太田述正コラム#3518(2009.9.12)
<オフ会質疑応答式講演・質問の流れ(おまけ付)>
1 始めに
本日のオフ会の最初のプログラムである、米国論・属国論に係る質疑応答式講演・・実は、来年1月にある所で行うものの予行演習・・の質問を、オフ会に出席されるHさんが担当されることになったところ、Hさんがこのところ極めてお忙しいため、オフ会には出席されないUSさんに、(Hさんに)代わって質問の流れ(下掲)を作成していただいたので、ご披露します。
2 質問の流れ
全体構成
一 講師紹介
概要:太田さん自身のプロフィール及び太田さんの表芸、裏芸についての紹介
二 米国論
概要:世界の警察であるとか、自由主義陣営のリーダーを自認している米国だが、実は、できそこないアングロサクソンであることを説明
三 属国論
概要:日本は、そのできそこないアングロサクソンである米国を宗主国とする属国であることを説明
四 日本の選択肢
概要:日本の選択肢を提示する。強制はしない
一 講師紹介
1 太田さんの紹介
簡単な略歴
専門が国際問題・安全保障であることの説明
一方、官僚批判などもその著書で行っていることを説明
2 ご専門が、国際問題・安全保障というのに、なぜ、政官癒着などの国内政治、うがった見方をすると政局に絡めた発言が多く見受けられますが、これはどうしてでしょうか? まず、ここから、簡単に説明していただけませんか?
太田さんの想定回答–表芸、裏芸の簡単な説明および両者が表裏一体であることの説明
3 ありがとうございます。 表芸・裏芸が表裏一体であると理解しました。 では、本日のテーマである米国論、属国論について教えてください
二 米国論
4 まず、米国論ですが、私たちは経済的にも文化的にもまた安全保障の観点からも過度に米国に依存している感があります。先生のご専門である我が国の安全保障の観点から、このような状態は望ましいものなのでしょうか? 言葉を変えると、米国とはそれほど頼りにしてよい国なのでしょうか?
太田さんの想定回答–頼りにしてはだめと言い切る。これを理解してもらうためには、まずアングロサクソン論概略を説明する
5 米国もそのアングロサクソンの一員ですよね?
太田さんの想定回答–英国が主流で、米国が亜流であることを説明。米国がだめである点について力説する
6 では、なぜ、そのできそこないアングロサクソンの米国が世界の覇権国家となりえたのでしょうか?
太田さんの想定回答–賭博師の国だから を説明しながら、やっぱりだめな国であることを強調
7 賭博師の国だからといって、世界の覇権国になれるものなのでしょうか?
太田さんの想定回答–米国のこれまでの歴史をひもとき、その拡大主義の根幹が奴隷制度をはじめとする人種差別から成り立っていることなどを述べる ⇒ 虐げられるものの犠牲の上に成り立っている繁栄であることを強調
8 米国がかなり酷い国として思えてきましたが、その米国と今後、どういう付き合い方をすればよいとお考えなのですか?
太田さんの想定回答–その酷い国を宗主国としてあがめているのが日本なんです。その酷い国米国の属国である日本に米国と対等に付き合うなんてことはありえないと言う
9 日本は独立国家です。その日本が属国とはどういう意味なのでしょうか?
三 属国論
太田さんの想定回答–米国との付き合い方に対する回答の前に属国論について説明する
太田さんの想定回答–Wiki等の定義を用いて属国の定義を述べる
10 今ひとつ、納得感がありません。国連にも加盟しているし、2000年までは、世界第1位ODA供出国でした 。世界に誇る平和憲法も持っています 。そんな日本が、なぜ、米国の属国なのでしょうか?
太田さんの想定回答–片務的な安保条約に基づき、軍隊を持たずに安全保障を米国に依存。また、条約上、主要外交政策は米国の顔色を伺う必要があることなどを述べ、属国であることを証明。金は払っても世界の尊敬をあつめてきていない事例をいくつか紹介。 憲法のあるなしは独立とは関係ないことも強調。
11 うーん、そういわれればそうかもしれませんが、日本はサンフランシスコ条約を締結した時点で独立したのではないのですか?
太田さんの想定回答–属国であることを認めたくないことに理解を示しつつも、国際社会の常識から言うと、現在の状況は属国であることを伝える。その上で、そういう状況をつくりあげたのが吉田茂であること、つまり、彼が吉田ドクトリンと後に呼ばれるもののをつくりあげたことを述べる
12 吉田のその判断は、日本の一刻も早い戦後復興を願っての判断ではなかったのですか?
3 USさんの補足
安全保障がご専門ではない方を<聞き手として>想定して<この質問の流れを>作<らせていただきました。>
<本番の>時期は、1月<ですから、>政権交代3ヶ月後で、すでに熱気はさめ、民主党政治のまずいところも見え始めているころ<です。>
<太田さんは、>これまで、癒着構造打破等、政権交代に寄せる期待を述べて<こられてますが>、この1月の段階での受け答え用としては、“期待”ではなく、3ヶ月分の実績を踏まえての考察、助言でなければいけない<でしょう>。それを現時点で予想するのはかなり無理<があるので、>現時点では省き、本番が近づいた段階で再考する<ほかないと思います。>
4 Hさんの感想
ありがとうございました。
米国論属国論をメインに置くという方針で結構です。
私自身さらに伺いたいこと(かつてのソ連の脅威、現在の中国の脅威、英国対大陸欧州など、・・・)もありますが、それは臨機応変にということになるでしょうか。
5 KTさんの感想
「質問の流れ」を読みました。これを書いた方はすごい敏腕ですね。
「独立」しなければどうなるのか?(属国のままでいる事のデメリット)という所もあるといいなと思いましたが、
それを言えるなら、今頃は日本も少しは「独立」の気風がただよっててもおかしくない気がします。(もう戦後64年です)
6 終わりに
私も、この質問の流れを踏まえて、十分どう答えるかを考えてオフ会に臨むべきなのでしょうが、予行演習であるということもあり、あまり準備しないつもりです。
むしろ、オフ会出席の皆さんから、ご叱正やアドバイスをいただこうという魂胆です。
もちろん、質問の流れそのものに対するアドバイスも歓迎です。
こちらについては、このコラムを読まれた方々も、どしどしアドバイスを下さい。
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おまけ
一人題名のない音楽会です。
武満徹のような世界の一流作曲家(天才)と対比する意味で、今回は、日本の一流作曲家(秀才)の芥川也寸志(Yasushi Akutagawa。1925~89年)の特集を組んでみました。
独断と偏見で申し上げれば、彼の最高傑作は、これです。↓
TV「赤穂浪士(47 Ronin)」のテーマ(1964年)
http://www.youtube.com/watch?v=PVw6cs4EzKY&feature=related
不遜なようですが、私は、芥川は、クラシック音楽の作曲家としてよりは、大衆音楽(歌謡曲等)の作曲家として活躍すべきだったと思います。
芥川龍之介の息子であったがゆえに、芥川は、大衆文学的音楽ではなく、純文学的音楽にこだわらざるをえなかったといったところでしょうか。
彼による映画音楽と彼の本格的作品(の一部)をそれぞれ鑑賞されれば、私の言わんとするところがお分かりいただけることと思います。↓
<映画音楽>
菅野光亮ピアノ演奏+伴奏←映画「砂の器」から 「ピアノ協奏曲 宿命(Destiny)第一楽章」。
http://www.youtube.com/watch?v=YSf47ZHKCls&feature=related
同じ曲のクロマチックハーモニカ+シンセサイザー・アマチュア演奏
http://www.youtube.com/watch?v=wdWRXHPXkR0&feature=related
映画「砂の器」から、テーマ(?)
http://www.youtube.com/watch?v=ewF5BZDrIoc&feature=related
同じ曲の菅野光亮ピアノ独奏
http://www.youtube.com/watch?v=YSf47ZHKCls&feature=related
映画「八つ墓村」から「道化のテーマ 」
http://www.youtube.com/watch?v=Zd3qRoaezjI&feature=related
同じく「八つ墓村」から「竜のアギト」
http://www.youtube.com/watch?v=kztGB-dO8VY&feature=related
同じく「八つ墓村」から「檻の中の鶴子」
http://www.youtube.com/watch?v=iQ5YS6X7jMc&feature=related
同じく「八つ墓村」から「絶体絶命」
http://www.youtube.com/watch?v=I8ybG8VY8cw&feature=related
映画「八甲田山」(1977)のオープニング(動画の最初の部分だけに注目)
http://www.youtube.com/watch?v=ohnN0cll9eY&feature=related
<本格的作品>
彼の本格的な作品からは、以下の4曲を聴き比べてみましたが、いずれも駄作の印象がぬぐえません。
その中から、しいて一曲選べと言われたら、2だと思いました。
1 「交響三章(Trinita Sinfonica)」(1948) 、
2 「交響管弦楽のための音楽(Musica per Orchestra Sinfonica)(1950) 芥川指揮
http://www.youtube.com/watch?v=_GendPjjuwU&feature=related
●http://www.youtube.com/watch?v=LiTO9NdMWF4&feature=related
3 「弦楽のための三楽章 トリプティーク(TRIPTYQUE for String Orchestra)」(1953) 本名徹次指揮 日本フィルハーモニー
4 交響曲第1番(Prima sinfonia)(1955) 芥川指揮 新交響楽団
後でウィキ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%8A%A5%E5%B7%9D%E4%B9%9F%E5%AF%B8%E5%BF%97
を見たら、彼が賞(1950年、NHK放送25周年記念懸賞募集管弦楽曲に特賞入賞)をもらったのは、この曲だけなんですね。
私の耳は確かだなと頷いた次第(?!)です。
聴かれるのなら、●のついている、この曲の後半部だけをどうぞ。
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太田述正コラム#3519(2009.9.12)
<日進月歩の人間科学(続x7)(その1)>
→非公開
オフ会質疑応答式講演・質問の流れ(おまけ付)
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