太田述正コラム#3422(2009.7.28)
<アルベール・カミュ(その2)/皆さんとディスカッション(続x552)>
–アルベール・カミュ(その2)–
「・・・色んな意味において、彼は文学的のぼせあがり(crush)だった。
彼は、20世紀における最も魅惑的にして不透明な知的運動たる実存主義の最も魅惑的な代表者だった。
彼は、ハンフリー・ボガードに似ており(注)、生涯を通じて結核によって気高くも苦しみ、ノーベル賞をとってからまもなく若くして自動車事故で死んだ。
(注)説明書きがフランス語だが、カミュとその関係者の写真ならこのサイト↓がお奨め。(太田)
http://www.youtube.com/watch?v=H_7F8pTTeTg
彼は矛盾の束だった。
すなわち、芸術家的哲学者にして、私的な政治的人物にして、隠遁的著名人にして、道徳的女誑しだった。
彼は二重にエキゾチックだった。
フランス人だけでなくアルジェリア人でもあったからだ。
彼は、今なお多くの米国人にとって欧州純文学への入り口であり、誰しもが高校時代に『異邦人』を読んで少しはぶっとばされるという経験をしている。・・・」
http://nymag.com/arts/books/features/57735/
「・・・カミュの頂点の時代は短かった。
しかもその時代も、カミュが『反乱者』において要約的に述べた立場に対する、古い仲間達や同類達からの悪意に満ちた攻撃によって、少なくともパリにおいては暗い影を投げかけられていた。
この作品の中で、カミュは、スーザン・ソンタグ(Susan Sontag<。1933~2004年。米国の著述家、哲学者、文学理論家、政治活動家>)による挑発的な「共産主義は人間の顔をしたファシズムだ」という宣言の原型を、まがうことない形で提示した。
カミュは、「今は既にことは明らかになっているのであって、社会主義にあっても、強制収容所的なものは、強制収容所と呼ばれなければならない」と記した。・・・
・・・観念や態度は流行に乗ったりはずれたりするが、<カミュが抱き続けた>道徳的警戒心はそうではない。
カミュは、両目を見開き、スロットルを全開にして生きたのだ。・・・」
http://www.boston.com/ae/books/articles/2009/07/19/an_insightful_if_worshipful_look_at_albert_camus?mode=PF
「・・・ホーズは、カミュの研究者と言うよりは、ほとんどストーカー<といった趣があるが、>・・・<かく言う>私自身、・・・ホーズのように、カミュの哲学的な様々な確信を吸収し、私自身のものとしたといってよい。
私は、世界は不条理であり、一旦そういうものだと達観してしまえば、世界を受け入れつつ生きていくことができる、というカミュの考えを採用した。
私はまた、私のような何千人もの人々と同じく、『異邦人』の出だしの告白を頭に叩き込んだ。
それはぞっとするほど無感情な(unemotive)文句であるところの、「今日母さんが死んだ(Aujourd’hui, maman est morte)」だ。
私は、カミュが1960年に自動車事故で死んだのを見て、人生は絶対的に不条理であるとの確信を一層深めた。・・・
何を食べたかの結果として我々はあるところ、摂取した場合に限っての話ではあるが、疑いもなく、何を読んだかの結果としても我々はある、と結論づけざるをえない。・・・」
http://www.huffingtonpost.com/david-finkle/writing-under-the-influen_b_230680.html
3 終わりに
いかがでした?
ご感想をお寄せください。
(完)
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–皆さんとディスカッション(続x552)–
<みやざき>
太田さん、はじめまして。
小泉進次郎君のことですけど、ここに名前が見当たらないということは皆さんのご想像通りの結果ということみたいですね。
http://www.columbia.edu/cu/polisci/lists/student.html#C
→現在のコロンビア大学政治学科大学院在籍者名簿のようですから、小泉進次郎が載っているわけはないですよ。(太田)
太田さんのファンです。太田さんのおかげでまったく興味が無かった軍事・自衛隊の事に興味を持てました。
→どうもどうも。(太田)
<ΚΚΑΑ>(2009.7.24)(「小林よしのりvs佐藤優」より)(http://cc.bingj.com/cache.aspx?q=%e5%a4%aa%e7%94%b0+%e8%bf%b0+%e6%ad%a3&d=76446503732638&mkt=ja-JP&setlang=ja-JP&w=30e20ec2,d268ba4b)
佐藤<優>批判って
櫻井良子/小林よしのり・・売国奴論
池田信夫・・学問の基礎が無い論
金光翔・・右左をフラフラするコウモリ論
太田述正・・無駄な努力論
の4つ見つけたけど太田述正以外は大したこと言ってないなあ。
<太田>
記事の紹介です。
昨日も今日も、全然無いですねえ。
民主党のマニフェストの話は、もう少し様子を見てから触れることにしましょう。
日経ビジネスから無理矢理一つ。
アダルトビデオを見てかいた汗を<女性は>無意識に感知!↓
http://www.nikkeibp.co.jp/article/nba/20090721/168689/?ml
(7月28日アクセス)
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太田述正コラム#3423(2009.7.28)
<米国の国家エリート像>
→非公開
アルベール・カミュ(その2)/皆さんとディスカッション(続x552)
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