太田述正コラム#3600(2009.10.23)
<皆さんとディスカッション(続x636)>
<ΑΑχχ>(「たった一人の反乱」より))
≫・・・都民の<世論>調査は・・・米ギャラップの・・・日本オフィスがしたんじゃない?≪(コラム#3598。ΑχχΑ)
 あ、そうなんですか。都民の調査って日本オフィスがしてたって書いてないみたいだけど、そう考えるに至るソースってある?
 まぁ、日本でやる世論調査なんだから日本の会社がやるのが普通だと思うけど、韓国人は日本語堪能な人が多いから日本の調査も韓国人自らがやってるものとばかり思い込んでた。
<ΧαΧα>(同上)
 RDD方式の電話調査が一般的だから、わざわざ国際電話で調査するか?、
 国際電話は番号通知かどうかしらないけど、仮に通知だとしても、海外からの電話は無視する人が多いんじゃないか?、と単純に思っただけ。
 どうやら、ここがギャラップの提携先みたい。
http://www.nrc.co.jp/report/index.html
 依頼主の東北亜歴史財団が調査結果を公開しているか、調べてみたが無さそうだわ。
http://www.historyfoundation.or.kr/
亜洲経済より
 『慰安婦問題をめぐる日本政府の公式謝罪について、韓国人は97.5%、中国人は88.3%が謝罪すべきだと回答。
 日本人の48.9%と対照的だった。ただ、公式謝罪に対する日本人の支持率は2007年が38.4%、2008年が40.8%と、年々増えている。
 靖国神社参拝に反対する韓国人は73.3%で、2007年(82.0%)、2008年(78.8%)と、減少が続いている。
 日本でも参拝に対する否定的な意見は44.2%、35.0%、28.3%と、この3年間で減り続けている。
 一方、中国では85%前後の反対意見を3年間維持している。
 独島(日本名:竹島)表記については、韓国人の98.3%が「独島」、日本人の62.2%が「竹島」と表記すべきだと回答した。
 理由は、それぞれ「韓国の領土だから」「日本の領土だから」が最も多かった。
 また、歴史的認識の改善の為の課題に関しては、韓日が歴史共同研究など、学術交流(韓国50.6%、日本32.7%)を優先して行うべきだとの回答が多かった。
 一方で、中国は政治会談など政治的な交流(20.9%)を挙げ、韓日中の関係に関し、多少の違いが見られた。』
http://www.ajnews.co.kr/uhtml/read.jsp?idxno=200910200833312200531
<ΧααΧ>(同上)
 ま、日本のオフィスが代行したんでしょう。
 ただ、ネットでちょっと調べたんだけど調査レポートが公開されてないようなんだが、韓国語とかではされてんのかな?
 韓国人の謝罪ありきで作られた質問で、慰安婦が軍によって強制的に連行され、強制的に奉仕させられてたってことが前提の質問になってたら、流されやすい日本人がそのことが事実なら謝るべきって、条件付の肯定の意識で答えてるんじゃないかと俺は考えてるから、この問題は調査レポートが日本語で公開されない限り、日本人の意識が変化したと断言できない。
 質問に慰安婦の軍による強制連行があったか議論の余地があるぐらいのことが書かれてないと公平性は保てないから、世論調査並みの信頼性がほしいなら、質問内容を詳しく知っとかんといかんな。
<αΧαΧ>(同上)
 <コラム#3596のχΑΑχクン、>キミは暴力的行為は一切、廃止すべきだという意見なのかな?
 それとも必要な暴力行為は認めるという立場なのかな?
≫有色人種の軍事力が脆弱な小国若しくは、国と認定されない(したくない)民族組織がこれは戦争であると言っても、国際的にはテロと恣意的に認定させられているのも現実だろ。≪(コラム#3596。χΑΑχ)
 有色人種に限った話ではないと思うけど、戦争であるなら手続き上、宣戦布告すれば戦争になるよ。
 手続きをやらないで国際社会は戦争と認めないとか言われてもなあ。
 国と認められない組織であれば暴力行為は戦争では無くテロということになるね。
 ただ、止められない暴力装置だからこそ一定の歯止めを設けて破壊力を限定しようという工夫がいるわけだ。
 基本的に戦争は軍人同士の戦いであり、一般人を巻き込まないのが原則だから、たとえ軍が守るものが国体だと言っても、一般国民の生命もできる限り守ろうとする。(往々にして例外もあるものの。)
 だから、<コラム#3596で紹介された>
http://www.youtube.com/watch?v=6UAStYu_CBg&feature=related
のように沖縄戦で軍人が刀を振るって一般人を米軍に投降させようとしたりするが、テロの場合、破壊行為が無原則だから一般人も平気で犠牲にしてしまう。
 だからお互いに殺しあう軍人同士でも英雄的な行為は称えあうことができるのに対して、犯罪行為たるテロ行為には称える気持ちは出てこないのだよ。
 そしてキミの言うテロを行うような”脆弱な小国若しくは、国と認定されない(したくない)民族組織”は、更により弱体な存在(例えば自国民など)に対する暴力行為は強国が弱小国に行うものを遥かに越えた容赦の無い弾圧を加えるわけだ。むき出しの暴力でね。
<太田>
 合いの手を入れてすまんが一言。
>戦争であるなら手続き上、宣戦布告すれば戦争になるよ。  手続きをやらないで国際社会は戦争と認めないとか言われてもなあ。  国と認められない組織であれば暴力行為は戦争では無くテロということになるね。
の前段については、正確には、「・・・<先の大戦当時、既に>宣戦布告は意味を失いつつあった。・・・<例えば、>米国にとって最後の<宣戦布告>になったのは、1942年のルーマニアに対するものだった・・・」(コラム#3507。未公開)という状況だから、あんまし意味のない話だな。
 2チャンネラーの諸君を、このくだりを前提とした、(私がコラムに転載しようがない)無意味な議論に誘っちまって、可愛そうだぜ。
 また、後段については、「現在の戦時国際法は武力紛争の存在を適用開始の要件としており、宣戦布告の有無や戦争状態の認定を問わない。・・・国際的武力紛争と非国際的武力紛争<についても問わない。>・・・もし非国際的武力紛争の要件が満たせば<国側に>犠牲者の保護が義務付けられ、さらに指揮系統の存在、反徒の組織性、軍事行動の時間的継続性と事実上の領域支配、という要件を満たすことができれば<反徒側にも>文民保護などの交戦法規が義務付けられる。」
http://wapedia.mobi/ja/%E6%88%A6%E4%BA%89%E6%B3%95
ってことだからね。
 あなたのようにはしょり過ぎた言い方をすると、これまた2チャンネラーの諸君の間での議論で不必要な混乱を呼ぶよ。
<ααΧΧ>(同上)
>だからお互いに殺しあう軍人同士でも英雄的な行為は称えあうことができるのに対して、犯罪行為たるテロ行為には称える気持ちは出てこないのだよ。
 でもそれは趣味の違いの問題にすぎないな。
 そういうのでロマンを感じてシビレる人にだけしか通じない理屈。
<αΧαΧ>(同上)
 普通の人間だったら、そういう感情は誰でもあると思うけどね。
 日本の「サムライ」が世界の多くの人から畏敬の念を持って見られているのも「武士道」というルールに基づいた暴力だと認識されているからだと思うよ。
 「攻殻機動隊」がアメリカで受けたのも、そういう「サムライ」的なものが感じられたからかもね。
 「攻殻機動隊」は「アキラ」が出るまで、アメリカで一番売れた日本のマンガだけど、ああいう内容のマンガを読むということはアメリカ人の日本のマンガ読者層はレベル高いと思ったよ。作者は士郎正宗さんですね。
 一読をお勧めします。
 あと菅野洋子さんの歌もいいよ。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%8F%85%E9%87%8E%E3%82%88%E3%81%86%E5%AD%90
http://www.nicovideo.jp/watch/sm2604525
http://www.nicovideo.jp/watch/sm2615161
http://www.nicovideo.jp/watch/sm2620740
<太田>
 情報提供は多とするけど、ニコニコ、長すぎるよー。
<ααΧΧ>(同上)
>「攻殻機動隊」がアメリカで受けたのも、そういう「サムライ」的なものが感じられたからかもね。
 根拠不明。攻殻機動隊=サムライ的なの?どの点が?
 そもそも侍って普通の人にとってそんなに魅力的な生き方なの?
 自分を捨てて主人のために忠誠を尽くすのが侍的な生き方なんだろうし、そういうのにシビれる人がいる事もわからんではないけど、見方によっては自分の意思というものが無く思考停止してるし、そういう犬みたいな生き方はダサいと見る人だって普通にいると思うが。
 まあそれはまさに個人の趣味の違いの問題にすぎないけどね。
<太田>
 今度のキミ、ちょっと「侍」についての歴史認識が偏りすぎてるぞ。
 まず、コラム#29の私の忠臣蔵論を読んで頭を柔らかくした上で、笠谷和比古の『主君「押込」の構造―近世大名と家臣団』に関する
http://www.amazon.co.jp/%E4%B8%BB%E5%90%9B%E3%80%8C%E6%8A%BC%E8%BE%BC%E3%80%8D%E3%81%AE%E6%A7%8B%E9%80%A0%E2%80%95%E8%BF%91%E4%B8%96%E5%A4%A7%E5%90%8D%E3%81%A8%E5%AE%B6%E8%87%A3%E5%9B%A3-%E8%AC%9B%E8%AB%87%E7%A4%BE%E5%AD%A6%E8%A1%93%E6%96%87%E5%BA%AB-%E7%AC%A0%E8%B0%B7-%E5%92%8C%E6%AF%94%E5%8F%A4/dp/406159785X
に、カスタマーレビューを含め、目を通してごらんよ。
 なお、武士道と騎士道の違いについてはコラム#614、新渡戸稲造や李登輝の武士道観を批判したコラム#182、495、1600、福澤諭吉の武士道観に触れたコラム#1403もよかったら参照してくれたまえ。
<αΧΧα>(同上)
 「軍人同士の敬意」に関して、十字軍の時代に生きたサラディン(サラーフ=アッディーン)がヨーロッパでも名を轟かせたこととか想起されるなぁ
<ΨΨΑΑ>(同上)
>そもそも侍って普通の人にとってそんなに魅力的な生き方なの? (中略) まあそれはまさに個人の趣味の違いの問題にすぎないけどね。
 キミはもっと勉強してから反論した方がいい
 道徳大系としての武士道とは「君に忠、親に孝、自らを節すること厳しく、下位の者に仁慈を以てし、敵には憐みをかけ、私欲を忌み、公正を尊び、富貴よりも名誉を以て貴しとなす」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AD%A6%E5%A3%AB%E9%81%93
http://www.youtube.com/watch?v=3KRreGxUHCE
<を>最後まで見れば”武士道”が出てくるよ。
 旧軍でも国民の生命・財産は守るという発想はあったんだね。
<αΧΧα>(同上)
≫「戦後、米軍の存在を前提とすれば、日本への領域的脅威はテロリスト的攻撃や核攻撃だけだが、前者は米国の核抑止力により、後者は日本の警察力の強化で対処すべきであり、自衛隊の存在意義はなく、」に改めた方がいいでしょう。 ≪(コラム#3598。太田)
 前者と後者が逆に・・・
 あと、コラム0422や最近のコラムで「PTDS」という記述があるけど、心的外傷後ストレス障害”Post-traumatic stress disorder”なら”PTSD”だよ。
<太田>
 サンキュー。
 ブログ直しといたよ。
 大体からして、PTSDとPTDSが入れ替わり使われてたね。
 (面倒なんでコラム#422のPTDSは直さなかった。)
<ΨΨΑΑ>(同上)
≫ソ連共産主義を崩壊させたのはゴルちゃんであり、エリティンはゴルちゃんとの権力闘争に勝つためにソ連の解体をもたらしたというだけのことです。≪(コラム#3574。太田)
 ちゃんと「エリティンが(略)ソ連の解体をもたらした」って太田様もお認めになっているじゃああーりませんか。
 ベロヴェーシ合意
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%99%E3%83%AD%E3%83%B4%E3%82%A7%E3%83%BC%E3%82%B7%E5%90%88%E6%84%8F
 その行動が権力を握るという個人的な目的であれ、それがもたらしたものは成果でしょ。
 ある意味、エリティンは政治家というより歴史的存在としての評価が高いといった方が良いかもしれません。
 言葉を変えて言えばヘーゲルのいう世界精神がこの時、エリティンに宿ったのですな。
 旧体制が「テーゼ」ゴルちゃんが「アンチテーゼ」そしてエリティンが「ジンテーゼ」です。
 太田様に「おまえは逆立ちしている」といわれそうですがw。
≫解体したソ連から生誕したロシアを破産寸前にした彼には、負の業績しかないのですから、ダメ政治家の典型でしょうな。≪(同上)
 全くアメリカの言うことなんか信用するから・・・しかし、共産主義経済から新しい経済システムに移行するにあたってアメリカ以外に他のどこをエリティンは頼ればよかったのでしょう?
 他の選択がこの時、ロシアにあったのでしょうか?
http://blog.ohtan.net/archives/50954268.html
http://blog.ohtan.net/archives/50954266.html
http://blog.ohtan.net/archives/50954265.html
<太田>
 キリスト教原理主義の勢力が強い米国で、そのこととも無縁じゃないけど、当時は市場原理主義的発想が米国を席巻してたからね。
 旧ソ連の米国研究の水準が低すぎて、等身大の米国の姿が旧ソ連のエリート達には見えてなかったんだろうな。
 たまたま、現在、「よみがえるケインズ」シリーズを公開中だけど・・。
<ΨΑΨΑ>(同上)
 バイデン米国副大統領が≪恐慌≫を宣言 <(コラム#3598)>
http://blogs.yahoo.co.jp/goldrush21japanbranch/29871166.html
↑に対し、
おーたん
≫バイデンのこの話、英米の主要メディアじゃ完全黙殺だ。
 そもそも、彼、口が軽くてオバマ政権内で浮き上がった存在だしな≪(同上)
で、糸へんに冬としているけんど、町内会長のヨタ話ぢゃないんだぜ、これ現職の副大統領の発言ってことだぜ~をい。
≫英米の主要メディアじゃ完全黙殺だ≪(同上。太田)
↑この主要メディアとやらは、いったい何で維持できてんだぁ?
 スポンサーがあってのメディアであって、都合の悪いことは極力、意図的に報道していないってことだろ。
(参考まで)
 ポチは見た
http://www.geocities.co.jp/SweetHome/8404/index.html
 マスコミにだまされないために、虚構に満ちたマスコミの嘘と裏を知ろう
<太田>
 そこが、悲しいかな、日本の主要メディアと英米の主要メディアの違うところなんよね。
 報道の自由度指標で、2008年から2009年にかけて、米国は40位から20位、英国は25位から22位、日本は29位から17位と、一見日本のメディアは進んでいるように見える
http://www.taipeitimes.com/News/world/archives/2009/10/22/2003456546
http://www.rsf.org/fr-classement1001-2009.html
http://www.rsf.org/fr-classement33-2008.html
けれど、これは米国も英国も対テロ戦争中であるという事情を斟酌しなければいけない。
 民主党への政権交代で記者クラブ制度に風穴が開きつつあり、そのおかげもあって日本のランキングは躍進したものの、依然として日本のメディアには、やーさんだの部落だの学会だのたくさんのタブーがあることを忘れてはならない。
 最も良い例とは言えないが、たまたま本日の記事から引用すると、
 ・・・There is also a strong taboo in the Japanese news media against any criticism of the country’s farmers and fishermen, often depicted as heroic defenders of a way of life that is fast disappearing. Coverage of the film・・・ “The Cove,” an American documentary that used hidden cameras to film Taiji’s annual dolphin hunts・・・ has been sparse, and its producers have yet to find a distributor willing to put it on wider release.・・・
 Laboratory tests have shown high levels of mercury in the flesh of dolphins and pilot whales that were caught and sold in Taiji, prompting some local markets to remove them from their shelves.
 But even those findings have not been widely reported in the national media. ・・・
http://www.nytimes.com/2009/10/23/world/asia/23dolphin.html?ref=world&pagewanted=print
 なお、関連して以下↓も参照。
 イルカ漁隠し撮りの映画『ザ・コーヴ』 中止要請も、東京国際映画祭で上映
http://www.tokyo-np.co.jp/article/entertainment/news/CK2009102302000065.html
<ΨΑΑΨ>(同上)
 クルーグマンは大恐慌2.0を回避したって認識らしいが、バイデンは何をもって恐慌だと言ったのか、疑問を持っちゃうな。
 クルーグマンは現状を日本の90年代のグローバル版だって評しているが、この状況を指して恐慌だって言う人も居そうだな。
 8月の記事だけど、クルーグマンの見解も読んでみると良いと思うよ・・・・・・
http://afpbb.com/article/economy/2629419/4442921
<コバ>
–日本の独立は無理なのか–
 お隣の韓国が北朝鮮の核問題をめぐって米国と真剣な協議をしているのに、日米間で核の先制不使用問題を議論すると<岡田外相が>ぶち上げる日本はそりゃ宗主国からも世界からも本当に白い目で見られて当然だと思いました。
 北朝鮮の核について日本は当事者意識などもなく、現実を無視して米国や韓国におんぶしてもらいながら妄想たくましくしているといったところでしょうか。
 自分もキチガイなので棚に上げられませんがorz
http://www.chosunonline.com/news/20091022000020
http://www.nytimes.com/reuters/2009/10/22/world/international-us-korea-north-gates.html?_r=1&scp=3&sq=Gates%E3%80%80korea&st=cse
http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20091019AT3S1800A18102009.html
 韓国は米国からの統制権移管が2012年にも行われるというのに、日本がこんな調子じゃ集団的自衛権も多国間同盟も一体いつのことになるのでしょう。
 日本が、毎日世界で米国の若者が血を流して死んでいく現状から目を背けたまま、対等な日米関係を主張するなんて傍若無人、独りよがりも極まってしまいました。
 韓国のほうが米国との対等な関係構築にどんどんまい進しています。
 自分のような植民地の豚がいただける指揮者なんて植民地に相応しい連中しか望むべくもないのか。豚としてむなしい限りです。
http://www.chosunonline.com/news/20091021000022
http://www.chosunonline.com/news/20091021000023
http://www.chosunonline.com/news/20091021000024
<太田>
 岡田君は、イオンの秘蔵っ子で旧通産官僚でもあり、吉田ドクトリンの権化たる、軍事軽視の経済至上主義者ってことがこういうことからも分かるな。↓
 岡田克也外相は・・・、北朝鮮に出入りする船舶の貨物検査をしやすくする特別措置法案の臨時国会提出に平野博文官房長官が慎重姿勢を示したことに「最終的には首相官邸の判断は尊重されるべきだが、北朝鮮が融和的な態度を示すかもしれないとの理由であれば、外務省はノーだと申し上げた」と不快感を示した。
http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20091017AT3S1602B16102009.html
 「・・・ゲーツ米国防長官・・・は韓半島(朝鮮半島)の有事に際し、全世界から展開可能な米軍の兵力と戦力を韓半島に柔軟に配置することを表明。さらに、北朝鮮の核による脅威に対応するため、核の傘、従来兵器による攻撃能力、ミサイル防衛(MD)能力を含むあらゆる種類の軍事力を動員し、韓国に「拡大抑止」を提供するとした。・・・
 <これは、>米本土や在日米軍などアジア太平洋地域中心だった戦時の増援戦力を、欧州、中東からも投入可能にした<ということだ。>・・・」
http://www.chosunonline.com/news/20091023000024
 米国が韓国防衛に力を入れれば入れるほど、日本領域の軍事的安全度が高まる、つまりは日本の米国ただ乗り度が高まるって構図の下で、軍部を中心として米国政府が日本の民主党新政権のたちあがりのスタンス・・アフガン支援も在日米軍再編もノー・・にトサカに来るの、当たり前だと思わないか?
 韓国でゲーツ長官は、South Korea’s rising status deserves a bigger <defense> budget. とした上で、”We encourage the Republic of Korea’s political leaders to make an investment to Korea’s emerging role as a contributor to global security, and commensurate with the threat you face on the peninsula,” と述べている。
http://english.chosun.com/site/data/html_dir/2009/10/22/2009102200212.html
 日本に対して、韓国に対してよりももっと大きな声で言いたいことを、彼は一言も日本では言わなかったところから、我々は、彼の怒りと侮蔑の念の大きさを推し量るべきだろう。
 繰り返しになるけど、鳩山首相の存念が問われている。
 なお、ワシントンポストの論調が日本のTV等をにぎわしているけど、鳩山首相さえしっかりしてれば、
 ・・・A senior State Department official said the United States had “grown comfortable” thinking about Japan as a constant in U.S. relations in Asia. It no longer is, he said, adding that “the hardest thing right now is not China, it’s Japan.” ・・・
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2009/10/22/AR2009102201312_pf.html
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2009/10/21/AR2009102100746_pf.html
(この二つは、ほぼ同じ内容の記事)
なんてのは、全然気にする必要ないし、
 ・・・Other Asian nations have privately reacted with alarm to Hatoyama’s call for the creation of the East Asian Community because they worry that the United States would be shut out.
 ”I think the U.S. has to be part of the Asia-Pacific and the overall architecture of cooperation within the Asia-Pacific,” Singapore’s prime minister, Lee Hsien Loong, said on a trip to Japan this month. ・・・(同上)
なんてのも、シンガポールの特殊事情が同国首相にそう言わせているだけなんだから、これも気にする必要はない。
 その他の記事の紹介です。
 アフガニスタンへの米軍増派賛成論
http://www.nytimes.com/2009/10/22/opinion/22boot.html?ref=opinion&pagewanted=print
と米軍増派反対論 
http://www.nytimes.com/2009/10/22/opinion/22kristof.html?ref=opinion&pagewanted=print
がワシントンポストにそれぞれ掲載されてました。
 読み比べりゃ、前者の方がもっともらしいって分かるよ。
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太田述正コラム#3601(2009.10.23)
<除去主義(その2)>
→非公開