太田述正コラム#3910(2010.3.26)
<米国の明るい未来(その1)>(2010.5.8公開)
1 始めに
米国について、めずらしく、明るい未来を予想した本が出ました。
ジョエル・コトキン(Joel Kotkin)の ‘THE NEXT HUNDRED MILLION America in 2050’ です。
A:http://www.nytimes.com/2010/02/26/books/26book.html?hpw=&pagewanted=print
(2月26日アクセス)
B:http://articles.sfgate.com/2010-02-28/books/17958696_1_joel-kotkin-san-francisco-america
(3月26日アクセス。以下同じ)
C:http://www.bookmarksmagazine.com/book-review/next-hundred-million-america-2050/joel-kotkin
D:http://online.wsj.com/article/SB10001424052748704117304575137873173648114.html#
E:http://www.forbes.com/2009/12/28/united-states-recession-finance-economy-opinions-columnists-joel-kotkin.html
(著者によるコラム)
ちなみに、コトキンは、都市開発論の学者であり、現在はカリフォルニア州オレンジ郡のチャップマン(Chapman)大学のフェローであるとともに、ロンドンを拠点とするシンクタンクであるレガトゥム研究所(Legatum Institute)のフェローです。
http://en.wikipedia.org/wiki/Joel_Kotkin
2 米国の明るい未来
(1)明るい材料
「・・・<米国の>成人のうちの3分の2が、自分達の子供達は自分達よりも生活が苦しくなることを懸念している。
40%近くが中共が20年以内に世界で支配的大国になると考えている。
<しかし、2050年には>米国は、4億人の人口を擁することになるだろうが、それは全EUの人口よりも大きく、以前の主敵であったロシアの3倍にも達する。
・・・エネルギー資源に関しても、米国とカナダを併せれば、それは、世界中で中東に次ぐ恵まれた地域だ。・・・
米国は、世界の農業超大国であり続ける、地球上で最も耕作可能地が大きい国だ。・・・
欧州と日本は軍事ゲームから自ら退出してしまっているし、中共が米国と角突き合わせる存在になりうるまでには何十年もかかることだろう。・・・
最近のレガトゥム繁栄指数(Legatum Prosperity Index)
http://www.prosperity.com/ (太田)
は、米国が地球上で新しい観念(idea)と会社を最もたくさん輩出している国であることを示した。・・・」(E)
「・・・老いゆく競争相手とは全く対照的に・・・米国の人口は来るべき何十年で劇的に増加すると見込まれている・・・。
コトキンは、ゆるやかに上昇している出生率とより貧しい国々からの若い働き手の引き続きの移民を指摘する。
2000年から2050年の間の米国の人口増の大部分は、・・・人種的少数派、とりわけアジア系とヒスパニック系、と次第に増えつつある混血人口、において起こる。
米国以外のいかなる先進国も・・・このような民族的多様性を享受することはないだろう・・・。
コトキン氏は、人口増は、経済的活力・・富を創造し、生活水準を向上させ、将来における様々なコミットメントの重責に対処する能力・・に転化すると考えている。
すなわち、若い人口構成の国は、相対的に、全球的な諸相手国に対する大きな優位を享受する。
これからの40年で、人口成長の停滞によって、・・・欧州及びアジアの大部分の先進諸国は、紛れもなく老人ホームのようになるだろう・・・。
そして、これらの諸国の経済は、既に巨大な福祉国家機構を構築しているところだが、若い働き手による費用負担なくして、押しつぶされそうな年金支払いに直面することだろう。
だから、不可避的に、欧州とアジアは衰亡するだろうし米国は繁栄するだろう、とコトキン氏は予想する。
実際、米国は、「人類史上、最も豊かで文化的に富み、成功を収めた国」として立ち現れるだろう、と彼は語る。
太平洋のかなたの10億人の巨人<たる中共>についてはどうか?
21世紀中頃には、中共の一人っ子政策が、やはり中共に老いゆく人口の重荷の苦悩を負わせるだろう、とコトキン氏は考えている。・・・」(D)
(続く)
米国の明るい未来(その1)
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