太田述正コラム#4071(2010.6.15)
<皆さんとディスカッション(続x864)>
<Fat Tail>
–読者増加策について–
太田さん、法人等各種団体向けの料金体系の設定、というのを検討なさったことはありますか。
会社や部署等のアクセス(回覧)人数によって設定料金が変わる、FT等の新聞社やリサーチ会社でも採用しているものです。
大学を含む研究機関や中近東に関与している企業等、業界によっては需要*有りかと思料(既出の場合、ご放念を)。
*但し、日立グループを除く。
<太田>
ご提案には感謝します。
私が営利目的で、コラムを一部有料にしているわけではないことはよくご存じだと思います。
とはいえ、増収を図ることを考えてもよいことは確かです。
しかし、仮に私のコラムに関心のある団体があるとすれば、私を部内講師として招いたり、コンサルタント契約を試みても不思議ではないところ、これまでそのような申し出は皆無に等しいのですから、団体用の新しい購読方法を設定したとして、購読してくれる団体があるのか疑問です。
また、現在のように私が太田コラム関係のマネジメントを一人でやっている体制では、ご提案のような新しい購読方法をも含む事務をこなすのは困難だと思います。
<US:翻訳>
英語の勉強のため、合間を見て、私も邦訳に挑戦させてください。
コラム#4069より
City University of New York and a senior fellow at the New America Foundationのピーター・ベイナート(Peter Beinart)(コラム#4058、4060、4066(いずれも未公開))による時事コラム。全く彼の言うとおりだ。↓
・・・中国の独裁的資本主義が勃興しているまさしくその瞬間に、米国の経済モデルは、金融危機によってその威信を傷つけられたのだ。
10年ほど前、貿易と援助を切望する貧しい国々の政府は、ワシントンに赴き、どのようにすれば彼らの国の経済が米国のそれに似通ったものになれるのかを教えてもらう以外、選択肢はなかったというのに、今や、彼らは北京で、半分程度の道徳的お説教を受けるだけで2倍のマネーを得ることができるようになったのだ。
イランからビルマやスーダンに至るまで、オバマ政権の微笑攻撃は、中国の現金攻撃の前に傷つけられてしまったのである・・・
ホワイトハウスは、今や、米国の海外における責任をじょじょに削減するという「難しい選択」を、現実のものとして真剣に考えなければならなくなってきているのである。・・・
<太田>
大変結構です。9ポイントです。
既に名誉有料読者でいらっしゃるUSさんまでエントリーいただき、痛み入ります。
<Fuku>
訂正訳を拝見しました。言い訳がましく聞こえると思いますが、
「大半のドイツ人はキリスト教的価値観に名目上は同意した――彼ら(ドイツ人)は、<神聖な皇帝(=天皇)に対する敬意より重要な道徳規範を持っておらず、残虐行為に対しても「ちゃんとした言い訳」があった日本人>とは違ったのだ。」
僕はこのように「神聖な・・・があった」が日本人にかかる説明として訳したつもりだったんですが・・・・・・こう読めば一応、意味は通りますよね? 通りませんか?
<太田>
なるほど。
しかし、翻訳というものは、翻訳者が理解した内容を的確な日本文で表現して初めて完結します。
ところが、Fukuさんの翻訳の場合、「持っておらず」の後に「、」が入っていることで、「神聖な皇帝(=天皇)に対する敬意より重要な道徳規範を持っておらず」がドイツ人の話なのか日本人の話なのか分からなくなってしまっています。
私は、ドイツ人の話と読んだわけです。
「、」を入れるか入れないか、また、どこに入れるかは極めて重要です。
ただ、この翻訳の場合、仮に「、」を入れなかったとしても、どちらの意味か、依然として完全にすっきりとはしません。
となると、私がしたように、そもそも紛れようのない形の日本文で最初から表現すべきだったのです。
ご理解いただけたでしょうか。
それでは、記事の紹介です。
私も日本対カメルーン戦をTV観戦した。
この際、ワールドカップに係る興味深い記事を2つ紹介しておこう。
技術面の記事として秀逸。↓
「軽いボールと高地が生む「予測外」の出来事 ・・・」
http://www.nikkei.com/sports/column/article/g=96958A88889DE2EBE0E2E0E7E3E2E3E6E2E4E0E2E3E2E2E2E2E2E2E2;p=9694E0E3E3E0E0E2E2EBE0E5E6EB
中東におけるサッカーと政治との切っても切り離せない関係が詳述されている。↓
http://mideast.foreignpolicy.com/posts/2010/06/11/unity_through_soccer_not_in_the_middle_east
キルギスタンでの内紛の背景説明の第三弾。日を改めるごとに、記事の質が高くなってきている。
要するに人類の太古からの対立図式、遊牧民(キルギス人)対定着民(ウズベク人)の争いってことのようだ。↓
・・・ Southern Kyrgyzstan is an economically depressed region, with an average annual income of less than half the national average of $2,150. There is a perception that the city’s Uzbeks are significantly more prosperous than their Kyrgyz neighbors and have gotten that way through unscrupulous business practices. ・・・
Until the 20th century, the Kyrgyz people were nomads who hunted and herded in the Tien Shan mountain range that dominates the landscape. (The country’s average elevation is more than 9,000 feet.) The Uzbeks, by contrast, have been farmers and traders for centuries.
A lot changed during the years of Russian domination between 1876 and 1991. Large numbers of Kyrgyz abandoned their traditional way of life and became unskilled urban or migrant laborers. Many now work in distant Moscow, with remittances from Russia-based workers making up 40 percent of the national income. A fair number of those who moved into Osh work for ethnic Uzbeks, who seem to own a disproportionate share of the region’s businesses.・・・
The Uzbeks are phenotypically more similar to East Asians, while Kyrgyz tend to look more like Russians or Persians.・・・
Uzbekistan became a far more oppressive and poverty-stricken country than Kyrgyzstan・・・
http://www.slate.com/id/2256919/pagenum/all/#p2
・・・ethnic distinctions between Uzbeks and Kyrgyz are so slight as to be hardly distinguishable, Professor Cooley and others say. Both are predominantly Muslim and they speak a mutually comprehensible Turkic language. ・・・
Uzbeks make up about 15 percent of the population of Kyrgyzstan, but they constitute a sizable portion of the population in the south and had made up about half of the residents of the country’s second largest city, Osh・・・
http://www.nytimes.com/2010/06/15/world/asia/15ethnic.html?ref=world&pagewanted=print
中共におけるホンダの工場での労働争議がほぼ収束したとさ。↓
Holdouts on strike at Chinese Honda components factory are quickly replaced・・・
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2010/06/14/AR2010061402939_pf.html
BPの石油汚染問題での英米間の軋轢にからみ、両者の間の心理の深淵に分け入った記事が載っていた。↓
・・・“We<(=American)> look to the future; they<(British)> look to the past. We run for election; they stand for it. We noisily and proudly proclaim our Americanness; they shuffle their feet and apologize for their Britishness. We trumpet our success; they brag about their failures. When they say they are pleased to meet you, they often mean nothing of the kind.”・・・
After all, the English< は米英戦争の際に> burned our capital. And who can forget that headline in The Daily Mirror after George W. Bush was re-elected in 2004: “How Can 59,054,087 People Be So Dumb?”・・・
http://opinionator.blogs.nytimes.com/2010/06/13/insults-across-the-water/?pagemode=print
脳は身体の大きさや形を正確に認識していないとさ。
その理由も示唆されている。↓
・・・Scientists have found that our brains contain highly distorted representations of the size and shape of our hands, with a strong tendency to think of them as shorter and fatter than they really are.
The work could have implications for how the brain unconsciously perceives other parts of the body and may help explain the underpinnings of certain eating disorders in which people’s body image becomes distorted.・・・
Many of the volunteers estimated their hand was around 80% broader than it really was.・・・
Regions of high sensitivity in the skin, such as the fingertips and the lips, get a correspondingly larger proportion of the brain’s territory.・・・
http://www.guardian.co.uk/science/2010/jun/14/distorted-body-image-back-hands
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太田述正コラム#4072(2010.6.15)
<インディアンの最後の栄光(その3)>
→非公開
皆さんとディスカッション(続x864)
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