太田述正コラム#3833(2010.2.16)
<皆さんとディスカッション(続x746)>
<T.T>
 <米国の自動車電子雑誌の>Popular Mechanicsから、トヨタリコール問題が、社会の過剰反応であるとの記事もありますよ。
http://www.popularmechanics.com/automotive/new_cars/4345385.html
 アウディーも、アクセルペダルがフロアーマットに引っかかる問題を80年代アメリカで起こしたそうです。
http://www.popularmechanics.com/automotive/new_cars/4345725.html?page=4
 ちなみに9.11<同時多発>テロ陰謀説の誤りを暴いたりもしてます。
http://www.popularmechanics.com/technology/military_law/1227842.html
<太田>
 最初の記事、フロアマット問題、アクセルペダル問題、プリウス・ブレーキ問題の三つが続いて起こったことがトヨタの不幸だったって言ってるのはその通りだけど、トヨタ叩きの最大の原因は、この記事に対する投稿の最初の数本が言うように、米国自動車産業の「陰謀」なんだろうし、更にその背景には、私の言う有色人種差別意識があるんでしょうね。
 2番目の記事、歴史は繰り返すってところですね。
 3番目の記事、長いので読むの止めたけど、自動車→軍事車両→軍事って連想ゲームみたいな感じで自動車雑誌がこんな話題を取り上げたんですな。
<KY>
 太田先生(元高級官僚)に、何を言っても理解されないと思いますが、、、参考までに。。。
 ? 週刊朝日編集長 山口一臣さん
 ~紙面じゃ読めない「検察の」の『抗議』に「抗議」のウラ話~
http://www.wa-dan.com/kougisho/
 ? 細野祐二さん
 ~公認会計士から見た陸山会政治資金事件~
http://www.the-journal.jp/contents/newsspiral/2010/02/post_499.html
<太田>
 理解されるとか理解されないなんて大げさな話じゃあないぜよ。
 最初のから行こう。
 「野心的な検事が東京や大阪の特別捜査部(特捜部)に集められ、そこで大きな手柄を立てれば組織内でいいポジションを得られ、退官後もいい暮らしができるということのようです。「暴走」の動機はカネと出世。どこにでもある話です。 いまでも、「ロッキードの堀田力さん」「リクルートの宗像紀夫さん」と言われるように、事件が大きければ大きいほど、歴史に名を残すことにもなります。」
 
→例に事欠いて、法務省官房長で自ら退職し、社会福祉事業に第二の人生を捧げている掘田さんを挙げちゃ迫力が乏しいなんてもんじゃないだわさ。(太田)
 「小沢の「金権体質」とはいったいどういうことなのか、「ゼネコンマネー」とは具体的に何なのか。「巨悪」と呼べる根拠はどこにあるのか<なら書くに値するが>。・・・検察の尻馬に乗って「小沢叩き」するのは安全でリスクもなく誰にでもできることです。」
→新聞じゃできないことを週刊誌はやるんだと息巻くワリにゃ、検察が乗り出すまで、「金権体質」、「ゼネコンマネー」、「巨悪」について、何も書かず、ということは、なーんにも調べようともしなかった『週刊朝日』の怠慢をどうしてくれるのよ。検察が乗り出してからその検察叩きで部数を伸ばす? 浅ましい限りだ。(太田)
 「「小沢も権力なら検察も権力である」 これは上杉さんやわたしが最近、好んで使うフレーズです。しかし、・・・小沢さんがいくら権力を握っても、人の身柄を拘束して自由を奪うことまではできません。・・・人生を抹殺することまではできません。」
→鈴木宗男ごときの政治屋だって、役所の人事に恣意的に介入することで、一体何人の役人の「人生を抹殺」してきたことか。週刊誌の記者だって記者の端くれなんだから、事実(の調査)に基づかないレトリックを使うなっちゅうの。(太田)
 
 後のについては、いちいち引用しないが、政治資金規正法の「規制」の仕方を、会計上の観点から批判している部分については、傾聴に値するけど、筆者の専門外の指摘については読み流すほかないやね。
 政治資金規正法違反の背景事実として、鳩山首相の方は、国損を与えていない(結果としてであれ、贈与税を支払ったから)のに対し、小沢幹事長の方は、公共事業に投ぜられた国費をふところに入れたままで所得税の形で国庫にその一部を還元している形跡もない(という可能性が高い)のだからね。
 どっちが政治資金規正法違反事案として悪質か、言うまでもないことだ。
<太田>
 2月12日夜、『パトレイバー2』を鑑賞。
 アメちゃんに比べ、日本人ってホント分かりにくいね。
 押井さんってメカオタなのかねえ。
<おーつか>
 押井さんはメカフェチです。著作まであります。
http://www.amazon.co.jp/%E6%8A%BC%E4%BA%95%E5%AE%88%E3%83%BB%E6%98%A0%E5%83%8F%E6%A9%9F%E6%A2%B0%E8%AB%96-%E3%83%A1%E3%82%AB%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%AA%E3%82%A2-%E6%8A%BC%E4%BA%95-%E5%AE%88/dp/4499227542
 ミリタリー好きでもありますが、知識のアップデートが今ひとつなのでお勧めまではしません。
http://www.amazon.co.jp/%E6%88%A6%E4%BA%89%E3%81%AE%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%AB-Disputationes-PAX-JAPONICA-%E6%8A%BC%E4%BA%95/dp/4757741448
 オシイ映像は難解さに定評がありますが、かなり論理の人なので、書く文章はわかりやすいですよ。
<太田>
 うーむ、おかげさまで大分わかってきたなあ。
 後の方の典拠に、
押井守 : 軍隊っていうのは、常にどこかしら妄想をはらむ部分があると思う。
 自分が作り出したガジェットと心中しちゃうのか、それとも有効活用するのか。
 これも言ってみればディテールから戦争の本質に至る過程のひとつの道筋には違いない。
 僕はそれが仕事だから、戦争を考えるときにガジェットから考える。
岡部いさく: 文化の中の戦争の位置づけというか、戦争ってものをいつもファンタジーとか物語の世界を棚にひょいっと上げて、そこで下から眺めて「あー、面白いね」っていうようなのが、日本人の伝統的な姿勢じゃないですか。
ってくだりがあるけど、押井の言も岡部の言も押井の映画論になってますね。
 ただし、岡部の「日本人の伝統的な姿勢じゃないですか」は、「戦後日本人の典型的な姿勢じゃないですか」と書き換えなきゃダメだけど・・。
 なお、押井の言は、日本の軍オタ共通(?)のビョーキとしか形容しようがあーりませんねえ。
 それでは、記事の紹介です。
 クリントン米国務長官が、イランの革命防衛隊打倒をイラン各方面に呼びかけました。↓
 ・・・Mrs. Clinton encouraged Iran’s religious and political leaders to rise up against the Revolutionary Guards・・・
 Last week, the Treasury Department froze the assets within its jurisdiction of four companies controlled by the Revolutionary Guards, as well as of a commander, Gen. Rostam Qasemi, who oversees the guards’ construction and engineering conglomerate, Khatam al-Anbiya.・・・
http://www.nytimes.com/2010/02/16/world/middleeast/16diplo.html?hp=&pagewanted=print
 革命防衛隊がイランの国家内国家と化し、ありとあらゆる合法・非合法事業に携わり、周辺諸国に安全保障上の脅威となっているからです。↓
 ・・・The Islamic Revolutionary Guard Corps (IRGC) ・・・, which was born as a ¬volunteer militia in the heat of the 1979 revolution, is now unrecognisable from those early beginnings. It has grown into a behemoth which dominates both Iran’s official and black economies. It is impossible to gauge its market share, but western estimates range from a third to nearly two-thirds of Iran’s GDP・・・
http://www.guardian.co.uk/world/2010/feb/15/financial-power-revolutionary-guard
 クルーグマンが、政治統合抜きの通貨統合を行ってしまったことがスペインやギリシャの経済苦境の根本原因であると指摘しています。
 ポンドを維持している英国は賢明だった?↓
 ・・・the real story behind the euromess lies not in the profligacy of politicians but in the arrogance of elites ? specifically, the policy elites who pushed Europe into adopting a single currency well before the continent was ready for such an experiment. ・・・
http://www.nytimes.com/2010/02/15/opinion/15krugman.html?ref=opinion&pagewanted=print
 老いのメカニズムがほぼ完全に解明されました。
 「老い」なければ癌になっちゃうってことのようです。↓
 ・・・ when an ageing cell detects serious damage to its DNA ? caused by the wear and tear of life ? it sends out specific internal signals.
 These distress signals trigger the cell’s mitochondria, its tiny energy-producing power packs, to make oxidising “free radical” molecules, which in turn tell the cell either to destroy itself or to stop dividing. The aim is to avoid the damaged DNA that causes cancer.
 <This> discovery plays down the role of telomeres・・・
http://www.ft.com/cms/s/0/436a39a0-1a6e-11df-a2e3-00144feab49a.html 
 とはいえ、年月を経るに従って我々の細胞中のDNAが次第に傷ついていくこと自体を防止する方法は、今のところないけれど、やがては、それが可能になるのかも。
 そうなったらどうなる?
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太田述正コラム#3834(2010.2.16)
<欧州人アーサー・ケストラーの生涯(その2)>
→非公開