太田述正コラム#4255(2010.9.15)
<皆さんとディスカッション(続x955)>
<太田>
(コラム#4253に関し)それにしても、ピークオイル、どうして日本でほとんど議論になっていないのか。
また、おおむねドイツや英国の判断が正しいとして、日本はどうなるだべ?
<ぬり>(同上)
<「報告書」の私の訳文の>掲載ありがとうございます。
両国とも北海やロシア等、目の前の問題であるのに対し、日本では遠い国から買ってる感覚だからではないでしょうか。
<roma_sakamoto>(ツイッターより)
≫何で米国の主要メディアが、この問題を取り上げてないんだろ。≪(コラム#4253。太田)
ピークオイルの件、兵藤二十八さんの本によりますと、米はかなり前から、既にそうした事態を想定してエネルギー政策を行っているとのこと(兵藤さんだけに若干の胡散臭さはありますがw)。
<鯨馬>
<「報告書」の訳文中に出てくる>Bundeswehrは連邦軍です。
<太田>
最初に出てくる「この研究は、Bundeswehr(<ドイツ>連邦)」のところ、最後に「軍」を入れる訂正を施すのを忘れました。
サンキュー。
<roma_sakamoto>(ツイッターより)
≫江戸時代に関しては、コラムでもご紹介している、渡辺京二の本とか、石川英輔の本等があります≪(コラム#4253。太田)
お奨めの本読んでみます。ありがとうございました。
<××××>
<コラム#4253で話題にした各種資料、昨日の>早い時間に送ったんで<本>日には着くと思いますが、他にも色々と資料を詰めて送ってしまったんで、使えたらコラム書く際の典拠にでもどうぞ
断片的すぎてほとんど産廃のような資料ですが、個人的に面白いと思った本の一部をコピーしたモノです。
説明もなしに突然送られても困ると思うので、どういったモノを送ったのか一応の内訳を内容を抜粋しながら書いときます。
『太平洋戦争への道 別冊資料編』
「支那に関する米国の提案〈日本側の分析〉」p399
「若し米国側が支那の残部を蒋介石政府の政治的主権に委ねることを固執するならば、我々〈日本政府〉はそれを受け入れるには及ばない。
その場合には、今日迄我々が支那で発達させ来たものとは異なった何等かの実際的機構を米国が提案することが出来るかと尋ねればよい。・・・その機構は、
(1)支那人に政治上受入れられ得るものであり、内乱、軍閥による地方的分裂、混乱等の再発を予見するものであってはならない。
(2)部分的にせよ共産主義であってはならない。
(3)国家的発達を遂げ、飢餓を脱し、残酷なまでに低い支那人の生活水準を向上させうる国家経済を以て組織されるものどなければならない。
(4)・・・支那に永続的不幸をもたらし、且つ他の諸国の帝国主義的又は共産主義的野望に対する不断の誘惑となるものであってはならない。
(5)極東の平和、秩序及び安全の脅威とならぬよう米国がそれを保障し且つ強力にそれを阻止する所のものでなければならない。・・・
「情勢ノ推移二伴フ帝国国策要綱〈御前会議において〉」p464
・・・<ソ連>ハ共産主義ヲ世界二振リ蒔キツツアル故何時カハ打タネハナラヌ
現在支那事変遂行中故「ソ」ヲ打ツノモ思フ様二行ヌト思フケレトモ機ヲ見テ「ソ」ハ打ツヘキモノナリト思フ・・・続きはWebで!!
大山梓編の『山県有朋意見書』からは横井小楠のコンセンサスを堅信化させた?「外交政略論」や「帝国国防方針私案」等です
つまり、横井小楠のコンセンサスである『・・・日本国ノ国是ハ維新以来確乎トシテ定ツテ、一日モ変更ノナイコトデアル』p205といったような事が書いてあると思います。
『断たれたきずな(Broken Thread)』は駐日イギリス陸軍武官であったピゴット少将が書いた日英同盟の回顧録です
500pの大著なので、断片的すぎますが、良著だったので紹介がてらにコピーしときました。モーリス・ハンキー卿の序言から抜粋します。
『・・・第一次世界大戦において、日英同盟にたいするわれわれの信頼は、正当だったことが実証された。
条約破棄が文字通り十指を以て数えられる時代において、日本がその義務を忠実に履行した1914年―18当時を回顧するのは愉快である。
1914年日本はわれわれの敵に宣戦を布告し、青島のドイツ海軍根拠地を占領し、イギリスの軍輸船隊を護衛し、1917年地中海の対潜水艦作戦に協力するため駆逐艦を派遣し、そして1918年にはシベリアに陸軍の大部隊を派遣した。
1921―22年のワシントン海軍軍縮会議において、・・・アメリカは日英同盟の破棄を事実上、会議の前提条件としていたが、これは日英両国の首班代表たちにはすこぶる不愉快なことだったが、氷を割る仕事は・・・日本代表団の事務総長となってきた佐分利氏とわたくしに押し付けられた。
わたくし達二人にとつて、この仕事は、わたくし達の上官にそうであったと同様にいやなことであった。
日英同盟の結果生まれた四国条約について、佐分利氏は悲しそうに、しかし、予言的にこう言った
――「他の国が割りこんで来るだろう。ブドウ酒は水で薄められれば薄められるほど効能が少なくなる。ちょうどその通りのことが起こったら。そして日英両国は次第に離れて行った。・・・』
最後に、前回送らなかった池田清の「1930年代の対英観」と「英帝国と宥和政策の論理」を送っときました。
断片的すぎるとも思いますが、面白い資料を見付けた興奮のままやってしまったんで、勘弁・・・・・・もう送ってしまったんで!
<太田>
相当の歴史通の方とお見受けしました。
まことにありがたいことであり、適宜コラムに活かしたいと思いますが、私の次著編集グループの皆さんが、日本の戦前史関係のゴミならぬコラムの山に埋もれて悪戦苦闘しているとき、その山を更に高くするようなことになりそうで、忍びない気持ちです。
午前中に、さっそく第一便が到着しました。
<MS>
<次著編集グループの>Chase さんへ。・・・
<次著の>4.3 に関しては、共産主義が、20世紀において、数々の悲劇を引き起こしたことを強調することが本節の目的です。
コラム「共産主義の興隆と没落」+「政治的宗教」シリーズを共産主義の説明を中心に短くしたもので、構成してみてはどうでしょうか?
これらがよいかどうかは、わかりませんが、ぱっと見共産主義の恐怖を強調するような段落がたくさんあるように思いました。
節の冒頭には簡単な歴史的経緯の説明もあったほうがよいかもしれません。
「トロツキーとその最後」シリーズを中心に歴史的経緯を説明してはどうでしょうか?
<以上、>「共産主義が、20世紀において、数々の悲劇を引き起こしたことを強調することが本節の目的です。」と書きましたが、本文の編集段階では、結果として悲劇が起ったということではなくて、欧州文明由来の共産主義が必然的に悲劇を起こした、ということが分かるようにしていただけるとありがたいです。
この点に関しては、おそらく「政治的宗教」シリーズをうまく編集すれば良いのではないかと思っています。無理があったら教えてください。
別のコラムを探すか、節の目的を変えましょう。
4.2 の日露戦争で日本が戦っていたものと、ソ連の脅威の連続性がわかると、「共産主義の衣を纏う」感じがでてなおよいですね。
欧州文明論をしないといけなくなるとちょっと大変かもしれませんが。。。
下記<(☆から★まで)>にあげたコラムなどに該当する段落があるか、あたってみていただけるとありがたいです。
☆
4.2 日清・日露戦争
【結論】
基本的に「防衛庁再生宣言」からの要約、加えて、コラム#0230<孫文(その3)>にある内田良平の思想・行動に関する叙述を盛り込むことでOKと思われる。
【補記】
4章は、”戦前日本の敵はロシアであったと結論付ける。”ということでいえば、この節については、 (1)「防衛庁再生宣言」P194~P197の日英同盟による日清・日露戦争の勝利の叙述箇所をベースとすることが一点、同時に、(2)同著のP140にある、日清・日露戦争を契機とした民主主義の進展のテーマをサブテーマとして、配置すれば、加えて、(3)コラムにおいては、コラム#0230の内田良平の思想・行動に関する叙述を盛り込めば、横井小楠コンセンサスの基調を傍証することになると思います。
★
連続性については、Chaseさんがあげられた「ロシアについて」が詳しいですね。
ソ連時代の悲劇についても、数字を挙げて触れられており、長さもほどほどなので、やっぱり「ロシアについて」をベースに4.3を組み立ててください。
節の目的は、「1)日露戦争時の「専制主義」が、「共産主義」に衣替えし、2)引き続き脅威であり続けたということを、共産主義による悲劇を示す具体的な数字をもって明らかにするということです。」(1),2)二ついうことがあります。)
4.4 の結論、「ロシアにおける共産革命を<4.3で述べられた悲劇をさけるため(MS)>、世界の列強の中で、最も深刻に受け止めたのが日本だったということです。」(シベリア出兵シリーズ)につなげてください。
その際、米国がファシズムであるドイツとは戦ったにも関わらず、双子の共産主義に大甘であることを強調していただければ、より良いのではないかと思います(4.3で、共産主義がファシズムの双子の兄弟であることも触れておくとよい。)。
<コバ>
ストライキの重要性をめぐる記事があったのですが、太田さんはストライキについてどのような見解をお持ちでしょうか?
民主主義的青臭さとは別物?
‘people really need to know that striking is the only option a lot of people have. Strikers aren’t lazy or greedy ? quite the reverse.’
The importance of strikes
http://bit.ly/aosF4N
しかし労働者自体がもはや使い捨ての現状ですが…。
がっくり。
「首切り自由の使い捨て労働」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2008-10-08/2008100801_01_0.html
<太田>
引用された一番目のサイト、何だか素性の定かではない感じですね。
それはさておき、ストライキは、労働市場が何らかの事情で十全に機能していない場合・・米国で言えば、例えば、技能が卓越した者が雇用されている企業体(MLB)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%B0%E3%83%99%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%83%9C%E3%83%BC%E3%83%AB#.E3.82.B9.E3.83.88.E3.83.A9.E3.82.A4.E3.82.AD
、日本で言えば、例えば日本型経済体制下の終身雇用制企業体・・においてのみ意味があるのであって、さもなければ、経営側がスト破りを簡単に雇えるので意味がほとんどない、と思います。
先進国において、おしなべてストが減少しているのは、このような労働市場の「機能不全」がどこの国でも減少してきたからではないでしょうか。
引用された二番目のサイト、脱法行為や違法行為が許されないのは当然です。
それはそれとして、私自身は、同一労働同一労働条件であるべきだとは思っていますが、実際問題として、派遣労働者を正社員と同じ労働条件にすれば、工場の海外移転による日本の生産業の空洞化が更に急速に進むでしょうね。
<globalyst:翻訳>
コラム#4253より
世界の武器貿易の現状が出ていた。↓
…2009年の世界の武器取引は575億ドルで、2008年から8.5%低下した。…
2009年、米国は226億ドル相当の武器取引にサインし、これは世界の武器市場において圧倒的な39%を占める。…
2009年、世界の武器セールスで、ロシアは大差を付けられて2位の104億ドルの武器取引に終わり、次いで、フランスが74億ドルの契約を取付けた。他の有力な武器輸出国には、ドイツ、イタリア、中共、英国がある。…
ストックホルム国際平和研究所
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%9B%E3%83%AB%E3%83%A0%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E5%B9%B3%E5%92%8C%E7%A0%94%E7%A9%B6%E6%89%80
による2005年~2009年の統計によれば、
米国30%
ロシア23%
ドイツ11%
フランス8%
英国4%
オランダ4%
イタリア3%
スペイン3%
中共2%
スウェーデン2%
http://www.sipri.org/googlemaps/at_top_20_exp_map.html
となっていますので、2009年に米国の武器輸出のみが低下しなかった(落ち込みが小さかった)と言えそうです。
武器輸出に関連して、コラム「日本の防衛技術が危ない!」
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/4441
で日本の武器輸出三原則の問題を取り上げていました。
太田コラムでも再三出てきますが、武器輸出禁止の解禁は日本に必要ですね。
<太田>
翻訳については、大変結構でした。7ポイントです。
それでは、記事の紹介です。
民主党代表選の結果についての内外すべての報道のうち、私がうなずいた唯一のものが下掲だ。↓
・・・today’s ignominious defeat would kill Ozawa’s long-held ambition to lead Japan. “Ozawa doesn’t have much of a future in his own party, and if he leaves you have to wonder how many other people would be willing to follow him,” he says. “He’s toxic ? a powerbroker without power.”・・・
http://www.csmonitor.com/World/Asia-Pacific/2010/0914/Japan-Prime-Minister-Naoto-Kan-wins-party-vote-to-stay-in-power
米国じゃ、博士号取得者の数で女性が男性を抜いたってよ。
congratulations!↓
For the first time, more women than men in the United States received doctoral degrees last year・・・
Women now hold a nearly 3-to-2 majority in undergraduate and graduate education.・・・
Of the doctoral degrees awarded in the 2008-09 academic year, 28,962 went to women and 28,469 to men・・・
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2010/09/13/AR2010091306555_pf.html
見てるものと同じことを脳内で体験しているって当たり前ってば当たり前だけど・・。↓
・・・When research subjects in brain-imaging scanners watch a video of another person throwing a ball, researchers typically detect a burst of activity in the areas of the brain that govern the motion of throwing. When a subject is shown pictures of a person laughing or crying, the areas that process emotions such as happiness or sadness light up. This has led some neuroscientists to suggest that the human brain reflexively mirrors much of what it sees and experiences in the world, helping us to internalize and make sense of our social and physical environment.・・・
http://www.latimes.com/health/boostershots/la-heb-false-memories-20100914,0,3634609,print.story
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太田述正コラム#4256(2010.9.15)
<映画評論11:鬼が来た!>
→非公開
皆さんとディスカッション(続x955)
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