太田述正コラム#4029(2010.5.25)
<皆さんとディスカッション(続x844)>
<村土俊彦>
韓国の天安が沈没した近くに米原子力潜水艦100人乗り組みが同じ日に沈没したというニュース・・・tanakanews.comから受けた情報・・・は報道されないが、韓国KBS誤報だったという人もいますがご存知ありませんか?
米潜水艦は北朝鮮の情報収集と万が一のときすばやく平城に核ミサイルを撃ち込む任務を持っていたそうです、韓国には北朝鮮は同じ同胞であり3割の味方がいることから韓国にも秘密で行動していたというものです、米潜水艦は北朝鮮からは探知しにくい丁度良い隠れ場所にもぐっていたとのことです。
それを知らない天安と同士撃ちになって両方とも沈没したというものです。、
<太田>
典拠はURL↓も付けましょう!
http://www.tanakanews.com/100507korea.htm
こうやって取り上げること自体、本来は控えるべきなんでしょうが、この際、はっきり申し上げます。
陰謀論の田中宇メルマガなんてフィクション・メルマガです。
(陰謀論がなぜ、米英については基本的に成り立ち得ないかについては、ここで繰り返しません。)
ノンフィクションだと思っておられるのなら、読むのをただちにお止めになることです。
上記コラムは5月7日付のものですが、そこで展開されている田中の説は、北朝鮮の謀略に踊らされた噴飯物のゴミです。
彼は、韓国のKBSテレビの4月7日報道や、4月27日付の韓国紙が報じた、23日に韓国の野党民主党の議員の国防相との面会時の発言、等を典拠にしているわけですが、この田中説についての英語掲示板への14日頃の投稿を見ると、田中によって名指しされた「沈没」米原潜であるコロンビア
http://en.wikipedia.org/wiki/USS_Columbia_(SSN-771)
は、2009年11月3日に真珠湾を出港している
http://www.japundit.com/Offtopic/US_role_in_Cheonan_sinking
ところ、同艦は、天安事件の4日前の3月22日に韓国の港に寄港しており、ここで補給を受けているでしょうから、ロサンゼルス級SSNの行動可能期間が90日
http://en.wikipedia.org/wiki/Los_Angeles_class_submarine
であることからすれば、田中のように同艦がまだどこにも寄港していないことをもってその沈没の根拠とするわけにはいきません。
ちなみに、英語サイトで、これまでコロンビア沈没を示唆しているものは、(田中説を紹介した上記を除き、)私が探した限りでは皆無です。
なお、田中の説・・少し前に韓国の野党を中心に一部で唱えられた説・・の余りの荒唐無稽さから、朝鮮日報は、現在、かかる説はもはや批判の対象にすらしていません。↓
http://english.chosun.com/site/data/html_dir/2010/05/24/2010052401483.html
何と言っても、哨戒艦天安が北朝鮮の魚雷で撃沈されたことが、今や完璧なまでに証明されたのですからね。
魚雷の最後部が回収されたこと、それが、韓国の諜報機関が入手していたところの、北朝鮮が配布していた自国産武器カタログ掲載の魚雷と一致したことは、北朝鮮にとって予想外であったに違いありません。
ちなみに、私がどうしてかかる説は北朝鮮の謀略に踊らされたものだと断定するかですが、5月7日付のアジアタイムスに、北朝鮮の代弁者・・ He has a PhD from the Democratic People’s Republic of Korea’s Academy of Social Sciences and is often called an “unofficial” spokesman of Kim Jong-il and North Korea. ・・が、
・・・friendly fire <i>s the most likely cause of the naval disaster・・・
A torpedo could have been launched from any of the American or South Korean warships or warplanes taking part in the Foal Eagle exercise alongside the hapless Cheonan. ・・・
http://www.atimes.com/atimes/Korea/LE05Dg01.html
と記しているからです。
ただし、この北朝鮮の代弁者ですら、米原潜(コロンビア号)の沈没なんてバレバレのデマは口にしてませんよ。
<Chase>
–北朝鮮危機について–
李大統領の昨日の国民向け演説を見ても抜き差しならない状況になってきています。
対馬海峡での臨検もあり得るでしょうから軍事衝突が本当に懸念されます。
湾岸危機の際、戦争は絶対ないと訳知り顔で解説している評論家がいましたが、今回も同じことが起こり得ます。
太田さんの解説が頼りですのでよろしくお願いいたします。
<太田>(ツイッターより)
明治時代以来、日本の、ひいては世界の自由主義勢力の安全保障にとっての朝鮮半島の重要性は変わらない。
その北半分を反自由主義勢力にくれてやった米国の罪は重い。
<Tats_Gunso>(同上)
失礼します。北というバファゾーンがあるからこそ、小さな小競り合いを我慢しつつも、より大規模な不安定さのリスクを防いでる面もあるのではないでしょうか。
<太田>
北は中共とともに日本にとって「敵」たる非自由民主主義国家であって、日本にとって、バッファーゾーンは、それらの「敵」から日本を隔離していてくれるという意味で、韓国です。
日本は、このようなバッファーゾーンをできるだけ拡大するような安全保障政策をとるべきであり、まさに、明治以来、敗戦まで、かつての日本は一貫してそのような安全保障政策をとっていたわけです。
<けいc。>
海自強襲揚陸艦おおすみがアメリカ海軍病院船と一緒にヴェトナム、カンボジアの人道支援(宣撫)外交に出動するみたいですね。
日本の軍事アセットがやっと正常な任務で陽の目をみた感じですね。でも病院船で十分な気がしますが・・・。日本は持ってないから仕方ないですね。
US health diplomacy cruises have always included personnel from ally countries. However, this year Japan has gone a step further, deploying a 13,000 ton Osumi flat-top warship to join the USNS Mercy during ports in Vietnam and Cambodia to support Pacific Partnership.
http://blog.usni.org/
<太田>
だけど、
・・・Japan’s neighbors have never been comfortable with the island nation’s quasi-Navy, the Japan Maritime Self-Defense Force (JMSDF).・・・
って典拠をあげてよって言いたくなりますね。
<betumiya>
–援蒋がそんなに重大ですか?–
英米の他にドイツも援蒋に熱心だったでしょう。
たしかシナに軍事顧問団を派遣していましたね。
日本帝国はそのうち英米とは戦争し、ドイツとは同盟しました。
援蒋がいかに瑣末なことであったか、これをもってあきらかでしょう。
針小棒大に言わないでください。
<太田>
ドイツの蒋介石政権への協力は1938年までで終わっています。
それに対し、米英(豪州を含む)の同政権への協力は、1938年から本格化し、先の大戦終了まで続きます。米国に至っては、日米戦が始まる前に、空軍部隊を支那に派遣してます。
(ソ連も1941年まで空軍パイロットを支那に派遣してたけどね。)
http://en.wikipedia.org/wiki/Second_Sino-Japanese_War#German_support
で、何が言いたいわけ?
<こゆき>
いえ、わたしは確かに、アングロサクソンは英語で、それだけでラテン語系のフランスにはかなわない、みたいなことを書いて、それきりにしてしまった記憶があります。
→ご記憶違いです。(太田)
太田さんはきっと不愉快で、何かおっしゃったと思ったのですが、わたしはあまりに疲れていて、それ以上書き込みができなかったのです。
あのグルーピーの不快さ恐ろしさは今も覚えています。
愚かな人たちは恐ろしい。話ができないからです。
だからずっとここに来なかったのかもしれません。
→これもご記憶違いです。
当時、異国の地でよほどおつらい経験があったのでは、と拝察します。(太田)
最近はかなり落ち着いたので、またときどき太田さんと議論できたら楽しいだろうと思います。
もちろん典拠付きで。
それさえもできない日本人が多すぎます。
→古里の日本で癒されつつあるようでご同慶の至りです。
更なるご恢復へのご協力、やぶさかではありません。(太田)
<bonkers_blunder>(ツイッターより)
トルコはやはりイスラム世界の中に回帰してしまうのでしょうか?
中東で自由民主主義、人権を擁護する国家はイスラエルだけ?
<太田>
残念ながらそうなる可能性は高いけれど、トルコの最大野党が頑張ってくれること(コラム#4001)、に一縷の望みをつなぎたいところです。
<太田>
そう言えば、イスラム教のおぞましさについて、久しぶりに冴え渡った「シュペングラー」論文が出ましたねえ。↓
・・・Nowhere to my knowledge has a Muslim religious authority of standing repudiated wife-beating as specified in Surah 4:32 of the Koran, for to do so would undermine the foundations of Muslim society. ・・・
Execution for domestic crimes, often called “honor killing”, is not mentioned in the Koran, but the practice is so widespread in Muslim countries – the United Nations Population Fund estimates an annual toll of 5,000・・・
Muslim courts either do not prosecute so-called honor killings, or prosecute them more leniently than other crimes. Article 340 of Jordan’s penal code states, “He who discovers his wife or one of his female relatives committing adultery and kills, wounds, or injures one of them, is exempted from any penalty.” Syria imposes only a two-year prison sentence for such killings. Pakistan forbids them but rarely punishes them. ・・・
Surah 4:34: [Husbands] are the protectors and maintainers of their [wives] because Allah has given the one more [strength] than the other, and because they support them from their means. Therefore the righteous women are devoutly obedient and guard in [the husband’s] absence what Allah would have them guard. As to the women on whose part you fear disloyalty and ill-conduct, admonish them first, refuse to share their beds, spank them, but if they return to obedience, seek not against them means of [annoyance]: for Allah is Most High, Great. ・・・
In Islam, the family father has the ability to be a petty tyrant in his own home. That may explain the great mystery of modern Islam, namely why nearly a billion and a half human beings have failed over eight centuries to produce scientific or cultural figures whose names the world recognize. Even in Joseph Stalin’s Russia, individuals could find refuge in their families, and in creative pursuits not discouraged by the state, for example pure science and classical music. Islam can make the family itself an oppressive institution.
http://www.atimes.com/atimes/Middle_East/LE25Ak01.html
イスラエルのペレス大統領、核をめぐる暴露記事(コラム#4027)の否定にやっきです。↓
Israel’s president, Shimon Peres, today robustly denied revelations in the Guardian・・・
it is possible Peres made the offer without the approval of Israel’s then prime minister, Yitzhak Rabin. “Peres has a long history of conducting his own independent foreign policy. During the 1950s as Israel was building its defence relationship with France, Peres went behind the back of many of his superiors in initiating talks with French defence officials. It would not be surprising if he broached the topic in discussions with South Africa’s defence minister without Rabin’s authorisation,・・・
http://www.guardian.co.uk/world/2010/may/24/israel-shimon-peres-nuclear-weapons
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太田述正コラム#4030(2010.5.25)
<米人種主義的帝国主義と米西戦争(その7)>
→非公開
皆さんとディスカッション(続x844)
- 公開日:
>Japan’s neighbors have never been comfortable with the island nation’s quasi-Navy, the Japan Maritime Self-Defense Force (JMSDF).
周辺国が警戒し続けている、海上自衛隊という日本の“模擬”海軍。
日本の潜在能力は中国の脅威ということですね・・・。
まぁしかし、アメリカ原潜沈没説は一時ネットで話題になってましたが、
普通の常識を使って考えたら、原子力潜水艦という国家安全保障の戦略的兵器がまるまる1個沈没してそれを隠すこと自体に無理があるでしょう。
アメリカの原潜の乗組員は100-150名。家族は当然自分たちの息子や旦那が原潜のクルーでどのフネに乗っているかも普通は知っていし、万一沈んで被害者が出ているのならこれらの遺族への死亡通知はされないはずはなく、イラクやアフガンで戦っている陸上部隊でもない兵士がなぜ死んだのか?は家族の最大の疑問として浮上していきます。
これが一気に100世帯単位でおきたら、それこそ隠し通せはしないはずです。しかもクルーが家族持ちならだいたい基地周辺のご近所同士で住んでますから、たとえばらばらに死亡通知を出したとしても、同じフネに乗っていたたくさんの兵士が同じ時期に一挙に死んだことは家族同士の横の連携で分かり、かなり怪しまれる事態となります。
軍人の配偶者、遺族であっても民間人である家族を隠蔽工作に巻き込むことは不可能です。
これが例えば国際社会には知られたくない、アメリカの隠密軍事作戦で数名の特殊部隊の隊員が外国で戦死して遺体のリカバリーが不能になった場合は、訓練で死亡、遺体を捜索中と広報偽装はできますが。。。
北も南も捏造は得意だから!?
私は北朝鮮の魚雷攻撃によるとみなされている、哨戒艦沈没(撃沈)の証拠としての爆発魚雷の残骸と称する、韓国政府発表の写真を見て、どうしても腑に落ちない点があります。
あれは本当に証拠に成りえるのだろうか。つまり、撃沈から魚雷残骸を引き上げるまでの期間があまりにも短すぎるのに、プロペラシャフトの中央部の腐食があまりにもひどい。極端に減っている。普通、シャフトは直線的丸棒ですよね。残存各部が短期間にあんなに付着物?が生じるものなのか。哨戒艦から火薬の残渣が確認できるのに、本体の残骸には火薬の残渣が有るのかどうか、あれは韓国が所有していた、古い魚雷を細工したのではないか。それとも、現場付近に放置されていた古い魚雷が、反応し爆発したのか。シールズが細工したのか。北の調査を拒否したのはなぜかなど。どなたか分かる方、答えていただけますか。沢山有りすぎてURL少し
http://nappi10.spaces.live.com/blog/cns!39E8451829AE7F4!21962.entry
http://sankei.jp.msn.com/world/korea/100514/kor1005141242001-n1.htm
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2010052402000059.html
昨日の発言に関する出典をつけておきます。
http://www.navy.mil/navydata/cno/n87/usw/issue_17/corpuschristi.html
(right) Family and friends of Sailors onboard City of Corpus Christi stand by impatiently as the crew and their submarine are guided into Apra Harbor in Santa Rita, Guam
原潜コーパスクリスティの乗組員の家族や知人がグアム・アプラ軍港で同艦の帰港を首を長くして待つ風景。
↓こっちはSSBNメリーランドの同じような風景
http://www.navsource.org/archives/08/08738.htm
Family members gather ashore as the ballistic missile submarine Maryland (SSBN-738) returns to it’s homeport in Kings Bay, Georgia, 5 May 1998. The tug C Tractor 4 helps out.