太田述正コラム#3965(2010.4.23)
<皆さんとディスカッション(続x812)>
<けいc。>
 <コラム#3900「映画評論4:ロード・オブ・ウォー」を読みました。>
 最近話題の人民解放軍海軍(PLAN)がフランスとロシアの一世代前の技術にいかに支えられているか分かりますね。
 くだんの民解放軍海軍艦艇の主力艦のひとつ江凱型(Type 054:Jiangkai-I Class)は、エンジン、防空システムがフランスの技術、ソナーはロシアの技術。
http://www.sinodefence.com/navy/surface/type054jiangkai.asp
 護衛艦に睨みをきかせたPLANのヘリは、ユーロコプターのドルフィンのライセンス。
http://en.wikipedia.org/wiki/Harbin_Z-9
 F-35ですが、EU諸国の財政問題特にイタリアの信用縮小などで、開発費の高騰に耐えられるかどうか…。
 日本が穴埋め役として可能性はあるのでしょうか?
http://www.aviationweek.com/aw/generic/story_channel.jsp?channel=defense&id=news/awst/2010/04/12/AW_04_12_2010_p32-217611.xml&headline=Italy,%20Netherlands%20See%20JSF%20Plans%20In%20Flux
<太田>
 武器輸出三原則に更なる風穴を開けるために、米国以外も噛んだ多国間武器研究開発に日本も参加して欲しいものです。
 いずれにせよ、日本がF-35を輸入したり、ライセンス生産したりすることになれば、価格ないしライセンスフィーに同機の研究開発費の後付的「分担分」が事実上上積みされてガッポリふんだくられることになるでしょうね。
<唯我独尊>
≫要するに、頭を良くするトレーニングなんてないってことさ。≪(コラム#3963。太田)
 「頭が良い」と「記憶力が良い」ことは混同されがちです。
 でも一般には記憶力のほうが高く評価されているのではないでしょうか。
 膨大な活字(文書量)を記憶できれば東大(文系)から官僚へというコースを進みやすくなると思います。
 世界記憶力選手権
http://www.worldmemorychampionships.com/index.asp
の出場選手たちはトレーニングを毎日欠かさないそうです。
 頭を良くするトレーニングがあるようですよ。
 昨年あたりから中国人選手が上位に入っています。
参考動画
http://www.youtube.com/watch?v=gCcg42m0QG4
 しかしトレーニングによって誰でも記憶力が良くなるのでしょうか。
 ところで鳩山首相はトレーニングによって故意に忘却しているようですね(トホホ)。
<太田>
 脈絡のないものを丸暗記する方法は確立していますが、その方法を身につけた人を記憶力が良い人とは言わないし、いわんや頭が良い人とは言いません。
 ちなみに、私にとって、記憶力が良い人というのは、脈絡のあるものを速く覚えて長く忘れないひとか、努力せずに印画紙的に自分の見聞きしたありとあらゆることを覚えられる人(コラム#1329)です。
 こういう人だって、特に後者については、それだけじゃ私、頭が良い人とは言いませんよ。
 鳩山首相については、例えば、このこと↓を言っておられるのかな。
 「鳩山首相の元公設第1秘書である勝場啓二被告が22日、首相の資金管理団体の偽装献金事件で有罪判決を受け<た>・・・
 首相はこれまでの国会答弁で「公判中」などを理由に使途の説明を避ける一方、「裁判が終わった暁にはできる限り説明したい」として資料提出にも前向きな考えを示していたが、21日の党首討論では一転、資料提出を拒んだ。・・・」
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20100422-OYT1T01085.htm
 鳩山首相が、重篤の受動攻撃性人格障害かどうか(コラム#3955)は専門家じゃないから断定はできないけど、彼が一種の精神障害者である疑いは否定できないと思います。
 彼の弟についても同様。
 閣僚や首相になる人は、心身とも健康かどうか、医師に事前にチェックしてもらうってことにすべきかも。
<KR>
 ・・・チェルケス人の歴史についてのメルマガ<コラム#3902)>。
 「チェルケス人の悲劇は、たくさんの同様な悲劇のひとつ」と言うのは事実。これが歴史の真実であり、捉え方。
 しかし、日本人は、どうしてこのような事実を認識せず、欧米列強は罪の意識すら持たない(チャーチルの弁)のに、南京虐殺などという検証不能なものに囚われ、ひたすら謝罪を続けるのか?
 なぜ日本だけが人類の虐殺の歴史の責任を被らなければならないのか?
 争いは殺し合い、という常識が無いのか?
 この日本人のおめでたいお人好しさが、自分のことを棚に上げる征服種族を付け上がらせていることを認識すべきだ。
 バカもいい加減にしろ、と言いたい。
<mumei>
 <コラム#3902>とあわせて<コラム#3305の>芸術論(1)を拝読させていただきました。
 カフカス小史においても芸術論(1)においても そればかりかほとんどの論考において学説や書評、各種レポ-トなどの引用を基本スタイルとされている事が特徴的です。
 がしかし、読み手からの批判的視線を申しますと、そこには、あまりにも書き手の思想ともうしますか、書き手自身による言葉が薄いように思いました。
 カフカス小史のほとんどは引用ですが、それは単にブログの投稿に穴を開けないためになされたのか、あるいはカフカス小史を引用し紹介することに書き手の内面を伝えたいという欲求があるのか、又は民族問題への啓蒙的アプロ-チなのか。(例えばユダヤやパレスチナの民族問題の歴史、世界史のいたるところに存在した民族の対立と駆逐)・・・判然としません。
 民族の対立と駆逐の歴史は、解決困難な問題として現在の人類に立ちはだかっています。
 「カフカス小史」の根底には単に”小史”に留まらず現代が直面するいわば世界史的問題にリンクしていると思うのですが。
 いずれにしても、大きく重たい、現代史にとってもっとも困難な問題を内包し提示している”カフカス小史”の書評の末尾に記された・・・・「 チェルケス人がソチ五輪に向けて、故地復帰、故地独立運動を盛り上げることに成功した暁には、これに刺激されて小康状態を保っているチェチェン情勢が再び悪化する可能性がなきにしもあらずですね。」という結びが貴方のすべてであるなら、失礼とは思いますが、それはあまりにも評論家的コメントだと思いました。
 芸術論しかりです。
 問題意識の深さや在りようは知識の多少に裏打ちされてはいますが、決して知識の多少に依存するものでは無い。ということを深く感じたしだいです。
<太田>
 上二つの投稿は、どっちも、典拠が皆無であること一つとっても、「ディスカッション」への転載基準には達してないけど、大甘で載っけちゃった。
 「カフカス小史」については、2通も投稿があったってのは、大勢の読者に考え込ませるものがあったってことであり、コラムとしては成功だったんじゃないけ?
 ところでmumeiクン、ファーストフード的なモノしか読んでないじゃないの?
 芸術論は、シリーズものなんだから、最低限、「芸術論(続)(その2)」までと結論的なコラム#3318を読んでからまだ何か言いたかったら投稿すべきだったな。
 カフカス小史については、一応単発モノだけど、それを私のナショナリズム論、欧州論、ロシア論、イスラム論、植民地論等の文脈の中で捕らえなきゃ、まともなコメントなどできやせんよ。
 ま、これを契機に、太田FAQや太田ブログの検索機能を活用して、関心あるテーマのコラムのバックナンバーにあたってみたら?
 ファーストフード的なモノしか受け付けないんじゃしゃーないが・・。
<ΒΒττ>(「たった一人の反乱」より)
普天間飛行場の移設先、在沖米海兵隊の移転先について
テニアン「最適地」 北マリアナ 上院が誘致決議 と、米軍に強烈ラブコール~♪
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-161169-storytopic-3.html
 まぁ、普天間基地問題のキモ部が見えてきたのは なによりだが、要は、地元も米軍も“もっと金よこせ!”との、タカリの構図ということで納得。
<太田>
 前からそう言ってるだろが。
 それにしても、何で中央紙がこういう記事書かないんだろね。
 それでは、その他の記事の紹介です。
 「・・・「国共内戦」の事実上の最終戦「金門戦争」に参戦し、国民党軍を勝利に導きながら、長年にわたって存在や関与が認められていなかった根本博・元陸軍中将(1891-1966年)について、台湾当局がその功績を公式に認めた・・・」
http://sankei.jp.msn.com/life/trend/100423/trd1004230143001-n1.htm
 ボーボワールの『第二の性』の新英訳の書評が出てた。↓
 懐かしい。
 この本もパール・バックの『大地』も亡くなった父の蔵書だったな。
 ・・・ Her relationship with Jean Paul Sartre, which involved procuring young lovers for him, struck many feminists as decidedly retrograde. Why should this great feminist thinker be in thrall to a man, why should she suffer for love? (She once said, for instance, “My greatest achievement was my relationship with Sartre.”) When Beauvoir was asked in 1984 how she responded to claims that her personal life was at odds with the feminist theories she expounded, she said, “Well I just don’t give a damn … I’m sorry to disappoint all the feminists, but you can say that it’s too bad so many of them live only in theory instead of in real life.” ・・・
http://www.slate.com/id/2251053/
 太地のイルカ撲殺漁に反対する日本人女性の情緒的なコラム(の英訳)が載ってたけど、BBCも物好きだねえ。↓
http://news.bbc.co.uk/2/hi/asia-pacific/8599723.stm
 プミポン国王、王制維持したかったら、最後の影響力行使して、即時、総選挙を実施させなくっちゃ。
 言うだけムダみたいだけど・・。↓
 ・・・At least five grenades exploded in the heart of Bangkok’s business district Thursday evening, killing three people and wounding at least 75・・・
 Mr. Thaksin, who is abroad evading a prison term for corruption, is believed to be a key financer and organizer of the red shirt movement.・・・
 On Thursday anti-government demonstrators stopped a train carrying military vehicles in the northeast, ・・・
 ・・・they suggest a campaign by shadowy elements in Thailand to stir fear and create a sense of instability. ・・・
http://www.nytimes.com/2010/04/23/world/asia/23thai.html?hp=&pagewanted=print
 NATO諸国に対しては、ホンネで語りかける米国政府。
 (属国日本に対しては、語る時間すら節約している米国政府。)↓
 ・・・Fresh from signing a strategic nuclear arms agreement with Russia, the United States is parrying a push by several NATO allies to withdraw its aging stockpile of tactical nuclear weapons from Europe. ・・・
 Secretary of State Hillary Rodham Clinton said the Obama administration was not opposed to cuts in these battlefield weapons, mostly bombs and short-range missiles locked in underground vaults on air bases in five NATO countries.
 But Mrs. Clinton ruled out removing these weapons unless Russia agreed to cuts in its arsenal, which is at least 10 times the size of the American one. And she also appeared to make reductions in the American stockpile contingent on Russia’s being more transparent about its weapons and willing to move them away from the borders of NATO countries.
“We should recognize that as long as nuclear weapons exist, NATO will remain a nuclear alliance,” Mrs. Clinton said. “As a nuclear alliance, sharing nuclear risks and responsibilities widely is fundamental.”・・・
→ここ↑のとこ、非核三原則だなどとお経を唱えている日本の皆さん、熟読を!(太田)
 NATO, American officials note, has 14 agencies, 6,000 employees, and an annual budget of nearly $7 billion. ・・・
→NATOってこんなでっかい官僚機構持ってたのか。
 一方、日米安保の官僚機構はほとんどゼロ。(太田)
 There are no official numbers on tactical nuclear weapons, but analysts estimate the United States has from 150 to 250 in Germany, Belgium, the Netherlands, Italy and Turkey. Russia may have 2,000 or more weapons, some stored in places like the Kaliningrad region, close to Poland.
 These numbers are way down from their peak during the cold war, when the United States had some 8,000 tactical nuclear warheads and the Soviet Union had upwards of 23,000. ・・・
 Mrs. Clinton emphasized the importance of missile-defense technology as another way to mitigate nuclear threats. She called on NATO to make missile defense a core mission, though she said she did not expect NATO allies to pay for the American system planned for Eastern Europe. ・・・
→ミサイル防衛って地域的なものを含め、米国による米国のための米国のシステムであることがよく分かるよな。米国、カネいりませんって言ってんだもん。(太田)
http://www.nytimes.com/2010/04/23/world/europe/23diplo.html?hp=&pagewanted=print
 眠るとは、つまりは覚醒しているとは、どういうことか、まだ全然分かってないみたいよ。↓
 ・・・Jaak Panksepp, a neuroscientist and psychologist at Washington State University, has postulated that dreaming may actually predate our more evolved form of waking consciousness and cognition, that our ancestors lived in a kind of primitive dream consciousness. V.S. Ramachandran, another brain researcher writes, “Perhaps we are hallucinating all the time and what we call perception is arrived at by simply determining which hallucination best conforms to the current sensory input.”・・・
http://opinionator.blogs.nytimes.com/2010/04/21/what-is-sleep/?pagemode=print
 日本のマスコミ、隣国のフィリピンの情けない姿、もっと報道しろってんの。
 繰り返すが、日本が統治した台湾、韓国(北朝鮮のことはゴメンネ)と米国が統治したフィリピンの現状が天と地ほども違うのはなぜか、よくよく考えようね。↓
 ・・・Philippines・・・more than 100 election-related killings have already been reported in this campaign season・・・
 Pre-election violence has long been a fact of Philippine electoral life, especially at the local level. In a political system dominated by family clans, politics becomes very personal. The financial stakes are high since local leaders get to distribute?and often skim off?a steady flow of pesos from the central government. Authority for local law enforcement is often vested in the same officials who perpetrate election violence. And since many prominent local politicians maintain private paramilitaries, they have the means to employ violence as an electoral tactic.
 This year is worse than usual because on top of all that, with President Gloria Macapagal Arroyo due to leave office in June, politicians are jockeying at the national and local levels to make sure they’re aligned to continue receiving government largesse under the new president, whoever that may be. Mrs. Arroyo is participating in this melee as she runs for a seat in Congress. Thus the political stakes are higher than usual, and the incentives to crack down on violence are less.
 Mrs. Arroyo deserves much of the blame. In 2006 she issued a decree explicitly legalizing the private paramilitaries, which previously had operated in a legal gray zone. ・・・
http://online.wsj.com/article/SB10001424052748703876404575199391731857802.html
 英国での二度目の党首討論番組で、引き続き、自由民主党党首、リードを維持。↓
 Nick Clegg’s bandwagon appeared to have kept up its momentum last night at the end of a second far more personalised leaders’ TV debate in which he made an emotional final appeal: “Don’t let anyone tell you that this time it can’t be different ? it can.”
Expecting a backlash from Gordon Brown and David Cameron following a week in his which his popularity has surged, Clegg appeared to hold his own, and a slew of instant polls showed continuing and robust support for his party・・・
http://www.guardian.co.uk/politics/2010/apr/22/election-debate-nick-clegg-storm
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太田述正コラム#3966(2010.4.23)
<ロバート・クレイギーとその戦い(続)(その5)>
→非公開