太田述正コラム#3598(2009.10.22)
<皆さんとディスカッション(続x635)>
<ΑχΑχ>(「たった一人の反乱」より)
たかじんスレより。太田さんのこと話題になってた。あのロジック、通じてたみたい。
http://society6.2ch.net/test/read.cgi/mass/1255511879/484-490
http://society6.2ch.net/test/read.cgi/mass/1255511879/558-566
・・・
<太田>
情報提供に深謝。
<ΑΑχχ>(同上)
慰安婦の記事は元が朝鮮発で、調査したのも韓国人が理事長やってる。<(コラム#3596参照>
北東亜歴史財団だから公平性に欠けるってことで相手にされてないだけじゃない?
<ΑχχΑ>(同上)
いやいや、その世論調査は、米ギャラップの韓国オフィスに依頼したものだよ。
記事には書いてないが、都民の調査は日本オフィスがしたんじゃない?
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AE%E3%83%A3%E3%83%A9%E3%83%83%E3%83%97
<ΧΧαα>(同上)
バイデン米国副大統領が≪恐慌≫を宣言
http://blogs.yahoo.co.jp/goldrush21japanbranch/29871166.html
日本も既にそのトバ口にあるよな。・・・
<太田>
本日から、ケインズのシリーズの公開を始めたことに引っかけて、直接コラムに係わらないけど、とりあげてみたよ。
バイデンのこの話、英米の主要メディアじゃ完全黙殺だ。
そもそも、彼、口が軽くてオバマ政権内で浮き上がった存在だしな。
そう言えば、
「長妻昭厚生労働相は20日、国民の貧困層の割合を示す指標である「相対的貧困率」が、06年時点で15.7%だったと発表した。日本政府として貧困率を算出したのは初めて。経済協力開発機構(OECD)が報告した03年のデータでは、日本は加盟30カ国中4番目に悪い27位の14.9%で状況は悪化している。日本の貧困が先進諸国で際立っていることが浮き彫りとなった。・・・」
http://mainichi.jp/select/today/news/20091020k0000e040071000c.html?link_id=RTH05
って話もあるね。
でも、いずれにせよ、そんな話小せえ、小せえ。
全球的にモノを考えれば、経済面だけとっても、まだまだ日本だって米国だって天国みたいなもんだぜ。↓
・・・The number of hungry people in the world rose to 1.02 billion this year, or nearly one in seven people・・・
・・・the numbers were inching up even before the crisis(金融危機)・・・
http://www.nytimes.com/2009/10/22/world/22food.html?hp=&pagewanted=print
対テロ戦争や海賊(後出)、そして世界的な貧困問題に、どう取り組むかを、いくら属国だとはいえ、日本として考えなくっちゃ。
<Chase>(2009.10.21)http://blogari.zaq.ne.jp/fifa/
–太田述正の思想(実名告発防衛省)–
「実名告発防衛省」について、次回本とだぶりそうな箇所のまとめを行う。
再読してみると、本著にも太田氏のいわゆる表芸、裏芸は随所に散りばめられており(というか、全体が自立をモチーフにしていることから、すべては関連している)、言葉尻で抽出するのももどかしい面もある。
がしかし、自分自身の頭の整理が必要なので、モノローグ作業として以下、記す。
なお、12月5日のオフ会でドラフトを報告したいと考えているので、11月には何とか切り貼り作業に集中できるようにしたい。
実名告発防衛省
はじめに
<ポイント>政治こそが癒着構造の主役であり、官僚機構は政治システムの下位システムにすぎない。
政治批判は、自民党独裁政治批判である。自民党が吉田ドクトリンを金科玉条のように守ってきたことが最大の問題。
吉田ドクトリンは、国家のガバナンスを放棄する買弁的戦略であり、現在の政治、官僚機構、政府依存度の大きい大企業の退廃・腐敗はその論理的帰結。
表芸の比較政治論や国際安全保障論をどれほど論じても、ガバナンスを放棄した日本に活かされることはありえないため、やむなく官僚批判や自民党批判を行い、属国状態にある日本国を炙り出す戦略をとる。(P2~P4)
14 天下りは税金を使ったヤミ年金
<ポイント>官僚機構は生涯所得を最大にするための互助組合と化し、私利私欲に走っている。
自らの生活の安定のため、天下り確保のため、天下り先企業の利益を優先しようと様々な便宜を図る。
天下りという合法的な腐敗は、世界でもほかに例を見ない日本固有の癒着構造だ。
その結果、自由競争を奪われた企業、そして日本全体は活力を失っていく。(P134)
天下りを核心とする政官業癒着構造は、防衛省だけでなく、全中央省庁や地方自治体を通じて行われている。(P137)
多くの天下りOBは、実質的な仕事をせずに膨大なヤミ年金をもらっており、その原資は、官庁が購入する財・サービスの価格を水増ししたり、規制を手加減したりして捻出される膨大な税金である。
この天下りシステムのみかじめ料を自民党政治が政治資金としてせしめる。これが日本の抱える最大の問題だ。(P139)
17 旧ソ連の軍事的脅威など存在しなかった
<ポイント>冷戦後、米軍の存在を前提とすれば、テロリスト的攻撃や核攻撃に対して、自衛隊の存在意義はなく、国際貢献にその意義を求めるほかはない。(P173)
20 思いやり予算
<ポイント>日本は米国の保護国(属国)であり(wikipediaの定義)、比喩でなく厳然たる事実。思いやり予算の経緯。(P188~192)
21 私が防衛庁を辞めた理由
<ポイント>吉田ドクトリンは防衛庁を退廃・腐敗させているだけでなく、米軍まで堕落させつつある。
米国はグアム移転に対して日本に途方もない負担をふっかけている。(思いやり予算により)在日米軍再編は、米軍の世界的再編のベクトルとは正反対であり、米軍の資源配分をゆがめている。(P205)
23 改革への提言
<ポイント>日本は米国の属国→政官の退廃・腐敗が蔓延。(P216)
日本が米国からの自立を選択するのなら、集団的自衛権の行使ができるように憲法を改正するか、憲法解釈を改めること。
その上で、日米安保条約を双務的な条約にすることで法理論的に米国の属国の地位を脱することができる。(P217)
<太田>
ご苦労様です。
>冷戦後、米軍の存在を前提とすれば、テロリスト的攻撃や核攻撃に対して、自衛隊の存在意義はなく、
は、「戦後、米軍の存在を前提とすれば、日本への領域的脅威はテロリスト的攻撃や核攻撃だけだが、前者は日本の警察力の強化で、後者は米国の核抑止力により対処すべきであり、自衛隊の存在意義はなく、」に改めた方がいいでしょう。
話は変わりますが、昨日は、「自分」とは何か、という一種哲学的なことを考えさせるコラムに出会いました。
「自分」はどうやら複数存在するらしい。
例えば、誰にでも少なくとも、状況に対応(適応)して欲望を充足するだけの「自分」と、社会規範に従って欲望をコントロールしようとする「自分」が併存しているというのです。
結果、ホロコーストへの当時のドイツ一般国民の積極的/消極的加担が、ユダヤ人差別という(長期的)社会規範に従ったものであったのか、ナチス当局の意向という(短期的)状況に対応(適応)しただけだったのか、という「論争」に私なりの決着をつけることができました。
数日後の非公開コラムで書きますが、一ヶ月後くらいには公開するので、無料読者の方はその折にお読み下さい。
では、その他の記事の紹介です。
1960年代の在タイ英国大使が、任地国をボロクソに言っていたって話がオープンになりました。↓
タイに詳しい方、タイってそうなの?
・・・Until the foreign office ended the tradition in 2006, departing British ambassadors would give valedictory summaries of their host nation upon leaving the post. The missives were meant to stay confidential.
But the BBC used Freedom of Information legislation to obtain brutally frank dispatches from ambassadors for its radio series Parting Shots. ・・・
The BBC program revealed the assessment by Rumbold, who served in Bangkok from 1965 to 1967, delivered in a final dispatch to the foreign office in London before leaving his post.
“They have no literature, no painting and only a very odd kind of music; their sculpture, ceramics and dancing are borrowed from others, and their architecture is monotonous and interior decoration hideous,”・・・
“Nobody can deny that gambling and golf are the chief pleasures of the rich, and that licentiousness is the main pleasure of them all,”・・・
“The general level of intelligence of the Thais is rather low, a good deal lower than ours and much lower than that of the Chinese,”・・・
http://www.taipeitimes.com/News/world/archives/2009/10/22/2003456539
海上自衛隊の出番だよ!↓
・・・Global pirate attacks so far this year have already exceeded the number recorded last year, and attackers are much more likely to use firearms,・・・
However, ・・・the rate of successful hijackings had dropped substantially this year, ・・・ because of increased naval patrols・・・to an average of one in nine vessels targeted by pirates compared with one in 6.4 last year.・・・
http://www.taipeitimes.com/News/world/archives/2009/10/22/2003456542
「・・・元大蔵次官の斎藤次郎氏が日本郵政のトップに就くことに対し、・・・野村ホールディングスの氏家純一会長は21日、「多額の資金が『官』のコントロール下にあり、暗黙の政府保証下にあることについて、(11月初めにある日米財界人会議で)文句が出るのではないか」と話した。」
http://www.asahi.com/business/update/1021/TKY200910210518.html
米軍と民主党新政権との関係は、既に相当険悪化していると見た方がいいね。↓
鳩山さん、すぐ上↑で触れたように、ただでさえ日本郵政の扱いが、宗主国米国金融界の神経を逆なでしつつあることを考えると、自由民主主義国家としての日本の米国からの「独立」という考え方を、近々来日するオバマに直接訴えて、国内態勢づくりの時間を貸してもらうことでも考えないと、民主党政権の存続自体が危うくなるよ。
・・・Defense Secretary Robert M. Gates said that if Japan stops the base relocation, the United States would halt the withdrawal of 8,000 Marines from Okinawa and would not, as planned, return several parcels of land. ・・・
・・・the visit by Gates, which helped set up a trip here in November by President Obama, was unusually businesslike. Gates declined an invitation to dine on Tuesday night with officials from the Ministry of Defense. He also declined the offer of a welcoming ceremony before his Wednesday visit to the ministry. ・・・
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2009/10/21/AR2009102100746_pf.html
異例にも、米ジョージ・ワシントン大学の修士課程の一介の学生のコラムをクリスチャンサイエンスモニターが掲載してました。↓
「退党」は、このコラムからも分かるように、大紀元が始めた運動
http://tuidang.net/
なので、私は生理的に受け付けないけれど・・。
・・・ a movement that has silently swept the nation. Called Tuidang(退党), which translates simply as “withdraw from the party,” the movement encourages people to publicly renounce their membership in Communist organizations. The implications are manifold. This is the first time since the 1980s that China has seen such a large, organized dissident movement ? if an underground one. ・・・
・・・the Tuidang movement, which organizers say has more than 60 million participants. It began in late 2004, when New York-based Chinese dissident newspaper DaJiYuan(大紀元) ran a series of polemic editorials detailing the history of the Communist Party in China. They also proclaimed that the country would not truly be free or prosperous until it was rid of the party, which, it argued was at odds with China’s cultural and spiritual values. ・・・
Unlike the student movement of 1989 or the more recent Charter 2008 manifesto ? both of which embraced the language of Western democracy ? the Tuidang movement employs distinctly Chinese language and meaning. More Confucian than humanist, it often makes its points by drawing on Buddhist and Daoist spirituality.
Denouncing the party is thus not simply political activism, but takes on spiritual meaning as a process of cleansing the conscience and reconnecting to traditional ethics and values. ・・・
The Tuidang movement also shows the manner in which Chinese people understand human rights, civil liberties, and democracy, and how they might reconcile these ideas with a more traditional Confucian worldview. It could perhaps even serve as a precursor for another democracy movement. ・・・
http://www.csmonitor.com/2009/1021/p09s01-coop.html
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太田述正コラム#3599(2009.10.22)
<除去主義(その1)>
→非公開
皆さんとディスカッション(続x635)
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