(Jared Cohen)という27歳の国務省の役人であることを突き止めた。
 ツイッター<社>はこの要請を受け入れ、全面補修を16日の夜まで延期した。・・・」
http://www.guardian.co.uk/world/2009/jun/17/obama-iran-twitter
(6月18日アクセス。以下同じ)
 「・・・産業界通は、しかしながら、ツィッター<社>は、この国務省による介入がなかったとしても、<自らの判断で>予定されたメンテナンス時期を変更したであろうと信じている。・・・
 ・・・ユーチューブもイラン政府によってブロックされているように見える。
 トラフィックが90%もダウンしたからだ。・・・」
http://news.bbc.co.uk/2/hi/technology/8104318.stm
 「・・・ツイッター<社>は、この要請に応え、15日の同社のブログで<システムの>アップグレードを16日の午後・・テヘラン時間の午前1時30分・・まで延期すると掲示した。・・・
 コーエン氏は、スタンフォード大学卒で国務省の政策企画スタッフ中の最年少メンバーであり、ツイッター、ユーチューブ、フェースブック(Facebook)(注2)その他の<インターネット>サービスの機能をイラク等に対する外交的イニシアティブに生かそうと努力してきた。・・・
 (注2)http://ja.wikipedia.org/wiki/Facebook
 <イラン>当局が携帯電話によるテキスト・メッセージ<の送受信>をブロックしていため、情報に飢えているイラン人達にとってツイッターは手頃な代替手段となっている。
 イラン<当局>は、ツイッターへの投稿もブロックしようとしてきているが、イラン人達は官による障壁を迂回すべくプロキシー・サイトや他の手法を使うことに長けている。・・・
 政府支持勢力側についても、新しいメディアのアウトレットを使って誤情報を発信しているのではないかという疑惑がある。
 人気のある反政府サイトの一つであるPersiankiwiは、その利用者達に16日、それまで信頼できる投稿を寄せた履歴のない人々からの指示を無視するよう警告した。
 ツイッターのほか、ユーチューブは、既存のメディア・アウトレットが抗議活動やそれに伴う鎮圧の映像を流すことが困難な中で、イランからのビデオをまき散らす極めて重要な道具とされてきた。・・・」
http://www.nytimes.com/2009/06/17/world/middleeast/17media.html?ref=world&pagewanted=print
→MixiをやりだしたのもIT支援グループのタテジマさんの勧めによるが、その後、ユーチューブのアカウントも彼がとってくれ、今度はツイッターのアカウントもとってくれた。
 そこで、先ほど、ツイッターを初めて使ってみた。パソコンからも携帯からも利用できる。(太田)
 「我々は、イランにおいて、当局が情報空間をコントロールしようとしていことを既に見て取ることができる。
 外国人記者認証数は削減され、外国のメディアのチームは公式の許可なくしては出来事をカバーすることが禁じられているし、その結果彼らは自分達の支局やホテルの部屋に逼塞せざるを得なくなっている。
 テキスト・メッセージの送信、BBCを含む外国の衛星TVの送信、その他の電子的通信は<イラン当局によって>妨害電波をかけられている。
 しかし、それでもなお、何とか外に伝えようと決意している大衆からの情報を押さえ込むことは容易ではない。
 妨害電波をかけるのはむつかしいし高くつく。・・・
 ・・・恐らく、結論的に言って、観察しなければならない二つの重要な事柄がある。
 政府が武力を用いる用意があるか、及び、その政府が空を飛ぶ情報を効果的にコントロールできるかだ。
 その際、冷たい金属製の弾丸の力にもかかわらず、二番目のバーチャルな道具こそ最も枢要であるのかもしれないのだ。
 メディアが消されてしまえば、暴力の行使が抗議者達及び/または世界中の世論の怒りを煽り立てないと分かっているので、その体制は鎮圧したり人々を逮捕したりがより容易にできるようになる。」
http://news.bbc.co.uk/2/hi/middle_east/8104705.stm
(続く)