太田述正コラム#3490(2009.8.29)
<皆さんとディスカッション(続x582)>
<けいc>
a:自分のソースはAP通信です。
≫>前回中曽根外相がイランを訪問するのをアメリカはいい顔をしていなかったよう
についても、典拠を付けて欲しかったですね。≪(コラム#3488。太田)
 The U.S. government asked Japan to suspend the visit of Japanese Foreign Minister Hirofumi Nakasone to Iran due to Iranian President Mahmoud Ahmadinejad’s remarks on Israel, informed sources said Sunday. ・・・
http://www.breitbart.com/article.php?id=D9888QN80&show_article=1
b:アメリカがそこまで嫌がった理由は、日本と同様地震が多いイランが、日本の耐震設計の原発が欲しいからではないかと推測します。
http://www.upi.com/Energy_Resources/2009/07/23/Japan-reactor-gets-go-ahead/UPI-56941248388595/
c:これのその結果ではないでしょうか?
http://www.reuters.com/article/newsMaps/idUSTRE57P1O520090828
 今後の世界の原発需要は日本の外交に大きな影響を及ぼすと思いますが、太田さんのアサンプション(属国日本)に則ると、根本がなっていない属国日本は宗主国のアメリカから核兵器開発と密接に結びつく原子炉建設の受注を発展途上国からもらうことは許してもらえない、ということになるのでしょうか?
<太田>
 aについてですが、あなたの拠ったAP/共同電からも明らかなように、米国は日本に閣僚クラス以上のイランとの接触を控えるように求めている、ということではありません。
 bについては、そのような推測を裏付ける何らかの、もっと直接的な典拠が不可欠でしょう。
 cについては、もっと具体的に書かないと、例えば、次のどれに言及されているいるのか分かりませんよ。
・Iran has slowed its expansion of uranium enrichment and met some demands for transparency・・・
・ Iran had raised the total number of installed, though not all enriching, machines by some 1,000 to 8,308.
・Iran is being backed more and more into a corner on these issues and is not doing well at getting out of that corner
 とにかく、イランは、国連制裁をかいぐぐって、同じく国連制裁の対象となっている北朝鮮から武器を輸入しているような国↓であり、日本がそんなイランと経済関係を深めることに宗主国米国がいい顔をしないのは当たり前です。
 ・・・The United Arab Emirates has seized a ship secretly carrying embargoed North Korean arms to Iran・・・
 the consignment had been ordered by Iran’s TSS, a company said to be linked to Iran’s Revolutionary Guard Corps and previously subject to international bans on importing weapons-related items.・・・
 ・・・the shipment puts them in violation of UN resolution 1874.・・・
 The UN resolution, adopted following North Korea’s second nuclear test in May, extended an existing ban on the transfer of heavy weapons and nuclear and missile-related technology to cover all arms exports by Pyongyang.・・・
http://www.ft.com/cms/s/0/1cc52dcc-93f6-11de-9c57-00144feabdc0.html
<サヨク>
 ぼくは小澤征爾の指揮を好きになれないのですが、彼がサイトウキネンオーケストラで指揮した武満徹の「マイ ウェイ オブ ライフ」はとても好きな演奏です。
 武満の「ファミリー ツリー」も好きですね!!
 彼がいわゆる正規の音楽教育を受けてたら<(コラム#3488)>なんてことはおいて、彼は置かれた状況の中で、それがどんな状況であれ、やはり魅力的な世界を創造したでしょうね。
<太田>
 公式の高等教育を受けておれば、教師や同僚達から、はるかに短時間で広汎かつ高度な情報を得ることができていたであろうだけに、残念だと思うのですよ。
 それでは、武満徹の「その2」です。
2 武満徹によるサウンドトラックと伝統的クラシック曲
 編曲というのは、メロディーというテーマを引き立てる音楽的営みですが、メロディーを、映画のテーマに置き換えれば、そこに映画のサウンドトラック(サウンドエフェクト)の世界が広がります。
 武満は、食うために、無数の映画のサウンドトラックづくりに携わります。
 例えば、小林正樹が監督した映画「怪談」の歴史を画するようなサウンドトラックを覚えておられる方は少なくないでしょう。
 (「怪談」だけが収録されているわけではありませんが、下掲↓をご視聴ください。)
http://www.youtube.com/watch?v=nUij6lOdtCc&feature=related
 お時間があれば、このあたりで、目の保養に、篠田正浩が監督した映画「心中天網島(Double suicide a Amijima)」に武満がつけたサウンドトラック付で、岩下志麻の妖艶なからみをご堪能下さい。↓
http://www.youtube.com/watch?v=tEzCCxj4RqE&feature=related
 このサウンドトラック作品の、論理的延長線上・・必ずしも時系列的延長線上ではない・・に、いわばサウンドトラックを作品として独立させた、私の言うところの、素材としての音楽、すなわち、武満による現代音楽の作品群があります。
 それについては、次回の「その3」で扱うとして、編曲の、論理的延長線上に位置するところの、メロディーも武満自身がつくってしまった(?)伝統的クラシック曲の作品群を、今回はご紹介することにしましょう。
谷川俊太郎作詞 歌曲「死んだ男の残したものは」 森山良子による歌唱。(2番目の曲(3:12~)なのでお間違えなきよう) 
http://www.youtube.com/watch?v=sTRaYaPEkcE
武満自身により、これを合唱曲に編曲したもの
http://www.youtube.com/watch?v=_Uv1NqEhPIA&feature=related
林美智子作詞 合唱曲「翼(wings)」 ↓
http://www.youtube.com/watch?v=hkPWRWHQDbQ&feature=related
歌曲に編曲されたもの 石川セリによる歌唱。
http://www.youtube.com/watch?v=J6NFTWSr7tc&feature=related
武満が作詞もしている 合唱曲「小さな空」↓  
http://www.youtube.com/watch?v=cCVxz6mKod8&feature=related
勅使河原宏が監督した映画「他人の顔(The Face of Another)」(安部公房原作)のテーマ曲、ワルツ」↓
http://www.youtube.com/watch?v=K3ZyB1OYYv4
 言葉を失うほど美しい曲↑だと思いませんか?
 武満よりももっと、深刻な曲ばかりを作曲したショスタコーヴィッチによる、これまた美しいワルツ(第二ワルツ)↓(コラム#2686、3083)のことを思い出しちゃいますね。
http://www.youtube.com/watch?v=bkJHBSAqVIo&feature=related
(続く)
 それでは、残りの記事の紹介です。
 ウソつけ。「米国内に波紋が広がっている」↓たって、この記事の続きを読むと、記者が勝手に騒いでるだけじゃないの。
 「民主党の鳩山代表が27日付の米ニューヨーク・タイムズ紙(電子版)に寄稿した論文をめぐり、米国内に波紋が広がっている。「米国主導」の世界経済の体制を批判的にとらえ、アジア中心の経済・安全保障体制の構築を強調した内容が、米側の目には「現実的でない」と映るようだ。専門家らの間には日米関係の今後に懸念を抱くむきもある。
 鳩山氏は論文のなかで、「冷戦後、日本は米国主導の市場原理主義、グローバリゼーションにさらされ、人間の尊厳が失われている」と指摘。自ら掲げる「友愛」の理念のもと、地域社会の再建や、東アジア地域での通貨統合と恒久的な安全保障の枠組みを作る考えを強調した。 ・・・」
http://www2.asahi.com/senkyo2009/news/TKY200908280447.html
 それよか、英訳して転載されていた鳩山のVoice掲載論考(コラム#3460)も、上記「論文」↑も、私が読む気にならなかったこと・・鳩山が何を言ってるか知らないが、選挙向けの政治家の文章など関心なし・・、鳩山によく考えて欲しいな。
 今まで鳩山が論考を書いたとか、彼が書いた論考が話題になったとか、およそ聞いたことがない以上、なおさらです。
 文章を書くのなら、平素から書いてなくっちゃ。
 自民党も民主党も、安全保障になんか関心がないから、経済安全保障問題もスルーしちゃってるわけ。ニューヨークタイムスの記者は口あんぐりだよ。↓
 
 ・・・the momentous election has focused surprisingly little attention on the pressing problems that threaten the world’s second largest economy.・・・
 Japan’s economy was the same size last year as it was in 1996. During that same period, the United States economy grew more than 50 percent.・・・
http://www.nytimes.com/2009/08/29/world/asia/29japan.html?_r=1&hp=&pagewanted=print
 5年もしたら、日本の国債なんて買う人いなくなるってさ。↓
 Japan has at most five more years to get its fiscal house before facing the prospect of serious capital flight.・・・(NYタイムス上掲)
 移民の一層の受け入れや増税を避けて通っている点では民主党も自民党と同じだとよ。↓
 The main opposition Democratic Party, ・・・has not offered much more than piecemeal remedies to Japan’s biggest problems. Neither <LDP nor Democratic> party has proposed to discuss politically difficult solutions, such as allowing in more immigrants — a no-no in racially homogenous Japan — or raising taxes to help reduce the big public debt burden.・・・(NYタイムス上掲)
 NYタイムスも、広い意味では、私の言う二段階革命論に与してるのだ。それでいいのだ!↓
 But the current election may offer one big economic benefit, if it brings a change of Japan’s political guard. The ouster of the Liberal Democrats would rob Japan’s entrenched interests of their biggest defender, and open the door to newcomers.(NYタイムス上掲)
 民主党の諸君、政権とったら、とるものもとりあえず、天下りの根絶に取り組んでね。↓
 
 「文部科学省から過去5年間に天下った幹部職員OB162人のうち、3分の1を超える57人が私学(学校法人)に再就職していたことが・・・分かった。旧科学技術庁出身者らを除いた旧文部省の生え抜きに限ると、4割を超える高率だった。・・・
 文科省は、各種の補助金で学校法人の経営健全化や設備充実をはかる私学助成を行っており、予算規模は年間4500億円前後にのぼる。私大設立や学部・学科新設の許認可権ももつ。・・・」
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/090829/crm0908290136000-n1.htm
 上記の関連記事。↓
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090829-00000059-san-soci
 その上で、少子化対策を練ってね。今後は、フランス以上に、移民受け入れによって少子化を克服した英国に注目して欲しいな。↓
 「英国の2008年の出生率が1.96に達したと、英国家統計局が・・・公表した。
 ・・・英国生まれの女性の出生率は1.84だったが、外国生まれで現在英国に住む女性の出生率が2.51で、全体の出生率を押し上げた。1973年以来の高さという。英国では2001年に出生率が1.63まで下がったが、その後は毎年、上昇が続いている。
 30歳以上で出産する女性が増えたことも要因という。・・・」
http://sankei.jp.msn.com/world/europe/090828/erp0908282326004-n1.htm
 インポの男性諸君、この記事↓の全文を熟読すべし。
http://www.nytimes.com/2009/08/29/health/29patient.html?hpw=&pagewanted=print
 ・・・Nor is Roberts dewy-eyed about US-British relations. “There was nothing inevitable about the wartime alliance between America and Britain,” he says. “There had been much rivalry between Britain and the United States in the 1920s and 1930s, exacerbated by ignorant stereotyping on both sides.”
He even quotes a former US military attache to London as saying, “The English feel about us just the way we feel about a prosperous nigger.” His American admirers will not enjoy having the US army’s record of raping civilian women compared to that of the Red Army, even if Roberts concedes that the Russians were the more determined violators. He also exposes racism in the US army, observing that 79 per cent of those executed for rape were black, when blacks made up only 8.5 per cent of the US army in Europe.・・・
http://www.guardian.co.uk/books/2009/aug/29/the-storm-of-war-review