太田述正コラム#4185(2010.8.11)
<皆さんとディスカッション(続x920)>
<トム男>
 こんちは。初コメントさせて頂きます。
 菅談話に、カリカリした方も多いかと思います。
 私もその1人でしたが。
 太田さんの視点で見ると、少し冷静になってもと考え直す訳です。
 ただ、日韓併合100年で、談話を出すってのは菅さんには、発想としてなかったんじゃないでしょうか?
→典拠は?(太田)
 外務省側からのささやきと誘導と圧力と考えるのは、間違いでしょうかね。
 では、失礼します
<太田>
 拓殖大学教授はこう↓言ってるけど、(何度も記したことながら、)日本による植民地支配が「近代化の原動力になった」ことこそ、朝鮮半島の人々が一番傷ついてることなんですよ。
 「・・・併合によって韓国には日本国民の多くの血税が投入され、鉄道建設や治山治水、農業の技術指導、金融制度の導入などが行われた。こうした日本の統治によって民生は飛躍的に向上し、これが韓国の近代化の原動力になったという側面も否定できない。
 こうした「事実」をなかったことにすること自体、歴史に対して不誠実な態度である。」
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100811/plc1008110842005-n1.htm
 同じことが、産経の「主張」↓についても言えます。
 「・・・35年間に及ぶ日本の朝鮮統治には、反省すべき点もあるが、鉄道建設や教育の普及など近代化に果たした役割は大きい。・・・」
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100811/plc1008110319002-n1.htm
 だから、「未来を展望するためのイマジネーションや能力が欠けている」、とりわけイマジネーション↓が欠けているのは、私に言わせれば、まさに、櫻井よしこ自身や上の教授や主張子なんですよね。
 「菅直人首相にも仙谷由人官房長官にも歴史を振り返り未来を展望するためのイマジネーションや能力が欠けている。・・・
 韓国の重圧になり、脅威を与え、韓国の国力を奪っている眼前の共通課題、北朝鮮には一言も触れていない。・・・」
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100811/plc1008110838004-n1.htm
 なお、首相談話に出てくる日韓の「韓」や「韓国」は、「大韓帝国」や「朝鮮半島の人々」を指しているのであって、特段「北朝鮮」や「北朝鮮の人々」を排除してはいないのではないでしょうか。
 ところで、本件に関する朝鮮日報の報道ぶり↓
http://www.chosunonline.com/news/20100811000011
http://www.chosunonline.com/news/20100811000012
http://www.chosunonline.com/news/20100811000015
http://www.chosunonline.com/news/20100811000016
http://www.chosunonline.com/news/20100811000020
http://www.chosunonline.com/news/20100811000018
http://www.chosunonline.com/news/20100811000019
とニューヨークタイムス、ロサンゼルスタイムスの報道ぶり↓
 The abuses by Japan during its colonial rule of the Korean Peninsula pale in comparison to its documented atrocities during World War II – including mass killings of civilians and human experimentation. ・・・
 The statement did not mention North Korea, which was also under Japan’s colonial rule before the division of the peninsula.・・・
http://www.nytimes.com/2010/08/11/world/asia/11japan.html?ref=world&pagewanted=print
 Many older South Koreans remember such indignities as being forced to adopt Japanese surnames, fight as soldiers and even work as prostitutes for the military ? the so-called comfort women.・・・
 ”The statement is only half complete as it apologizes for the annexation against the will of the Korean people,” the newspaper said, “but fails to mention the illegality of the action.”
http://www.latimes.com/news/nationworld/world/la-fg-korea-japan-apology-20100811,0,7942578,print.story
を比較して気づいたのは、米紙がとりあげた昔の名前で出ています的な話が、朝鮮日報には全く登場しないことです。
 歴史認識において、日本と、もはや韓国(の保守派)との間で乗り越えるべき壁はほとんどなくなっているのに対し、米国(のリベラル派)との間で乗り越えるべき壁は依然大きいって感じですね。
<mootiez>(ツイッターより)
 下世話な興味で頭の良い人たち(太田さんを含めて)がどんな人のツイートをチェックしているのか知りたかったのです。
 太田さん自身は本当に世の知識人がどんなことを考えているか興味が無いのですね。
 学問的に得るものはなくても社会ウォッチングという意味で楽しいですよ。
<太田>
 首相談話がらみで冒頭とりあげたお三方のような、そして下で出てくる寺島実郎のような、現代日本の「頭の良い人たち」をウォッチングしてると、楽しいだろうけど、どんどんあなたの頭が悪くなるから、お止めになった方がいいけど、多分お止めにならないでしょうねえ。
<けいc。>
 三井物産取締役で同社シンクタンク所長寺島氏のブログ各論ではえっ??と思うところがありますが、全体的には単刀直入な太田ドクトリンの“ぼやかし版”というところでしょうかね?
 「政権交代によって「官僚主導から政治主導への転換」が語られている。だが、政治主導が機能していない省が二つある。外務省と防衛省である。
 バランス感覚と豊かな人間性を持った優秀な官僚が多いのだが、彼らと真剣に議論をしてみて、直感的に思い起こすのは、清国末期の、亡国に導いた官僚が放つ空気である。
 英国を初めとする列強の圧力を与件として、状況を打開するよりも列強の存在を当然の現実として受け止め「なんとか穏便に事態が推移すればよい」という心理に陥った専門家が清朝を支えていた。
 教養と学知はあるが硬直した時代認識に埋没した官僚群は、事件の囚人となって日々を繰り回すことだけに憔悴し、惰性のままに国の没落をもたらしていった。」
http://mgssi.com/terashima/nouriki1008.php
<十津川昭和>
≫お疲れさん。特段反論がないところを見ると、諸君らは、反自民へと転向してからまだ数年しか経っていないようだが、過ちを改めるにはばかることなかれだ。せっかくだから、後一声、ナショナリストの看板もおろしてくれることを期待して待っとるよ。≪(コラム#4183。太田)
 ふ~ん。
 貴方は防衛省では何の成果を揚げる事も出来ずに、結局、防衛省から逃げ出したんだけど、その結果、何か成果を揚げられたんですか?
 ただ、本とかを書いたり、たまにTVに出たり、こうやってブログを書いたりしているだけ。
→参院選に民主党から出馬して全国を自民党と小沢とをボロクソに言って歩いて政権交代を促し、施設庁不祥事や額賀元防衛庁長官/守屋元防衛事務次官不詳事では積極的にマスコミに工作して社会にインパクトを与えた。その結果、自民党政権打倒に多少なりとも貢献した。(どうやら、キミ達の反自民党への「転向」にも、回り回って「貢献」させていただいたらしいねえ。)
 それに引き比べ、キミ達は一体何を成し遂げたのさ? 『ザ・コーヴ』上映反対「運動」だって、この映画を見に行く日本人の数を、むしろ増やしちゃったんじゃねーの?(太田)
 そして、実際に外へ出て声を上げて行動を起こしている人達を上から目線でしか見ようとしない。
→おお、気づいてるやねん。
 1960年、ボクが小6の時に、安保改悪反対を叫んで国会に押し寄せたデモ隊のお兄さん達・・お姉さん達も少しはいたな・・を見て「みんな楽しそうだねー」と喝破した時以来、ボクの姿勢は一貫しとるのよ。
 考えが足らないくせに革命家きどりで行動に突っ走る連中なんて、要するにヒマつぶしに遊んでる、ほほえましき小市民じゃね、ちゅう上から目線でボクは見ざるをえないのさ。
 
 今まで、所謂、保守という人達は貴方みたいに書斎に籠もって何も活動して来なかった。
 その間、保守と対峙する勢力は、書斎から出て活動し着々と成果を揚げ続けて来た。
 その結果、今の様な無惨な日本にしてしまった。
→まだキミ達、「転向」が十分じゃないねえ。結局左翼批判やってんじゃん。そんなに昔の水が恋しいのかい。(太田)
 つまり、貴方みたいに、書斎に閉じ籠もって、外に対して何も行動をやって来なかった人達が反保守勢力の台頭を許し続け、結果、今の様な無惨な日本を作り上げてしまった。
 その様な貴方の失策を統括さえ出来ない貴方に、身銭を投げ出して我が国を建て直そうと行動している人達を批判する資格など有りません。
 繰り返す、【貴殿の様な役立たずが日本の破壊をここまで許した】
→このピンボケ度は救いがたいのー。
 悪いこと言わないから、とにかくボクの過去コラムを読むんだね。
 ちゃんと読めば、キミ達だってナショナリストからボクのような日本型帝国主義者に発展的再「転向」できるぜ。
 読んで分からないとこあったら遠慮なく質問してね。
<植田信>(2010.8.10)http://8706.teacup.com/uedam/bbs
 ・・・太田述正氏の<HPでツイッター>を拝見させてもらったところ、・・・こうありました。
≫日本が米国の属国であることを認め、戦後自民党政権に批判的でもある植田信さんや十津川昭和サン達と語る時には、つい肩に力入っちゃうんだな。彼等に私の史観までもきちんと受け容れてもらうのにはまだまだ時間がかかりそうだ。でキミは?≪
 おや、ここに出てくる植田信とは、もしかして、私のことなのかな? と、一瞬、驚きました。それとも、同姓同名の人がいるのかな?・・・
 で、太田氏のコメントの内容については、まあ、歴史観は一つしかない、というものでもないだろう、と思います。
 そうでなければ、シュペングラーのあとにトインビーが出てくる必要もないし、トインビーの後に、サムエル・ハンチントンが出てくる必要もないし。・・・
 ・・・私は、現代西洋史を考察するときの、基本的枠組みは、ヘーゲルの歴史哲学が最も適切である、と思うことにしています。・・・
 さて、そうすると、日本人の現代日本史はどういうことになるのか?・・・
 太田氏に関しては、私は、戦後の日本が対米従属にあり、そうしているのは日本人である、という点で一致しているので、それで充分だ、という立場にいます。
 歴史観については、あまり一致を求める必要もないだろう、と。
 というか、私は、自分が、何をどのように考えるのか、という点で、自分で予想できていません。
 今後、いかなる具合に自分の見方を作っていくのか。これが予想できないので、それゆえに、毎日が非常に楽しみになっています。きょうは、どんなことを思いつくかな、と。
 太田氏のサイトで、自分の名前を見て、こんなことを思いました。
<太田>
 だけど植田さん、「戦後の日本が対米従属にあり、そうしているのは日本人である」ということに関しては、十津川サンのグループだって同じ考えみたいですよ。
 だから、重要なのは結論ではなく、どうしてそういうことになったのかを説明する前提と論理、つまりは史観なんです。
 植田さんご自身、「」内がもたらされたのはなぜかよく分からないと語っておられたんじゃなかったですか。
 それなら、それなりの説明をつけている私の史観と正面から向き合って欲しいものです。
 その上で、よりもっともらしい説明をつけることができる史観を植田さんがつくりあげ、それを提示していただければ、私、ありがたくそれを頂戴するかもしれませんよ。
 言うまでもないことながら、正しい史観なんてあるわけがなく、ただ、ある時代のある場所で最ももっともらしく聞こえる史観があるだけですよ。
<太田>(ツイッターより)
 私の本やコラムを好意的に紹介してくれる皆さんにはホント、感謝感激あめあられだ。
 私の属国論「講演」アクセスも1000を超えてたな。何度も言うけど、後は三千数百名で滞っている裾野(コラム読者)が少しでも広がることを期待。
<mootiez>(同上)
 太田史観、時事問題の考察、いまのままでは裾野を広げるのは難しいのでは?
 twitter上で著名人に論争を挑んだり、BLOGOSなどに投稿する気は無いのでしょうか?
 自己顕示欲のなさそうな太田殿ですが、自身の考えを広げるための方便として時には必要では?
<太田>
 アダム・スミスの分業論を持ち出すまでもなく、各自が得手の分野に取り組むのが一番良い、というのが私の考えです。
 私の得手の分野とは、現時点では、とにかくコラムを書き続けることです。
 太田コラムに有形無形の支援をしていただくこと、太田コラムや太田本を宣伝していただくこと、太田コラムを本にしていただくこと、等は読者の皆さん中の有志にお願いできれば、と僭越ながら思っている次第です。
<γΕγΕ>(「たった一人の反乱」より)
元衆院議員で会社役員・浜田幸一容疑者、背任容疑で逮捕
http://www.asahi.com/national/update/0810/TKY201008100281.html
 これも政権交代のご利益なんスかねぇ?
 数日前にも
森・元首相長男の石川県議、酒気帯び運転容疑で逮捕
http://www.asahi.com/national/update/0807/OSK201008070103.html
なんて事件があったばかりですし。
 もっとも2人共、馬鹿が勝手に自爆しただけって気もしないではないですけどね。
<太田>
 馬鹿が衆参両院議員になれる時代が終わったことを象徴している、と思いたいところです。
 それでは、その他の記事の紹介です。
 トヨタ騒動、ホントに大山鳴動してネズミ一匹だった!↓
  The government’s investigation into complaints of sudden acceleration of Toyota vehicles has found no evidence of flawed electronics in 58 of the vehicles that crashed, federal regulators said Tuesday.
 An examination of the crashes also found only one instance in which an accelerator pedal became trapped under a floor mat, and none in which a pedal became stuck or sprang back too slowly, according to a preliminary report to Congress.
 Toyota has recalled nearly nine million Toyota and Lexus vehicles worldwide to correct problems involving floor mats and sticky pedals, and lawmakers and some drivers have long suggested that a malfunction in the electronic throttle control system of the vehicles might explain some of the reports of sudden acceleration. ・・・
http://www.nytimes.com/2010/08/11/business/11auto.html?_r=1&hp=&pagewanted=print
 だけど、やっぱし、米国で生まれりゃ米国籍がとれるってベラボー過ぎるわね。↓
 ・・・“Birthright citizenship” – the policy of granting US citizenship to every child born on US soil・・・
 ・・・the 14th Amendment to the Constitution. The amendment begins this way: “All persons born or naturalized in the United States, and subject to the jurisdiction thereof, are citizens of the United States and of the State wherein they reside.”・・・
 Proponents of changing US citizenship policies say that “birth tourism,” in which travel firms in China, Turkey, and elsewhere sell travel packages designed to allow pregnant women to give birth in the US, is a troubling new element. Legislation, they say, is all that’s needed to change the situation.
 The drafters of the 14th Amendment never intended that it should apply to the children of foreigners present in the US, they say. It was meant to extend citizenship to African-Americans. Legislation could clarify this situation, say some conservatives.
 But supporters of birthright citizenship say that that reading of the history of the 14th Amendment is untrue and that to alter the policy would be to alter the nation’s democratic character.・・・
http://www.csmonitor.com/USA/Politics/2010/0810/14th-Amendment-why-birthright-citizenship-change-can-t-be-done
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太田述正コラム#4186(2010.8.11)
<買弁首相と無知蒙昧な御用学者達>
→非公開