太田述正コラム#3627(2009.11.5)
<皆さんとディスカッション(続x648)>
<US>
太田さん、・・・に最近の太田さんの新刊作成に対しての感想を送ります。
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今までの太田さんの著作は、表芸・裏芸は表裏一体ということで、裏芸を解決する手段として政権交代をすべき、そうすれば政官癒着問題は解決し、政治はリーダシップを取り戻し、日本は独立とする論調だったと思います。
実は、政権交代前夜あたりから思っていたのですが、表芸・裏芸は表裏一体という表現は誤りで、このロジックは成り立たないような気がしてきています。
安全保障を丸投げしているから、政官財さらには国民全体がモラルハザードとなり、たとえば、政官癒着のような構造が生まれるというのは納得感があります。
さらには、政権交代によって、政官癒着が改善されるっていうのも納得感があります。
でもここからの逆ルートのロジックは不十分のような気がしています。
つまり、政権交代によって、政治がリーダーシップを発揮できるようになれば、政官癒着が改善されるでしょうが、だからといって、政官癒着が改善されれば独立国になるっていうロジックは唐突すぎるし、政治のリーダーシップというものが果たして独立国になるっていう方向に働くか否かは、与党の安全保障に対する考え方に準ずるものと思います。
そう考えると、今まで、表芸・裏芸は表裏一体といっていたのは間違いで、吉田ドクトリンを墨守するおかげで、政官癒着構造を産み、日本がだめになったという、“表”ならば“裏”という関係は真であると言えますが、“裏が是正”ならば“表も是正”はなりたつとは限らない、つまり、政官癒着構造を是正すれば吉田ドクトリンの呪縛が逃れ日本は独立できるというのは真とは限らないと感じています。
今までは、政権交代が一つのマイルストーンとしてそれを目指しての論理展開だったと思います。
たぶん、政治のリーダーシップを取り戻すというところまでは辿りつき、政官癒着についてはある程度改善できるものと期待しております。
しかしながら、このリーダーシップの方向は、安全保障以外にもあてはまることですが、特に安全保障については、閣内では意見が不統一で、国民に対し、進むべき道が提示できていません。
でも、これは、国民の意思もばらばらであるという表れだと思います。
声高に政府与党にものを言う前に、安全保障については、私自身も含め、国民が、独立すべきなのか、属国のままであるのか自ら考え意思表示すべき段階にきたのではないかと思います。
そのためには、コラムニストやジャーナリストも含めた論壇に求められるのは、1)大多数の国民に対し、日本が属国であることの啓蒙活動、2)国民がメリット・デメリットがちゃんと理解でき自分の頭で判断できるように、属国のままがよいか独立すべきかの論戦、3)政府に対するプランナー役としての独立を目指してのアクションプランの提示 のどれかの役割を担うべきと考えます。
太田コラムでは、上記1)、2)、3)のうち、1)、2)は十分なネタが揃っていると思います。
新刊は、日本は属国であること、属国であることのデメリット、独立することにより発生する責任をちゃんと述べることにより、国民に、独立することのメリット・デメリットの平易な解説本を目指すのがよいと思います。
太田コラムから、メリット、デメリットを持ってくることは可能ですが、“だから、独立するのである” というところは、まだまだ個々人の感性や主観に委ねている部分が多く、主張としてまとめるには、時期尚早と思います。
文体としては、独立を志向しているが、まずは科学的に状況を正しく分析したコラムが存在し、その内容を平易に解説しましたっていう感じがよいと思います。
さらに僭越ながら、太田コラム本体やブログの掲示板の方は、上述の3)に関するテーマ、つまり政権交代が実現できたので、じゃ、独立に向けたアクションプランとしては何をすべきかを議論していく場となるのがよいと感じました。
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どうぞ今後もよろしくご指導のほどお願いします。
自分自身も独立がよいのか、属国のままがよいのかもっと真剣に考えたいと思います。
非現実的な話ですが、内心、米国51番目の州 NIPPON になるっていうのも、よいのかなって気もしています。こちらは1億人いますから、大統領選挙では最大の票田になります。
私たち自身が世界をどのようにすべきかをちゃんと考えられ、世界の尊敬を受けてそれを実行したいと思うのであれば、実現する手段としては、もっとも手っ取り早い方法だと思っています。
<太田>
政権交代がなってからの安全保障をめぐるドタバタ劇を見ていると、私のヨミどおりに現在のところ、進んでるように見えるんですがね・・。
それはそれとして、米国と合邦したい、という真正面からの意見がこれまで全然出てきてませんが、どなたか、私はそうすべきだと思うって人、手をあげませんか?
<T_Uron>
<太田さんが>Radioheadにすんなり入っていけるとは、流石ですね。 <(コラム#3625参照)>
トムヨークはビョーク<(コラム#3619)>の声に憧れてるらしいです。(典拠失念)
次はRed Hot Chili Peppers
http://en.wikipedia.org/wiki/Red_Hot_Chili_Peppers
なんてどうですか?
ファンクとロックを組み合わせたミクスチャーロックの祖です。
オススメはIf you have to ask
http://www.youtube.com/watch?v=diXDf7Q-QkU
とUnder the bridge
http://www.youtube.com/watch?v=YBgulSxpPbo
ですね~。
ライヴが上手いバンドなのでCD音源にこだわらなくてもいいですよ。
<太田>
勝手にリンクを貼らしていただきました。
その上で、上掲↑の2つと下掲↓を聴かせてもらいました。
Californication
http://www.youtube.com/watch?v=abrKM1Z_te8
単旋律とリズムだけじゃ、よほどプラスアルファがないと面白くありません。
このグループの場合、演奏は確かに上手そうですが、歌の歌詞やボーカルの巧拙はどうなんでしょう。
英語の歌詞の中身が余り聞き取れないこともあり、何とも言えませんが・・。
だから、ビジュアル効果を狙って上半身裸になったりしている?
いずれにせよ、音楽だけを取り出したら、Radioheadの方が相当上だと思いますね。
なお、ジャンルについては、Red Hot Chili Peppers、広義のオルターナティブ・ロック↓の部類なのだそうですが、このあたり、全くチンプンカンプンでお手上げです。
http://en.wikipedia.org/wiki/Alternative_rock
記事の紹介です。
小沢の方は、政治資金規正法違反のデパートって感じだね。↓
「民主党の小沢一郎幹事長の関連政治団体「小沢一郎政経研究会」(政経研、東京都港区)が政治資金収支報告書で、00~04年分の政治資金パーティー券収入について、個々の企業の購入額を実際より少なく見せかける虚偽記載をしていた疑いがあることが、朝日新聞の調べで分かった。・・・
政経研の当時の会計責任者で、収支報告書の作成を担当したのは、小沢氏の元秘書の石川知裕(ともひろ)民主党衆院議員(36)=北海道11区。・・・」
http://www.asahi.com/politics/update/1105/TKY200911040485.html
小沢幹事長を道連れに鳩山首相が引退するお膳立てが完全に整った、と受け止めたいところです。↓
「「首相は(かつて)『秘書が犯した罪は政治家が罰を受けるべきなのです』と述べている。会計責任者が犯した事件について、どう責任を取るのか」
衆院予算委で偽装献金問題を取り上げた自民党の柴山昌彦衆院議員には、追及の「切り札」があった。首相が03年7月に配信したメールマガジンの一節。当時、民主党幹部だった首相は土井たか子元衆院議長の秘書による秘書給与流用事件にからみ、「政治家と秘書は同罪」と断じていたのだ。そんな過去の首相発言に、自民党は目をつけた。
首相の資金管理団体の政治資金収支報告書には、故人や献金をしていない人から寄付を受けたとの虚偽記載があったことが判明。首相は元秘書の判断としているが、この日の答弁では「会計責任者に対する監督及び選任に対し、それなりの責めを感じている。監督責任の是非は、捜査に委ねたい」と防戦に追われた。・・・」
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20091105k0000m010132000c.html
鳩山政権としては、現時点で集団的自衛権の政府解釈を変えてまでしてアフガニスタンに自衛隊(自衛官)を派遣することは考えていないってわけですが、これはこれでいいでしょう。↓
「鳩山由紀夫首相は4日、アフガニスタン復興支援での自衛隊派遣について、記者団に対し、「少人数でもアフガニスタンに派遣するのは望ましくない」と述べ、否定的な考えを示した。・・・」
http://www.asahi.com/politics/update/1104/TKY200911040461.html
「鳩山由紀夫首相は4日の衆院予算委員会で、集団的自衛権の行使を禁じた政府の憲法解釈に関し「歴史的経緯の中で考え方が固まってきたと理解しており、現政権で考え方を変えるつもりはない」と答弁し、従来の解釈を踏襲する考えを改めて示した。一方、平野博文官房長官は同日の会見で「変えるか変えないかは情勢が変わった時に判断する。内閣が責任を持って判断する」と述べ、首相との食い違いを見せた。
首相はその後、首相官邸で記者団に「内閣法制局長官の考え方を金科玉条にするのはおかしい。それを採用するかしないかは内閣が責任を持たなきゃいけない」と述べ、内閣の判断で解釈変更があり得るとの認識を示した。ただ「今、急に変えるつもりはまるでない。国民的な世論をしっかり見定める必要もある」と、変更には慎重に臨む姿勢を強調した。」
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20091105k0000m010110000c.html
(電子版掲載記事を全文転載したけど、毎日サン、あしからず。)
既に事実上、イスラエルによる対イラン核施設攻撃作戦は起動しているって感じです。↓
Israel’s navy has intercepted a ship carrying hundreds of tonnes of Iranian weapons intended for Hezbollah in Lebanon・・・
Israel carried out a joint military exercise with the Americans. The unspoken assumption of that exercise – for many in Israel at least – is that Israel will one day carry out military strikes against Iran’s nuclear programme. Tehran will then hit back itself and also activate Hamas and Hezbollah.・・・
http://news.bbc.co.uk/2/hi/middle_east/8341737.stm
全く新しい、おぞましい政治的宗教が北朝鮮に出現している、と見るべきかもしれませんね。↓
North Korea’s military, whose nuclear program vexes(苛立たせる) the Obama administration, has grabbed nearly complete command of the nation’s state-run economy and staked out(囲い込む) a lucrative(儲かる) new trade in mineral sales to China to make money for its supreme commander, Kim Jong Il.
As it deepens its dominance over nearly every aspect of daily life, the Korean People’s Army is also deploying soldiers to take first dibs(権利) on all food harvested in the isolated, chronically(慢性的に) hungry country,・・・
All references to the word “communism” were removed this year from the North Korean constitution. They were replaced with the word “songun(先軍),” which means “military first.” ・・・
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2009/11/02/AR2009110203603_pf.html
イギリスの欧州に対する嫌悪感情が露骨に首をもたげてきたなって思いません?↓
・・・<次の総選挙で政権復帰が確実視されている英保守党の党首の>David Cameron outlined a fresh Tory(保守党) approach to the EU in the wake of(に引き続いて) the full ratification(承認) of the Lisbon treaty. A future Conservative government would seek to strengthen British sovereignty(主権) and repatriate(本国に戻す) a series of powers over social and employment legislation, the Tory leader said.
Cameron said he was not seeking an immediate “bust-up(離別)” with the EU, and would allow the repatriation of powers negotiations to last as long as five years.
But within hours of his speech, France’s centre-right(中道右派) government condemned the Tory leader’s plans, saying that they would marginalise(無用視される) Britain within the EU.
Abandoning all diplomatic niceties, ・・・Pierre Lellouche, France’s Europe minister(欧州担当相)・・・ said: “It’s pathetic(痛ましい). It’s just very sad to see Britain, so important in Europe, just cutting itself out from the rest and disappearing from the radar map(レーダー画面) … This is a culture of opposition … It is the result of a long period of opposition. I know they will come back, but I hope the trip will be short.” He said Cameron’s approach was in line with the Tories’ decision to abandon(離脱する) the main centre-right EPP<(European People’s Party)> grouping in the European parliament(欧州議会), of which Sarkozy’s UMP party is a member.
”They are doing what they have done in the European parliament. They have essentially castrated(去勢される) your UK influence in the European parliament,” he said.・・・
”It’s not going to happen for a minute. Nobody is going to indulge in rewriting [treaties for] many, many years. Nobody is going to play with the institutions again. It’s going to be take it or leave it(EUにとどまるかEUから離脱するか) and they should be honest and say that,” he said.・・・
http://www.guardian.co.uk/politics/2009/nov/04/france-autistic-tories-castrated-uk
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太田述正コラム#3628(2009.11.5)
<アラブの近現代史(その1)>
→非公開
皆さんとディスカッション(続x648)
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