太田述正コラム#3884(2010.3.13)
<現在進行中のドローン軍事革命(その1)>(2010.4.17公開)
1 始めに
今や、ドローンがアフガニスタンを中心として引き続き行われている対テロ戦争の主役に躍り出た感があります。
ドイツのシュピーゲル誌が、このドローンの特集を組んだので、主としてそれに拠りながら、ドローン運用の実態やその法律問題等についてご紹介したいと思います。
A:http://www.spiegel.de/international/world/0,1518,682612,00.html
(3月13日アクセス。以下同じ)
B:http://www.spiegel.de/international/world/0,1518,682842,00.html
C:http://www.spiegel.de/international/world/0,1518,682420,00.html
D:http://www.spiegel.de/international/world/0,1518,682645,00.html
E:http://www.spiegel.de/international/world/0,1518,683143,00.html
F:http://www.spiegel.de/international/world/0,1518,682852,00.html
G:http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2010/03/11/AR2010031103653_pf.html
2 ドローン運用の実態
(1)序論
「・・・<米軍の>遠隔統制ドローン(remote-controlled drone)・・・すなわち、無人空中運搬手段(UAV=unmanned aerial vehicle)または遠隔操縦航空機(RPA=remotely piloted aircraft)・・・<の>最もありふれたの二つは、プレデター(Predator)とリーパー(Reaper)<であり、これらのドローンは、>・・・ボーイング社の子会社のインシテュ(Insitu)社とサンディエゴのジェネラル・アトミックス(General Atomics)社だ・・・。」(C)
「・・・<現在、米国は、ドローンを>約7,000機保有している。
米国がドローンを使用している唯一の国ではない。
米国以外にも43カ国が保有しており、その中には、英国、ドイツ、そしてパキスタンが含まれる。・・・」(F)
「・・・昨年8月・・・にパキスタンのタリバンの指導者の・・・メースド(Baitullah Mehsud)<をドローンで殺害した(コラム#3448、3576、3590)が、>・・・この狩りにあたって11人を超える人が亡くなった。
推計によると、メースドを消す16件の企ての過程で、207から321人が死んだが、その全部がタリバン戦士であったかどうかは定かではない。・・・
オバマ大統領就任以来の13ヶ月で、既に、ブッシュが大統領であった8年間全部を併せた以上のミサイルがドローンから発射されている。・・・
・・・今年、米軍では、初めて、戦闘機操縦士よりたくさんのドローン操縦士を訓練することになりそうだ。・・・
・・・<また、>米軍が将来取得することになる航空機の3分の1は無人のものになった。・・・」(A)
「・・・オバマは、特定の拘束者を無期限に捕らえておく政策を続けているし、議論百出のグアンタナモ湾の軍監獄を閉鎖するとの約束の履行を渋っている。
この二つのことは、彼の党<たる民主党>の左翼を落胆させており、彼等は、オバマの<ドローンによる>バーチャル戦争を次第にイライラ感を募らせながら追っかけている。・・・」(D)
(2)運用の実態
「・・・CIAのドローン操縦士達は、米東岸の首都ワシントンの郊外のヴァージニア州ラングレー(Langley)にあるCIA本部の地下迷路(catacombs)にいる。
彼等は、カブールから11,000Km(6,800マイル)離れている。
米軍のドローン操縦士達は、更に西、博徒達の楽園であるラスベガスから北西に自動車で約1時間のネバダの砂漠にあるクリーチ(Creech)空軍基地にいる。・・・
米空軍の第42攻撃航空隊(42nd Attack Squadron)<の要員>は、このネバダの基地からドローンを操作しているが、その大部分はラスベガスに住んでおり、自分達自身を「戦闘通勤者」と呼んでいる。
彼等は、その日の軍人としての任務を遂行し終えると、家に自家用車で帰る。・・・
これらの遠距離戦士は、2006年以来ネバダに駐屯してきており、常に二人組で働く。
操縦士は電子計算機端末の左側に座り、ドローンを統制し武器を発射する。
センサー操作員は右側に座り、視覚監視統制を行う。ズームしたり、赤外線等の他の種類の放射を視覚化することもできる。
操縦士とセンサー操作員は、それぞれ目の前の5つのモニターを見ており、ドローンのカメラからの生映像や衛星からの画像やデータも見ることができる。
この<二人からなる>チームは、無線でカタールにある米統合航空作戦センター(Combined Air Operations Center=CAOC)といつでも話ができる状態にあり、このセンターを通じて地上部隊がドローンの展開を要請してくる。
同様、このチームは、UAVが離陸し着陸するアフガニスタン南部のカンダハルにある米国の基地ともいつでも話ができる状態にある。・・・
米国防省によれば、CIAのドローンとは違って、米空軍のドローンの過半は単なる監視、兵站支援、それにデータ収集に従事している。・・・
<ドローンは、>現在毎日400時間以上の映像をアフガニスタンにいる部隊に供給しており、彼等はそれを各自の携帯パソコンで見ることができる。・・・」(C)
「・・・<ドローンを通常の戦闘機等のように>横転させて窓の外<から地上>を見るというわけにはいかない。
使えるのは外から得られる手がかりだけであり、時々、文字通り地図にピンを突き立てるようなことをコンピューター上でやる羽目になる。
F-16でなら自分の眼球を使って、いわゆる状況把握(situational awareness)を2秒ちょうどで行うことができ、目標を速やかに叩けるのだが・・。・・・」(B)
(続く)
現在進行中のドローン軍事革命(その1)
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