太田述正コラム#4471(2011.1.1)
<皆さんとディスカッション(続x1062)>
<太田>(ツイッターより)
世界共通の大晦日の曲、スコットランド由来のAuld lang syne(old long since≒old times past。「蛍の光」のタイトル/歌詞は「誤訳」)をどうぞ。
http://bit.ly/dVUnd2
良いお年を!
役所時代は「異常」な人々から隔離された無菌室にいたようなもので、娑婆にはオツムの「異常」な人が沢山いるのにびっくり。
だけどまだジェンダーが「異常」な人にはあんまし出会ってない。太田コラムの弱点だな。
<ΔΡΡΔ>(「たった一人の反乱」より)
SF作品の映画論評に関連した話ですが、SF作品や創作物上において顕著に見られるアメリカ人と日本人のロボットに対する接し方の違いと言うものをどう思います?
『なぜアメリカ人と日本人では、ロボットに対する態度が違うのか?』
「この半世紀、日本人とアメリカ人のロボットに対する態度にはちがいがある。・・・」
「アメリカ人のロボットに対する態度について・・・<コレクターズ・ウィークリーの>ピンチョットはこう答えている。
不安の種はいつも、ロボットが知能をあまりにもちすぎて、自分のやりたいように行動を決定してしまうのではないかということでした。
初期のSFの大きなテーマは、私たちが創ったロボットの暴走でしたし、こんにちでも、これはコンピュータに対して行き渡っている感覚です。
コンピュータが感情をもち、私たちが命じないことも自らで決定を下すようになってしまうのではないか?という懸念ですよね。
すべてのテクノロジーをめぐる不安はロボットに具現化されているんです。
ロボットというのは、“ロボットが支配し、金を牛耳り、私たちの暮らしを誤った方向へ導いていくのでは”という妄想をかきたてるようにデザインされていますから・・・」
『なぜ日本人はロボットを愛するのか?(そして、なぜ米国人はロボットを恐れるのか?)』
「世界で最初に(非産業)ロボットの固体数調査を行ったヘザー・ナイトは、ロボットと人間の意志の疎通をライフワークにしている。
彼女は、ロボットに対する日本人と米国人の態度の違いは、ロボットという概念が生まれるよりもずっと古い時代に端を発していると言う事を示している。つまり、宗教だ。」
「<彼女は言う>日本では・・・アニミズムのせいで、みな文化的にロボットに対してオープンです。
日本人は無生物と人間を区別しません。」
(上記、引用元)http://gyanko.seesaa.net/article/174247864.html
(上記に対する海外の反応)http://gyanko.seesaa.net/article/174373132.html
(前半部分の原文)http://m.io9.com/5698824/the-differences-between-american-and-japanese-robots
(後半部分の原文)http://www.technologyreview.com/blog/mimssbits/25881/
仮説1:日本人は人間中心的階層的世界観を抱いていない事から、人-間主義的なコミュニティーの中に、ロボットを包容する事に抵抗が少ない(?)
(また観念上では、究極的にはロボットと人との間の違いが曖昧な事から、日本人の創作物上では、恐怖の対象ではなく、愛他主義的対象として描かれる(?))
仮説2:人間中心的階層的世界観を抱いている社会では、ロボットをコミュニティーの一員として認識する事に抵抗が生じやすく(?) さらに、キリスト教と切っても切れない関係にあるところの人種主義的階層的世界観を有している人々はYellow peril(黄禍論)ならぬ、Robot perilを抱いてしまう(?)
上記は私の所感ですけど、太田さんはどう結論付けますけ?
<太田>
仮説1は異論なし。
仮説2は????
なんとなれば、仮説2の前段は仮説1とだぶってるし、後段に関しても、キリスト教≒人種主義、とは言えないから。
むしろ、仮説1に言う人間中心的階層的世界観と「キリスト教と<が>切っても切れない関係にある」。
この種の主張をする場合は、典拠を探す努力をしなくっちゃ。
それでは、記事の紹介です。
今上天皇による、人間(じんかん)主義の意義とその世界への普及を訴えるお言葉ですな。↓
「天皇陛下の新年の感想・・・
家族や社会の絆を大切にし、国民皆が支え合ってこれらの困難を克服するとともに、世界の人々とも相携え、その安寧のために力を尽くすことを切に願っています。・・・」
http://www.asahi.com/national/update/1231/TKY201012310189.html
私の言うところの、縄文モード下の日本社会の中性化を示すもんだわさ。↓
「・・・性同一性障害の患者は、女性の体で心が男性の「FTM(female to male)」と逆の「MTF」に分けられる。ところが最近、第三の性“X”を選択し、自ら「FTX」「MTX」と称する「Xジェンダー」が急増中だ。・・・
“X”を選択する理由は何か-。・・・社会全体で『男らしさ』『女らしさ』に対する意識が薄れ、生き方を縛るものがなくなり、逆に悩むようになったのではないか・・・。・・・」
http://sankei.jp.msn.com/life/trend/110101/trd1101010039001-n1.htm
更に思いやりの中身が醜悪になりつつあるな。↓
「沖縄県の米軍嘉手納基地に所属するF15戦闘機の訓練の一部について、米領グアムに移転することで日米両政府が合意したことが防衛省への取材で分かった。騒音被害の軽減のために2007年春から、嘉手納基地から国内の自衛隊基地へ振り分けてきたF15の訓練移転先に国外を加える構想だ。在日米軍の訓練の分散移転が進む中で、国外移転は初めて。 ・・・
訓練移転に伴う経費は日本側が負担することとされ、3月末で期限切れとなる在日米軍駐留経費の日本側負担(思いやり予算)の根拠になっている特別協定を改定することで対応する。・・・
合意されたのは、嘉手納基地所属のF15戦闘機部隊が沖縄周辺の訓練空域で連日実施している防空戦闘訓練の一部。同時に、空自の戦闘機部隊もグアムに派遣して共同訓練を実施する計画という。・・・」
http://www.asahi.com/politics/update/1231/TKY201012310292.html
2日ほど遅れたが、イスラエル当局による、イラン核計画妨害作戦の成功宣言をお送りしておこう。↓
・・・Israeli Strategic Affairs Minister Moshe Yaalon said <Iran’s> programme・・・to build nuclear weapons・・・had faced “a number of technological challenges and difficulties”.
“These difficulties have postponed the timetable,” he told Israeli radio.
”So we can’t talk about a point of no return. Iran does not have the ability to create nuclear weapons by itself at the moment.”・・・
http://www.bbc.co.uk/news/world-middle-east-12090430
中共の公務員(≒共産党員)における蓄妾と腐敗の蔓延は大衆と党との深刻な離間を招いてるってさ。↓
・・・Hu Xingdou, a professor at the Beijing Institute of Technology・・・said the string of incidents has made the party a “national laughingstock” and undercut the government’s ongoing efforts to curb pornography and public indecency.
”The recent cases show Chinese officials’ ethics and moral principles have nearly collapsed,” Hu said. “Officials embezzling and keeping mistresses are the problems that people hate most. That’s why people don’t support or have any interest in responding to the government’s anti-pornography campaign, because the officials themselves have more serious problems.”
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2010/12/31/AR2010123102553.html
アナーキズムについては、かつて(コラム#4238、4240、4242で)とりあげたことがありますが、アナーキズムの歴史がオーソドックスにかつ簡潔にまとめられてたのでご披露しとこう。↓
<フランス革命で生まれたとさ。↓>
・・・anarchism, as we know it, is a distinctly modern phenomenon, crystallizing in the wake of the French Revolution, as more and more people in the industrializing world chafed both under the yoke of despotic monarchs and the growing power of capitalist elites.
<プルードンが最初のイデオローグだと。↓>
The man credited as being the first self-proclaimed anarchist and one of anarchism’s most influential ideologues, Frenchman Pierre-Joseph Proudhon・・・
What cemented Proudhon’s anarchism was his vehement distrust of the state and even electoral politics.・・・
<バクーニンはアナルコサンディかリズムの創始者だと。↓>
Bakunin’s writings underpinned “anarcho-syndicalism,”・・・collectivist anarchism・・・a creed that saw anarchist-led labor unions form and fight for greater freedoms・・・
<パリコミューンのエポック視はコラム#4238と共通してるな。↓>
The events of the short-lived Paris Commune in 1871 — when France’s capital fell briefly under anarchist-communist rule — fired the anarchist imagination. ・・・
<そして、クロポトキンのお出ましだ。↓>
Peter Kropotkin, a Russian prince who renounced his hereditary titles and advanced the notion of “mutual aid,” pointing to evidence in the natural world of species cooperating together without competition or coercion.・・・
<19世紀末、露と米でアナーキストたるテロリストが猛威を振るった。↓>
An anarchist assassinated Russia’s Czar Alexander I in 1881; in 1896, a Polish-American anarchist shot U.S. President William McKinley. ・・・
<スペイン内戦を第二のエポック視してる。↓>
Anarchism’s last great, albeit fleeting, moment under the sun came at the time of the Spanish Civil War. For a few years in the 1930s, anarchist collectives thrived in Catalonia. George Orwell, who threw in his lot with an anarchist faction, wrote admiringly of his Spanish comrades: the fiercely egalitarian anarchist militias, said Orwell, “were a sort of microcosm of a classless society… where hope was more normal than apathy and cynicism.” Of course, as Orwell charts in Homage to Catalonia, the anarchists’ downfall comes not at the hands of Gen. Franco’s fascists, but during an internal putsch among Spain’s Republicans, led by U.S.S.R-backed Communists. An ideology that loathed hierarchy could never be tolerated by Stalin.・・・
<米国の今日の茶会の「リーダー」ペイリンおばさまは、ある意味、米国アナーキストのヒロインたるエマ・ゴールドマン(1869~1940年)・・・アレクサンダー・バークマンのお友達(コラム#4240)・・・
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%9E%E3%83%BB%E3%82%B4%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%89%E3%83%9E%E3%83%B3
の生まれ変わりだとよ。↓>
The U.S. itself had a rich tradition of anarchism, whose guardian angel was the famed New York writer and activist Emma Goldman. It can be argued be that the logical heirs to Goldman and her anti-government fellow travelers are, in some form, today’s Tea Party・・・
http://www.time.com/time/world/article/0,8599,2040304,00.html
↑ボク、ペイリンおばさまのような、見果てぬ夢的リバタリアニズムじゃなく、現実のものとなった日本型政治経済体制の方を、アナーキズム的なものとして注目してんだけどね。
人間科学で、日本人学者がヒットを飛ばした。↓
「赤ワインに含まれるポリフェノール・・・の一種「レスベラトロール(resverastol)・・・を飲んだマウスでは、神経細胞を活性化する物質が通常の1・5倍に増え、海馬の神経細胞の再生や情報伝達スピード向上などの効果がみられた。白ワインは効果がなかった。迷路を解かせる訓練でも、所要時間は白ワインの約半分で、学習能力も向上していた。・・・」
http://sankei.jp.msn.com/science/science/101228/scn1012282044005-n1.htm
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一人題名のない音楽会の出初め式です。
ヴィルヘルム・リヒャルト・ワーグナー(ヴァーグネル)(Wilhelm Richard Wagner。1813~83年)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%83%92%E3%83%A3%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%BB%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%82%B0%E3%83%8A%E3%83%BC
特集をお送りしましょう。
[さまよえるオランダ人 (Der fliegende Holl���nder=The Flying Dutchman)](1842年)その一部
http://www.youtube.com/watch?v=XJtrXqRu9K8&feature=related
そのSenta’s Balladのピアノ曲への(編曲魔)リスト(コラム#4331、4345、4359)による編曲。
http://www.youtube.com/watch?v=Ois8qYhHC0s&feature=related
そのSpinnerlied=Spinning Songのリスト編曲 ピアノ:イグナツィ・ヤン・パデレフスキー(Ignacy Jan Paderewski。1860~1941年。第1次世界大戦後に発足した第2次ポーランド共和国の第3代首相) (コラム#2566、3243)
http://www.youtube.com/watch?v=ynUs6T9tfpQ
http://en.wikipedia.org/wiki/Ignacy_Jan_Paderewski
[タンホイザーとワルトブルクの歌合戦(Tannh���user und der S���ngerkrieg auf der Wartburg)] (1845年)
序曲(Overture) バーンスタイン/NYフィル
http://www.youtube.com/watch?v=fgpOctKSwp4&feature=related
上記のリスト編曲 ピアノ:Daniel Lessner
http://www.youtube.com/watch?v=zz-GnczctJY&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=SsiWUy4Yl7I&feature=related
夕星の歌(O du mein holder Abendstern=Song of The Evening Star) Thomas Quasthoff
http://www.youtube.com/watch?v=IeIELcAod1k&feature=related
Begl���ckt darf nun dich=Pilgrim’s Chorus
http://www.youtube.com/watch?v=7MMytsTslNQ&feature=related
上記のリスト編曲 ピアノ:ブレンデル
http://www.youtube.com/watch?v=jCMgM2ufh3g&feature=fvw
入場行進曲(Grand March=Freudig begrussen wir die edle Halle=Arrival of the Guests at the Wartburg)
http://www.youtube.com/watch?v=_UvqdCU4dIs
(続く)
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太田述正コラム#4472(2011.1.1)
<映画評論19:ロビン・フッド(その3)>
→非公開
皆さんとディスカッション(続x1062)
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