太田述正コラム#4159(2010.7.29)
<皆さんとディスカッション(続x907)>
<宮里>
 <前回の東京での>オフ会<でのやりとり>の補足。
≫(もっとも、本土だって、地方に関しては似たようなものだが・・。
O:しかし、本土に関しては、古くに、既に風土記なんてのがあったではないか)≪(コラム#3998。太田)
 そのときは、うまく説明できませんでしたが、「風土記」は、大和朝廷の命令で地方官庁がその土地の風土、特産を報告したものであり、大和朝廷の編纂物だと説明しようと思っていました。
 日本の地方で(その土地土地で)、自らの過去を記そうという気運が、本格的に起ったのは江戸中期(18世紀)からです(この頃から全国的に多くの地誌が編纂
されました。これはこれで、当時では世界的にちょっと類例のないことだと思いますが)。
 その意味で、「本土に関しても似たようなものが…」と言いました。
 それからもしよろしければ、以下のくだり、もう少しご教示賜れば幸いに存じます。
≫「鳩山案のこのくだり、いかに彼が現実的であったかがよく分かる。↓
 それに、米軍の沖縄への駐留は続くという前提だったんだろうしね。
 「第5条(米駐留軍の撤退) 米国の陸、海軍の地上部隊は、日本国の長期防衛計画の完遂年度の終了後、遅くとも90日以内に撤退を完了する。空軍部隊及び海軍海上部隊の撤退期限は、追って協議決定する。 」≪(コラム#4157。太田)
<太田>
 鳩山(おじいさん)案を、私なりにかみくだくとこういうことです。
 陸軍と海兵隊は撤退させるが空軍及び海軍について当分の間そのままにする、ということですから、米空軍力と海軍力、つまりは核兵器さえあれば、日本に対する上陸侵攻は抑止できるという想定なのでしょう。
 また、台湾に対する上陸侵攻を抑止するには、在日米海空軍と(米国の施政権下にある沖縄の)在沖米海空軍、すなわち核兵器があれば足り、韓国に対する侵攻には在日米海空軍及び在沖米海空軍の掩護の下で在沖米海兵隊(在日米海軍の揚陸艦艇を使用)が応急的対応を行った上で米陸軍が米本土からかけつけるのを待てば足りる。よって、「極東」の平和も維持できる、という想定なのでしょう。
 以上のような意味で、この案は極めて現実的である、と申し上げたのです。
<globalyst>
 –米国の責任–
≫謝罪まで行かなくとも、なんとなく流れが出来ていませんか?≪(コラム#4157。けいc)
 確かにそう思います。
 7/25にドイツのポツダムでは、ポツダム会談の際にトルーマン米大統領が滞在した邸宅(トルーマンハウス)前の「ヒロシマ広場」に、原爆犠牲者を追悼する記念碑が、一部在ドイツ米国人の反対にも拘らず完成しました。
 「碑文には「45年7月25日に大統領の同意の下、原爆投下命令が下された」との史実が日英独の3カ国語で記されている。」
らしいです。
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2010072500142
http://www.asahi.com/international/update/0725/TKY201007250377.html
 これって、トルーマン大統領の責任を3カ国語で明記したということでしょう。
<太田>
 そのとおりですね。
 ところで、本日、私のmixiサイトに足跡をつけた「NTT食品@絶滅危惧種」サンのmixiサイトを覗いてみたら、先の大戦当時の在日米大使であったグルーが本国政府に送った公電にリンク
http://digicoll.library.wisc.edu/cgi-bin/FRUS/FRUS-idx?type=turn&id=FRUS.FRUS193141v02&entity=FRUS.FRUS193141v02.p0199&q1=Grew
が貼ってあったので、その公電をご披露します。
 The Ambassador in Japan (Grew) to the Secretary of State
 Tokyo, January 27,1941-6 p.m.
 A member of the Embassy was told by my ・・・colleague that from many quarters, including a Japanese one, he had heard that a surprise mass attack on Pearl Harbor was planned by the Japanese military forces, in case of “trouble” between Japan and the United States; that the attack would involve the use of all the Japanese military facilities. My colleague said that he was prompted to pass this on because it had come to him from many sources, although the plan seemed fantastic.
 駐日米国大使(グルー)から国務長官宛
 東京 1941年1月27日午後6時
、「私の大使館のある館員が、私の同僚<(某大使?)>から入手した情報によると、この同僚は、日本のものを含む様々なところから、日米関係が難しくなった場合、大軍でもって真珠湾を奇襲攻撃することが日本軍によって計画されているということを聞いた由。この攻撃は、日本の全軍事施設が関わって行われるとのこと。この同僚は、こんな計画はありえない話のように聞こえるが、多数の筋から自分のところに伝わってきたので、このことを伝える必要があると判断したと述べた由。」
 ローズベルトが、この公電を踏まえた上で、直前の真珠湾攻撃情報を握りつぶした、という消極的陰謀説がますます本当らしくなってきました。
 この「同僚」というのは、諜報力のあった英独ソ大使の誰かか、もしくは日本の外務次官あたりを指していると思われますが、クレイギーの報告書にこの話は出てきませんし、ドイツの大使が「敵」にこんな重要情報を伝えるわけがないのではないでしょうか。
 すると、ソ連の大使が日米を更に離間させるためにあえて米大使館員に伝えたのかな、とも思います。
 もっとも、出所が日本政府の次官クラスであった可能性もあります。
 いずれにせよ、全く秘密保全も何もあったもんじゃありませんね。
<ΓΕΕΓ>(「たった一人の反乱」より)
 <韓国の>中央日報より。
 「国としてのメンツがあって、威信があって、品格がなければならないのに、どうして民主主義の良いことはすべて享受しながら北朝鮮の擁護をするのか。以北に行って暮らせ」
http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=131498&servcode=500
 日本に跋扈する北朝鮮や中共シンパの低劣なサヨクさんに対する発言としてもそのままOKな正論ですなあ。
 たまにはマトモなこと言うでねか。
<太田>
 片言をとりあげちゃいけないんだけど、新駐中国大使の丹羽宇一郎・元伊藤忠商事社長は「低劣なサヨクさん」、じゃーないよなあ。↓
 「丹羽宇一郎新駐中国大使は23日、「日本は早急に中国と自由貿易協定の協議に入るべき。進めなければ、日本は沈没する」と述べた。・・・」
http://j.people.com.cn/94476/7082889.html
 「新駐中国大使の丹羽宇一郎・元伊藤忠商事社長は26日、都内で、中国の国防費が2009年まで21年連続で2けたの伸びを記録したことに触れ、軍事力増強は「大国としては当然のことといえば当然のことかもしれない」と述べた。・・・」
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2010072601000690.html
<太田>(ツイッターより)
 (コラム#4155に関し)太田コラムの「ディスカッション」、サンデル先生の授業に比してそれほど遜色ないんじゃないかって気がしてきたけど、もっと良くして行くためにも、読者の皆さんの中からもっともっと質問やコメントを求む。そしてTAも。
<εεΓΓ>(「たった一人の反乱」より))
 「TA」って、ティーチングアシスタント (Teaching Assistant)のこと?
<takahashi>(同上)
 俺は「TA」が分からず、検索したよ(笑)。
 ティーチングアシスタント (Teaching Assistant)だろうな。
 <ΓΓΕΕサン(コラム#4157)、>知りたいという欲求が人間と動物を分けてるのだろう。
 不思議なもんだな、この好奇心という奴は。
 しかし、歴史というのは悲しいものさ。真実が重要ではなく、
 脳に刻まれた歴史が真実なのだから。
 中国共産党は戦争中は出来るだけ日本軍との戦闘を避けて兵力を温存していた。
 天下を取ってからは、在りもしない戦闘、英雄をでっちあげた。
 中国のTVドラマじゃ、日本軍が中国軍司令官の母親を人質にして城に立てこもるシーンがあるらしいぜ。日中戦争は三国時代の話らしい。
→典拠つけよう!(太田)
 勿論、南京事件の被害者数は増える一方さ。
 コリアは遺跡もないのにシナより古い自称5000年の歴史だからな。
→檀君神話のことなんだろうが、takahashiサン、それに数百年足してないか
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%9D%E9%AE%AE%E3%81%AE%E6%AD%B4%E5%8F%B2 (太田)
 日本軍戦死者11名の戦いが、なぜか独立軍の大勝利になる。
→この話かね。
http://tosi.iza.ne.jp/blog/entry/504128/ (太田)
 ホントは満州の村々を襲ってた、ただの山賊なのにな。
 WW?中にコリア臨時政府とやらがドイツに宣戦布告したことになってる。
 どれもこれもコリアの教科書に載ってる素敵な真実だぜ。
→ズバリの典拠、すぐは見つかんなかったぞ。繰り返す、典拠つけよう。(太田)
 ちなみにコリア人は自分の姓が7世紀後半に唐をまねて出来たこと<(コラム#4151)>を知らん。
 どれもシブすぎる歴史の真実だぜ。
<ΓΓΕΕ>
>知りたいという欲求が人間と動物を分けてるのだろう。不思議なもんだな、この好奇心という奴は。しかし、歴史というのは悲しいものさ。真実が重要ではなく、脳に刻まれた歴史が真実なのだから。
 他人のことは見えやすいが自分のことは見えにくいもの。
 中国や韓国がそういう事を平然とやってるという事は、外から見れば日本だって平然とやっていると思っておいたほうがバランス感覚としては健全だろうね。
<ΓΕΕΓ>(同上)
 ホントに韓国嫌いな人多いなぁ。
 <北朝鮮、ネット上で世論操作か 韓国人になりすましてネットに書き込み>
http://www.afpbb.com/article/politics/2732153/5826552
 前々から思ってた事だけど北朝鮮あたりの工作員が日本と韓国が民間レベルで仲違いするように色々工作しかけているんかいねぇ?
 北朝鮮にすりゃ日本と韓国が仲良くなって面白いハズないし。
 日本はスパイに関してザル、同じ朝鮮人の韓国なら潜入も容易いだろうし。
 もし工作員に踊らされてお互いイガミ合ってるんだとしたらこれ程滑稽な話も無いよね。
<εΓεΓ>(同上)
 EUからクレームきた。
http://sankei.jp.msn.com/world/europe/100729/erp1007290952003-n1.htm
 死刑廃止論て何でこんな幅利かせてんの?
 EU内にも存置派はかなりいるだろ?
 廃止した時点では存置派の方が多かったくらいなんだろ?
 でも上の奴らは皆廃止派になっちゃう不思議
 結局存置派も自分らの主張に引け目を感じてるんじゃないのか?
<太田>
 (正当防衛ないし緊急避難の場合以外でも)殺人を行うことが許されているのが国家というものなんだけど、そのような国家の重さを実感させる意味で、再軍備までは日本では死刑を廃止すべきではない、というのが私の考えなんだよ。
<KK>
 –町山さんの映画批評論–
 とても面白かったので紹介いたします。
 1日しか残さないらしいです。
 よかったらどうぞ
 町山智浩帰国トークライブ(その1)
http://www.ustream.tv/recorded/8563888
 町山智浩帰国トークライブ(その2)
http://www.ustream.tv/recorded/8564884
<太田>
 何せ長いもんで、「その1」の最初の1時間くらいしか鑑賞してないが、やや俗っぽく要約すれば、およそ映画というものは、他の監督等によってつくられたそれまでの映画をパクリながらつくられるものなので、映画評論家たるもの、とにかくたくさん映画を見ていて、どこがどうパクられているかを論じなければ評論とは言えない、と彼は主張してるわけだ。
 映画ってまさに歌舞伎と同じで、一見さんじゃホントの意味で楽しむことはできないってことが言いたいんだろうな。
 もちろん、この基準に照らせば、私の映画評論は映画評論とは言えないことになる。
 しかし、私の映画評論は彼が批判する印象論的映画評論でもない。
 じゃ、一体何なんだということになる。
 私は、名刺には「評論家」とだけ記していてそこが町山のような「映画」評論家とは異なる。
 その私は、映画評論にあたって、評論対象たる映画の制作者が訴えたいことが何であってそれが事実や科学に照らして妥当であるかどうかを検証し、妥当でないと見たらその旨理由をあげて記して評論とし、妥当であると見たら、やはりその理由をあげた上で、更に訴えたいことをその制作者が適切に映像化しているかどうかを記して評論とする、というやり方をとってきた次第だ。
 そういう映画評論があったっていいじゃんって思うんだけどね。
 
 話は全く変わるが、コラム#4158(未公開)で中西輝政と私の縄文・弥生交替論を比較したところ、その一部を参考までにご披露しておこう。
–中西の日本史時代区分–
 4世紀~:古墳時代と飛鳥時代           《弥生→縄文化》
 8世紀~:律令国家の成立から王朝国家の終焉まで  《同上》
 12世紀~:鎌倉時代と室町時代           《同上》
 16世紀~:戦国時代の始まりから明治時代の終わりまで《同上》
 20世紀~:大正時代以降              《同上》
–太田の日本史時代区分–
 ~10世紀初頭:広義の弥生時代(弥生・古墳・飛鳥時代)
 ~12世紀末 :平安時代   (縄文モード・マークI)
 ~17世紀初頭:混乱の時代  (弥生モード・マークI)
 ~19世紀後半:江戸時代   (縄文モード・マークII)
 ~20世紀初頭:明治・大正時代(弥生モード・マークII)
 ~現在   :昭和時代~  (縄文モード・マークIII)
 どっちがもっともらしいかの勝負だね。
 それでは、その他の記事の紹介です。
 友人の効用は何度となくとりあげてきたが、こういう実験結果もあったんだね。↓
 ・・・Sheldon Cohen at Carnegie Mellon University exposed hundreds of healthy volunteers to the common cold virus, then quarantined them for several days. Cohen showed that the study participants with more social connections and with more diverse social networks ? that is, with friends from a variety of social contexts, such as work, sports teams and church ? were less likely to develop a cold than the more socially isolated study participants.
 The immune systems of people with lots of friends simply worked better, fighting off the cold virus often without symptoms. Studies suggest that the immune response may be affected by stress hormones ? catecholamines and glucocorticoids ? so that a strong social life thus affects immune function by helping people keep physiological stress in check.・・・
http://www.time.com/time/health/article/0,8599,2006938,00.html
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太田述正コラム#4160(2010.7.29)
<狩猟採集時代の性(その1)>
→非公開