太田述正コラム#4141(2010.7.20)
<皆さんとディスカッション(続x898)>
<太田>(ツイッターより)
 (コラム#4082に関し)これは英国の話なのか、アングロサクソン世界の話なのか、日本にはどの程度あてはまるのか、私にはよく分からない。誰か教えて!
<植田信>(2010.7.16)http://8706.teacup.com/uedam/bbs?OF=10&
 ・・・私に気になるのは、太田述正氏の場合です。
 私は・・・太田氏にしばしば言及していますから、・・・皆さんはご存じだと思いますが、彼は元官僚です。
 それでいて非常に興味深いことに、副島<隆彦>氏と同じように、「日本属国論」を唱えています。
 どうすれば官僚の立場からそのような指摘が出てくるのか。
 と、私は、今も飽きもせず、太田氏のサイトを拝見しています。
 (最近は、太田氏の「ツイッター・つぶやき」が始まったので、一行コメントだけ見て済ますことが多くなりました)。
 で、何が言いたいのか、というと、元官僚の立場から「官僚」対「政治家」の対決問題を見ると、どうなるか、ということです。
 太田氏の場合は、これがごくあっさりとしていて、「政治家が主導しないだけじゃん」<(コラム#4119参照。私のかねてよりの主張を植田さんが要約的に表現している。(太田))>です。
 いや、まさにその通りなのです、これが。
 戦後の日本の政体では憲法的に政治家が政治の主導をすることになっていますから、政治家主導で何も問題はありません。
 だから、政治家と官僚の対決、と言っても、憲法で決まっていることを、なぜ政治家はやらないのか、というだけのことです。・・・
<植田信>(2010.7.17)http://8706.teacup.com/uedam/bbs
 ・・・外務省の条約局に条約解釈という仕事があることは当然でしょう。
 ここでの問題は、それでよし、とその解釈を是認する最終的権限は、誰にあるか、です。
 外務省事務次官か?
首相か?
国会の採決か?
 ・・・あくまでも理論的にですが、外務省の条約局に与えられる仕事は、あくまでも解釈という仕事です。
 最終的権限は、外務省の官僚にはありません。
 となれば、内閣か国会ということになります。有権者の代表です。
 佐藤<優>氏によれば、このように考えることは、そして実行することは、国体の変更です。
 しかし、戦後の日本国憲法は、とっくに国体を変更しているではありませんか。
 日本人が反憲法精神で動いてきたわけです。
 こういう具合に、「脱官僚」は、即、国体の変更となります。
 これから、いたるところで起きます。
 しかし、太田氏の言葉でいえば、「政治家が主導しないだけじゃん」です。
 その通り。
 だから、政治家はどんどん主導を進めればいいわけです。
<太田>
 私は、帝国憲法にも日本国憲法にも規範性はないと考えており、また、日本のいわゆる国体=(日本の自由民主主義化等を可能にしてきたところの)天皇制、と考えているところです。
 それはともかくとして、戦後日本で「政治家が主導しない」のは、私に言わせれば、安全保障と外交の基本を宗主国米国にぶんなげている状況下においては、中央政治が存在せず、従って中央政治家がやるべき仕事が基本的にないため、「政治家が主導」する必要が基本的にないからです。
<植田信>(2010.7.18)同上
 ・・・明治の元勲が生きている間は、それでも本当のこの国の実力者が誰なのかー薩長の元勲ー政府権力の中では理解されていたのですが、山県有朋が死ぬと、昭和の日本人は、明治憲法をそのまま文字通り読み込んでいくことになります。
 ここから統帥権干犯問題がでてきます。
 戦前の日本軍の問題は、なかなか一筋縄では解決といきません。
 それゆえに、今も、集団的自衛権の行使すら、日本人は戦前の記憶に怯えて、一言も口にすることができません。もちろん、首相が、ということですが。
 管首相がどうせこけるなら、消費税よりも、集団的自衛権の問題でこけた方が、これからのために、無駄死にとはならないでしょうに。
 <2010、7.17>の太田述正氏の<ツイッター上での>コメント<(コラム#4137に転載)>にありますが、これ<↓>は絶対に正しいです。
 「どうして、本丸である日本の属国性そのものを問題にせず、周辺的なことばかりに目を奪われるのだろうか。日本の「独立」なくして、記者クラブ制や官房機密費を通じた政治家とマスコミの癒着の抜本的な解消を図ることはできない。」
<太田>
 帝国憲法の規範性の有無を問題にするまでもなく、
 「統帥権<とは、>・・・近代日本では大日本帝国憲法第11条が定めていた天皇大権のひとつである陸軍や、海軍への統帥の権能を指す。その内容は陸海軍の組織と編制などの制度、および勤務規則の設定、人事と職務の決定、出兵と撤兵の命令、戦略の決定、軍事作戦の立案や指揮命令などの権である。これらは陸軍では陸軍大臣と参謀総長に、海軍では海軍大臣と軍令部総長に委託され、大臣は軍政権を、参謀総長・軍令部総長は軍令権をになった。
 狭い意味では天皇が軍事の専門家である参謀総長・軍令部総長に委託した戦略の決定や、軍事作戦の立案や指揮命令をする軍令権のことをさす。
 明治憲法下で天皇の権能は特に規定がなければ国務大臣が輔弼することとなっていたが、それは憲法に明記されておらず、また、慣習的に軍令(作戦・用兵に関する統帥事務)については国務大臣ではなく、統帥部(陸軍:参謀総長。海軍:軍令部総長)が輔弼することとなっていた。」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B5%B1%E5%B8%A5%E6%A8%A9
というわけですから、統帥権・・広義であれ狭義であれ・・を干犯するとかしないとかは、本来、帝国憲法(の解釈)とは何の関係もない事柄です。
 (戦前、慣例上、狭義の統帥権たる「軍事作戦の立案や指揮命令」権、すなわち軍令権を軍人に委ねていたことについては、一つの見識であり、いずれにせよ、時代の変遷とともに変わり得たことでした。)
 統帥権干犯問題とは、にもかかわらず、政党(政友会)が、軍政に係る事柄について、統帥権干犯なる言葉を用いて政争の具に供した(ウィキペディア上掲)、という、ただそれだけの話である、というのが私の認識です。
 それでは、記事の紹介です。
 ついにレーザー兵器が実用化した。↓
 ・・・US firm Raytheon has unveiled its anti-aircraft laser・・・
 ”We’ve tied this into Phalanx, the US Navy’s anti-missile defence system that links a multiple barrelled 20mm Gatling gun to a radar guidance mechanism.
“This system is already installed in many ships, both in the US and other Nato nations, such as the Royal Navy.・・・
 The firm is also working on a sister land based system that can be used to target mortar and rocket rounds.・・・
http://www.bbc.co.uk/news/technology-10682693
 米国の諜報要員は85万人余!↓
 ・・・A new survey of the intelligence network created in the wake of the 9/11 attacks estimates that some 854,000 people have been given high-level clearance・・・
 In addition to the army of individuals, it has identified some 1,271 government bodies and 1,931 private contractors working on counter-terrorism.・・・
http://www.guardian.co.uk/world/2010/jul/19/us-spies-triple-since-2001
 サッチャリズムは、大した繁栄を英国にもたらさなかった。↓
 ・・・ taking the 18 years (1979-1997) of Conservative rule as a whole, he notes that the annual rate of growth of 2.1 per cent was barely above that of France and actually below that of Germany, the United States and Japan. ・・・
http://www.ft.com/cms/s/2/30fcaf10-906a-11df-ad26-00144feab49a.html
 なんでいまだにイスラエルが対イラン攻撃をしないのかワケが分からん、とぼやいてるに等しいコラムが載ってました。↓
http://online.wsj.com/article/SB10001424052748703720504575376742991948412.html?mod=WSJ_Opinion_carousel_2
 美人の女性はトクをする。↓
 ・・61 percent of managers (the majority of them men) said it would be an advantage for a woman to wear clothing showing off her figure at work. (Ouch.) Asked to rank employee attributes in order of importance, meanwhile, managers placed looks above education: of nine character traits, it came in third, below experience (No. 1) and confidence (No. 2) but above “where a candidate went to school” (No. 4). ・・・
 <これは、男性にもあてはまる。>
 ・・・Handsome men earn, on average, 5 percent more than their less-attractive counterparts (good-looking women earn 4 percent more)・・・
 Remember the story about the 1960 Nixon-Kennedy debate? It goes to show our beauty bias is nothing novel. At the time, radio listeners thought Nixon had won, but those watching Kennedy’s tanned, chiseled face on TV, next to a worn-down, 5 o’clock-shadowed Nixon, were sure it was the junior senator. ・・・
http://www.newsweek.com/2010/07/19/the-beauty-advantage.print.html
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太田述正コラム#4142(2010.7.20)
<縄文モード・弥生モード論をめぐって(その4)>
→非公開