太田述正コラム#4283(2010.9.29)
<皆さんとディスカッション(続x968)>
<ΔΔζζ>(「たった一人の反乱」より)
≫ボク、防衛庁(防衛省)でウン10年もそんな思いをさせられてきたんだぜ 想像できる? ≪(コラム#4281。太田)
 ↑
 くさやのような強烈な、ヒネオヤジが出来上がった理由が、よーーーくわかったー。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%8F%E3%81%95%E3%82%84
 普通であれば腐敗してとても食べられるような代物にはならないけど、逆にその腐敗菌をもって貴重な食物となったんだよな…。
 しかし、よいこのみんなには手ごわい強烈なるモノなんで・・・。
<ΔζζΔ>(同上)
 中国が暗黙に示してしまった「チャイナリスク」
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20100928/216407/
 世界中が中国を警戒するようになると困るのはそれこそ中国で、それでもせっせと墓穴を掘り続けている~w。
 世界に誇る日本の名曲、植木等の「スーダラ節」…“わかっちゃいるけどやめやれない” との、親鸞の教えともいえる人間の真実の姿を唄った青島幸男作詞~それをいま中国が…。 
<太田>
 お示しの「タナカ(仮名)」氏のコラム、
 「・・・尖閣諸島での出来事・・・は中国の“断末魔の苦しみ”がもたらしたものであり、ここ20年間にわたる中国の経済的躍進が、踊り場に来つつあること、それが政治的自滅をもたらしかねないことを懸念しています。
 尖閣諸島について、中国が「自国領である」とか、「領土問題が存在している」とか騒ぎ立てるのは、内部的な問題が大きく2つあるからだと考えられます。主要な1つは、資源の問題です。もう1つは、国内における「期待値」と現実の落差の問題です。・・・
 食糧、エネルギー、資源など、中国は完全な輸入国になりました。目立つ輸出資源はレアアースで、資源大国としての中国の目玉商品は、実は既にこれしかありません。
 物資の輸送は、船の効率が一番です。これは、中国が海運によって死命を決せられる海運国になったことを意味します。・・・
 中国が外洋海軍を運用しようとした場合、障害になるのは何でしょうか。まず、海外泊地の獲得です。次に、航路上のボトルネックの解消です。・・・
 <航路上のボトルネックとして>典型的なのは、中東、アフリカ、スエズ運河行きのためのシンガポール<(マラッカ海峡?(太田))>。そして、北米航路確保のための対馬海峡及び津軽海峡です。また、上海から太平洋に出るための台湾海峡と沖縄諸島、香港や広東省などから太平洋に出るための西沙諸島、南沙諸島です。 」
ここまで↑は結構だけど、それから↓先が突然乱れるねえ。
 「今回の尖閣諸島は、台湾回廊を安全にするために米海軍の影響力を削いでおく必要のある場所で、もし台湾が中国との緩い政治統合を図って台湾海峡が内海になった場合に一番邪魔になる場所なのです。・・・」
 排他的経済水域の問題があるので、中共にとって経済的に尖閣諸島問題の帰趨が意味があるのは誰でも分かるだろう。
 問題は、タナカが示唆しているように、軍事的に意味があるかどうかだ。
 北米航路は南米航路でもあるが、仮に中共と台湾の「緩い政治統合」ができたとすれば、中共は、台湾の港湾経由で、あるいは台湾の周辺海域から北米/南米航路に問題なくアクセスできるようになるし、台湾との「緩い政治統合」ができていない現状が続くとすれば、中共は、米国及び米国の属国である日本と敵対していなければ北米/南米航路に問題なくアクセスできるが、仮に敵対するようになれば、日本列島・琉球列島・フィリピン群島の第一次列島線を突破して北米/南米航路に商船団を送り込んだところで、米国やカナダとの貿易ができるわけでもなし、南米諸国のうち米国の意向に逆らって中共との貿易を続けてくれる国があったとしても、途中に米海空軍が待ち構えているので、中共の船団は南米まで到達できないだろう。
 つまり、尖閣諸島の帰趨、中共にとって、軍事的には何の意味もないのだよ。
 私は、中共が今回、尖閣諸島でことを起こしたのは、「国内における「期待値」と現実の落差の問題」が深刻化して中共当局にとって「断末魔の苦しみ」に転化する前に、ナショナリズム・カードが今なお有効かどうか(イザという時に本格的にこのカードを切れるかどうか)を小出しにやってみて検証しようとしたのだと見ている。
 しかし、結果的には、中共国内で反日ムードが全く高まらず、もはや日本をダシにしたナショナリズム・カードなんて切れないことがはっきりしてしまったってわけさ。
 それどころではない。
 中共は、本件で、米国を始めとして、その豹変ぶりがはっきりした・・というか、ネコかぶってた本来の正体が露見した・・として、世界中の国々の顰蹙を買ってしまった。
 胡錦涛体制の大失態だと言うべきだろう。↓
 ・・・Over the past decade, China has kept silent, lain low and behaved more like a multinational company than a global superpower — and garnered enormous political influence as a result. ・・・
 Why on earth are the Chinese playing military games with Japan, threatening Southeast Asia or entering politics at all? When they stay silent, we ignore them. When they threaten boycotts or use nationalist language, we get scared and react. ・・・
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2010/09/27/AR2010092704658_pf.html
 ついでに、ここで、尖閣諸島問題関係の記事の紹介を行っておこう。
 欧米人からすると、本件での日本人の異常な冷静さについて、日本人を腰抜けであるととは見ず、日本人が中共を歯牙にもかけていないからだ、という理解になるみたいね。
 現在の日本人を昔日の日本人とダブらせて見ててくれるってことか。↓
 ・・・With a diffidence to Asian neighbors that can appear to be either Zen-like or arrogant, many Japanese privately look down on China as a rambunctious cousin greedy for money and resources. ・・・
 Despite China’s great successes, China in their view is sort of like Mexico – an overpopulated source of illegal immigrants and cheap labor and products – not a legitimate competitor along the likes of advanced economies in the United States or Europe. ・・・
 Unlike many in North American and European media circles, many Tokyo-based economists as well as expatriate entrepreneurs here do not assume that China will become an advanced middle-class nation like Japan. ・・・
 ・・・most Japanese are still trying to avoid a word-fight with China, in line with Buddhist teachings about avoiding confrontation. ・・・
 ・・・A joint survey by Japanese think-tank Genron and the state-run China Daily newspaper polled 1,000 Japanese and 1,617 Chinese in major cities this summer.
 They found that 70% of Japanese and 60% of Chinese don’t like each other. ・・・
http://www.atimes.com/atimes/Japan/LI29Dh01.html
 さはさりながら、さすがに日本の地元の人々は中共に怒っている。↓
 
 「尖閣諸島周辺での中国漁船衝突事件をめぐり・・・沖縄県議会や石垣市議会・・・などの地方議会は28日、日本政府が毅然とした対応をすることなどを求める決議や意見書を相次いで可決した。・・・」
http://sankei.jp.msn.com/politics/local/100928/lcl1009282250014-n1.htm
 予想通り、本件について、中共は完全にオンリ・モードに入ったな。↓
 「・・・尖閣諸島・・・の衝突事件について、中国政府高官は28日、毎日新聞など一部メディアに対して「ほぼ終わった」と述べ、関係修復に向けて日本側から行動するよう求めた。訪日旅行自粛など事実上の対抗措置の解除にも含みを持たせた。中国側の軟化姿勢として注目される。・・・
 一方、中国外務省の姜瑜副報道局長は、28日の定例会見で「中国側は中日関係を重視している。日本が誠実かつ実務的な行動を取ることで、中日関係を安定的に発展させることができる」と述べ、従来より踏み込んで関係修復への期待を示した。」
http://mainichi.jp/select/world/asia/news/20100929k0000m030148000c.html
 それにしても、日本のこんなお粗末な状況は何とかせにゃ。↓
 「・・・中国政府公船の監視船が日本領海を侵犯しても、海上保安庁の巡視船は退去を要請するしかない。自衛隊にも領土や領海を侵害する行為を排除する領域警備の任務が与えられていない。海自に海上警備行動が発令されても保安庁と同じ警察行動しかとれ<ない。>・・・」
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100929/plc1009290301000-n1.htm
 産経が、尖閣諸島問題についての史実を紹介する記事を折に触れて電子版に掲載しているが、ご参考まで。↓
 「・・・中国共産党の機関紙「人民日報」のデータベースによると、53年1月8日付の同紙の記事は「琉球群島には尖閣諸島、沖縄諸島、大隅諸島などが含まれる」と明記している。
 現在、中国はもとより台湾も尖閣諸島の領有権を主張しているが、そのきっかけは69年に発表された国連アジア極東経済委員会(ECAFE)報告書だった。同報告書は尖閣諸島周辺の海底に石油や天然ガスが大量に埋蔵されている可能性を指摘した。・・・
 2004年3月には中国人活動家7人が尖閣諸島に不法上陸したが、日本政府が「日中関係に悪影響を与えないよう大局的な判断」(当時の小泉純一郎首相)をした結果、起訴せずに強制送還。・・・」
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100929/plc1009290808004-n1.htm
 「・・・クリントン政権時代にモンデール駐日米大使が「尖閣諸島が第三国に攻撃を受けても、米軍は防衛には当たらない」という趣旨の発言をして、波紋を広げた。これは発言者が実態をよく知らなかったための失言だった。その後、私も含めて多数の識者たちが米国政府のミスを指摘し、クリントン政権の国防総省高官のカート・キャンベル氏らが後に「尖閣には日米安保条約が適用される」と明言するようになった。・・・」
http://sankei.jp.msn.com/world/america/100923/amr1009232106014-n1.htm
 ところで、訂正がある。
 検察が件の船長を不起訴処分にした、と勘違いしてたけど、してなかったんだね。↓
 「・・・ビデオ映像の公開について、海保自体は7日の事件発生当初、前向きだった。しかし、首相官邸と外務、法務省などの幹部が7日夜に逮捕方針を決めた後、「逮捕容疑を立証する要の物証」として非公開になり、那覇地検が「捜査資料」として保管している。同地検は25日、船長を釈放したが、刑事処分は決めていないため、ビデオは刑事訴訟法47条で「非公開」と定めた「公判の開廷前の訴訟に関する書類」にあたるとしている。・・・」
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20100929-OYT1T00180.htm?from=top
 こういう誤りこそ、誰か指摘してくれよー。
<bonkers_blunder>(ツイッターより)
 負の所得税、南米では採用が進んでいるようですが、日本は南米に学べるでしょうか?
 格差是正はブラジル式に学べ
http://tinyurl.com/2f27ccf
<太田>
 「・・・アメリカの経済学者ミルトン・フリードマンは1968年、所得が一定以下の貧困層には税額控除より現金給付のほうが効果があるとして「負の所得税」を提唱。この考えはまずチリやメキシコで採用されたが、大規模な制度化に成功したのはブラジルだ。現在は5500万人が利用している。・・・
 <ブラジルの>ルラ<大統領>は既存の支援プログラムを拡充した貧困層向けの直接補助金制度ボルサ・ファミリアも創設。就学児童や病人がいる低所得世帯には毎月10~70謖の少額手当を給付している。・・・」
というわけですか。
 日本で導入するには、何が最大のネックなんでしょうね。
<ΖΖδδ>(「たった一人の反乱」より)
≫フェラチオとインフレの語源は同じだったのね。納得。≪(コラム#4281。太田)
 誰か翻訳と解説をしてくれ・・・。
 この唐突な下ネタは、気がふれたようにしか見えん・・・。
<ΖδΖδ>(同上)
 これかな。
 美人前法相、インフレ→「フェラ」言い間違い
http://www.sanspo.com/shakai/news/100928/sha1009280503005-n1.htm
<太田>
 ΖΖδδクンへ。
 第一点。本来ネタに上も下もないさ。
 今、エリザベスの映画2本(正続)シリーズを書き綴ってる(未公開)が、この映画、史実とはかけ離れてるとはいえ、「上」の権力欲と「下」の性欲とがいかに密接不可分か、痛感させられるぜ。
 (エリザベスのTVドラマ(正続)についても、続の方を鑑賞し終えてるが、やはり同様の感想だ。)
 第二点。興味が湧いたら、字引を引きつつ、英文読解にチャレンジすることを勧める。 そういうことを繰り返せば、英語力は確実に身についていく。
 ま、ご託宣はそれくらいにして、改めて件の記事を読み直してみたら、私の勘違いだったので訂正しておこう。
 フランス語でフェラチオはfellation(フェラティオン)で語源はラテン語の動詞のfellare(吸う)の過去完了(形容詞化形と言ってもよい)のfellatusを名詞化したものである
http://en.wikipedia.org/wiki/Fellatio
のに対し、インフレはinflation(インフラティオン)で語源はラテン語の名詞のinflatio(膨張させること)であって、
http://fr.wikipedia.org/wiki/Inflation
この二つの言葉の語源は全く異なるからだ。
 ちなみに、ダティ元仏法相は、インフラティオンと言うべきところを、英語でフェラティオ(fellatio)と言ってしまったらしい。(英語では、fellationという言葉も使う
http://en.wikipedia.org/wiki/Fellatio 上掲
が、フランス語ではfellatioという言葉は使わない。
http://dictionnaire.sensagent.com/fellation/fr-fr/ )
<太田>
 私が取材を受けた記事が掲載された紙面が昨日届いたので、ご披露しておきます。↓
 「・・・こうした天下りの実態について、防衛省のあっせんを断った元防衛審議官の太田述正氏は「防衛産業に行っても仕事はなく、窓際族になるだけ」と指摘する。「国産の武器に適正価格は存在しない。防衛費を武器の数で割った金額が値段になる。その中には当然、天下りした人の給料も含まれている」・・・
 太田氏は「防衛省であっせんをやめれば、民間法人や企業に天下りした誰かが代行するようになる。戦前の軍人恩給でも復活しない限り、天下りはなくならない」と話している。」(東京新聞2010.9.20朝刊25面)
 それでは、尖閣諸島関係以外の記事の紹介です・・とは言ってみたものの、こんな周知の話しかありませんでした。↓
 「朝鮮中央通信は28日付で、北朝鮮の金正日総書記の三男、ジョンウン氏(28)が、同日開かれた朝鮮労働党代表者会で、党中央委員と中央軍事委員会副委員長に選出されたと報じた。・・・」
http://sankei.jp.msn.com/world/korea/100929/kor1009290624003-n1.htm
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太田述正コラム#4284(2010.9.29)
<映画評論13:エリザベス/エリザベス ゴールデン・エイジ(その4)>
→非公開